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建設業界の経理で貴重な存在である建設業経理士ですが、何級を取得しておくのが重要なのか気になる人は多いです。
今回は、建設業経理士2級以下は意味がないのか、取得のメリットとキャリアについて解説していきます。
建設業経理士とは?
建設業経理士は、『一般財団法人建設業振興基金』が実施している、「建設業経理検定試験」に合格した者です。
国家資格ではありません。
試験日は3月と9月ですが、日時については必ず毎年の発表を確認してください。
昭和56年度に「建設業経理事務士検定試験(1~4級)」が創設され、その後平成18年に建設業法施行規則の改正により、登録経理試験が創設されました。
登録経理試験では、「建設業経理事務士検定試験」の1級と2級は、「建設業経理士検定試験」として実施されるように変更されています。
簿記の中でも建設業に特化して、専門的な知識や会計処理について学べる資格であり、建設業の経理で活躍していけるようになる資格です。
建設業界は、会計の中でも特殊な処理方法が多く、簿記検定に合格している人でも見慣れない勘定科目も多いのが特徴です。
建設業経理士の資格は本当に意味がないのか?
建設業経理士は、認知度の高い試験ではないので、合格しても意味がないと言われるケースがあります。
建設業は、社会的に建物の建設を任されている業界であり、なくてはならない存在なので、重要性は極めて高いです。
実際に建物を建設する際に設計士や建築士、職人達の働きによる印象は強いですが、それだけではありません。
建設を行うには、多額の資金が動いており、適切な記録や資金管理がとても重要になってくるのです。
建物の工期ごとにどの程度の原価が生じていて、収益をどの程度得られる見込みなのかを計算することで、利益が決まります。
建設業経理士は、実際の取引をルールに基づき帳簿に正確に記載できるので、財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況を事後的に分析することも可能です。
経営の状況を具体的に数字で管理していけるようにもなるので、業界に精通している建設業経理士は、建物の建設に肝心な存在と言えます。
建設業経理士は、重要な役割を果たしている職業であり、建設業界で経理を行う際に活用できる知識を獲得していけるので意味のある資格です。
一方で、類似している簿記検定と比較した場合、建設業経理士は専門性は高いですが、活躍していける業界が限定されてしまうのは事実であり、就職や転職の際には注意しなければなりません。
建設業経理士資格のメリット
建設業経理資格を活用するためには、資格によるメリットを正確に把握してメリットを享受できるように行動する必要があります。
- 「経営事項審査」で優遇される
- 建設業界の就職や転職で有利になる
- 昇給、資格手当がつく場合もある
- 建設業界に精通した知識を獲得できる
1つ1つ解説していきます。
「経営事項審査」で優遇される
公共工事を受けるにあたっては、「経営事項審査」を受けなければならず、建設業経理士1級と2級は加点対象になる場合が多いです。
公共工事を主として行う大企業では建設業経理士のニーズが高く、資格取得はアピールポイントとして機能します。
建設業界の就職や転職で有利になる
建設業界では、専門的な会計知識を求めている場合が多く、簿記検定だけではなく建設業経理士も評価されます。
建設業界に就職や転職をする際、建設に関する経理の知識を有していると評価され、有利になるでしょう。
専門性の高い知識であり、他者との差別化にも繋がるため、市場価値を高めて就職や転職できる機会に恵まれる可能性があります。
昇格に有利、資格手当がつく場合もある
資格に合格すると客観的に知識を獲得したのがわかるので、社内の方針によっては昇格でも有利になり、資格手当がつく場合も多いです。
建設業経理士は、会社にとっても希少な人材であり、キャリア形成に一役買うので大切な資格と言えます。
年収アップも期待できるでしょう。
建設業界に精通した知識を獲得できる
建設業界に携わって中長期的に働いていきたいと希望しているのであれば、建設業経理士資格の学習を通じて業界に精通した知識を獲得できるので有益です。
建設業の経理知識は、専門性が高く学べる機会も少ないので、学ぶと貴重な人材として活躍していける可能性が高いです。
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建設業経理士資格のデメリット
建設業経理士資格は、メリットも多いですがデメリットも少なからずあるので、注意しなければなりません。
- 評価されない場合もある
- 資格取得にコストがかかる
- 試験の難易度が高い
- 資格を維持するのに手間がかかる
1つ1つ解説していきます。
評価されない場合もある
建設業経理士は、建設業における経理業務の専門資格であり、業界で評価されるのは間違いありません。
一方で、建設業以外の業界において評価されるかは、建設業における知識を必要としている会社なのか否かに依存します。
評価されない場合があるのも事実であり、建設業経理士の資格で就職や転職が有利になる会社なのかは、事前に獲得しておくのが賢明です。
資格取得にコストがかかる
建設業経理士試験を受験するには、1級は3科目あるため1科目8,120円(税込)かかり、2科目同時受験で11,420円、3科目同時受験で14,720円なので、コストが嵩みます。
専門学校の利用で効率的に学習していくことも可能ですが、100,000円前後(受講科目や通学・通信の選択で変わります)の受講料は決して安くはなく、中長期的に合格を狙う場合には特に経済的な負担も考えていかなければなりません。
試験の難易度が高い
建設業経理士試験の合格率は、2級で30~50%と幅があり、1級の中でも重要な原価計算ともなれば12.0%〜21.0%程度であり、難易度が高いです。
受験を決意して勉強をスタートし、勉強時間を捻出して取り組んだとしても、試験問題によっては実力を発揮できず悔しい結果になってしまう場合もあります。
資格を維持するのに手間がかかる
建設業経理士の資格自体に有効期限はありませんが、「経営事項審査」の加点対象になるためには基準があります。
試験合格後5年間有効という期限が設けられており、5年経過後は「登録経理講習」を受講し、かつ試験に合格しなければならず手間がかかってしまうのです。
他の資格と比較した建設業経理士の価値
日商簿記2級と似ている部分が多く、「工業簿記」は建設業経理士試験の「原価計算」に、「商業簿記」は建設業経理士試験の「財務諸表」に内容が類似しています。
日商簿記の「工業簿記」も建設業経理士の「原価計算」も、物をつくるのにいくらかかったのかを計算するのには変わりなく、共通点があるのです。
日商簿記は、業界問わず経理として働くのに必須な知識であり、会社におけるニーズは高く就職や転職で有利になる資格として有名と言えます。
建設業経理士の場合には、建設業を主眼においた資格なので、建設業界での評価は日商簿記2級より高い傾向にありますが、他の業界における評価はまちまちです。
汎用性の高さは日商簿記に軍配が上がり、専門性の高さは建設業経理士が上なので、優劣はつけられません。
あくまでも活躍していく場の違いであり、建設業は作った製品を売るのではなく、一般的には受注した建物を建設して納品します。
取引形態が特殊で、会計処理や税務も専門的なので、建設業に精通した建設業経理士は特定の分野においてはとても重宝される存在です。
建設業経理士資格を取得する価値がある人とは?
