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公認会計士と弁護士はどちらも難関資格です。
簡単にダブルライセンスをめざせる資格ではありませんが、取得するメリットが大きい組み合わせです。
公認会計士と弁護士のダブルライセンスを取得するメリットや両者の違いについて詳しく解説します。
公認会計士と弁護士のダブルライセンスはメリット大!
公認会計士と弁護士のダブルライセンスを取るメリットを3つ紹介します。
財務と法務の両方で高度な専門業務ができる
公認会計士と弁護士のダブルライセンスを取ることで、財務と法務の両方で高度な専門業務ができます。
財務と法務はどちらも事業を行う上で重要な上、専門家以外が対応するのは非常に難しい分野です。
そのため、財務であれば公認会計士に、法務であれば弁護士に依頼するのが一般的です。
公認会計士と弁護士の両方の資格を有していれば、財務・法務という2つの分野で専門的な業務が可能になります。
高年収が期待できる
公認会計士と弁護士は、いずれも高年収を得られる資格です。
そのため公認会計士と弁護士のダブルライセンスを取得すれば、より高い年収の実現が期待できるでしょう。
前項で紹介したように対応できる業務の幅が広いため獲得できる案件が増え、結果として収入のアップにもつながります。
公認会計士と弁護士の年収は「公認会計士と弁護士の比較③年収」で詳しく解説します。
仕事で困る心配がない
前述のように、公認会計士と弁護士の資格を両方有していれば、一人で財務・法務の両方に対応できます。
対応できる分野が広いため、仕事で困る心配がありません。
公認会計士と弁護士の扱う分野はいずれも代替不可能である以上、今後も必要とされ続ける仕事であり、将来需要が下がる恐れもないでしょう。
したがって、仕事がないという事態に陥るリスクを最小限に抑えられます。
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公認会計士と弁護士の比較①仕事内容
ここからは公認会計士と弁護士の比較を行います。
はじめに、公認会計士と弁護士の仕事内容の比較です。
独占業務とそれ以外に分けて仕事内容を詳しく解説します。
独占業務
まずは公認会計士と弁護士、それぞれの独占業務の紹介です。
公認会計士の独占業務
公認会計士の独占業務は監査です。
監査とは、ある目的に対する行為または結果が関連する法律やルールに準拠しているかをチェックし、対外的な意見表明をする行為を意味します。
一口に監査といっても様々な種類がありますが、公認会計士が行うのは法定監査です。
監査の対象は基本的に財務諸表であるため、会計監査と呼ばれます。
公認会計士の独占業務は、クライアントの財務諸表が適切であるかを検証し、重大な問題の有無等を意見表明で示すことといえます。
弁護士の独占業務
弁護士の独占業務として以下の3つが挙げられます。
- 折衝……相手方との合意を目指して交渉する行為です。
- 家庭裁判所・地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所への出廷……簡易裁判所への出廷のみ、一部の司法書士にも認められています
- 刑事事件の弁護人としての対応……刑事事件の弁護人になれるのは弁護士のみです。
なお弁護士法第72条において「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関する事務を行うことはできない」と定められています。
法律事件に関する事務業務も基本的には弁護士の独占業務に該当すると考えて良いでしょう。
独占業務以外の仕事内容
続いて、公認会計士と弁護士の仕事内容のうち、独占業務以外のものを紹介します。
公認会計士の独占業務以外の仕事内容
公認会計士の独占業務以外の仕事内容として、以下の例が挙げられます。
- 会計・財務関連のコンサルティング業務
- 税務業務
※公認会計士資格を有する人は税理士登録が可能なため、税理士登録をして税務業務を行う公認会計士も多いです。 - コーポレート・ガバナンスの支援
- 組織再編などに関する相談・助言・財務DD
- 株価、知的財産等の評価
会計・財務に関する高度な業務を幅広く行います。
弁護士の独占業務以外の仕事内容
弁護士は一部を除いた法律業務全般が可能です。そのため、独占業務以外の業務も法律関係がメインとなります。
具体例をいくつか紹介します。
- 企業の相談対応
労働問題、M&A、契約書の作成等が挙げられます。 - 成年後見人としての業務
- 遺言執行者としての業務
- 各種書類作成
公認会計士と弁護士の比較②難易度
続いて、公認会計士と弁護士の難易度の比較です。
公認会計士と弁護士の試験を比べると、形式や出題範囲が大きく異なります。
単純な比較はできませんが、複数の要素からそれぞれの資格の難易度を考えます。
合格率
まず、公認会計士と弁護士それぞれの合格率を紹介します。
公認会計士の合格率
まずは公認会計士試験の合格率です。
金融庁による「令和5年公認会計士試験 合格者調」から、直近5年分の試験の合格率を
紹介します。
年別 |
合格率(合格者/願書提出者) |
令和5年 |
7.6% |
令和4年 |
7.7% |
令和3年 |
9.6% |
令和2年 |
10.1% |
令和元年 |
10.7% |
合格率は10%前後と低い数値であることから、公認会計士試験は非常に難易度が高い試験だとわかります。
弁護士の合格率
弁護士資格を取得するには司法試験に合格する必要があります。
直近5年分の司法試験合格率は以下の通りです。
年別 |
合格率 |
令和5年 |
45.3% |
令和4年 |
45.5% |
令和3年 |
41.5% |
令和2年 |
39.2% |
令和元年 |
33.6% |
前項で紹介した公認会計士試験と比べて非常に合格率が高いですが、決して弁護士の難易度が低いわけではありません。
司法試験を受けるには、以下いずれかの受験資格を満たす必要があります。
- 司法試験予備試験(予備試験)に合格する
- 法科大学院課程を修了する
1の予備試験は非常に合格率の低い試験です。
予備試験は短答式試験・論文式試験・口述試験の3つによって構成されています。
