転職お役立ち情報
行政書士試験は法律系国家資格であると同時に、非常に難易度が高い試験の1つです。
難易度が高い試験の合格を目指す場合、単に勉強量をこなすだけでは非効率です。
合格の可能性を高めるには、試験について理解を深めた上で、コツを押さえた勉強を進める必要があります。
今回は行政書士試験について難易度の面から詳しく解説します。
行政書士試験の難易度とは?合格率は10%程度
行政書士試験の難易度について考える場合、合格率を参考にすることが大切です。
行政書士試験の合格率は低く、闇雲な勉強では合格できないので、戦略的に学習を進めていかなければなりません。
難易度は高いですが、他の法律系国家資格と比較した時に合格率が高いのがポイントです。
行政書士試験は法律系国家資格の登竜門とも言えるので、有用な勉強と言えます。
さらに、難易度の高い国家資格へのステップアップをする際に、必要な基礎が詰め込まれているので、学習内容は大切なものばかりです。
行政書士試験の合格率は10%程度
行政書士試験は、約10%程度の合格率です。
近年で言えば、10%を少し超えている回も多いですが、45,000名が受験して4,500人が合格するイメージと言えます。
合格者は10代から70代までであり、幅広い年齢層の人が受験しているのも特徴です。
9%を下回る回もあれば、15%を超えてくる回もあり、安定しているものの、多少バラツキはあります。
10人中9人が落ちる試験
10%が合格するということは、40名受験して合格者は上位の4名となります。
残りの36名は不合格になる試験なので、合格するのは至難の業のように感じます。
一方で、計画的に学習を継続していけば少しづつ知識や試験における対策が身についてくるので、合格は可能です。
他の法律系国家資格よりは合格率が高い
他の法律系国家資格には、極端に合格率が低いものも多いです。
司法試験や司法書士試験はどちらも行政書士試験より合格率は低いと言えますが、実際には受験者の質や試験形式が異なるので、合格率のみで難易度を判断することはできません。
それぞれの試験形式に合わせて、適切な対策を行うことが効率的な学習へと繋がり、合格していけるようになります。
忙しいあなたのための電話転職相談
行政書士試験の難易度が高い理由
行政書士は、他の法律系国家資格と比較すれば合格率が高い方です。
しかし、それでも10%程度であり難易度が高い試験には間違いありません。
合格率が低くなるのには理由があるので、適切に捉えていく必要があります。
難易度が高い理由を知り、対策していくことが大切です。
絶対評価の試験
行政書士試験は絶対評価の試験であり、相対評価の試験とは異なる性質があります。
絶対評価の試験では、他の受験生の成績が自分の成績に影響を及ぼしません。
つまり、自分が合格点を得点できれば合格できます。
周りが解けるところを必ず解かなくてはいけないわけではなく、自分が得意な分野を伸ばしていくことも大切です。
一方で、絶対評価の試験では難問まですべて回答しなければ合格が困難なケースがあるので、注意しなくてなりません。
膨大な知識量が必要
行政書士試験の科目は、法令科目5科目・一般知識科目3科目です。
勉強すれば得点が伸びやすい科目から、本試験で考えなくてはならない科目もあります。
時事問題に関する情報は、常にアンテナを張って知識の獲得に励んでいかなくてはなりません。
費用対効果の悪い科目もあるので、膨大に学んでいく必要があり多くの時間がかかってしまうのが特徴です。
勉強時間の確保が難しい
1,000時間の勉強時間を社会人や学生が確保するには、私生活を変えていかなければなりません。
1年間で達成するのであれば、1日3時間確保する必要があります。
仕事終わりや学校の放課後3時間程度勉強するのは、なかなか難しいです。
休みの日を休まずに学習に費やすことも多くなり、休日が減っていってしまう可能性も高いと言えます。
体力の問題もあるので、勉強時間を確保するのは、思っているよりも大変です。
行政書士と他の法律系国家資格との難易度を比較
|
受験資格 |
合格率 |
必要な勉強時間の目安 |
行政書士試験 |
誰でも受験可能 |
10% |
約1,000時間 |
司法試験 |
予備試験合格者 もしくは法科大学院修了者・修了見込者 |
短答式試験:70%程度 論文式試験:45%程度 総合30%程度 ※予備試験の合格率は約3% |
約5,000時間 |
司法書士試験 |
誰でも受験可能 |
4%程度 |
約3,000時間 |
行政書士と他の法律系国家資格では、合格率や試験概要、勉強時間が異なります。