建設業経理士資格は、建設業に特化して経理を行っていきたいと考えている人にとって、取得する価値があります。
建設業界に根付き、専門的な知識を獲得していくことで、キャリアを形成していきたい人には特に向いている資格です。
建設業の経理は、工事ごとに計算を行い原価計算や財務管理、請求業務なども行っていかなければなりません。
特殊な会計処理に対応できる建設業経理士は、建設業界でニーズが高いので就職や転職で有利です。
経理をしている人でなくても、建設業に携わっている人が建設業経理士を取得しておくのは有益と言えます。
日常的に行っている取引が、帳簿にどのように記録されていて、財務諸表にどのように表示されているのか分かるようになります。
財務諸表の数字などを利用すれば、財務分析を行えるようになり、収益性や安全性などの評価も可能です。
また、建設業経理士は専門的な学習も多いですが、一般的な会計処理も学習範囲に含まれているので、日商簿記1級や税理士・公認会計士の学習基礎を獲得することにも繋がっていきます。
建設業経理士資格を取得した場合のキャリアの進め方
建設業経理士資格は、取得すると業務範囲が広がり多様な業務に対応していけるようになります。
中小企業の建設会社に就職して建設業の経理を学び、実務経験を積むことでキャリアアップを目指すことも可能です。
実際に中小企業の建設会社で経理を経験して、大手建設会社に転職できれば建設業経理士で学んだ内容を活用できます。
大手建設会社では、優秀な経理が在籍しているので、転職する場合には即戦力となれるよう、建設業に特化した専門知識や実務経験を身につけていなければなりません。
また、日商簿記とのダブルライセンスとなれば、建設業に限らず多様な業界で経理として活躍していけるようにもなります。
日商簿記1級は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の出題があり、会計の基礎知識を身につけられる資格です。
建設業経理士の専門性と合わせて学習しておけば、対応できる業務範囲が広がりキャリアアップの機会を得られるかもしれません。
日商簿記検定と建設業経理士試験は、学習範囲の似ている部分が沢山あるので、効率的に資格取得を目指していけて有利です。
建設業経理士を活かせる求人と転職のポイント
建設業経理士の資格を活かせる求人は、建設業界における経理が主な転職先となってきます。
公共工事を行う企業では、経営事項審査の加点を考慮して評価が上がる場合もあるので、企業の状況をチェックしておきましょう。
「経営事項審査」の加点対象になるのは、建設業経理士1級と2級であり、建設業経理事務士検定試験3級と4級は対象になりません。
資格取得後5年経過している場合には、「建設業経理士CPD講習」を受けて試験に合格しておかなければならないので注意が必要です。
新年度に合わせて1〜3月は求人が増える傾向にあるので、時期を考慮していき計画的に行動していきましょう。
転職理由は、主観的にならないように注意しながら、今後のキャリアプラン実現のためであるとして客観的な説明をするのが適切です。
また、自分で転職するのが心配な人は転職エージェントを利用しながら、効率的かつ効果的な転職活動にしていくことも重要になってきます。
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まとめ: 建設業経理士資格の本当の価値とは?
今回は、建設業経理士2級以下は意味がないのか、取得のメリットとキャリアについて解説してきましたがいかがだったでしょうか。
建設業経理士は、汎用性の高い資格とは言えませんが建設業の経理で多大な力を発揮するので、有益な資格です。
適切に評価される環境下で働ければ、給与面で優遇されやすいので、資格を活かしていけるようになります。
建設業経理事務士検定試験3級と4級が、「経営事項審査」の加点対象にならないのを考えれば、建設業経理士2級の取得も十分な価値があり、2級以上を目指すのがおすすめです。
建設業の経理で活躍していきたい人にとって、業界に精通した知識を獲得できる建設業経理士は必須な資格と言えます。
就職や転職でも有利になるので、専門学校などを活用しながら効率的に資格取得にチャレンジしていきましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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