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税理士にも営業力が求められるって本当?
結論として、税理士にも営業力が求められるケースがあるのは本当です。
正確には開業税理士や、税理士法人の共同経営者となる税理士に営業力が求められます。
「税理士が独立開業すれば高年収を得られる」「税務の専門家である税理士が仕事で困ることはない」
このような考えをお持ちの人もいるかもしれません。
確かに、開業税理士は高年収を得られる可能性がある・税理士は高い需要があるのは事実です。
しかし税理士全体の平均年収や需要が高くても、実際に仕事を獲得していなければ本人の年収は上がりません。
開業税理士や共同経営者である税理士は、自身で仕事を獲得する必要があります。
そして、仕事を得る方法として一般的なのが営業です。
したがって開業税理士や共同経営者の税理士には営業力が求められるのです。
税理士の営業方法10選
一口に営業方法といってもさまざまな選択肢があり、それぞれ異なる特徴をもちます。
営業成果を上げるためには、ターゲット層や目的に適した営業方法を選ぶことが大切です。
今回は税理士の営業方法10選を挙げました。それぞれ特徴やメリット・デメリットを紹介します。
チラシ営業
チラシ営業は文字通り、広告チラシを不特定多数に配布する営業手法です。
新聞折込によるチラシ配布と、近隣エリアに直接投函するポスティングの2種類に分けられます。
税理士がチラシ営業を行うメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 不特定多数に対する営業ができる
- メインの配布エリアが事務所の周辺になるため、近隣の人達に効果的なアプローチができる
- インターネットを使用しない層にもリーチできる
主なデメリットは以下の3つです。
- 掲載できる情報量に限りがある
- お客様の手元に届くまでに時間がかかる
- ほかのチラシにまぎれてしまう可能性がある
チラシ営業では年齢や属性を問わずアプローチできますが、エリアは狭くなりがちです。
そのため全国区へのサービス提供をする税理士よりも、近隣に住む人や事業者を主なターゲット層とする場合に適しています。
フォーム営業
フォーム営業とは、企業等の問い合わせフォームから直接営業をかける手法です。
企業等の公式ホームページに掲載されているフォームを使用します。
フォーム営業の主なメリットは以下の3つです。
- ターゲットとなる企業へ確実に連絡が届く
- 問い合わせフォームからの連絡のため、スパムメールへ振り分けられるリスクが低い
- 通常のメールに比べて開封率が高め
デメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 反応がかえってくるまでに時間がかかる
- 問い合わせフォームの本来の使用用途とは異なるため、内容によっては悪印象を与える恐れがある
- 返信がかえってきても、しっかり確認しなければ埋もれて見逃してしまう恐れがある
問い合わせフォームは文字通り、あくまでも問い合わせのために設置されているものです。
そのため問い合わせフォームから連絡をするのであれば、悪印象を与えないよう、有益な情報の提供を心がける必要があります。
テレアポ営業
テレアポ営業とは見込み顧客に対して電話をかけて行う営業手法です。
テレアポ営業の主なメリットは以下の3つです。
- リアルタイムで反応を得られる
- 見込み顧客と直接コミュニケーションをするため、ニーズや温度感の把握がしやすい
- 営業効率が良い
デメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 電話相手の仕事や作業を中断することになるため不快な思いをさせてしまう恐れがある
- 電話でのトークスキルやマナーが必要
- アポイントを獲得しやすい人と断られやすい人の差が出やすい
なお、税理士がテレアポ営業を実施する場合、業者に依頼するのがおすすめです。
テレアポでは電話ならではのスキルやマナーが必要なため、未経験者がテレアポ営業で成果を出すのは容易ではありません。
そのためテレアポの経験やノウハウが豊富な業者に依頼する方が効率的といえます。
また、テレアポ業者は顧客リストを保有しているケースが多いため、見込み顧客にターゲットを絞って営業できる可能性があります。
自社ホームページ(コンテンツマーケティング)
ターゲット層のニーズに合ったコンテンツを自社ホームページで公開し、検索エンジンからのアクセス流入を図る方法です。
対策キーワードの検索結果で上位表示されることを目的にコンテンツ制作を行います。
自社ホームページを使った方法のメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 一度作成したホームページやコンテンツは半永久的な資産となる