司法試験や司法書士試験は難易度が高く、一般的に行政書士よりも難しいと言われています。
とはいえ前述のように行政書士も難易度が高い試験の1つです。
あくまでも司法試験や司法書士試験と比べれば相対的に難易度が低めというだけで「行政書士なら簡単に合格できる」わけではありません。
また、人によっては行政書士試験よりも、司法書士試験や司法試験の方が勉強しやすい・得意分野だというケースもあるでしょう。
大切なのは、それぞれの資格の特徴をしっかり理解した上で適切な対策を講じることです。
今回は行政書士・司法試験・司法書士試験の違いについて、試験概要・合格率・勉強時間の3つの面から解説します。
試験概要
行政書士試験は、司法書士試験と同様に誰でも受けられるので、受験資格のある司法試験より受けやすいのが特徴です。
一方で、司法試験は予備試験合格者や法科大学院修了、または修了見込み者でなければ受験することができません。
行政書士試験は1度の試験に合格すれば良いのに対して、司法書士試験は筆記試験合格後、口述試験があります。
司法試験では短答式試験合格後、論文式試験に合格しなくてはなりません。
合格率
行政書士試験の合格率は、司法試験の予備試験や司法書士試験よりも高いと言えます。
行政書士試験が10%前後なのに対して、司法書士試験は4%程度です。
これに対して司法試験は短答式試験が70%、論文式試験が45%で30%くらいの合格率になるので、一見すると司法試験が簡単に思えます。
しかし、司法試験の予備試験の合格率は約3%と低いのが特徴です。
勉強時間
行政書士試験は、一般的に司法試験や司法書士試験と比較して少ない時間で合格できます。
合格までの勉強時間の基準については行政書士試験が1,000時間であり、司法書士試験は3,000時間程度です。
また、司法試験は約5,000時間でこの中では1番時間がかかります。
予備試験ルートと法科大学院ルートでも勉強時間は異なるので、一概には言えません。
基本的には、合格率の低さに歩調を合わせて、勉強時間も増えていくのが通常です。
行政書士試験の勉強はいつから準備すれば良い?
資格試験に向けて効率良く勉強を進めるには、勉強を始めるタイミングも見極めるのが重要です。
試験までの時間から逆算し、勉強のスケジュールや勉強時間の確保について考える必要があります。
この章では行政書士試験の勉強を始めるタイミングや、勉強時間の確保について解説します。
一般的な試験対策は半年~1年前から
行政書士試験の対策は試験の半年〜1年前から始めるのが一般的です。
前述のように、行政書士試験の合格に必要な時間の目安は1,000時間程度です。
1日の勉強時間を2〜3時間と見積もると、合計1,000時間に達するまでに約1年はかかります。
1日5.5時間の勉強時間が確保できるのであれば、約半年で1,000時間を達成できます。
とはいえ毎日5.5時間はもちろん、3時間の勉強時間を確保するのも容易ではありません。勉強時間をとれない日もあるでしょう。
必要な勉強量を確実にこなせるよう、試験の1年前から準備を始めるのが理想です。
ただし、行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、試験範囲に関する予備知識の有無によって異なります。
例えば法律系の知識を有している場合、法令科目の試験対策に割く時間を省略できるため、必要な勉強量が少なく済みます。
1日の勉強時間をどれほど確保できるのか、予備知識はあるのか等を考慮した上で、いつから勉強を始めるか決めましょう。
社会人は勉強時間の確保をしなくてはいけない
行政書士試験の合格に向けて必要な勉強時間を確保するには、自身の生活スタイルに勉強時間を上手く組み込む必要があります。
1日2〜3時間の勉強を続けるのは容易ではありません。特に社会人が日々十分な勉強時間を確保するのはかなり難易度が高いといえます。
2〜3時間の勉強時間を確保する場合、人によっては就業時間や通勤時間、衣食住に関する時間以外のすべてを勉強に充てる必要性もあるでしょう。
働きながら毎日勉強を続ける生活は負担が重く、十分な休息をとれない恐れもあります。
勉強時間の確保は大切ですが、それ以上に体調管理に気を配り、勉強を健康的に続けられる状態を維持することが大切です。
社会人の人が無理をし過ぎず、それでも十分な勉強時間を確保するためのコツとして以下の3つが挙げられます。
- スキマ時間を活用し勉強時間を確保する
- 比較的時間をとりやすい休日に勉強時間を長めにとる
- 試験の1年以上前から勉強を始める
行政書士試験合格のための6つのコツを解説!
