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公認会計士試験に独学で合格するのは可能なのでしょうか?
公認会計士試験の受験を考えている人は主なパターンは、現在大学生、仕事をしながらの受験を考えている、あるいは仕事を辞めて受験に専念しようと考えている方の3つでしょう。
学校に通うと、どうしても費用がかかります。
どんな方法が望ましいか、個人の事情によっても変わってくるものです。
公認会計士試験は独学で合格可能なのか、勉強法やテキストについて含めて解説します。
公認会計士試験に独学で合格?:公認会計士試験について
公認会計士試験に独学で合格するのは可能かを考える前に、公認会計士試験について簡単に説明します。
一般的に公認会計士試験と呼ばれるのは、公認会計士短答式試験と論文式試験のことを指します。
正式に公認会計士となるには、論文式試験に合格後、3年間の実務経験と実務補習所での単位取得の後、修了考査と呼ばれる試験に合格しなければなりません。
公認会計士を目指す場合のハードルは、公認会計士試験の短答式試験と論文式試験をいかにクリアするかという事にあります。
修了考査の合格率は70%前後。
また、 監査法人勤務の場合は、試験準備のための休暇も取得できるなど、修了考査合格のハードルはそこまで高くはありません。
公認会計士短答式試験
公認会計士短答式試験は通常5月と12月の年2回実施されます。
科目は、
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
の4科目で、試験方法はマークシート方式です。
短答式試験合格後は2年間に限り、短答式試験が免除されます。
公認会計士論文式試験
短答式合格後、8月に記述式の論文式試験があります。
論文式試験は、
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
- 租税法
の必須5科目(「財務会計論」「管理会計論」は「会計学」という1科目扱いになり、正式には4科目となります)
それに加えて
- 経営学
- 経済学
- 民法
- 統計学
の中から、1科目選択となります。
短答式・論文式と2段階の試験であり、科目数も多いため、膨大な勉強量が必要な試験です。
それだけに得るものも大きいでしょう。
公認会計士試験の勉強時間についてはこちらもご覧ください。
公認会計士を独学で目指すのは無理?
結論として、完全に不可能とは言い切れませんが、難しいといえるでしょう。
試験合格に向けて、いくつかのルートがありますが主な方法は予備校に通うことです。
税理士試験は独学で合格する人もそれなりに多いイメージがあるのになぜ、と思うかもしれません。
大きな違いは、短答式の科目合格による免除制度が2年間しかないことが挙げられます。
税理士試験は、一度合格した科目はもう受験しなおす必要がありません。
そのため、公認会計士試験は遠回りや一休みが許されず、短期決戦と言われます。
学校に通う費用と独学における負担を天秤にかけ、費用をとる人が多い傾向です。
合格へのルートについてはこちらの記事もチェック
公認会計士合格の最短ルートは?早期合格のためのコツなど解説!
