上場企業の仕事内容
企業は社会の公器と言われます。
なかでも上場企業は、関わるステークスホルダーはもちろん、市場に対して適切な時期に会社の経営成績などを説明する責任があります。
そのため、定期的に決算短信や有価証券報告書として開示することが求められます。
開示書類の作成範囲はセグメント情報から株主情報、平均給与や職員数などの人事情報まで幅広いため、東証一部に上場しているような大きな企業やグローバル企業では、担当ごとに割り当てらて作成していきます。
一方、JASDAQやマザーズに上場した新興企業の多くは、豊富な人員数を抱えていないことにより、経営企画や経理などの一つの部署が開示書類作成の全般を担当することもあります。
また、上場企業の経理部門では、日本基準による決算の他にも、会社が採用した会計基準(IFRSやUSGAAP等)による決算を対応する機会も増えてきています。
新規に導入する場合は、初年度においてコンバージェンス(新制度に寄せること)対応もあります。
単体決算の他にも、子会社がある企業では連結決算も実施します。
とくに在外子会社がある場合には、現地の会計制度や税制も理解する必要があり、経理のポジションに対しては高度な知識や処理が求められます。
上場企業ではまた、ガバナンスが有効かどうか、業務オペレーションは適切かどうかをしっかりとチェックするための内部監査制度も求められています。
内部監査では、会計的な監査はもちろん、企業経営に関わる規程類の整備と重要な業務の手順が適切であることを確認する業務監査もあります。
上場企業のメリット
上場企業の規模は、新興市場から東証一部まで見渡してもさまざまで、その規模感に応じた組織構造となっています。
上場企業のメリットの1つとして、基本的に職務区分と職責が明確になっていることから、ジョブローテーションを通じて様々な経験を積むことができることがあります。
例えば「経理」というひとつの部署であっても、単体チーム、連結チーム、海外子会社対応チームなどに分かれていて、それぞれで深く経験を積むことができます。
また、上場企業ならではの業務は、上場企業に勤務していなければ経験することができません。
有価証券報告書等の開示書類の作成、監査対応、IR対応、株主総会の事務局対応等の経験は、社内でのキャリアアップだけでなく転職においても有効です。
また、従業員数が数百名、数千名の規模になると、職位として現場をとりまとめるチーム・マネジャーや組織をとりまとめるアシスタント・マネジャー等に細分化されます。
順調に昇格をしていけばリーダーやマネジメントの経験を積むことができます。
マネジメント経験も転職市場で評価されやすい項目であり、経理や財務のポジションであれば、異業種でも採用される機会が多くなります。
一方、新興市場(マザーズやJASDAQ等)に上場している企業では、管理部門等に在籍する社員数が限られているため、横断的にさまざまな業務に取り掛かることができる機会があります。
雑多にたくさんのことをやらなければならず、マルチタスクになり大変ではありますが、成長スピードが速く、ご自身のバリューアップにはとても有用です。