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公認会計士の転職動向は売り手市場?転職の多様化について解説

更新日:2025.02.19

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公認会計士の転職動向は売り手市場?転職の多様化について解説

公認会計士の転職動向は売り手市場なのでしょうか。
近年、公認会計士の転職動向が多様化しつつあります。

以前はほとんどが監査法人に属していました。
昨今、様々な経済・社会状況の変化を受け、今ではさまざまな道筋が現れるようになっています。

公認会計士の転職動向について解説します。

公認会計士の転職市場の動向:インハウス(組織内会計士)の増加

まず、2025年現在のおおまかな傾向をみていきましょう。

ここ数年、公認会計士の転職先として「インハウス」が伸びてきています。

経理・財務、経営企画、そして内部監査といった、事業会社(一般企業)での仕事です。
とりわけ、40~50代の、キャリアとマネジメント経験を積んだ会計士の転職先として人気のようです。

 

なぜかというと、まず、そもそも求人の数が多いことが前提となります。

また、近年はSNSの発達を受け、誰もが情報発信が可能になりました。
企業における不祥事などは、隠さずに発表しなければより悪い方向に拡大することも増え、コンプライアンスの強化が企業の命題となっています。
そのため、内部監査の需要も伸びつつあることが、インハウスの求人が増えた理由と考えられるでしょう。

企業であれば、福利厚生がしっかりしていることが多いことも人気の理由です。


逆に、ベンチャー企業でIPO準備を担当するというニーズも強くなっていて、こちらは自分の力を試したいと思う公認会計士に人気となっています。

 

あくまで概要となりますので、具体的には転職エージェントに登録の上、キャリアコンサルタントに直接訪ねてみることをおすすめします。

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公認会計士の変化について

今から約20年前になりますが、内部統制報告制度(以下、JSOX制度)の対応に向けて公認会計士の増加を目指すため、2006年より公認会計士試験制度が改正されました。

特に改正直後の2006年~2008年は特別な年となりました。
従来に比べ大量の試験合格者を輩出したのです。

監査法人においても、JSOX制度の開始初年度は業務量が増えたため、公認会計士試験合格者の増加が功を奏しました。
しかし、JSOX制度も2年目以降は運用フェーズ、すなわちルーティンワークに近い業務がメインに。

 

制度初年度に比べ業務量が大幅に減少、手持ち無沙汰になってしまう会計士が続出するという想定外の事態になりました。

公認会計士試験制度改正に伴う大量合格者輩出のしわ寄せ

そして、試験制度変更直後に大量合格者を輩出したしわ寄せが来てしまいました。
2009年より監査法人業界の就職氷河期が始まり、試験に合格しても就職浪人が大量に発生するといった状況が続きました。

JSOX制度対応に向けて会計士を大量に増やしたにも関わらず、かえって人が余ってしまう事態に陥ります。
監査法人が就職の受け皿になることが難しくなったのです。

 

特に2009年から2016年の間は、Big4での早期退職制度の実施や、リーマンショックの影響などのマイナス要因が重なりました。
このような状況下の転職市場では、さまざまな業界・職種で公認会計士の採用需要を満たすには至らず、しばらくの間は買い手市場の状況が続きました。

買い手市場から売り手市場へ

しかし、2017年頃から状況が好転します。

公認会計士の待機合格者が問題になった頃から、監査法人への転職が困難になった影響で、事業会社を就職先に選ぶ公認会計士が増えました。
主に事業会社の経理職に着く人が現れます。

公認会計士は通常の経理業務以外にも、難解な会計処理の検討やIFRS導入、IPOに向けた体制構築など、会計や内部統制の専門スキルを活かして活躍できます。
そうした選択肢を選んだ公認会計士が増えたため、実際に採用した各企業の評価も高まっていきました。

それ以降、上場企業を中心に公認会計士を採用する動きが加速していくことになります。

 

また、監査法人業界でも変化が見え始めました。
監査法人に就職後、一定の監査経験を積んだ会計士が更なるスキルアップのため他の業界に転職していく動きが目立つようになりました。

その影響で、就職氷河期とは打って変わり、現在の監査法人は公認会計士の人手不足が深刻な問題になっています。
従来の買い手市場から、売り手市場へがらりと変わったのです。

その影響は、今も続いていると言えるでしょう。

公認会計士の転職動向:さまざまな職種・業界ごとに解説!