そして、令和4年の予備試験では、受験者13,004人のうち口述試験の受験者は481人、合格者数は472人でした。
すなわち最終的な合格率は約3.7%となります。
合格率は年によって多少の変動はありますが、毎年3〜4%程度と非常に低い数値です。
したがって、司法試験の合格率自体は高めではあるものの、弁護士資格の取得難易度はかなり高いといえるでしょう。
必要な勉強時間
公認会計士と弁護士それぞれの試験合格までに必要な勉強時間の目安を紹介します。
公認会計士の勉強時間目安
公認会計士の試験合格に必要な勉強時間は、最低でも2,500時間、平均して3,500時間がひとつの目安とされています。
受験回数や勉強の進め方によっては合計で4,000時間を超えるケースも珍しくありません。
合格までの平均年数は2〜4年となります。
弁護士の勉強時間目安
司法試験の合格までに必要な勉強時間は、最低でも5000~6,000時間といわれています。
人によっては10,000時間を超える勉強が必要であり、かなりの長期戦になる試験です。
勉強時間は受験回数やケースによって変わるため一概にはいえません。
しかし、公認会計士よりも弁護士の方が、必要な勉強時間が長めの傾向といえるでしょう。
試験科目
公認会計士と弁護士、それぞれの試験の試験科目を紹介します。
公認会計士の試験科目
公認会計士試験の試験科目は以下の通りです。
短答式試験
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
論文式試験
- 会計学
- 監査論
- 租税法
- 企業法
- 経営学・経済学・民法・統計学のうち1科目選択
会計学および会計関連の法律が中心に出題されます。
弁護士の試験科目
続いて弁護士の試験科目です。
すでに紹介したように、弁護士資格を取得する方法として以下2つのパターンが挙げられます。
- 予備試験に合格→司法試験に合格
- 法科大学院課程を修了→司法試験に合格
今回は1「予備試験に合格→司法試験に合格」のパターンについて解説します。
まずは予備試験です。
予備試験では以下の科目が出題されます。
短答式試験
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法
- 民事訴訟法
- 刑法
- 刑事訴訟法
- 一般教養科目
論文式試験
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法
- 民事訴訟法
- 刑法
- 刑事訴訟法
- 実務基礎科目 ※民事実務・刑事実務
- 労働法・経済法・知的財産法・倒産法・環境法・租税法・国際公法・国際私法から1科目選択
口述試験
- 民事実務基礎
- 刑事実務基礎
司法試験の試験科目は以下の通りです。
短答式試験
- 民法
- 憲法
- 刑法
論文式試験
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法
- 民事訴訟法
- 刑法
- 刑事訴訟法
- 倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)から1科目選択
法律分野から幅広く出題されます。
公認会計士と弁護士の比較③年収
この章では、公認会計士と弁護士の年収を比較します。
公認会計士の年収
公認会計士の年収は年代によって大きく異なります。
- 20代 600万円前後
- 30代前半 700万円台前半~800万円前後
- 30代後半 800万円前後~800万円台
- 40代 900万円台~1,000万円超
なお、国税庁が実施した「令和4年分 民間給与実態統計調査 」によると、日本全体の年齢階層別の平均給与は以下の通りです。
- 20~24歳 273万円
- 25~29歳 389万円
- 30~34歳 425万円
- 35~39歳 462万円
- 40~44歳 491万円
- 45~49歳 521万円
- 50~54歳 537万円
- 55~59歳 546万円
日本全体の平均給与は458万円となっています。
公認会計士は20代の時点で、日本全体の平均を上回る額の年収を得られる職業といえるでしょう。
弁護士の年収
続いて弁護士の年収を紹介します。
日本弁護士連合会によって発行された「近年の弁護士の活動実態について」によると、事業(営業等)収入および給与収入の合計の、平均値と中央値は以下の通りです。
2000年 |
2010年 |
2014年 (弁護士実勢調査) |
2018年 (弁護士実勢調査) |
2020年 |
|
平均値(万円) |
3,793 |
3,304 |
2,402 |
2,143 |
2,558 |
中央値(万円) |
2,800 |
2,112 |
1,430 |
1,200 |
1,437 |
なお、法律事務所に勤める弁護士の年収は1,000万円がひとつの目安といえます。
年収は働き方によって大きく異なる
公認会計士と弁護士の平均年収を単純に比較すると、弁護士の方が高年収となります。
ただし、年収は働き方によって大きく異なるため、どちらの方が高年収を得られるかの断言はできません。
公認会計士と弁護士はどちらも独立開業が可能な資格です。
独立して成功すれば、平均を遥かに上回る年収を得られる可能性があります。一方、平均を下回る年収になる恐れもあるでしょう。
事務所や会社に勤める場合、勤務先の規模やエリアによって年収が大きく異なります。
公認会計士と弁護士はどちらも高年収を期待できる資格であることは事実です。
その上で、働き方によって年収は大きく異なるため、どちらの方が高年収を得られるかを簡単には判断できない点を押さえましょう。
まとめ
公認会計士と弁護士のダブルライセンスを取ることで、財務と法務の両方で高度な専門業務ができるようになります。
対応できる業務の幅が広がるため、他者との差別化がしやすくなる上、仕事で困る心配もなくなるでしょう。
高年収を期待できる点も、公認会計士と弁護士のダブルライセンスを取得する大きなメリットです。
公認会計士と弁護士のダブルライセンスを目指すのであれば、まずはそれぞれの資格の特徴や両者の違いを押さえる必要があります。
今回紹介した内容を参考に、公認会計士と弁護士に対する理解を深めていただければ幸いです。
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