公認会計士試験合格者の主な勉強法
公認会計士受験予備校に通う
公認会計士試験の予備校を利用する場合、大手では1年半~2年のコースで、約70万~80万円ほどの授業料がかかります。
実際にはこれに加えて、模試の費用や交通費、参考書代などが必要です。
総額では100万円を超えることも珍しくありません。
さらに、公認会計士の受験に必要な範囲の講義を一通り受講するには、最短で1年半かかりますが、この時点で合格可能なレベルまで仕上がっている受講生はほんの一握りです。
公認会計士の勉強を始めて、1年半~2年後に初めて本試験を受けますが、この時点ではほとんどの学生は試し受験のレベルで、実際に合格するのはそれから1~2年後からという長丁場です。
その間の、追加で掛かる模試の費用などを考えると、かなりの覚悟は必要です。
ただし、現実には、公認会計士合格者のほとんどの方は、これらの大手予備校出身者です。
高い費用を支払っても、それを超えるメリットがあるから、ということでしょう。
まず、簿記や会計の知識のない初心者が、一から理解できるように、テキストや講義が組み立てられているので、学生は授業を理解し、繰り返し問題演習をするだけで効率よく学習できるのです。
公認会計士合格までには、早慶レベルの人でも4~5年かかるのが一般的であることから、合格までの時間を短縮出来ることは、大きなメリットとなるのです。
公認会計士試験の通信教育を利用する
通信教育を利用した場合、例えばクレアールでは40万円台と、通学に比べて費用は抑えられますが、その他の大手予備校の通信講座では、50万円台~60万円台と費用的な差はそれ程大きいとは言えません。
通信講座を利用するメリットは、自分の空き時間を利用して、自分のペースで効率よく勉強出来ることです。
働きながら勉強しなくてはならない、社会人の方が公認会計士を目指すには、通信講座が便利といえるでしょう。
働きながら公認会計士を目指す方はこちらの記事もご覧ください。
公認会計士を独学で目指す
上記の方法を検討した上で、それでも独学で公認会計士を目指したいと考えるのであれば、相当の意志力が必要なことを覚悟のうえで臨む必要があります。
もっとも、予備校の通学講座に大金を払い、最後までやり遂げる覚悟で臨んでも、1年から2年後の講座修了までには、ほとんどの学生が挫折して予備校から消えていきます。
であるならば、予備校に通うかどうか迷っているレベルであれば、まず市販のテキストで独学でスタートしてみるのも良いかもしれません。
その手応えによっては、最初から試験自体を諦めるという選択肢もあるでしょうし、独学では無理だと感じるかもしれません。
試験慣れしている方で、独学でも何とかなるという手応えがあるのであれば、どの様な教材で学ぶかなど、しっかりとした情報収集の上で、挑戦してみる価値はあります。
公認会計士試験に独学で合格できる?:公認会計士試験の難易度
公認会計士試験の合格率
公認会計士試験の最終的な合格率は10%前後となります。
しかし、この合格率というのは、実際に本試験を受けた人数を分母としています。
公認会計士を目指し、予備校に通うなどして勉強し始めても、そのハードさに、かなりの人数の学生が本試験を受けることなく試験を諦めていきます。
ですから、公認会計士の試験会場には、生半可な受験生は殆どいません。その中での合格率10%という数字は、実はとてもハードな数字なのです。
簿記1級の合格率は、10%を割ることもありますが、公認会計士の短答式試験に受からないレベルでも、公認会計士の勉強している人なら簿記1級には楽に受かります。
短答式試験の合格率は30%前後ですから、公認会計士の合格の難しさは想像いただけると思います。
公認会計士試験合格に必要な勉強時間
合格に必要な勉強時間の目安については、3000時間という人から5000時間という人まで様々ですが、各人の能力の差やどの程度集中して勉強を続けられるかなどによっても変わってきますので、一概には言えません。
一日の大半を勉強に使えるのであれば、5時間~10時間、またはそれ以上の時間をかけたと言う人もいます。
仕事をしながら勉強する場合など、そこまでの時間はかけられないと思いますが、可能な限り時間を作り、空いた時間は全て勉強にまわす覚悟が必要です。
勉強時間についてはこちらの記事もチェック→
公認会計士試験に独学で受かる可能性の高い人
