転職お役立ち情報

会計士と税理士の違いを徹底解説!仕事・年収・難易度について

更新日:2024.09.09

会計士の転職お役立ち情報

会計士(公認会計士)と税理士はどちらも会計関連の国家資格であるため混同しやすく、比較される場面も多いです。

確かに専門分野が近く関連性もありますが、会計士と税理士はさまざまな面に違いがあります。

今回は会計士と税理士の違いについて、仕事・年収・難易度などの面から詳しく解説します。

【仕事・働き方】会計士と税理士の違いは?

会計士と税理士は両方とも会計関連の国家資格です。

しかしそれぞれの専門分野は異なり、仕事内容や働き方にもさまざまな違いがあります。

この章では会計士と税理士の違いについて、仕事・働き方の面から解説します。

独占業務に関しての違い

会計士と税理士それぞれの独占業務は以下の通りです。

 

会計士

税理士

  • 財務諸表の監査
  • 財務諸表の内容証明
  • (会計監査)
  • 税務代理
  • 税務相談
  • 税務書類作成

会計監査は公認会計士の独占業務です。

会計監査とは企業の作成した財務諸表等の会計書類が正当なものであるかチェックし、監査結果を証明する業務を指します。

会計士の業務のうち、独占業務である会計監査が大きなウエイトを占めています。

 

税務代理・税務相談・税務書類作成といった税務関連は、税理士の独占業務です。

会計士と同様に、税理士の仕事内容も独占業務である税務業務が大部分を占めます。

ただし税理士は独占業務以外にも、会計業務代行や経営コンサルティングなど関連業務を行うケースも多いです。

 

なお会計士は所定の手続きを行うことで税理士登録ができるため、税務業務を行う会計士も多くみられます。

 

関連記事:公認会計士の業務内容は税理士とどこが違う?

クライアントに関する違い

会計士

税理士

  • 上場企業
  • 大規模な企業
  • 中小企業
  • 個人事業主
  • 事業者以外の個人

会計士の主なクライアントは上場企業や大規模な企業です。

上場企業や一定以上の規模の企業は、公認会計士による会計監査が義務付けられています。

多くの中小企業や非上場企業、個人事業主は会計監査の義務がないため、会計士に依頼する場面はあまり多くありません。

 

反対に、税理士のクライアントは中小企業や個人事業主がメインです。

規模の小さい事業者が自社で会計・税務をこなすのは容易ではないため、税理士に依頼するケースが多くなります。

相続税や贈与税など、事業者でない個人が税理士に依頼するケースもあります。

就職先に関する違い

会計士

税理士

  • 監査法人
  • 一般企業
  • コンサルティングファーム
  • 税理士法人
  •  税理士事務所
     ※独立開業するケースも多い

会計士の主な就職先は監査法人です。

特に公認会計士試験に合格した人が最初に選ぶ就職先は、Big4と呼ばれる大手監査法人が大多数を占めます。

経験を積んだ後に一般企業やコンサルティングファームに転職するケースもあれば、監査法人に勤め続けるケースも多いです。

 

税理士の主な就職先は、税理士法人や税理士事務所です。

会計士と違い、「最初の就職先は規模が大きい法人」という流れはみられません。資格取得最初の就職先が個人事務所というケースも一般的です。

 

また、税理士は会計士よりも独立開業をするケースが多くみられます。

税理士試験の合格後、税理士法人等である程度経験を積んでから独立開業という流れが一般的です。

コンサルティング業界へ転職したい!
公認会計士向けの転職相談

詳細はこちら

【年収・給料】会計士と税理士の違いは?

会計士と税理士の年収は、いずれも勤務先の種類や規模によって大きく異なります。

それぞれ勤務先の種類別に年収の目安を紹介します。

資格

平均年収

会計士

  • 監査法人:900~1,000万円程度
    ※4大監査法人の場合
  • 一般企業:400~500万円スタート
  • 経理部長やCFO候補の場合は1,000万円以上
  • ベンチャー企業:400~600万円
  • コンサルティングファーム:500~1,500万円
  • 会計事務所:400~600万円

税理士

  • 中堅規模や大手の税理士法人:600~1,000万円
  • 中小規模の税理士法人:500~800万円
  • 一般企業:400~600万円

勤務先によりますが、会計士の方が高めの傾向です。

また、会計士と税理士の両方とも、規模が大きい法人や専門性が求められる勤務先は高年収となります。

関連記事:公認会計士の年収は?