- 中長期的な集客が期待できる
- ユーザーに有益な情報を提供するのが前提のため、好印象を得やすい
主なデメリットは以下の3つです。
- 成果が出るまでに時間がかかる
- SEO(検索エンジン最適化)に関する知識が必要
- コンテンツの制作・情報発信を継続する必要がある
中長期的な成果が期待できる一方で、軌道に乗るまでに時間がかかる方法といえます。
また、コンテンツの制作や発信を続ける必要もあるため、コンテンツ制作のためにある程度のリソースを割くのが前提となります。
SNS
SNSの公式アカウントを作り、営業ツールとして活用する方法です。
前項で紹介したコンテンツマーケティングとあわせて活用するケースも多くみられます。
SNSを使う主なメリットは以下の3つです。
- 導入・情報発信ともにハードルが低い
- 見込み顧客とリアルタイムでコミュニケーションをとれる
- ほかの税理士との関係性を作るツールとしても便利
デメリットとして以下の3つが挙げられます。
- SNSごとの特性やターゲット層に合わせて活用する必要がある
- 他者(他社)との差別化がしにくい
- 発信の仕方に気を付けなければ誤解を招く恐れや情報過多となる恐れがある
一口にSNSといっても、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokとツールによって特徴が全く異なります。
SNSで効果的な営業活動をするためには、自身に合うSNS選びやSNSの特性に合わせた活用方法をとることも大切です。
税理士紹介サービス
依頼者である顧客の属性や依頼内容、希望条件などに合う税理士を紹介するサービスです。
サービスに登録することで、サイト上への情報掲載や顧客紹介サービスなどの利用が可能になります。
税理士紹介サービスの主なメリットは以下の3つです。
- 営業活動の手間が大幅に軽減される
- 自身の得意分野やサービス内容に合う顧客に絞って紹介してもらえる
- 顧客紹介以外にもさまざまなサービスを利用できる可能性がある
デメリットとして以下の3つが挙げられます。
- サービス側が行なっている営業活動の内容や進捗を把握しにくい
- 高額の手数料がかかるケースがある
- 自身の営業力向上にはつながりにくい
税理士自身の営業活動の手間が抑えられると同時に、営業活動における裁量権を得られないともいえます。
税理士紹介サービスだけで集客をするのではなく、ほかの営業手法にも注力するべきでしょう。
勉強会やセミナーなどのイベント
経営者や納税者向けの勉強会・セミナーなどのイベントも集客につながります。
複数の税理士が合同で行うイベントもありますが、営業効果という意味では自身でイベントを主催するのが効果的です。
勉強会やセミナーなどを開催するメリットとして以下の3つが挙げられます。
- テーマや対象者の設定次第で参加者の質を操作できる
- 自身の人柄や考え方も伝えられる
- 質疑応答や本編前後の時間で参加者とコミュニケーションをとれる
主なデメリットは以下の3つです。
- イベント内容が魅力的でなければ顧客の獲得につながらない
- 目的はあくまでもセミナーや勉強会のため、営業活動を最優先にはできない
- 事前の準備や開催後のフォローに手間がかかる
自身が主催するイベントであれば自由度が高いですが、同時にすべての責任を負う必要が生じます。
集客につなげるためには魅力的なイベントを作り上げることが大切です。
知人からの紹介
知人から顧客を紹介してもらう方法もあります。
紹介自体は受動的ではあるものの、契約につなげるためには自身のアピールや丁寧な説明といった活動が必要です。
知人から紹介してもらう方法のメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 紹介してもらう顧客がどのような人か事前に聞ける
- 最初の段階である程度の信用を獲得できる可能性が高い
- 一般的な営業方法では出会えない人を紹介してもらえることもある
注意するべきデメリットは以下の3つです。
- 税理士としての強みや特徴が明確でないと紹介を受けにくい
- 後の対応次第では顧客だけでなく紹介者との関係に悪影響を及ぼす恐れがある
- 紹介された顧客はサービス内容や料金について十分に理解していない可能性がある
顧客の中には、知人から紹介されたという理由だけで、税理士について特に吟味せず契約を締結するケースもあります。
後のトラブルを防ぐため、サービス内容や料金について十分な説明が必要です。
金融機関からの紹介
金融機関から顧客を紹介してもらう方法もあります。
主なメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 自身のサービス内容や強みに合うニーズをもつ顧客を紹介してもらえる
