転職お役立ち情報

公認会計士の転職動向の多様化

更新日:2023.10.23

会計士の転職お役立ち情報

走るビジネスマン

公認会計士の転職動向が多様化しつつあります。

以前はほとんどが監査法人に属していましたが、今ではさまざまな道筋が現れるようになりました。

 

公認会計士の転職動向について解説します。

激動する公認会計士の転職市場の動向

今から10年以上前のことになりますが、内部統制報告制度(以下、JSOX制度)の対応に向けて公認会計士の増加を目指すため、2006年より公認会計士試験制度が改正されました。

特に改正直後の2006年~2008年は特別な年となりました。

従来に比べ大量の試験合格者を輩出したのです。

 

監査法人においても、JSOX制度の開始初年度は業務量が増えたため、公認会計士試験合格者の増加が功を奏しました。

 

しかし、JSOX制度も2年目以降は運用フェーズ、すなわちルーティンワークに近い業務がメインに。

制度初年度に比べ業務量が大幅に減少、手持ち無沙汰になってしまう会計士が続出するという想定外の事態になりました。

公認会計士試験制度改正に伴う大量合格者輩出のしわ寄せ

そして、試験制度変更直後に大量合格者を輩出したしわ寄せが来てしまいました。

2009年より監査法人業界の就職氷河期が始まり、試験に合格しても就職浪人が大量に発生するといった状況が続きました。

 

JSOX制度対応に向けて会計士を大量に増やしたにも関わらず、かえって人が余ってしまう事態に陥ります。

監査法人が就職の受け皿になることが難しくなったのです。

 

特に2009年から2016年の間は、Big4での早期退職制度の実施や、リーマンショックの影響などのマイナス要因が重なりました。

このような状況下の転職市場では、さまざまな業界・職種で公認会計士の採用需要を満たすには至らず、しばらくの間は買い手市場の状況が続きました。

買い手市場から売り手市場へ

しかし、2017年頃から状況が好転します。

公認会計士の待機合格者が問題になった頃から、監査法人への転職が困難になった影響で、事業会社を就職先に選ぶ公認会計士が増えました。

主に事業会社の経理職に着く人も現れます。

公認会計士は通常の経理業務以外にも、難解な会計処理の検討やIFRS導入、IPOに向けた体制構築など、会計や内部統制の専門スキルを活かして活躍できます。

そうした選択肢を選んだ公認会計士が増えたため、実際に採用した各企業の評価も高まっていきました。

それ以降、上場企業を中心に公認会計士を採用する動きが加速していくことになります。

 

また、監査法人業界でも変化が見え始めました。

監査法人に就職後、一定の監査経験を積んだ会計士が更なるスキルアップのため他の業界に転職していく動きが目立つようになりました。

 

その影響で、これまでの就職氷河期とは打って変わり、現在の監査法人は公認会計士の人手不足が深刻な問題になっています。

従来の買い手市場から、売り手市場へがらりと変わったのです。

【公認会計士・公認会計士試験合格者対象】
なんとなく転職したい・中長期でキャリアを考える方向け
転職相談会

詳細はこちら

さまざまな職種・業界ごとの公認会計士の転職動向

公認会計士が活躍できる職種・業界は多く、キャリアパスも多岐にわたります。

監査・会計のみならず、幅広い知識や経験を持つプロフェッショナルである公認会計士の仕事の選択肢は非常に多いものとなっています。

現在、どの業界や職種でも公認会計士が売り手市場であることは共通していますが、各分野によって、それぞれの背景と転職動向は異なります。

 

また、そこで求められる公認会計士の人物像も異なってきます。

ここでは、職種・業界ごとの公認会計士の転職動向について解説します。

公認会計士の転職動向 ①事業会社

事業会社では主に経理部、財務部、内部監査部などの部署で会計士が活躍しています。

日々の会計処理や決算対応など会計知識を活かした業務はもちろんのこと、連結会計などの複雑な会計処理の検討や、内部統制構築業務などへの貢献も期待されています。

最近はJSOX制度や連結会計などにおいて大きな制度改定はありません。

IFRS導入の需要も落ち着いてきていますが、依然会計への専門的知識を期待して会計士を受け入れている企業は多いです。

 

大手企業の経理部でBIG4出身者が席を並べている光景も珍しくないのです。

また、近年ではベンチャー企業など中小規模の企業でも会計士の需要が高まっています。

 

このような企業においては、マネジメントやCFOのポジションでの採用案件もあります。

大手企業に比べて自分の裁量で働ける範囲も広いことから、企業経営などに興味のある会計士にとっては大きなチャンスといえるでしょう。

公認会計士の転職動向 ②会計監査

監査法人では、企業のグローバル化に伴う経営活動の多様化や、会計処理の複雑化に伴い、会計監査でも幅広い対応が必要となってきています。

 

