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税理士と司法書士は、どちらも聞いたことのある職業であっても、違いについて知る人は少ないかもしれません。
業務の関連性からダブルライセンスが良いと言われる場合も多く、メリットを押さえておくと有益です。
今回は、税理士と司法書士の違いやダブルライセンスについて、メリットと合わせて解説します。
税理士と司法書士の違いを比較
税理士とは
税理士とは、税の専門家として国家資格を有している者を言い、税務について国から独占業務が認められています。
納税義務者は、適正に税金を納付する義務があり、申告納税制度において自ら納税額を計算して納付しなければなりません。
税金の計算は、専門的内容が多く日常生活を送りながら税金について学び、適正に納付するのは難しいです。
そこで税理士は、独立した立場において税金の納付を支援するために、税務サービスを提供しています。
司法書士とは
司法書士とは、法律の専門家として国家資格を有している者を言い、登記の手続き代理などについて、国から独占業務が認められています。
土地や建物に対する所有権は、登記をしてはじめて公的に認められるので、必要な手続きをしなければなりません。
登記をするためには、法務局に対して申請する必要があり、手続き内容を知らない人にとっては難易度が高いです。
そこで司法書士は、クライアントからの依頼により代理で行う、法的なサービスを提供しています。
業務内容
税理士と司法書士の業務内容 |
|
税理士 |
司法書士 |
税務の代理 |
不動産登記 |
税務書類の作成 |
商業登記 |
税務相談 |
法務局等に提出する法的書類の作成 |
巡回監査 |
登記、供託の審査請求手続の代理 |
自計化(会計ソフト導入・指導) |
各種法律相談 |
税理士の業務内容として、税金の申告を前提に相談・会計業務・書類の作成を行わなければなりません。
会計帳簿への記帳を代行したり、会計ソフトを導入して処理方法を指導することで、クライアント自身で会計処理を行い、税理士が監査を担当する場合もあります。
一方で、司法書士の業務内容は不動産登記や商業登記をはじめとして、手続きに必要な法的な書類の作成や審査請求手続きの代理まで行います。
法律の専門家である司法書士は、借金返済や相続、企業法務など各種法律相談に応じるのも大切な業務です。
試験内容
試験内容 |
税理士 |
司法書士 |
受験資格 |
税法科目のみ学識、資格、職歴による受験資格が必要 |
誰でも受験可能 |
受験料 |
1科目4,000円、2科目目以降1科目増えるごとに1,500円加算 |
8,000円 |
試験形式 |
択一式、記述式 |
択一式、記述式、口述式 |
試験日程 |
願書配布4~5月、出願5月、試験8月、合格発表11~12月 |
願書配布4~5月、出願5月、筆記試験7月、口述10月、合格発表10~11月 |
税理士の税法科目のみ受験資格はありますが、税理士の会計科目や司法書士は性別や年齢問わず誰でも受験できます。
税理士は、科目ごとに受験して5科目合格すれば資格を取得できますが、司法書士は筆記試験に合格しても口述式試験を受験しなければならないのが特徴です。
試験日程について、税理士と司法書士でほぼ同時期なので計画的に学習を進めていかなければなりません。
資格取得難易度
難易度の目安 |
税理士 |
司法書士 |
合格率 |
約20% |
約4~5% |
勉強時間 |
約3,000時間 |
約3,000時間 |
受験科目 |
会計学 財務諸表論 所得税法 法人税法 相続税法 消費税法 酒税法 固定資産税法 住民税法 事業税法 国税徴収法 |
民法 商法 不動産登記法 商業登記法 憲法 刑法 民事訴訟法 民事執行法 民事保全法 司法書士法 供託法 |
合格基準 |
各科目満点の60%程度 |
①午前(択一式) ②午後(択一式) ③午後(記述式) ④全体 ①〜③それぞれに合格基準点がある。 |
税理士は、科目合格制が採用されており1年に受験する科目を自分で選択しながら受験できます。
これに対して、司法書士は科目合格性ではないので11科目のすべてを漏れなく学んでいかなければなりません。
勉強時間は、どちらも3,000時間程度ですが1年に1回しか受験できない上、落ちると大幅に勉強時間は増えていくのであくまでも目安と言えます。
税理士と司法書士の年収を比較
賃金構造基本統計調査(企業規模計1,000人以上)
厚生労働省による「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模計10人以上の公認会計士・税理士の平均年収は746万円で、司法書士(法務従事者)は1,121万円です。
詳細を見ていくと企業規模計1,000人以上の場合、公認会計士・税理士の平均年収922万円で司法書士の平均年収1,170万円であり、大規模な企業に勤めている人ほど給与面では優遇されています。
大規模企業について、司法書士(法務従事者)は企業規模計10人以上に対する平均年収の開きは少ないですが、公認会計士・税理士は176万円なので大きな差です。
賃金構造基本統計調査(企業規模計10~999人)
企業規模計100〜999人の場合、公認会計士・税理士の平均年収718万円、司法書士(法務従事者)の平均年収1,029万円です。
一方で、企業規模計10〜99人の場合、公認会計士・税理士の平均年収706万円、司法書士(法務従事者)の平均年収1,122万円となっています。
10〜99人の場合、個人経営の会計事務所や司法書士事務所も入ってくるので、賞与面は少ないですが給与面で優れています。
いずれにしても、公認会計士・税理士よりも司法書士(法務従事者)の方が平均年収は高いという結果です。
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税理士と司法書士はどちらを目指すのがおすすめ?