- 「金融機関からの信頼がある税理士」として、最初の段階から好印象を与えられる可能性が高い
- 紹介される顧客の質が比較的高い傾向にある
金融機関からの紹介のデメリットは以下の3つです。
- 金融機関との信頼関係を築いているのが大前提
- 紹介される件数はあまり多くない
- 紹介を受けるためには明確な強みや実績が必要
金融機関から紹介される顧客は会計・税務のサポートの必要性が明確であり、スムーズな契約につながる可能性もあります。
また、多くの場合は金融機関と十分な取引実績がある顧客であるため、質の高さや信頼性が担保されているともいえるでしょう。
ただし、金融機関と信頼関係を築くことや、顧客への紹介に値するような明確な強み・実績をもつ必要があります。
広告出稿
広告の出稿は、集客手段として多く用いられている方法です。
ポスターや看板のような物理的な広告のほか、昨今はWeb広告も主流となっています。
広告出稿の主なメリットは以下の3つです。
- 幅広い層にアプローチができる
- さまざまな手法があり、予算やターゲット層に合わせた広告媒体を選べる
- 認知度アップの面では非常に効果的
デメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 契約や案件獲得の前に費用が発生するため、費用対効果の予想が難しい
- 認知度の向上だけでなく、その先の集客につなげるための工夫が必要
- 広告媒体の選択肢が多い分、自身に適した方法選びが難しい
広告は顧客の獲得というより、認知度の向上に適した方法です。
また、広告出稿にはまとまった費用が必要な上、事前に費用対効果を予想するのは困難です。
幅広い層にアプローチができ自由度が高い方法だからこそ、入念な戦略立案や効果分析が求められます。
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税理士の営業でありがちな失敗例
開業税理士が仕事を獲得するためには、自身で営業活動を行う必要があります。
しかしすべての税理士が上手く営業活動をできるとは限りません。むしろ、営業活動に失敗するケースも多くみられます。
この章では税理士の営業でありがちな失敗例を3つ紹介します。
集客チャネルの開拓をおろそかにしている
税理士の営業が上手くいかない原因の1つが、集客チャネルの開拓をおろそかにしている状況です。
集客チャネルの開拓に関する失敗は、さらに以下の3つに分けられます。
- 短期的な集客チャネルの開拓ばかりに集中し、中長期的なチャネルができていない
- 自身のターゲット層に合うチャネル開拓ができていない
- 特定のチャネル開拓のみを行なっており、異なる層にアプローチできる状態が整っていない
スピーディな仕事獲得にはテレアポや知人からの紹介など、すぐに成果につながる方法が適しています。
しかし安定して集客を続けるためには、中長期的な集客チャネルも必要です。
短期的な集客で満足してチャネル開拓をおろそかにした結果、集客が上手くいかない事態に陥るケースが多くみられます。
また、ターゲット層に合わない手法をとっている・特定の層へのアプローチ手法しか整っていない等も、失敗の原因としてありがちです。
安定して仕事を獲得するためには、チャネル開拓を続ける必要があります。
専門分野を絞り過ぎている
専門分野の絞り過ぎも営業失敗につながる原因です。
税理士に限らず、何らかの独占業務をもつ士業や、専門的なサービスを提供する業者の失敗例として多くみられます。
前提として、営業活動を成功させるためには同業他社との差別化が必要です。
また、自身が提供できるサービスの内容や得意分野をアピールする必要もあります。
同業他社との差別化や自身の強みをアピールする方法として、専門分野を作る方法は効果的といえるでしょう。
しかし、専門分野を絞り過ぎると以下のような事態が起こります。
- 提供できるサービスが少なくなりすぎる
- 複数の要素を持つ複雑なニーズに対応できない
- 専門としている分野の需要減少や競合増加など、市場の変化による影響を受けやすい
専門分野を作るのは大切ですが、対応範囲を狭くし過ぎず、ある程度広いニーズに応えられるようにしましょう。
営業に費やすコストや作業が不十分
営業が上手くいっていない税理士の中には、そもそも営業活動が不十分なケースもあります。
「営業活動をしてはいるから、いずれは成果が出るはず」「営業活動にリソースを割く価値を感じられない」
このように考える人もいるかもしれません。
しかし、営業に費やすコストや作業が不充分では以下のような事態につながります。
- 営業活動が届く範囲が狭く、ターゲット層へのリーチに至らない
- 見込み顧客へのフォロー不足によって契約獲得に至らず、接点を作っただけで終わってしまう