公認会計士試験の合格が難しいのは、一つ一つの問題が解けないほど難問だからというよりも、出題範囲が非常に広範囲であること、そして単純に暗記すれば解ける問題ではなく、応用力が必要とされることにあります。
ですから、まるきり知識のない状態で始めるのは困難でも、例えば簿記の知識は1級程度あるとか、経済学、または会社法や民法の知識はそこそこあるとか、という場合なら、勉強範囲がそれだけ少なくて済むので、独学での合格可能性も増えます。
また、試験勉強慣れしていて、それぞれの教科の核となる要素を掴むのが得意という方も、独学で受かる可能性の高い人といえます。
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公認会計士を独学でめざすメリットとデメリット
公認会計士を独学で目指すには、メリットとデメリットが存在します。
ここでは、もう一度整理して考えてみましょう。
公認会計士を独学でめざすメリット
公認会計士を独学で目指すメリットは、予備校の高額な学費を払わなくて済むので、何といっても費用が安いことです。
また、自分の都合の良い時間に自分のペースで勉強できるので、時間の無駄がないことも大きなメリットです。
さらに、予備校では励まし合える仲間の存在が大きなメリットでもありますが、予備校の仲間はイコールライバルでもあります。
ライバルの存在がストレスになる人には予備校はむかないかも知れません。
公認会計士を独学でめざすデメリット
公認会計士を独学で目指すデメリットは何といっても、独学は効率性に劣ることです。
予備校では授業内容もテキストも、講師陣が合格率を上げるために考え抜いて作っていますから、受験生はその内容に沿って勉強すればよくなっており、時間を効率的に使えます。
公認会計士試験の試験員対策までするのは、独学では難しいこともあり、独学ではどうしても情報不足になりがちです。
費用対効果
費用対効果を考えると、多くの人は、独学で公認会計士試験を目指すよりも、予備校へ通うか、通信講座を利用することを考えるようです。
しかし、費用的にどうしても厳しいという場合には、相当な覚悟とスケジュール管理の下、独学を選択する方もいるかも知れません。
その場合でも、出来れば、テキストは予備校のものを入手することをお勧めします。
予備校のテキストはすぐれものです。
制度や法令の改廃などにも即時に対応していますし、試験の傾向などの分析も専門の講師がしっかりと対策しているのは心強い限りです。
ですので、もし合格直後の知り合いのにテキストを譲ってもらえるならばそれに越したことはないですし、身近にいなければ、メルカリなどで手に入れば便利です。
但し、その場合には、あくまでも直近のテキストに限ります。
法令などが変われば、内容も大きく変わる可能性があります。
試験の免除制度についてはこちらもチェック
公認会計士を独学で目指すために必要なこと
時間の管理
公認会計士合格までには、相当な時間数の勉強が必要になってきます。
大学生であるなら、大学の授業との両立が必要でしょうし、社会人であれば仕事との両立の必要があるでしょう。
公認会計士試験合格のためには、僅かな時間も無駄にしない、時間の徹底した管理が必要になってきます。
メンタルの維持
予備校に通う大きなメリットは、授業やテキストだけではありません。
合格の保証のない中で、膨大な時間を勉強に費やし、その間なかなか手応えらしきものも得られず、コツコツとひたすら勉強する毎日は、相当の忍耐力が必要になります。
ほとんどの人が一度は挫折しかけ、辞めようかと悩むことがあります。
そんな時、一緒に勉強する仲間の存在は、大きな励みになります。
独学の場合、時に弱音を吐いたり、愚痴を言い合ったり、励まし合ったりする仲間がいません。
数年に及ぶ受験勉強にあっては、これは意外にキツイことです。
公認会計士試験に独学で臨むと決心するのであれば、メンタルの管理には十分気をつけてください。
情報収集能力
予備校では、法令や制度の改廃、試験の傾向など、受験に必要な情報は収集してくれるので、自分は勉強だけに集中できますが、独学の場合はそういうわけにはいきません。
公認会計士の試験勉強では、全ての範囲を均一に勉強すれば良いわけではなく、重要度やその年の傾向によって、力を入れて対策する必要がある内容があります。
そういった情報を、自分で収集出来る能力も必要となります。
答案練習会への参加
公認会計士試験を独学で勉強する場合にも、どこかの予備校の答案練習会には参加することをお勧めします。