【試験制度・内容】会計士と税理士の違いは?

 

会計士

税理士

受験資格の定め

無し

有り

試験科目

【短答式試験】

必修4科目

 

【論文式試験】

必須科目4科目、選択科目1科目の計5科目

必須2科目、選択必修1科目、選択2科目の計5科目

受験料

19,500円

  • 1科目:4,000円
  • 2科目:5,500円
  • 3科目:7,000円
  • 4科目:8,500円
  • 5科目:10,000円

資格を取得するまでの流れ

  • 試験合格後3年以上業務補助をする
  • 実務補習を受け必要な単位を取得する
  • 修了考査に合格する

2年以上の実務経験を積む

※試験合格前の実務経験も認められる

科目合格制度の違い

無し

※一部科目免除の制度は存在する

一度合格した科目は生涯有効

会計士と税理士は、上記の表のように試験制度も大きく異なります。それぞれ詳しく解説します。

 

関連記事:公認会計士の試験とは?

関連記事:税理士試験のポイントや注意点

受験資格に関する違い

会計士

税理士

無し

有り

会計士には受験資格の定めがありません。学歴・年齢・国籍などの条件を問わず、誰でも受験できます。

 

一方で税理士はいずれかの受験資格を満たす必要があります。受験資格の主な例は以下の通りです。

  • 大学や高等専門学校等で一定の科目の履修経験がある・所定の単位を獲得している
  • 司法試験合格者
  • 公認会計士短答式試験の合格者
  • 日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者
  • 会計事務や税理士の補助事務など、一定の職歴を有する

 

なお例外として、必修科目である簿記論と財務諸表論には受験資格の定めがありません。

試験科目・受験料の違い

会計士

税理士

【短答式試験】

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 会社法
  • 監査論

 

【論文式試験】

<必修4科目>

  • 会計学(財務会計論・管理会計論)
  • 監査論
  • 企業法
  • 租税法

 

<選択科目1科目>

  • 経営学
  • 経済学
  • 民法
  • 統計学

【必修2科目】

  • 簿記論
  • 財務諸表論

 

【選択必修1科目】

※両方の受験も可能

  •  法人税法
  •  所得税法

 

【選択3科目】

  • 相続税法
  • 消費税法または酒税法
  • 国税徴収法
  • 住民税または事業税
  • 固定資産税

会計士試験は短答式試験と論文式試験の2つから構成されています。

短答式試験は全4科目、論文式試験は必修4科目と選択科目1科目の計5科目です。

科目免除を受けている場合を除き、一度の試験ですべての科目を受験する必要があります。

 

税理士試験は全11科目です。そのうち必修2科目、選択必修1科目、選択2科目の計5科目に合格することで資格取得が認められます。

一度に受験する科目数について定めはありません。1年に1科目ずつ受験するケースもあれば、複数科目受験するケースもあります。

 

また、受験料は以下の通りです。

会計士

税理士

19,500円

※科目免除者も同額

  • 1科目:4,000円
  • 2科目:5,500円
  • 3科目:7,000円
  • 4科目:8,500円
  • 5科目:10,000円

 

資格を取得するまでの流れ

会計士

税理士

  • 3年以上の実務経験を積む
    ※試験合格前の実務経験も認められます
  • 実務補習を受け必要な単位を取得する
  • 修了考査に合格する

2年以上の実務経験を積む

※試験合格前の実務経験も認められます

会計士・税理士ともに、試験合格だけでは資格取得ができません。

 

会計士資格を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 3年以上の実務経験がある(業務補助や実務従事)
  • 実務補習を受け必要な単位を取得する
  • 修了考査に合格する