- 効果測定や改善が不十分となり、集客につながらない営業活動をし続けてしまう
上記はいずれも、営業活動をしている「つもり」状態といえるでしょう。
結果として、中途半端に手間や費用がかかる一方で、肝心の契約獲得につながらない可能性が高いです。
見込み顧客の獲得だけでなく、その先の契約締結という成果を出すためには、営業活動にある程度のリソースを割く必要があります。
税理士の営業に求められる要素
営業活動に必要なスキルの中には、一朝一夕では身につかないものもあります。
より効果的な営業活動を行うためには、スキルを高めるためのトレーニングも必要です。
今回は税理士の営業に求められる要素と、それぞれのスキルを身につける・高めるための方法を紹介します。
①コミュニケーション能力・交渉力
コミュニケーション能力と交渉力は営業活動に必須のスキルです。
見込み顧客へのアプローチ段階から契約締結(クロージング)まですべての工程で必要となります。
コミュニケーション能力とは、対人間での意思疎通や関係構築をスムーズにするためのスキル全般です。
言いたいことをわかりやすく伝える力、相手を説得する力、相手の言葉を聞く・読み解く力など幅広いスキルが該当します。
交渉力もコミュニケーション能力の1つです。
契約締結に際して相手方の要望を汲む必要がありますが、すべて受け入れてしまうと自身にとって不利益な内容になってしまいます。
自身と相手の双方にとって納得のいく契約内容にするためには、自身の要望を提案し交渉する必要もあります。
交渉力を身につければ、両社とも納得のいくような上手い落としどころ・妥協点を見つけられる可能性が上がるでしょう。
コミュニケーション能力や交渉力を伸ばすには、実際の交渉の場面に近い環境で練習するのが効果的です。
具体的な方法として以下の3つが挙げられます。
- 商談の場を想定してシナリオを作成し練習する
- コミュニケーションや交渉に関するセミナーや勉強会に参加する
- 第三者からフィードバックを受け、指摘事項をもとに改善する
単にコミュニケーションの場を増やすだけでコミュニケーション能力が伸びるわけではありません。
常に学び続ける姿勢や、自身の課題点・問題点を把握し解消しようとする姿勢が必要です。
税理士の営業にはさまざまな要素が求められます。
しかし、いずれも土台にあるのはコミュニケーション能力および交渉力です。
営業活動を成功させるためには、まずはコミュニケーション能力・交渉力を伸ばす必要があります。
②ヒアリング力・傾聴力
税理士の営業にはヒアリング力や傾聴力も必要です。
営業活動におけるヒアリング力とは、相手のニーズや要望を上手く引き出す力を指します。
税理士が扱う税務・会計分野は専門性が高く、日常生活では出てこない用語も多く存在します。
そのため税理士に相談するべきとは判断したものの、相談内容や希望を上手く伝えられない・認識が誤っている等のケースも多いです。
したがって、顧客の正確なニーズを把握するためには高いヒアリング力が求められます。
傾聴力とは相手の話に真摯に耳を傾け、背景や感情を汲み取る力です。
契約締結に至らせるには見込み顧客からの信頼を得る必要があります。
相手の話を真剣に聞く姿勢は「自分を理解してもらえた」「真剣に話を聞いてくれる、信頼できそうな人だ」という好印象につながります。
また、相手のニーズに合うサービスを提供するためにも、相談に至った背景の理解は欠かせません。
したがって、営業成功のためにはヒアリング力と傾聴力の両方が必要です。
ヒアリング力や傾聴力をつける方法として、以下の2つが挙げられます。
- 相談を受ける場面や商談の場面のロールプレイを行う
- ヒアリングや傾聴テクニックを学び、実際のコミュニケーションに取り入れる
③課題発見力・提案力
課題発見力・提案力も税理士の営業に求められる要素です。
前項の「②ヒアリング力・傾聴力」で紹介したように、税理士が扱う税務・会計は専門性が高い分野です。
そのため税理士への相談が必要とは判断したものの、相談内容を上手く伝えられない依頼者も珍しくありません。
税理士側に知識やノウハウが不足している場合も課題の本質を把握できないでしょう。
依頼者の正確なニーズを汲み取る能力と、本質的な課題を発見するための知識・ノウハウの両方が必要です。
また、専門家である税理士目線では最適な提案であっても、依頼者が納得するとは限りません。
特に依頼者本人が認識している課題と、本質的な課題が異なる場合、提案を拒絶されてしまう可能性が高いです。
良好な関係を築くためには、双方が納得の上で契約を締結する必要があります。
そのため依頼者に受け入れてもらえるような提案をするスキルも必要です。
課題発見力を伸ばす方法として以下の2つが挙げられます。
- コミュニケーション能力を伸ばす
- 税務・会計に関する情報収集を積極的に行う