ある程度仕上がってきたときこそ、実践力をつけるべきです。
本番に備えることができます。
公認会計士の年齢に関する記事はこちら
公認会計士試験に合格後、公認会計士として就職するには
公認会計士試験に合格したらいよいよ就職です。
試験に合格したからといってすぐに会計士に登録できるわけではありません。
3年間の実務経験が義務付けられています。
登録に必要な業務補助等証明書を発行するのは就職先ですので、重要な決め手となります。
どういった選択肢が存在するのでしょうか。
論文式試験合格後に監査法人に就職が一般的
3年間の実務経験にくわえ、公認会計士になるには補習所で所定の単位を取ったのち、終了審査を受け合格する必要があります。
それゆえに勤務と通学、さらなる勉強を両立させることが不可欠です。
多くの論文試験合格者は、一般的な方法として、監査法人で実績を積みます。
理解と協力が得られる監査法人は、論文試験合格者にとって適している職場です。
ただし、監査法人でなければ実務経験が認められないわけではありません。
条件を満たしていれば他の職場でも問題ないですが、漏れや不承認などを防ぐ意味でも、監査法人が一般的です。
試験合格者の就職活動についてはこちらもご覧ください。
監査法人への就職活動
それでは、監査法人への就職にはどのような活動をすれば良いのでしょうか。
採用には2種類あります。
- 定期採用……いわゆる新卒採用のような、時期を決めて一斉に行われる採用
- 通年採用……1年を通じて行われている中途の採用枠。経験者や社会人を対象とした採用
定期採用は会計士試験が終わってからがスタートです。
まず合格発表前に、各監査法人で説明会が開催され始めます。
受験者の希望などをやり取りできる個別相談会も行われているので、気になる監査法人があったら積極的に参加しておくことがポイントです。
合格発表当日から、採用の勝負は始まっています。
自分の合格を確認したら、その日のうちにエントリーしましょう。
スタートダッシュはとても大切です。
監査法人によっては、同日に選考会を兼ねた説明会を行うところもあります。
BIG4のような外資系、大手から、中小規模の監査法人まで、とにもかくにも一斉に採用が始まることが特徴です。
また、合否が出るのも早く、即日なことがほとんど。
内定を承諾する期限に関しても、数日程度であり、1週間の猶予があれば珍しいほどです。
「応相談」としている監査法人もありますが、飽くまでスピードが最優先です。
監査法人への就職を成功させるポイント
先ほど述べたように、監査法人への採用から内定まではトータルでも二週間程度。
時間に追い立てられる短期決戦です。長く大変だった会計士試験を終えて解放感に包まれるかもしれません。
しかし、そこで終わりではなく、むしろ始まりです。
合格発表後、当日中にエントリーを済ませ、説明会に参加しましょう。
また、一度選考を受け始めたら、どの監査法人にしようかと迷い考える時間は残されていません。
そのため、9月から始まる各監査法人の説明会に出席し、情報を集めておく必要があります。
受けるのはほぼ本命だけ、というのが、公認会計士の定期採用です。
論文試験があまりに不出来だったという場合をのぞいて、説明会に参加して、情報収集はしておくべきです。
後悔のない就職をめざして、事前準備をしっかりしておきましょう。
まとめ
結論として、公認会計士に独学で合格できるかは、当人の努力と戦略次第です。何よりもまず、公認会計士試験についてしっかりと知ることが大切になります。
公認会計士試験はきわめて難関の試験です。
独学をするにしても、他の選択肢があることを常に意識しておくことをおすすめします。
時間の管理、メンタルの維持、情報収集能力の3つは、独学で学ぶことにおいても重要です。
また、試験が終わってもそれで解放されるわけではありません。
むしろこれからが始まりと考えましょう。
採用試験は合格発表直後で、約一週間程度の短期決戦です。こうしたことも視野に入れ勉強すれば、本番で慌てるリスクを軽減できます。
難関資格である公認会計士試験ですが、そのぶんやりがいがあり、合格した時の喜びははかりしれません。
独学ならば尚更でしょう。
ぜひ、採用を見据えながらがんばってください。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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