 

実務経験は合格前のものも認められますが、試験合格後に就職して実務経験を積み、並行して実務補習を受けるのが一般的です。

実務補習で必要な単位をすべて取得すると修了考査を受けられます。修了考査合格によって会計士資格の取得が認められます。

 

税理士資格を取得するには2年以上の実務経験が必要です。

会計士と同様に、税理士の実務経験も合格前後の時期を問いません。

科目合格制度の違い

会計士

税理士

無し

※一部科目免除の制度は存在する

一度合格した科目は生涯有効

税理士は11科目のうち5科目に合格する必要があると紹介しました。

そして、一度合格した科目は生涯有効です。この仕組みを科目合格制度と呼びます。

一度合格した科目を再度受験する必要や、一定期間内に5科目合格する必要はありません。

 

一方、会計士には税理士のような科目合格制度や、一部科目のみ受験できる制度は存在しません。

短答式試験は4科目、論文式試験は5科目受験する必要があります。

 

一部科目合格とは違いますが、一部科目免除の制度は存在します。

論文式試験の一部科目について審査会が相当と認める成績を得た受験者は、その後2年間は当該科目の免除を受けられる制度です。

論文式試験の一部科目免除を受けるには、受験申込時に所定の手続きを行う必要があります。

【難易度】会計士と税理士の違いは?

会計士と税理士を比較するにあたって、どちらの方が試験の難易度が高いか気になる人も多いでしょう。

この章では公認会計士試験と税理士試験に難易度の違いがあるのか、どのように難易度を比較するのか等について解説します。

 

関連記事:税理士と公認会計士、試験難易度が高いのはどっち?

どちらも難易度は高い

 

会計士

税理士

合格率

  • 短答式試験:毎年10%前後
  • 論文式試験:毎年35%前後

15~20%程度

※科目ごとの合格率

勉強時間の目安

2,500~4,000時間

4,000時間

最低2,000時間

※5科目合格までの平均

前提として、会計士と税理士どちらの試験も難易度が高いです。

上記の表のように合格率が低く必要な勉強時間が多いことから、難易度が高いとわかります。

どちらの試験も最低合格時間が2,000時間を超えており、年単位での勉強が大前提の試験といえるでしょう。

勉強方法の違いはある?

会計士と税理士の勉強方法の違いとして、以下の3つが挙げられます。

  • 会計士は一度に複数科目の勉強が必要、税理士は1年に1科目のように少しずつ進めることが可能
    →会計士は複数科目の同時並行が必須となるため、税理士よりも1日の勉強時間が長くなりやすい
  • 会計士は短答式試験と論文式試験という異なる仕組みの試験それぞれの勉強が必要
  • 税理士はその年の受験科目や科目数を自分で決めるため、人によって勉強の進め方に違いが生まれやすい

公認会計士と税理士の違い比較表

 

会計士

税理士

独占業務

  • 財務諸表の監査
  • 財務諸表の内容証明 
  • 税務代理
  • 税務相談
  • 税務書類作成

主なクライアント

  • 上場企業
  • 大規模な企業
  • 中小企業
  • 個人事業主
  • 事業者以外の個人

主な就職先

  • 監査法人
  • 一般企業
  • コンサルティングファーム
  • 税理士法人
  • 税理士事務所

※独立開業するケースも多い

年収

  • 監査法人:900~1,000万円程度※4大監査法人の場合
  • 一般企業:400~500万円スタート
  • 経理部長やCFO候補の場合は1,000万円以上
  • ベンチャー企業:400~600万円
  • コンサルティングファーム:500~1,500万円
  • 会計事務所:400~600万円
  • 中堅規模や大手の税理士法人:600~1,000万円
  • 中小規模の税理士法人:500~800万円
  • 一般企業:400~600万円

受験資格

無し

有り

試験科目

【短答式試験】

必修4科目

 

