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公認会計士は短答式試験と論文式試験の2つによって構成されています。
短答式試験は5月と12月の年2回、論文式試験は8月に行われます。
試験が行われる月は毎年同じですが、日付は年によって異なるため、受験する年の試験日程について確認が必要です。
試験日程だけでなく、出題形式や内容、科目ごとの対策方法についても押さえることが大切です。
今回は2025年の公認会計士試験の実施日程や、試験の概要・科目別の特徴などを詳しく解説します。
公認会計士の試験概要とは?
公認会計士試験は短答式試験と論文式試験という2つの試験によって構成されています。
短答式試験と論文式試験それぞれの概要を紹介します。
【短答式試験】
開催時期 |
12月および翌年5月の年2回 |
試験形式 |
マークシート方式 |
試験科目 |
全て必須科目
|
合格基準 |
総得点の70%を目安とする ※40%に満たない科目がある場合は不合格になるケースがある |
【論文式試験】
開催時期 |
8月中旬 年1回 |
試験形式 |
記述式 |
試験科目 |
必須4科目・選択1科目の計5科目
必須科目
<選択科目>
|
合格基準 |
52.0%の得点比率を目安に、審査会が相当と認めた得点比率 ※40%に満たない科目がある場合は不合格になるケースがある |
短答式試験は12月に行われるものが第Ⅰ回、翌年5月に行われるものが第Ⅱ回です。
一次試験である短答式試験に合格すると、論文式試験の受験が可能になります。
短答式試験の第Ⅰ回に落ちてしまっても、第Ⅱ回で合格すれば、その年の論文式試験の受験が可能です。
公認会計士試験における短答式試験の内容
ここからは、公認会計士試験における短答式試験・論文式試験それぞれの内容について詳しく解説していきます。
まずは短答式試験の内容です。
試験科目・試験時間・出題数
短答式試験の試験科目は全部で4科目です。
各科目の試験時間・出題数・配点を紹介します。
試験科目 |
試験時間 |
出題数 |
配点 |
企業法 |
60分 |
20問 |
100 |
管理会計論 |
60分 |
20問 |
100 |
監査論 |
60分 |
16問 |
100 |
財務会計論 |
120分 |
28問 |
200 |
2025年(令和7年)の短答式試験は上記の条件で行われる予定です。
なお2026年(令和8年)試験からは、問題数や試験時間等が一部変更となる予定のためご注意ください。
科目別の出題形式・内容・対策
短答式試験は1日で4科目すべてが実施されます。
すべての科目で合格基準に到達するためには、科目ごとの特徴やポイントを押さえることが大切です。
短答式試験の出題形式・試験の内容・対策方法について科目別に紹介します。
【企業法】
企業法の短答式試験で出題されるのは4肢6択形式の正誤問題です。
「〇〇とは××ということである」という記述が与えられ、記述の組み合わせとして選択肢が6つ与えられます。
その中から正解の組み合わせを選ぶという形式です。
出題項目は、会社法・商法・金融商品取引法の3つに大別されます。
大半の問題は会社法 に関する内容のため、会社法の対策を優先するべきでしょう。
【管理会計論】
管理会計論は計算問題と理論問題の両方が出題されます。
試験時間に対して問題数が多いためスピード感が求められ、時には問題の取捨選択が必要です。
管理会計論の分野は原価計算と管理会計に大別されます。
それぞれの出題項目の例を紹介します。
原価計算
- 原価計算の基礎知識
- 実際原価計算
- 個別原価計算と製造間接費の配賦
- 総合原価計算
- 標準原価計算
管理会計
- 管理会計の基礎知識
- 財務情報分析
- 予算管理
- キャッシュフロー管理
- コスト・マネジメント
【監査論】
監査論も企業法と同様に、4肢6択形式で正しい選択肢の組み合わせを選ぶ問題が出題されます。
主な出題範囲は以下の4つです。
- 財務諸表監査
- 中間監査
- 期中レビュー及び内部統制監査の理論
- 制度及び実務
監査論はほかの科目に比べるとボリュームが少なめです。
ただし抽象的な部分が多いため、実務経験がないとイメージしにくく理解するまでに時間がかかる可能性があります。
監査基準、品質管理基準、四半期レビュー基準などの結論をしっかり暗記した上で、理解に落とし込みましょう。
【財務会計論】
財務会計論は短答式試験で唯一配点が200点、試験時間が120分に設定されています。
出題形式は個別問題が22問、総合問題が1問(設問6問)です。
理論問題と計算問題の両方が出題されます。
2023年第Ⅱ回試験 は理論問題が10問、計算問題が18問でした。
財務会計論の主な出題範囲は以下の3つです。
- 簿記
- 財務諸表論
- 会計理論
(外部利害関係者の経済的意思決定に役立つ情報の提供を目的とするもの)
