USCPAが従事する経理・財務の仕事内容
USCPA(米国公認会計士)は、米国等の諸外国において会計監査や連邦税等の税務を対応できる専門職です。
その専門性の高さから、日本においても公認会計士や税理士と同等の働き方も可能です(ただし、日本ではそれぞれの資格を保有しなければ法定業務を対応できません)。
USCPAは公認会計士と同様に、大企業や上場企業に関する経理・財務業務について、その専門性を最も発揮できます。
また、USCPAはその多様な経験から、経営陣や各部門長の意思決定に関して、経理や財務の側面から適切なアドバイスにより、組織を支援していくことが期待されています。
企業での経理・財務部門等で働くUSCPAの主な仕事には以下があります。
制度会計に関する仕事:
・単体または連結財務諸表の作成
・連結子会社の経理指導(特に在外子会社の経理マネジメント)
・有価証券報告書等の開示関連書類の作成と報告
・監査対応
管理会計等に関する仕事:
・予算実績管理、中長期計画の立案と社内折衝
・キャッシュフロー管理、資金調達、金融機関との折衝
・事業部門の収益管理、事業価値評価、戦略立案の意思決定支援
・横断的なプロジェクトベースでの会計・税務論点の検討
・国内外の投資案件管理
・業務改善や業務効率化
経理・財務に転職するUSCPAに求められるスキル・人材像
USCPAは会計のプロフェッショナルとして、世界的に認知されている資格です。
その求められるスキルは、日系企業では公認会計士と同等レベルが期待されており、外資系企業ではさらに経営アドバイスもできる戦略性を備えた能力が期待されます。
このようなことから、一般的に求められているUSCPAのスキル面では、以下が挙げられています。
・事業会社での経理や財務部門の勤務経験(少なくとも3年以上、マネジャークラスであれば5年以上)
・監査法人における監査業務(5年程度)
・会計事務所等においてクライアントの会計支援、月次および年次決算対応、資金繰り対応のような実務に関わってきた経験(5年以上)
USCPAはまた、経理・財務部門における管理職での募集も多く、その場合はチームマネジメントとしての経験(少なくとも3〜5名規模のチームを数年以上)は必須です。
外資系企業のファイナンス部門等では、USCPAの本領を発揮すべく、以下の経験も求められることが一般的です。
・Big4等の監査法人における会計監査の経験
・ビジネスレベルの英語力(読み書きレベルではなく、ネイティブの経営層に対して説明でき、利害関係者と交渉ができるレベル)
・特定のプロジェクト経験、レポーティング経験等
USCPAが経理・財務で活躍できる場
USCPAの資格は、国際的な知名度がある資格の1つです。
その資格保有者数は65万人(NASBAより)に達する規模です。
これら登録者総数のうち、会計事務所あるいは監査法人に所属する数は全体の4割程度とされ、多くは事業会社等でファイナンス系を中心に活躍しています。
中には経営層としてCFO(最高財務責任者)に就いているケースも見られます。
このような背景から、USCPAが最も活躍できる場は、外資系企業のファイナンス職といえるでしょう。
ただし、日本人がUSCPAを取得して外資系企業の在日子会社で勤務する場合、その役割は主に海外にある親会社への報告になるため、日々の業務において大きな権限を期待することはできません。
その場合でも、着実な報告と期待される実績を積み上げることで、実力があると評価される機会もあります。
さらに英語でコミュニケーションを取ることが上手な方であれば、希望する部署への異動や、親会社の直下部門への昇進へのチャンスが広がります。
USCPAとしてのキャリアを磨くことを希望する方の場合、例えばBig4等の大手監査法人において、監査業務ではなく、監査法人内のコーポレート・ファイナンス部門に異動、あるいは転職をする方法もあります。