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税理士試験の受験を目指す中で「税理士はやめとけ」と見聞きした経験がある人も多いのではないでしょうか。
本記事では「税理士はやめとけ」と言われる理由や噂の真偽、税理士資格の魅力について詳しく解説します。
「税理士はやめとけ」と言われる理由①資格取得の難易度が高い
「税理士はやめとけ」と言われる理由として大きく3つ挙げられます。
1つ目の理由は、資格取得の難易度が高いからです。
この章では税理士資格の難易度について3つの観点から解説します。
税理士試験 科目別の合格率
税理士試験は科目合格性を採用しており、11科目中5科目(必須2科目・選択必須1科目・選択2科目)に合格することで登録する資格を有します。
国税庁の公式サイトで公開されている、各科目の合格率は以下の通りです。
令和4年度合格率 |
令和3年度合格率 |
|
簿記論(必須) |
23.0% |
16.5% |
財務諸表論(必須) |
14.8% |
23.9% |
所得税法(選択必須) |
14.1% |
12.6% |
法人税法(選択必須) |
12.3% |
12.8% |
相続税法 |
14.2% |
12.8% |
消費税法 |
11.4% |
11.9% |
酒税法 |
13.2% |
12.6% |
国税徴収法 |
13.8% |
13.7% |
住民税 |
17.2% |
12.7% |
事業税 |
14.1% |
12.6% |
固定資産税 |
18.4% |
13.8% |
合計 |
16.7% |
16.5% |
引用元|国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」
どの科目も合格率が決して高くない上に、5つの科目に合格する必要があることから、税理士資格の取得はかなり難易度が高いとわかります。
必要な勉強時間の目安
続いて、税理士試験5科目合格までに必要な勉強時間の目安です。
まず、トータルで必要な勉強時間は最低で2,000~3,000時間、平均で4,000時間程度といわれています。
科目別の勉強時間の目安は以下の通りです。
科目 |
勉強時間の目安 |
簿記論 |
400〜600時間 |
財務諸表論 |
400〜600時間 |
所得税法 |
500〜700時間 |
法人税法 |
500〜700時間 |
相続税法 |
400〜500時間 |
消費税法 |
300〜400時間 |
酒税法 |
150〜200時間 |
国税徴収法 |
150〜200時間 |
住民税 |
200時間前後 |
事業税 |
200時間前後 |
固定資産税 |
250時間前後 |
1つの科目にこれほどの勉強時間が必要という点からも、難易度の高さが伺えます。
資格取得までにかかる年数
税理士試験5科目合格までにかかる年数は、平均して3〜5年程度です。
こちらの年数は1年に1〜2科目取得すると考えた場合のものであり、不合格の場合はより長い年数を要する可能性があります。
各科目のボリュームや難易度の高さから、1年で5科目すべてに合格するのは不可能といえるでしょう。
なお、税理士として登録するためには、2年以上の実務経験も必要です。
こちらの実務経験は、試験合格前のものもカウントできます。
言い換えると、試験に合格してから実務経験を積むのであれば、試験合格から税理士登録までにプラス2年間かかるということです。
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「税理士はやめとけ」と言われる理由②繁忙期の業務負担が非常に大きい
「税理士はやめとけ」と言われる2つ目の理由は、繁忙期の業務負担が非常に大きいからです。
税理士の仕事は専門性が高くやることも多いためそもそも負担が大きいですが、繁忙期の業務負担は桁違いといえるでしょう。
税理士の繁忙期の業務量について詳しく解説します。
繁忙期の残業時間の目安
繁忙期の残業時間は事務所によって異なりますが、平均で月40時間超といわれています。
事務所によっては月の残業時間が80時間を超えるケースもあり、業務量が非常に多いことが明らかです。
平日の残業だけでは足りず、休日出勤を必要とするケースも多くみられます。
繁忙期の業務量が極端に多くなる理由
税理士の繁忙期の業務量が極端に多くなる理由を2つ紹介します。
業界業種を問わず時期が同じ業務が多い
1つ目の理由は、業界業種を問わず時期が同じ業務が多い点です。
主な例として、以下の2つが挙げられます。
- 年末調整
給与から徴収した源泉所得税の過不足を精算する行為です。業界・業種問わず、毎年12月〜翌年1月頃の、年間の給与額が確定するタイミングで行う必要があります。 - 確定申告
個人の所得税の確定申告は毎年3月15日が期日です。
多くのクライアントは年末調整や確定申告を会計事務所に依頼するため、必然的に業務が集中してしまいます。
資料が揃うまで進められない業務が多い
2つ目の理由は、資料が揃うまで進められない業務が多い点です。
例えば、前項で紹介した年末調整や確定申告は、収入や控除等の所得税に関する資料が揃わなければ進められません。
また、法人の決算関連も資料を用意する必要があります。こちらも資料がすべて揃うのは決算日の後です。
期日が明確で業務を早く進めたいと思っていても、資料が揃わない以上どうしても本格的に進めることができません。