ボリュームの大きさから4科目の中で最も重要性が高く、短答式試験の合否を左右する科目ともいえるでしょう。
簿記を中心に、基礎から実践的な問題まで時間をかけてしっかりカバーする必要があります。
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公認会計士試験における論文式試験の内容
続いて公認会計士試験における論文式試験の内容について解説します。
論文式試験はすべて記述式です。
論文式試験の特徴および注意するべきポイントとして以下の3つが挙げられます。
- 短答式試験は知識を体系的に理解しているかに重点を置かれているのに対し、論文式試験は思考力、判断力、応用能力、論述力等を有するかに重点が置かれる
- ボリュームが大きく難易度も高いため、すべてを解くのではなく「どの問題を捨てるか」の判断も必要となる
- 合否判定では「得点比率」と呼ばれる偏差値のような指標を用いる。平均を大きく下回る点数をとってしまうと得点比率が下がり不利になる恐れが大きい
なお、論文式試験では試験の際に法規集が配布されるため、法律の暗記という面は重要度が下がります。
ただし、試験の難易度が下がるわけではありません。
法規集から必要な情報を探し出し、解答へ適切に落とし込むといった能力が必要です。
知識そのものが問われるのではなく、知識を実務に活かす力や解決策を考える力が求められる試験といえるでしょう。
3で紹介したように、論文式試験では得点比率と呼ばれる指標が用いられます。
得点比率は偏差値のようなものであり、52%が合格基準の目安になります。
平均を大きく上回る科目が1つでもあれば全体の得点比率が引き上げられ、有利になる可能性が高いです。
反対に平均を大きく下回る科目があると得点比率が大幅に引き下げられてしまう恐れがある点に注意が必要です。
なお、1科目でも得点比率が40%に満たない科目があると、総合の得点比率に関係なく不合格になる可能性があります。
試験科目・試験時間・出題数
論文試験の試験科目は必須科目4科目と選択科目1科目の計5科目です。
各科目の試験科目・試験時間・配点を紹介します。
試験科目 |
試験時間 |
配点 |
監査論 |
120分 |
100 |
租税法 |
120分 |
100 |
会計学(午前) ※内容は管理会計論 |
120分 |
100 |
会計学(午後) ※内容は財務会計論 |
180分 |
200 |
企業法 |
120分 |
100 |
選択科目 ※経営学・経済学・民法・統計学 |
120分 |
100 |
なお会計学は午前と午後に分けて行われますが、あくまで1つの科目として扱われます。
必須科目別の出題形式・内容・対策
論文式試験はいずれもボリュームが大きく難易度が高いため、各科目の特徴を押さえた適切な対策が必要です。
まずは必須4科目について、それぞれの出題形式・出題される主な内容・試験に向けた対策の例を紹介します。
【監査論】
監査論の論文式試験では理論を説明させる問題が出題されます。
2023年度の監査論の論文式試験では、以下のような問題が出題されました。
- 監査の必要性
- 監査の目的
- とあるシチュエーションで適用される監査手続に関する適正性の判断基準と準拠性の判断基準に関する問題
- 不正リスク対応基準に関する問題
見たことのないような難しい印象の問題文も存在しますが、答えるべき内容は基礎的なものであるケースも多いです。
そのため、問われていることを正しく見極める力が求められます。
【租税法】
租税法は必須4科目の中で唯一短答式試験にない科目です。
主な出題範囲として以下が挙げられます。
- 租税実体法
法人税法、所得税法、消費税法の構造的理解を問う内容 - 関連する租税特別措置法
- 法令の解釈・適用に関する実務上の取り扱い
租税法で出題される内容は、基礎的な知識で解けるものと高難易度な問題の差が大きいです。
ボリュームも大きいため、1問目から順番に解くのではなく、問題の取捨選択を行う必要があります。
なお、租税法は出題範囲が非常に広いため、出題範囲全体をカバーすること自体が容易ではありません。
とはいえ基礎的な内容が出題されることも多いので、「勉強が間に合わなかったために解けない問題があった」という事態は避けるべきです。
全範囲をカバーできるよう勉強時間をしっかり確保し、過去問を含む問題演習にも多く取り組みましょう。
【会計学(午前)】
会計学(午前)で出題されるのは管理会計論です。
論文式試験では以下の範囲が重点的に出題されます。
- 個別原価計算と製造間接費の配賦
- 総合原価計算
- 連産品と副産物の原価計算
- 標準原価計算
- 短期利益計画のための管理会計
- 予算管理
- コスト・マネジメント
- 差額原価収益分析
- 投資計画の経済性計算
- 分権化組織とグループ経営の管理会計