提案力は実践を通じて得るのが最も効率的です。
商談のロールプレイやプレゼンテーションなどの機会を増やし、提案の練習をしましょう。
④他社との差別化
税理士の営業活動や集客を成功させるためには他社との差別化が必須です。
依頼先として多くの税理士が存在する中で自身を選んでもらうためには、他社にはない魅力や強みをアピールする必要があります。
税理士が他社と差別化する方法として例が挙げられます。
- 税務・会計の中でも比較的競合が少ない分野を選ぶ
- 特定の業種に特化したサービスを提供する
- 税務・会計に関連するほかのサービスも扱う
- 連絡手段や契約形態、対応できる会計ソフトの種類などの選択肢を増やす
- 土日祝や夜間の対応も可能にする
1〜3はサービス内容そのもので差別化する方法です。
1や2のように専門分野を作る方法だけでなく、3のようにサービスを広げる方法も差別化につながります。
4や5は対応の仕方に関する差別化といえるでしょう。
相談しやすい・サービスを利用しやすいという理由で選んでもらえる可能性が上がります。
差別化をするには、まずは自社の特徴を把握する必要があります。
自社の強み・弱みを把握した上で、自社に適したアプローチを行いましょう。
税理士に禁止されている営業行為
税理士の営業方法自体に制限はなく、基本的には自由な方法で営業活動が可能です。
しかし広告行為には一定の制限があり、「税理士会会員の業務の広告に関する運用指針」で禁止されている広告行為は認められていません。
税理士に禁止されている広告行為や、情報提示で注意するべき点について解説します。
事実無根な広告の出稿
事実無根な広告の出稿(事実に合致していない広告)は明確に禁止されている行為です。
該当する広告の例を紹介します。
- 経歴等を偽っている
実務経験や税務申告件数の虚偽表示等 - 実在しない人物や団体等による推薦文を提示する
推薦文の自作自演等 - 実体が伴わない団体や組織を表示する
実際は個人で活動しているのに、「〇〇税理士グループ」「〇〇研究会」等の団体名を表示する行為
税理士会会員の業務の広告に関する運用指針の中で、広告について以下のように定義されています。
「広告とは、納税者の利便に資するため、会員が自己又は自己の業務に関する情報を開示する行為をいう。」
広告の定義を改めて考慮すると、事実に合致しない広告が禁止されるのは当然といえるでしょう。
なお、提示した情報について事実の証明ができない場合も 、事実に合致していない広告とみなされる点に注意が必要です。
税理士が出稿する広告の記述内容は、客観的かつ確実な資料に基づくことが求められています。
客観的に証明できる情報のみを記載するよう注意しましょう。
誤解を与える恐れのある広告の出稿
誤解を与える恐れのある広告の出稿も、前述した「事実無根な広告の出稿」と同様に明確な禁止行為です。
運用指針の中では「誤導又は誤認のおそれのある広告、誇大又は過度な期待を抱かせる広告」と表現されています。
誤解を与える恐れのある広告として以下の例が挙げられます。
- すでに廃止された最高報酬限度額と現在の報酬を比較し、いかにも安価であるような演出をする
- 「最高の税務知識を提供する」「税務関係の課題をたちどころに解決する」「税務調査が省略される」等、根拠のない表現をする
- 「○○税理士会会長経験による豊富な人脈・情報」のような権威を主張した表現をする
「④他社との差別化」で紹介したように、税理士の営業活動では自社の強みや魅力のアピールが必要です。
しかし過度に期待させ、結果として期待を裏切ることになってしまえば、税理士全体に対する信頼が失われる恐れがあります。
そのため、誤解・誤認を招き、過度な期待をもたせる恐れのある広告は禁じられているのです。
記載してはいけない情報の提示
前述の運用指針では、表示できない広告事項についても明記されています。
税理士の広告に記載してはいけない情報の例は以下の通りです。
- 税務行政庁在職時の具体的な役職名
- 委嘱者の氏名や名称等、委嘱者に関する事項
- 過去に取り扱った案件・現在取り扱っている案件についての詳細
1の「税務行政庁在職時の具体的な役職名」の記載が禁じられているのは、以下のような誤解を招く恐れがあるためです。
- 税務に関する紛争発生時に有利なサポートを受けられる
- 税務官公署に対して影響力がある
2と3はいずれも守秘義務の関係から提示が認められません。
ただし、相談先である税理士がどのような案件や顧客を有するかは、依頼者が強く関心を寄せる事項でもあります。
そのため委嘱者から書面による同意を得られた場合に限り、委嘱者の利益を損なわない範囲で表示が可能です。
なお、記載してはいけない情報の例に挙げられていなくても、禁止行為として定められている内容の広告出稿は認められません。
特定の税理士や会計事務所と比較した記載