結果として、資料が揃ってから期日までタイトなスケジュールで業務を進める必要があるのです。
「税理士はやめとけ」と言われる理由③労力と年収が見合わない可能性がある
「税理士はやめとけ」と言われる理由の3つ目は、労力と年収が見合わない可能性があるからです。
この章で詳しく解説します。
税理士の平均年収
税理士の平均年収は、事務所の規模や年代(経験年数)によって大きく異なります。
中小規模の税理士法人の年収目安は、400万円〜600万円台です。
中堅以上の規模の税理士法人になると多くの場合に600万円超となり、年齢や役職によっては1,000万円前後のケースもみられます。
400万円〜600万円台という年収目安は、決して低いとはいえません。
しかし、税理士と比較される場面の多い公認会計士の年収は20代でも600万円台、40代以上では800万円超となります。
税理士の年収は高い方とはいえ、公認会計士と比べると低い・労力のわりには低いと感じる人もいるでしょう。
給与が低い事務所も存在する
前項でも触れたように、税理士の平均年収は事務所の規模による違いも大きいです。
中小規模の税理士法人であれば400万円〜600万円ですが、個人事務所・零細事務所の平均年収は300万円〜500万円といわれています。
このように給与が低い事務所の場合、イメージと現実のギャップが大きく税理士資格取得の労力に見合わないと感じるかもしれません。
税理士資格には魅力も有る!税理士資格を取得するメリット4つ
これまで紹介したように、税理士は取得難易度の高さや業務負担の大きさ等、無視できないデメリットが存在するのも事実です。
しかし、税理士資格には魅力的な要素も多数存在します。
この章では税理士資格の魅力について紹介します。
職業がなくなる心配がなく安定している
税理士資格の魅力の1つは、職業がなくなる心配がなく安定している点です。
税理士は税務の専門家であり、税務代行や税務相談は税理士の独占業務となります。
そして、税務は高度な知識が必要な場面が多く、専門知識のない人が正確に対応するのは容易ではありません。
したがって、多くの人は税務に関する各種作業の代行依頼や相談を税理士に行います。
税金という制度が存在する以上、税務の専門家が不要になることはないでしょう。
高年収を得られる
前章で、税理士の平均年収について紹介しました。
前述のように、事務所の規模や年齢によってはイメージほどの高年収を得られない可能性があるのは事実です。
しかし、働き方次第で高年収を得られるケースは十分にあります。
税理士が高年収を得る方法として、主に以下の3つが挙げられます。
- 大手の会計事務所で働く……大手会計事務所の平均年収は最低でも600万超とかなりの高水準です。
- 社員税理士となる……社員税理士は税理士事務所の経営者の1人となります。責任が重い分、年収も高めの傾向です。
- 独立開業する……開業税理士の平均年収は700万円〜1,000万円といわれており、勤務税理士を大きく上回ります。人によっては年収3,000万円を超えるケースもあります。
事務所所属から独立まで幅広い働き方ができる
事務所所属から独立まで幅広い働き方ができる点も税理士の魅力です。
税理士の働き方として、大きく以下の4つが挙げられます。
- 会計事務所勤務
会計事務所で雇用契約に基づいて勤務する税理士です。 - 社員税理士
税理士法人の共同経営者として業務を行う税理士を指します。 - 企業内税理士
会計事務所ではなく、一般企業の会計・経理・税務担当として働く税理士もみられます。 - 開業税理士
自分で税理士事務所を立ち上げる働き方です。
働き方の選択肢が幅広く、自分に合う方法を選びやすい点も、税理士のメリットといえるでしょう。
やりがいを感じやすい
税理士は以下の理由から、やりがいを感じやすい仕事といえます。
- 税務に関する唯一の国家資格で高い需要がある
税務の代行や相談ができるのは税理士のみであるため、税理士が求められる場面は必然的に多くなります。
「税理士にしかできない仕事」と感じる場面が多いことから、やりがいも得やすいでしょう。
- クライアントと接する場面が多い
税理士は業務の性質上、クライアントと接する場面が多いです。
自身の知識や経験を活かしてアドバイスをする機会や、クライアントから感謝される機会を得やすいため、結果としてやりがいにつながります。
税理士は高度な知識を必要とし、資格を取得するまでに長い時間がかかります。
その上、前述のように業務負担も大きく、特に繁忙期の業務量は非常に多いです。
しかしやりがいを感じられる場面も多いため、充実した働き方が期待できる仕事といえるでしょう。
まとめ
「税理士はやめとけ」と言われる理由として、取得難易度が高い・業務負担が大きい・労力と年収が見合わない可能性がある、の3つが挙げられます。
確かに、これらの噂の一部は真実でもあります。
しかし、税理士資格の取得には複数の大きなメリットがあり、魅力的な資格の1つといえます。
すなわち「税理士はやめとけ」は正しいとはいえません。
税理士になりたい・税理士に興味がある人が、税理士を目指すのを辞めてしまうのは非常に勿体ないといえます。
噂を鵜呑みにせず、十分な情報収集を行った上で資格取得を目指すか否か自分でしっかり考えましょう。
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