【論文式試験】

必須科目4科目、選択科目1科目の計5科目

必須2科目、選択必修1科目、選択2科目の計5科目

受験料

19,500円

  • 1科目:4,000円
  • 2科目:5,500円
  • 3科目:7,000円
  • 4科目:8,500円
  • 5科目:10,000円

資格取得までの流れ

  • 3年以上の実務経験を積む
    ※試験合格前の実務経験も認められます
  • 実務補習を受け必要な単位を取得する
  • 修了考査に合格する

2年以上の実務経験を積む

※試験合格前の実務経験も認められます

科目合格制度

無し

※一部科目免除の制度は存在する

一度合格した科目は生涯有効

合格率

  • 短答式試験:毎年10%前後
  • 論文式試験:毎年35%前後

15~20%程度

※科目ごとの合格率

勉強時間の目安

2,500~4,000時間

4,000時間

※5科目合格までの平均

会計士と税理士は似たイメージを持たれやすいですが、このようにさまざまな面で違いがあります。

どちらの資格取得を目指すか考える際は、会計士と税理士の違いを押さえた上で、自分に合う方を選ぶのが良いでしょう。

公認会計士って税理士の仕事もできるの?

公認会計士は所定の手続きを行うことで、税理士試験を受けなくても税理士登録が可能です。

公認会計士が税理士登録をする流れを大まかに紹介します。

 

  1. 税法に関する所定の研修を修了する
  2. 管轄の税理士会へ税理士登録の申請書類を提出する
  3. 面接を含む審査を受ける
    書類に不足や不備があれば指示に従い修正等を行います
  4. はがきで登録通知が届く
  5. 税理士証票・税理士バッジの交付式に行く
    式の終了後、税理士登録が完了

 

以前は無条件に税理士登録が可能でした。

しかし2017年4月1日以降、会計士が税理士登録をするための要件として「税法に関する所定の研修の修了」が追加されました。

会計士資格を取得していれば税理士試験や税理士の実務経験は免除されるものの、税務に関する一定の知識は必要というイメージです。

公認会計士と税理士どちらがいいの?

公認会計士と税理士は仕事内容から試験制度までさまざまな面で違いがあると紹介しました。

しかし専門分野に関連性があることや、どちらも難易度が高いという共通点があるのも事実です。

そのため「結局どちらがいいの?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

最後に、公認会計士と税理士のどちらが良いかについて、考え方の例を紹介します。

仕事内容・働き方重視なら

仕事内容や働き方重視であれば、以下の要素を比較しながら考えましょう。

  • 独占業務
  • 主なクライアント
  • 就職先

 

大企業を相手に働きたい場合や、会計監査に興味がある人は会計士の方がおすすめです。

組織的な働き方をしたい人も、会計士の方が適していると考えられます。

 

税理士は税務代理や相談、コンサルティングなど、クライアントに近い立場でサービスを提供する場面が多くみられます。

そのため、クライアントをサポートしたい・独占業務以外にも幅広い仕事をしたいという場合は税理士がおすすめです。

受験環境から選ぶなら

受験環境から選ぶ際に考えるべきポイントは以下の2点です。

  • 試験科目
  • 科目合格制度の有無

 

会計士は1度に多くの科目を受験する上に科目合格制度がないため、短期間に多くの勉強をこなす必要があります。

そのため受験に専念できる環境を用意できるのが理想です。

働きながらの勉強も不可能ではないものの、ハードルが高いといえるでしょう。

 

税理士試験であれば、1年に1科目ずつといった勉強の進め方ができます。

あまり多くの勉強時間を確保できない人や、特定の科目に集中して勉強を進めたい人には税理士がおすすめです。

求人情報はこちら

税理士科目合格の求人・転職情報一覧 

公認会計士の求人・転職情報一覧 

まとめ

会計士と税理士は専門分野が似ているため混同しやすいですが、仕事内容から試験制度までさまざまな面に違いがあります。

会計士と税理士それぞれの特徴や違いを押さえた上で、自分に合う資格を選ぶことが大切です。

1つの面だけでなく、仕事内容・年収・受験環境など、複数の面から比較検討を行いましょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ

カジュアルキャリア相談 カジュアルキャリア相談