特定の税理士や会計事務所と比較した記載をするのも禁止です。
運用指針の中では「特定の会員又は会員事務所と比較した広告」と記載されています。
※ここでいう会員とは税理士会に所属する税理士を指す言葉です。
特定の税理士や会計事務所と比較した記載に該当する書き方として以下の例が挙げられます。
- 〇〇税理士法人よりも経験豊富なスタッフが在籍
- ●会計事務所と比較して××の面で優れている
- △△税理士事務所よりも税務申告の件数が多い
比較広告は実際以上に優れているように見せやすい上、内容が主観的・独善的になりがちです。
そのため税理士探しをする依頼者の誤解を招く恐れがあります。
比較広告は比較対象者となる税理士や会計事務所に対する誹謗中傷に該当する可能性も高いです。
また、特定の税理士や会計事務所を下げるような表現は品位に欠けるといえるでしょう。
このように比較広告の出稿による弊害は非常に大きいと考えられるため、明確に禁止されています。
税理士の信用や品位を損なう恐れがある記載
税理士の信用や品位を損なう恐れのある行為は、税理士法第37条「信用失墜行為の禁止」で明確に禁じられています。
したがって、税理士の信用失墜につながる恐れのある広告も禁止です。
税理士の信用失墜の恐れがある広告として以下の例が挙げられます。
- 脱税行為をほのめかす表現、誇大広告に該当する表現
「〇〇税の抜け穴を教えます」「税金を〇%削減」「〇〇税をゼロにします」等 - 奇異・低俗・派手過ぎる・見る人に不快感を与える恐れのある広告
1は前述の「事実無根な広告の出稿」「誤解を与える恐れのある広告の出稿」とも関連しています。
基本的に、強い言葉で過度に期待を煽る表現は避けるべきといえるでしょう。
2は広告の記載内容より、広告の方法や表示形態、出稿する場所に関する事項です。
2に該当する例として「葬儀場において広告すること」が挙げられています。
税理士が広告を出稿する際は、信用や品位を保持する義務についても意識する必要があります。
税理士として独立する前に準備できることはある?
開業後のスタートダッシュが上手くいくかは、開業前の準備によって左右される可能性が高いです。
本格的な営業活動は開業後に始めるとはいえ、独立前の段階から準備できることはあります。
税理士として独立する前からできる準備について解説します。
集客・営業に成功している税理士の営業方法を知る
独立に向けて本格的に動き始める前に、まずは集客や営業に成功している税理士の営業方法を知りましょう。
営業方法の成功例を知るメリットとして以下の2つが挙げられます。
- 成功につながる方法に絞って学べる
- 営業成功について具体的なイメージを浮かべやすくなる
現時点で会計事務所に所属しているのであれば、代表税理士や営業担当者に営業方法を聞くのが良いでしょう。
知人の税理士に相談する方法や、開業税理士が運営するブログから情報収集をするのもおすすめです。
ホームページやSNSアカウントを作成する
ホームページやSNSアカウントは開業前の段階で作成しておくのが理想です。
SNSは見込み顧客へのアプローチや、ほかの税理士との接点を作るのに便利です。
導入ハードルが低く基本的にはコストもかからないため、運用して損はないでしょう。
ホームページは前述のように、集客や営業という意味では成果が出るまでに時間がかかる方法です。
しかし、ホームページには以下のようなメリットがあります。
- 自社の理念やサービス内容を伝えるパンフレット代わりになる
- 見込み顧客からの問い合わせ窓口として活用できる
ホームページは公開できる状態になるまで時間がかかるため、なるべく早めに準備を始めましょう。
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まとめ
開業税理士として成功し安定した収入を得るためには、多くの仕事を獲得し、良い条件で契約を締結する必要があります。
仕事の獲得・契約のために欠かせないのが営業活動です。
すなわち税理士として成功するためには営業力が必要といえるでしょう。
一口に営業といってもさまざまな方法があり、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。
営業活動を成功させるためには、目的やターゲット層に合う営業手法の選択が必要です。
また、税理士の営業にありがちな失敗例についても知っておくことで、失敗を防ぐための対策がしやすくなるでしょう。
開業前の準備を行うのも大切です。
開業税理士として成功するため、税理士の営業について理解を十分に深めましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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