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監査法人について解説!業界の特徴や魅力、特殊な点などを紹介します

更新日:2023.10.17

会計士の転職お役立ち情報

ビジネスマン

監査法人とは公認会計士の主な勤務先のひとつです。クライアントの会計監査を中心に業務をおこないます。

クライアントの作成した決算書に誤謬や問題がないかを確認し、監査の結果を意見として表明します。

専門的かつ特徴的な業務内容や社員構成ということもあり、監査法人は他の業界では見られない特徴を多く有する業界です。

 

この記事では監査法人業界の特徴などを中心に解説します。

公認会計士を目指す人や監査法人への転職を考えている人はぜひお読みください。

監査法人業界の基礎知識

まずは監査法人業界の基礎的な部分から紹介します。

業界研究をする際は、主な業務内容や年収などから把握していきましょう。

監査法人の業務内容

監査法人の主な業務内容は以下のとおりです。

 

  • クライアントの会計監査
  • コンサルティング

 

監査法人における主な業務は会計監査です。

会計監査は公認会計士のみに認められている独占業務であり、企業がおこなった会計処理の正当性を証明するために欠かせません。

会計監査は主に実地での業務となります。

会計資料とおこなわれた処理の照合や、必要に応じて担当者や関係者へ口頭による確認をします。

結果をまとめた監査報告書を提出するまでが監査業務です。

 

独占業務である会計監査以外に、コンサルティング業務をすることもあります。

クライアントに対して、経営課題を解決するためのアドバイスやサポート業務をおこないます。

 

公認会計士の持つ高い専門知識や実務を通して得たノウハウは、コンサルティングにおいても有用です。

そのため監査業務だけでなくコンサルティング業務も請け負う監査法人は多いです。

国内4大監査法人(BIG4)とは

国内4大監査法人(BIG4)とは、以下の監査法人を指します。

 

  • EY新日本有限責任監査法人
  • 有限責任 あずさ監査法人
  • 有限責任監査法人トーマツ
  • PwCあらた有限責任監査法人

 

これらの監査法人はすべて、世界的に展開する大規模な会計事務所と提携しています。

監査法人といえばまずBIG4を思い浮かべる人は多いでしょう。

中小監査法人と比較した場合において、所属する人員数・売上・利益などあらゆる面における規模がかなり大きいです。

このように非常に大きな規模を持つ監査法人ではありますが、基本的な業務内容や監査の質における差は大きくありません。

 

どの監査法人に入っても、監査法人業界の基本的な業務を経験できます。

監査法人の年収

監査法人の年収は年代や規模によって大きく異なります。

年代別の平均年収は以下のとおりです。

 

  • 20代 600万円ほど
  • 30代前半 700万円代前半
  • 30代後半・40代前半 800万円前後
  • 40代後半以降 1,100万円ほど

 

日本全体の平均年収と比べてかなり高いことがわかります。

年齢が上がるにつれて平均年収も高まるのは他の業界とも共通していますが、専門性が高い分年収の上がり方も大きいです。

また、BIG4と中小監査法人でも違いがあります。

 

  • BIG4 800万弱
  • 中小監査法人 650万前後

 

規模が大きいほど平均年収が高い傾向です。

他の業界も大手企業のほうが年収が高い傾向にあるため、そのあたりはあまり変わりません。

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4大監査法人(BIG4)の業界地図

監査法人の業界地図ということで、今回はBIG4について取り上げました。

BIG4の収入やクライアント数など、さまざまな面から比較をします。

業務収入ランキングと業績推移

まずは業務収入ランキングと業績推移です。

2020年における監査法人別の業務収入や純利益を表にまとめました。

 

  EY新日本 あずさ トーマツ PwCあらた
業務収入(百万円) 99,296 100,493 108,718 48,735
営業利益(百万円) 375 1,805 256 2,865
営業利益率 0.4% 1.8% 0.2% 5.9%
当期純利益(百万円) 289 772 2,733 3,190
当期純利益率 0.3% 0.8% 2.5% 6.5%

 

監査法人は業務遂行によりクライアントから受け取る報酬額が大きいため業務収入額が高いですが、人件費もかなり膨大です。

そのほかにもシステム関連費用やセキュリティ費用などが大きいため、営業利益・当期純利益は小さくなります。

今回はBIG4のみを取り上げていますが監査法人の利益率は小さい傾向です。

 

法人ごとの過去3期における業務推移は以下のとおりです。

 

EY新日本

  2017/2018 2018/2019 2019/2020
業務収入(百万円) 98,941 99,296 102,005
営業利益(百万円) 1,822 375 419
営業利益率 1.84% 0.38% 0.41%
当期純利益(百万円) 237 289 258
当期純利益率 0.24% 0.29% 0.25%

 

あずさ

  2017/2018 2018/2019 2019/2020
業務収入(百万円) 97,121 100,493 105,970
営業利益(百万円) 484 1,805 2,452
営業利益率 0.5% 1.8% 2.31%
当期純利益(百万円) 1,369 772 985
当期純利益率 1.41% 0.77% 0.93%

 