加えて、昨今の大企業の会計不祥事の発生に伴い、監査手続は厳格化している傾向です。

より多くの人材が必要となっている状況の中、慢性的な人材不足が続いています。

 

人材を確保するために、大手監査法人でも勤務体系に自由度の高い非常勤制を導入したり、社内の人材紹介制度を設けて人材を集めたりしている法人もあります。

 

また、多種多様化する企業や会計処理への対応のため、事業会社や税理士法人など、監査法人とは異なるバックグラウンドを持つ人、特定の業界知識・経験や、システムの専門知識などがある人の需要も高まっているようです。

採用時のアドバンテージとして評価されやすいでしょう。

公認会計士の転職動向 ③税務業界

公認会計士は税理士登録も可能です。

税理士法人や会計事務所でも、税務の得意な公認会計士を求める声は非常に増えています。

海外展開を加速する企業が増える中、国際会計事務所のメンバーファームを中心に、移転価格税制対応を含む国際税務の案件も増えています。

 

税務経験はなくても、一定の英語力を持った公認会計士が国際税務の分野で求められることもあるので、国際税務分野に進む場合は英語力の研鑽が必要です。

 

他にもSPCやM&Aの税務分野では求人が堅調に出ています。

監査法人でもファンド監査やデューデリジェンスに関わったことのある方が、今後税務分野に進むことを考える場合には、これらの経験を活かせるので、比較的転職がしやすいと言えます。

公認会計士の転職動向 ④M&A・事業再生

リーマンショックで冷え込んだM&A市場も、現在は回復基調にあります。

M&Aアドバイザリーファームや、財務デューデリジェンス・バリュエーションなどのサービスを提供するFAS系のコンサルティングファームなどでも、採用意欲に繋がっています。

 

特に大型のM&A案件を手掛けるファームではクロスボーダー案件も多く、英語力の有無が採否を分けやすいと言えるでしょう。

監査法人所属の場合は、純粋な会計監査だけを経験している会計士に広く門戸が開かれている訳ではありません。

スポットでの財務デューデリジェンスにアサインされた経験など、何らかの形でM&Aに関与した経験を求められることも多いです。

可能であれば監査法人にいる間に、少しでもM&A案件へのアサインを希望してみるとよいでしょう。

 

 

またM&A・企業再生コンサルタントの場合は、資産評価や調査を行うだけでなく、案件について当事者が納得のいく形にまとめる必要があります。

問題解決力やコミュニケーション能力、リーダーシップの発揮が求められる求人が多いです。

公認会計士の転職動向 ⑤コンサルティング業界

コンサルティングファームでは経営戦略、リスク管理、社内体制構築など、様々な観点で企業の支援サービスを行っています。

また近年では、会計不正、資産の流用や汚職などの企業内不正を調査する不正調査(フォレンジック)業務を拡大している法人が増えています。

フォレンジック業務は、会計帳簿や財務数値を見て調査することが多いため、会計監査や内部統制に関する深い知識をもつ会計士の活躍が期待されて、人材を募集している状況が続いています。

幅広い分野で支援活動を行うコンサルティングファームでは、即戦力となる人材が求められるため、語学力、事業会社でのマネジメント経験、税務やシステムの専門知識を持っていると高く評価される傾向にあります。

 

FAS系や監査法人と比べると過去の経験値が採用のカギを握ります。

公認会計士の転職に関する求人動向

転職活動中の公認会計士が気になる求人動向については、現在増加傾向にあり、幅広い業種業態で採用活動が行われています。

 

特に財務経理、管理会計、税務、コンサル等の分野において、求人の需要が活発化しています。

財務経理に関しては、上場準備を進めているIT企業やIFRS導入を本格的に始める企業での募集が目立ちます。

 

管理会計に関しては製造業など、全国や海外に多く支店を持つ事業会社からの需要が多いです。

税務に関しては、中小企業及び大手企業向けそれぞれで求人の需要がありますが、会計士の応募が多く競争倍率が高くなっており、転職活動には注意が必要です。

 

コンサルに関しては、IPOやIFRS導入支援、M&A、決算支援等についてのニーズが高まっています。

求人情報はこちら

公認会計士の求人・転職情報一覧

一般企業(事業会社)の求人・転職情報一覧

まとめ

上述の通り、近年の公認会計士の転職市場は売り手市場にあります。

それぞれの分野で選択肢が多く、ご自身が希望する転職ができる可能性が高い状況にあると言えるでしょう。

 

ただし、売り手市場の中の転職だとしても安易な選択はせずに、ご自身のキャリアパスとして最適だと思える業種や職場を慎重に見極めて選択していくことが大切です。

是非ご自身にとってベストな転職先を見つけましょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/

公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ

カジュアルキャリア相談 カジュアルキャリア相談