大問はいずれも計算問題であり、小問の中に理論問題が挟まれています。
全体のボリュームは大きいですが、管理会計論は短答式試験でも出題されるため、すでに学習した内容をそのまま活かせる部分も多いです。
そのため、まずは論文式試験ならではの計算方法に重きを置いて学習し、それから関連する理論を押さえていくのが良いでしょう。
【会計学(午後)】
会計学(午後)で出題されるのは財務会計論です。
計算問題と理論問題の融合問題で出題される傾向がみられます。
論文式試験で重点的に出題される範囲の例は以下の通りです。
- 会計主体論
- 利益概念
- 純資産
- 株主資本等変動計算書
- キャッシュフロー計算書
- 金融商品
- ストック・オプション等
- リース
- 退職給付
- 収益認識 等
上記以外にも出題項目として設定されているものが存在します。
最もボリュームが大きく配点も高いため、多くの受験生が優先的に勉強する科目です。
確実に解答できる問題を少しでも増やすため、問題演習の時間を多く確保しましょう。
【企業法】
企業法の主な出題範囲は会社法です。
「出題範囲の要旨について」によると、金融商品取引法も重点的に出題する範囲に含まれています。
企業法の論文式試験では、おもに判例や条文の趣旨が問われます。
配布された法規集で調べることはできますが、問題のボリュームに対して試験時間が短いため、調べる時間を多く確保はできません。
そのため暗記とまではいかなくても、立法趣旨・要件・効果等は押さえておく必要があります。
なお、企業法はほかの科目よりも論述量が圧倒的に多いです。
そのため文章を書く上でどうしても矛盾やミスが起こりやすくなります。
修正の時間は大幅なタイムロスになってしまうため、実際に書く前に、まずは頭の中で文章を考えるのが理想です。
選択科目の傾向について
前述のように、論文式試験の選択科目は以下4科目の中から1科目を選べます。
- 経営学
- 経済学
- 民法
- 統計学
このうち受験者数が最も多いのは経営学です。
経営学を選ぶ受験者が多い理由として以下の3つが挙げられます。
- 経済学や民法に比べてボリュームが少ない
- 公認会計士の専門分野や仕事内容の性質上、受験者に経営学部出身者が多い
- 出題範囲の予測および対策がしやすく、ほかの受験者との点差が生まれにくい
次いで受験者が多いのは統計学です。
統計学が人気の理由として以下の2つが挙げられます。
- 出題形式が計算問題のみのため、公式の暗記と問題演習を徹底すれば安定して点数を獲得できる
- 経営学と同様、経済学や民法に比べてボリュームが少ない
選択科目は自分の得意な分野や勉強のしやすさに合わせて選び、確実な得点源にするのが理想です。
公認会計士試験における実施スケジュール
公認会計士試験の大まかな実施スケジュールを紹介します。
- 公認会計士・監査審査会の公式サイトで受験案内が公表される
- 短答式試験の出願期間中に出願手続きをする(オンラインのみ)
- 短答式試験の受験
- 3の約1ヵ月後に合格者の発表が行われる
※短答式試験に合格した年は特別な手続きなく論文式試験の受験が可能 - 論文式試験の受験
- 論文式試験の合格発表
短答式試験および論文式試験の大まかな試験日を紹介します。
- 第Ⅰ回短答式試験:12月上旬
- 第Ⅱ回短答式試験:5月下旬
- 論文式試験:8月下旬
試験の実施スケジュールは公認会計士・監査審査会のホームページでも公表されています。
【2025年】公認会計士試験の日程
最後に、2025年の公認会計士試験の日程を紹介します。
試験の種類 |
願書受付期間 |
試験日 |
合格者発表 |
第Ⅰ回短答式試験 |
2024年8月23日~2024年9月12日 |
2024年12月8日 |
2025年1月17日 |
第Ⅱ回短答式試験 |
2025年2月3日~2025年2月25日 |
2025年5月25日 |
2025年6月20日 |
論文式試験 |
短答式試験に合格した時は手続き不要 ※過年度の短答式試験合格者が論文式試験を受験する場合は、第Ⅱ回短答式試験の出願期間に出願手続きが必要 |
2025年8月22日~2025年8月24日 |
2025年11月21日 |
まとめ
公認会計士試験は短答式試験と論文式試験という2つの試験によって構成されています。
短答式試験は必須4科目、論文式試験は必須4科目と選択1科目の計5科目です。
どの科目も出題範囲が広く難易度も高いため、出題形式や内容に合わせた十分な対策が必要です。
試験に向けて勉強スケジュールを立てるためには、正確な試験日程を把握する必要もあります。
受験する年の試験日程は、なるべく早い段階で確認するのが理想です。
公認会計士試験の受験に向けて、まずは試験日程や試験内容などの正確な情報を押さえましょう。
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