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監査法人の離職率は非常に高く、7年以内で50%が離職すると言われています。
一般企業ではありえない高さです。
なぜこんなに離職率が高いのでしょうか?
その理由を解説します。
監査法人の離職率は7年以内で50%以上
辞める1つめタイミング:修了考査後
監査法人の離職率の高さは先ほどお話しましたが、公認会計士が監査法人から転職するタイミングはいくつかあります。
まず1つ目は、修了考査後のタイミングです。
公認会計士を目指している方は、論文試験に合格後、実務経験を積むために監査法人で会計士補として就職するのがほとんどです。
監査法人で実務経験2年と実務補習で必要単位取得を経て修了考査に合格し、晴れて公認会計士として登録ができます。
この修了考査後に離職する人がいます。
離職の理由としては、他の監査法人への転職や、一般事業会社への転職が主な理由となります。
辞める2つめタイミング:入社7年目
次に辞めるタイミングとしては入社7年前後です。
監査法人では、早ければマネージャーになっているか、マネージャーに昇格する直前ぐらいです。
この頃には、同期の半数程度が退職している状態です。
いくつかの会社で主査を務め、様々な調整とマネジメントの業務が増えて来ます。
主査を務めると、計画立案や意見形成など今まで経験できなかった業務を担当することになるので、業務のやりがいも出てきます。
それと同時に、想像以上の責任が重くのしかかってくるため、業務内容と責任とのバランスがとれずに離職する人も少なくありません。
近年では、上場企業での粉飾決算などが目立ちます。
自分の担当するクライアントで粉飾決算などがあった場合、調査など非常に多くの時間と労力を費やした後に、責任をとって辞める公認会計士もいます。
辞める3つめタイミング:入社20年目
最後に、監査法人20年程度のタイミングがあります。
監査法人でのポジションとしては、パートナーでなければベテランのシニアマネージャーなどになっている段階です。
この段階だと、監査法人内でも顔も知られている立場になっています。
一見辞める理由がなさそうですが、20年が経過すると、独立志向の方は準備をしていきます。
監査法人でさまざまな経験を積み、信頼を得て、ほかの道を選択するタイミングです。
事業会社の役員クラスへの転身もありますが、税務会計業務やコンサルティング業務、アドバイス業務を自ら行おうと考える人も多いのです。
監査法人で20年勤務していれば、独立しても十分な経験を積んでいますので、このタイミングで独立にキャリアプランの舵を切る方も少なくありません。
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監査法人の離職率が高い理由
①監査法人の激務
監査法人の業務は、激務と言われています。
監査法人の監査は非常に重要で責任を求められる業務です。
監査業務は、上場企業が作成した決算書類の数値が正しいかを確認します。
この決算数値を有価証券報告書で開示することで、投資家はその企業に投資するかを判断します。
仮に企業が数値を良く見せるために粉飾決算を行い、監査法人がそれを見抜けなかった場合、企業にももちろん責任はありますが、監査法人にも責がないわではありません。
以上のことから、監査法人の監査業務というのはそれだけ重い業務であり、時間を費やす必要があることがわかります。
近年では、AIやIT化に伴い業務効率は上昇したものの、IFRS導入、新収益認識基準、KAMの導入など監査法人の業務は増えることが見込まれます。
②年収と責任範囲
監査法人は、責任範囲や重さとともに年収も増加します。
監査法人の平均年収は900~1,000万円前後になります。
年代別に見てみると20~30代で500~600万円、30~40代で700~800万円、40代以上で800~1,000万円以上という形になります。
一般の企業と比較すると年収は高い部類になります。
当然、公認会計士という資格の難しさもありますが、それ以上に責任の重さがあります。
前述で記載した通り、監査法人の業務は監査がメインです。
入所当初の20代であれば良いですが、30代以上の主査を務めるようになると、小さなミスでも大きな問題になることもあります。
こういった年収と責任は必ずしも正比例しないため、離職率増加の原因となっています。
③独立志向
公認会計士が独立する場合は、監査法人の監査業務ではなく、税務と中心とした会計事務所開業するパターンがほとんどです。
これは、会計事務所のクライアントが関係しています。
会計事務所のクライアントの大半は、中小企業や個人事業主です。
中小企業や個人事業主は、監査法人のような監査業務を求めておらず、いかに経営を健全化し、会社を成長させるかという目的を持っています。
もともと公認会計士の志望理由に「日本の中小企業の発展に貢献したい」という内容が多くあり、チェックが主となる監査よりも、もっとクライアントに寄り添う仕事をしたいという思いを募らせることがあります。
このことから、税理士登録をして会計事務所を開くことを目標とする会計士も多いのです。
監査法人の年収はかなり高いですが、努力次第で監査法人時代の年収を超えることも不可能ではないため、離職の要因の1つとなっています。
監査法人の離職率と退職後の選択肢
①上場企業への就職
監査法人を離職したあとの選択肢として、一般企業への転職があります。
一般企業といっても、多くは上場企業や、IPOなどの上場前準備会社に転職することが多いです。
特に上場準備会社では、上場にあたって経理体制や仕組み再構築するため公認会計士等の知識や経験が必要不可欠となります。
ただし、多くはスタートアップやベンチャー企業のため、年収は低く抑えられることがほとんどです。
上場によるストックオプション、上場後の成長による年収アップを自分で判断する必要があります。
②コンサルティング会社への就職
公認会計士の業務は、その専門性から経営などの知識も有しています。
そのため、監査法人離職後の選択肢としてコンサルティング会社があります。
コンサルティング会社は、上場企業を中心とした大手のクライアントを多数保有しているため、公認会計士の知識や経験は重宝されます。
近年では、後継者問題などによる事業承継やM&Aが中小企業でも活発でであるたため、公認会計士の需要はますます増加される事でしょう。
③独立・フリーランス
監査法人離職後の選択肢として、独立・フリーランスがあります。
独立については前述でも説明しましたが、公認会計士の経験プラス税務の知識が必要になります。
監査法人の業務でも税務は関係しますが、より実務に沿った知識が必要になり、完全な未経験では難しいのが現状です。
また、独立直後にクライアントがすぐにつくわけでもないので、営業力やコミュニケ―ションなどのスキルも必要になるため、決して低いハードルではありません。
独立の前に税理士法人や会計事務所で経験を積む会計士が多くいます。
独立することで、自分の年収やワークバランスの調整ができ、業務内容も大きく変わる点は魅力です。
まとめ
監査法人への就職は、公認会計士への道の第一歩ですが、それ以降のキャリアプランはさまざまです。
離職後は、一般企業、コンサルティング会社、独立など選択肢は多くあります。
それは、公認会計士という資格が、税理士登録が可能であり、独立性の高い資格であることが要因でもあります。
また、公認会計士という専門的な知識や経験は一般企業やコンサルティング会社でも非常に重宝されます。
離職することが正解ではなく、監査法人で働き続けることも1つの選択肢です。
大切なのは、自分自身のキャリアプランをどのように考えているか、その選択は最終的に目指す場所につながっているかをゆっくりと考えることです。
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