行政書士試験では、長期的に学習を継続していかなくてはならないことから、ポイントを押さえていくことが重要です。
学習効率を高めるには、ポイントを意識した勉強が必要と言えます。
難易度を意識し過ぎると不安になるので、あまり意識し過ぎないことが大切です。
基礎から点数を積み重ねることができれば、合格は可能です。
また、分野別に学習を行っていけば、勉強にメリハリがついていきます。
法令科目「行政法」と「民法」を重点的に勉強する
法令科目については「行政法」と「民法」を重点的に勉強しましょう。
行政法と民法は配点が高く、試験全体の点数を大きく左右する可能性が高いためです。
行政書士試験の合格基準点は以下の通りです。
- 法令等科目:122点以上
- 一般知識等科目:24点以上
- 試験全体:180点以上
法令等科目は全部で5科目ありますが、合計で122点以上取れば足切りを避けられます。
そして、法令等科目の各試験科目の配点は以下の通りです。(年度により異なることがあります)
試験科目 |
配点(満点) |
基礎法学 |
8点 |
憲法 |
28点 |
行政法 |
112点 |
民法 |
76点 |
商法 |
20点 |
合計 |
244点 |
行政法と民法は他の科目に比べて配点が非常に高いため、この2科目を重点的に勉強する必要があります。
一般知識科目は基準点クリアを目指す
一般知識科目は高得点ではなく、基準点クリアを目指すのがポイントとなります。
一般知識科目の満点は56点で、合格基準点は24点以上です。
試験範囲が広いため高得点をとるには膨大な勉強時間が必要であるものの、試験に与える影響は大きくありません。
一般知識科目の高得点を目指して勉強するよりも、その分を法令等科目(特に行政法・民法)の勉強に充てた方が合計点が高くなるでしょう。
ただし、前述のように一般知識科目にも合格基準点が設けられています。
たとえ法令等科目で高得点をとれても、一般知識科目が基準点未満では試験合格にはなりません。
法令等科目を重点的に勉強しつつ、一般知識科目も基準点をクリアできるよう十分な勉強をする必要があります。
過去問を活用して学習する
行政書士試験に合格する力を確実に身につけるため、過去問を活用して学習しましょう。
過去問の活用には以下のようなメリットがあります。
- 過去に出題された問題の傾向が掴める
- 実際の出題形式や試験での頻出分野を把握できる
- 試験に合格するために必要な知識が定着しているか確認できる
一口に過去問といっても年度によって問題の内容や形式が異なるケースもあります。
より効果的な対策をするため、特定の年だけでなく、過去5〜10年分程度の過去問を解くのが理想です。
模擬試験を受ける
いきなり試験本番に挑むのではなく、事前に模擬試験を受けるのがおすすめです。
模擬試験を受ける主なメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 本番に近い雰囲気で受けるため試験当日の練習になる
- 時間配分を意識して問題を解ける
- 自宅や自習室等、いつもとは違った雰囲気で問題練習ができる
模擬試験は一般的に行政書士試験講座を開講する予備校で実施されていますが、受講生以外も申し込めるものが多いです。
早めに模擬試験の日程を確認し、模擬試験の受験を前提にスケジュールを組みましょう。
難易度を意識しすぎない
難易度は高いですが、意識し過ぎると合格できるか不安に感じてしまいます。
絶対評価の試験であることも鑑みれば、本試験で問題を多く解けて、合格点をとれた人が合格です。
人によりライフスタイルが異なり、合格の難易度も人により異なります。
あくまでも自分の生活の中で勉強を習慣化して、継続することが大切です。
基礎から点数を積み重ねる
試験に合格するためには、難しい問題を解かなくてはならないと勘違いしてしまいがちです。
しかし、まずは簡単な問題を間違えない意識を持ち点数を積み重ねていく必要があります。
基礎を正確に押さえていき、確実性を高めていくことが何より重要です。
まとめ
行政書士試験は他の法律系試験に比べれば難易度は低めといわれています。
しかし、あくまで相対的なものであり、行政書士試験単体で見れば難易度は決して低くありません。
合格率は10%程度、必要な勉強時間の目安は1,000時間と、かなりの勉強量が必要な試験です。
そんな行政書士試験の難易度を突破し合格するためには、勉強のコツを押さえることが大切です。
今回紹介したコツを押さえ、行政書士試験に向けて効率的な勉強をしましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