トーマツ

  2017/2018 2018/2019 2019/2020
業務収入(百万円) 104,703 108,718 114,592
営業利益(百万円) 1,008 256 1,134
営業利益率 0.96% 0.24% 0.99%
当期純利益(百万円) 879 2,733 2,602
当期純利益率 0.84% 2.51% 2.27%

 

PwCあらた

  2017/2018 2018/2019 2019/2020
業務収入(百万円) 45,622 48,735 54,343
営業利益(百万円) 88 2,865 2,838
営業利益率 0.19% 5.88% 5.22%
当期純利益(百万円) 114 3,190 2,461
当期純利益率 0.25% 6.55% 4.53%

 

どの監査法人も収入額や利益率において、会計期間ごとに変動があることがわかります。

業務量や収入が安定しているというよりは変化が大きい業界といえるでしょう。

従業員数・有資格者数の比較

続いては各監査法人を構成する従業員数および公認会計士などの有資格者数の比較です。2020年におけるデータを用いています。

 

  EY新日本 あずさ トーマツ PwCあらた
社員数 537 592 573 157
社員比率 9.67% 9.44% 8.49% 5.13%
公認会計士および試験合格者の合計 4,132 4,384 4,365 1,650
公認会計士および試験合格者比率 74.40% 69.94% 64.64% 53.92%
従業員数合計 5,554 6,268 6,753 3,060

 

ここでいう社員とは出資者および業務執行権を有する人を指します。

一般企業の経営陣や役員に近いイメージです。

社員数および社員比率は規模の大きい法人のほうがやや高い傾向にあります。

 

こちらの表からわかるように、従業員すべてが公認会計士の有資格者および試験合格者とは限りません。

有資格者が過半数を占めるとはいえ、資格を持っていない人も監査法人で勤務しています。

 

無資格者は実地での監査業務よりは公認会計士のサポート業務が中心です。

クライアント数・売上単価

最後に監査法人ごとのクライアント数および売上単価を紹介します。

なおこちらはクライアントや得意とする分野によって大きく変わるため、あくまで参考程度としていただければと存じます。

こちらも2020年のデータです。

 

  EY新日本 あずさ トーマツ PwCあらた
クライアント数合計 5,957 5,768 6,380 2,445
業務収入合計(百万円) 102,005 105,970 114,592 54,343
1クライアントあたり業務単価(百万円) @17 @18 @18 @22
1クライアントあたり営業利益(百万円) @0.07 @0.43 @0.18 @1.14

 

どの法人も業務単価が2,000万円前後というように、監査法人がクライアントから受け取る報酬はかなり高額であることがわかります。

しかしBIG4のなかでも特に規模の小さいPwCあらたの単価がもっとも大きいことから、規模と単価にの間にはあまり関連性がないようです。

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監査法人業界の特徴

監査法人業界の特徴を紹介します。

業界の特徴や傾向について把握しておくことで、業界のイメージを掴みやすくなります。

時期を問わず多忙になりやすい

監査法人は時期を問わず多忙になりやすい業界です。

日本は3月決算の会社が多いため4月から5月にもっとも監査が集中します。

しかし四半期も業務が多く、決算期に関係なく入る業務や監査もあります。そのため繁忙期が存在するものの、基本的には多忙な時期が多いです。

 

とはいえ繁忙期や業務が集中した直後の時期は比較的落ち着いているため、長期休暇を取ることも可能です。

時期を問わず忙しくなりがちではありますが、落ち着いた時期がまったくないわけではありません。

高度な専門知識が必要

監査法人業界で仕事をするためには高度な専門知識が必要です。

公認会計士試験に合格するためには非常に難易度の高い試験に突破する必要があります。

監査法人への就職後も知識のアップデートのために勉強し続けることになるでしょう。

 

先述したように、資格を持たなくても監査法人で働く人は少なくありません。

しかし無資格者であっても仕事で活躍するためにはやはり高い専門知識が求められます。

大手監査法人ほどグローバル企業のクライアントが多い傾向

監査法人のクライアントにはさまざまな企業がいますが、規模の大きな監査法人ほどグローバルに展開するクライアントが多い傾向です。

BIG4は世界的に展開する大規模な会計事務所と提携しているということもあり、なおさらその傾向が強く出ています。

 

監査法人での業務は日本語で十分対応可能です。

しかし語学力があれば大手監査法人における活躍の幅が広がり、役職が上がるにつれ求められる語学力も高まります。

そのためグローバルな分野での活躍やハイペースな出世を希望するのであれば、語学力をつけると良いでしょう。

まとめ

監査法人業界は業務内容や社員構成などの特殊性が強い業界です。

公認会計士資格を取得した人は最初の就職先として監査法人を選ぶことが多いですが、ギャップの発生を防ぐためにも就職する前に業界の特徴などを把握しておく必要があります。

BIG4の比較で明らかになったように、業務収入や利益率・クライアント単価などは監査法人によって大きく異なります。

 

クライアントの特徴にも違いがあるでしょう。

より理想的な就職を実現するためには綿密な比較検討が大切です。

 

業界研究をすることで、公認会計士の勉強や転職活動に対するモチベーションアップが高まることが期待できます。

こちらの記事が助けになれば幸いです。

Profile レックスアドバイザーズ

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