公認会計士が活躍できる職種・業界は多く、キャリアパスも多岐にわたります。
監査・会計のみならず、幅広い知識や経験を持つプロフェッショナルである公認会計士の仕事の選択肢は非常に多いものとなっています。

現在に至っても、どの業界や職種でも公認会計士のニーズは強くあります。

しかし各分野によって、それぞれの背景と転職動向は異なります。

 

また、そこで求められる公認会計士の人物像も異なることに注意しましょう。
自分のキャリアプラン、キャラクターに合った場所を選ぶことが転職成功への近道です。

ここでは職種・業界ごとの公認会計士の転職動向について解説します。

公認会計士の転職動向 ①事業会社

先ほど解説したように、事業会社では主に経理部、財務部、内部監査部などの部署で会計士が活躍しています。

日々の会計処理や決算対応など会計知識を活かした業務はもちろんのこと、連結会計などの複雑な会計処理の検討や、内部統制構築業務などへの貢献も期待されています。

IFRS導入の需要に関しては落ち着いてきていますが、依然会計への専門的知識を期待して会計士を受け入れている企業は多いです。
大手企業の経理部でBIG4出身者が席を並べている光景も珍しくありません。

 

また、近年ではベンチャー企業など中小規模の企業でも会計士の需要が高まっています。

このような企業においては、マネジメントやCFOのポジションでの案件が考えられるでしょう。
また、IPO準備を一手に担う求人も増えています。

大手企業に比べて自分の裁量で働ける範囲が広いことがベンチャーの魅力です。
企業経営などに興味がある、自分の力量を試したい会計士にとっては大きなチャンスといえるでしょう。

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公認会計士の転職動向 ②会計監査

会計監査を行いたい公認会計士は、やはり監査法人に勤務します。
近年は、AIの急速な進化によって、監査のやり方も変化しつつあります。

また、企業のグローバル化に伴う経営活動の多様化、会計処理の複雑化など、会計監査を行う公認会計士はより幅広い対応が求められるようになりました。
加えて、昨今の大企業の会計不祥事の発生に伴い、監査手続は厳格化している傾向です。
臨機応変に対応できる柔軟さと、一線を画す厳格さは、より一層必要になっていると言えるでしょう。

より多くの人材が必要となっている状況の中、慢性的な人材不足が続いています。

人材を確保するために、大手監査法人でも勤務体系に自由度の高い非常勤制を導入したり、社内の人材紹介制度を設けて人材を集めたりしている法人もあります。

また、多種多様化する企業や会計処理への対応のため、事業会社や税理士法人など、監査法人とは異なるバックグラウンドを持つ人、特定の業界知識・経験や、システムの専門知識などがある人の需要も高まっているようです。

採用時のアドバンテージとして評価されやすいでしょう。

 

関連記事:監査法人の仕事内容とは?主な業務や年収・Big4について解説

監査法人・公認会計士の求人

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公認会計士の転職動向 ③税務業界

公認会計士は税理士登録も可能です。
税理士法人や会計事務所でも、税務の得意な公認会計士を求める声は非常に増えています。
近年は海外展開を加速する企業が増加中です。
それに伴い、国際会計事務所のメンバーファームを中心に、移転価格税制対応を含む国際税務の案件も増えています。

税務経験はなくても、一定の英語力を持った公認会計士が国際税務の分野で求められることもあるので、国際税務分野に進む場合は英語力の研鑽が必要です。
逆に言えば、英語が得意な会計士は戦力として役立てるでしょう。

 

他にもSPCやM&Aの税務分野では求人が堅調に出ています。
監査法人でもファンド監査やデューデリジェンスに関わったことのある人が、今後税務分野に進むことを考える場合には、これらの経験を活かせるはずです。
そういった意味では、比較的転職がしやすいと言えるかもしれません。

 

関連記事:公認会計士は英語が必要なのか?