税理士と司法書士は、絶対的にどちらを目指すのがおすすめという関係性ではなく、自分に合った資格を取得するべきです。
専門性による違いはありますが、クライアントを支援する業務という視点では同様と言えます。
社会的に重要な役割があるので、日々の業務を通じて人の手助けができるやりがいのある仕事です。
目指す資格を選択するためには、将来的にどのような業務を行っていきたいのか、業務内容について理解していかなければなりません。
また、資格を取得しなければ独占業務を行えないので、自分が興味を持っている資格を目指すのが望ましいです。
税理士と司法書士は、業務内容が関連しているので、ダブルライセンスを目指すのもメリットが多いと言えます。
税理士と司法書士のダブルライセンス取得の2つのメリット
差別化を図れる
税理士と司法書士どちらかを取得している人は多くても、ダブルライセンスの人は少なくなります。
税理士の中で司法書士を保有していたり、司法書士の中で税理士を保有していれば、一目置かれる存在です。
他の資格保有者と差別化を図れるので、就職や転職をする場合有利になることが想定できます。
税金と法律の専門家として、柔軟性を持って多角的な視点で業務に励んでくれると考えられるからです。
税理士と司法書士のダブルライセンス取得は、差別化を図れるのでキャリアを形成していく上で重要なのです。
包括的なサービスの提供ができる
ダブルライセンスを取得すれば、税理士と司法書士の独占業務をどちらもクライアントに提供できるようになります。
本来であれば、サービスの提供により必要に応じて税理士は司法書士に、司法書士は税理士に仕事を依頼することになるでしょう。
一方で、ダブルライセンスであればどちらも自分で行えるので、クライアントにとっても一石二鳥です。
税理士として記帳代行を行っている過程で、クライアントが資産を購入すれば司法書士として登記の申請代行もできるようになります。
税理士と司法書士のダブルライセンス取得後の働き方
ダブルライセンスとなれば、就職や転職を有利に進められるのは勿論、独立して自由な働き方を実現することも可能です。
一般の事業会社の経理部や法務部で働くだけではなく、税理士事務所や司法書士事務所で働いていけるようにもなります。
どちらも難関資格なので、資格取得がまぐれではなく、着実に勉強を行い最後までやり遂げる能力があると評価して貰えるでしょう。
通常では任されない重要な業務を行えれば、自分の希少な経験となり、更なる差別化につながります。
また、独立した際には本来請け負えなかった仕事を受注できるようになり、ビジネスチャンスにも恵まれやすくなるでしょう。
独立してはじめから仕事があるわけではなく、自分で仕事を獲得しなければならないので、関連して請け負えるのは大きな強みです。
まとめ
今回は、税理士と司法書士の違いやダブルライセンスについて、メリットと合わせて解説します。
税理士と司法書士は、税金と法律という専門分野の違いはありますが、社会的に大きな役割を有している職業です。
ダブルライセンスであれば、相続などの法的な手続きや納税を円滑に進めていけるので、クライアントにとっても手間を省けます。
営業上でも差別化を図ることができて、新たな顧客獲得にも繋げていけるようになるので有益です。
Profile レックスアドバイザーズ
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