公認会計士・会計事務所・税理士法人の求人

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公認会計士の転職動向 ④M&A・事業再生

一時期はリーマンショックで冷え込んだM&A市場。
現在は回復基調にあります。

また、経営者の高齢化に伴い、後継者不足は深刻な問題です。
コロナ禍では事業再生を申請する中小企業が多発していたことを覚えている人も多いでしょう。

 

こうした流れは、M&A・事業再生のニーズが大きい証左でもあります。
M&Aアドバイザリーファームや、財務デューデリジェンス・バリュエーションなどのサービスを提供するFAS系のコンサルティングファームなどでは、積極的に採用を行っています。

 

特に大型のM&A案件を手掛けるファームではクロスボーダー案件も多いため、英語力の有無が採否を分けやすいと言えるでしょう。
監査法人所属の場合は、純粋な会計監査だけを経験している会計士に広く門戸が開かれている訳ではありません。
スポットでの財務デューデリジェンスにアサインされた経験など、何らかの形でM&Aに関与した経験を求められることも多いです。
可能であれば監査法人にいる間に、少しでもM&A案件へのアサインを希望してみるとよいでしょう。

 

またM&A・企業再生コンサルタントの場合は、資産評価や調査を行うだけでなく、案件について当事者が納得のいく形にまとめる必要があります。
問題解決力やコミュニケーション能力、リーダーシップの発揮が求められる求人が多いです。

 

関連記事:M&Aとはどんな仕事?仕事内容をみてみよう

FAS・財務コンサルティング(M&A・事業再生)・公認会計士の求人

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公認会計士の転職動向 ⑤コンサルティング業界

コンサルティングファームでは経営戦略、リスク管理、社内体制構築など、様々な観点で企業の支援サービスを行っています。
また近年では、会計不正、資産の流用や汚職などの企業内不正を調査する不正調査(フォレンジック)業務を拡大している法人が増えています。
フォレンジック業務は、会計帳簿や財務数値を見て調査することが多いです。
そのため、会計監査や内部統制に関する深い知識をもつ会計士の活躍が期待されて、人材を募集している状況が続いています。

また、コンプライアンス強化を受け、コンサルタントは幅広い分野での支援が求められやすくなりました。
こうした幅広い支援分野で活動を行うコンサルティングファームでは、即戦力となる人材が求められます。
語学力、事業会社でのマネジメント経験、税務やシステムの専門知識を持っていると高く評価される傾向です。
自分の強みがしっかりあれば、公認会計士の専門知識は役立つでしょう。

FAS系や監査法人と比べると過去の経験値が採用のカギを握ります。

公認会計士・コンサルティングファームの求人

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公認会計士の転職に関する求人動向

転職活動中の公認会計士が気になるのは、やはり求人動向でしょう。
現在もやや増加傾向にあり、幅広い業種業態で採用活動が行われています。

特に財務経理、管理会計、税務、コンサル等の分野において、求人の需要が活発化しています。
財務経理に関しては、上場準備を進めているIT企業やIFRS導入を本格的に始める企業での募集が目立ちます。

 

管理会計に関しては製造業など、全国や海外に多く支店を持つ事業会社からの需要が多いです。
税務に関しては、中小企業及び大手企業向けそれぞれで求人の需要がありますが、会計士の応募が多く競争倍率が高くなっており、転職活動には注意が必要です。

 

コンサルに関しては、IPOやIFRS導入支援、M&A、決算支援等についてのニーズが高まっています。

 

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まとめ

ここ数年のさまざまな状況変化を受け、公認会計士の転職状況も様々です。
ひとつ言えるのは、公認会計士の専門知識は常に必要とされているということでしょう。

また、AIの発達や業務の複雑化を受け、複合的な能力が求められる傾向です。
それぞれの分野で選択肢が多くなっているので、自身が希望する転職ができる可能性は高いと言えるでしょう。

 

ただし、売り手市場の中の転職だとしても安易な選択はせずに、自身のキャリアパスとして最適だと思える業種や職場を慎重に見極めて選択していくことが大切です。

自身にとってどこがベストな転職先なのかを常に考えながら活動することが、転職成功への近道と言えるでしょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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