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公認会計士試験は合格基準が定められているものの、実質的には相対評価の試験です。
そのため開催回による合格率や得点率の違いはあまり大きくありません。
公認会計士試験に対するイメージを深めるためには、過去の合格率や平均得点比率、そこから読み取れる難易度などについて知っておくことが大切です。
本記事では公認会計士試験の合格率や難易度について詳しく解説します。
令和5年、令和6年公認会計士短答式・論文式試験の合格率・得点率は?
まずは直近で行われた試験である、令和5年、令和6年の公認会計士試験の合格率および得点率を紹介します。
※令和6年8月20日時点において令和6年分の論文式試験合格者発表はまだおこなわれていないため、論文式試験は令和5年分のみ取り上げています。
まずは短答式試験の合格率です。
|
答案提出者数 |
合格者数 |
合格率 |
【参考】合格基準 |
令和5年第Ⅰ回試験 |
11,401人 |
1,182人 |
10.4% |
総得点の71%以上 |
令和5年第Ⅱ回試験 |
10,429人 |
921人 |
8.8% |
総得点の69%以上 |
令和6年第Ⅰ回試験 |
12,100人 |
1,304人 |
10.8% |
総得点の75%以上 |
令和6年第Ⅱ回試験 |
11,003人 |
1,041人 |
10.6% |
総得点の78%以上 |
なお、科目別の平均得点比率は以下の通りです。
|
財務会計論 |
管理会計論 |
監査論 |
企業法 |
令和5年第Ⅰ回試験 |
49.7% |
40.3% |
53.4% |
39.6% |
令和5年第Ⅱ回試験 |
45.5% |
34.5% |
54.8% |
45.4% |
令和6年第Ⅰ回試験 |
46.7% |
43.1% |
59.1% |
53.0% |
令和6年第Ⅱ回試験 |
48.1% |
49.1% |
57.4% |
51.5% |
短答式試験の合格基準は「総得点の〇%以上を取得した者」と定められています。
年によって多少の変動がありますがおおむね70%程度です。
ただし、公認会計士試験の短答式試験は科目ごとの足切り制度があります。
以下の2つに該当する場合、総得点における基準を超えていても不合格になる仕組みです。
- 得点率が40%未満の科目がある
- 答案提出者の下位からさかのぼって33%の人数に当たる者と同一の得点に満たない
各開催回の合格率および平均得点比率は、公認会計士・監査審査会公式サイトで公開されている「試験結果の概要」で確認可能です。
続いて、令和5年の公認会計士論文式試験の合格率を紹介します。
論文式試験受験者数 |
論文式試験合格者数 |
論文式試験合格率 |
【参考】合格基準 |
4,192人 |
1,544人 |
36.8% |
52.0%以上の得点比率を取得 |
論文式試験の合格基準も年によって多少の変動がありますが、おおむね50%程度です。
ただし、1科目でも得点比率が40%未満の科目があると不合格になります。
なお、論文式試験の科目ごとの平均得点比率は、試験結果の概要において公開されていません。
直近5年間の公認会計士短答式・論文式試験の合格率・得点率
続いて直近5年間の公認会計士試験の合格率・得点率について、短答式試験・論文式試験それぞれ紹介します。
まずは短答式試験の合格率です。
開催年度・回 |
合格率 |
令和6年第Ⅱ回 |
9.5% |
令和6年第Ⅰ回 |
10.8% |
令和5年第Ⅱ回 |
8.8% |
令和5年第Ⅰ回 |
10.4% |
令和4年第Ⅱ回 |
7.9% |
令和4年第Ⅰ回 |
12.1% |
令和3年第Ⅱ回 |
中止 |
令和3年第Ⅰ回 |
21.6% |
令和2年第Ⅱ回 |
12.9% |
令和2年第Ⅰ回 |
15.7% |
第Ⅰ回よりも第Ⅱ回の方が合格率は低めの傾向がみられます。
各回の科目別の平均得点比率は以下の通りです。
開催年度・回 |
財務会計論 |
管理会計論 |
監査論 |
企業法 |
令和6年第Ⅱ回 |
48.1% |
49.1% |
57.4% |
51.5% |
令和6年第Ⅰ回 |
46.7% |
43.1% |
59.1% |
53.0% |
令和5年第Ⅱ回 |
45.5% |
34.5% |
54.8% |
45.4% |
令和5年第Ⅰ回 |
49.7% |
40.3% |
53.4% |
39.6% |
令和4年第Ⅱ回 |
46.5% |
48.7% |
52.2% |
43.4% |
令和4年第Ⅰ回 |
44.1% |
47.1% |
53.9% |
46.1% |
令和3年第Ⅱ回 |
中止 |
|||
令和3年第Ⅰ回 |
47.0% |
40.9% |
52.3% |
47.8% |
令和2年第Ⅱ回 |
43.7% |
46.0% |
52.2% |
43.5% |
令和2年第Ⅰ回 |
33.8% |
34.5% |
48.2% |
44.2% |
論文式試験の合格率は以下の通りです。
開催年度 |
合格率 |
令和5年 |
36.8% |
令和4年 |
35.8% |
令和3年 |
34.1% |
令和2年 |
35.9% |
令和元年 |
35.3% |
短答式試験の合格率の推移
短答式試験の合格率の推移について、直近5年分の結果から確認してみましょう。
開催年度・回 |
合格率 |
令和6年第Ⅱ回 |
9.5% |
令和6年第Ⅰ回 |
10.8% |
令和5年第Ⅱ回 |
8.8% |
令和5年第Ⅰ回 |
10.4% |
令和4年第Ⅱ回 |
7.9% |
令和4年第Ⅰ回 |
12.1% |
令和3年第Ⅱ回 |
中止 |
令和3年第Ⅰ回 |
21.6% |
令和2年第Ⅱ回 |
12.9% |
令和2年第Ⅰ回 |
15.7% |
毎年10%前後で大きな違いはありません。例外として、令和3年第Ⅰ回試験は合格率が20%を超えました。
また、毎年第Ⅰ回よりも第Ⅱ回の方が合格率が低めとなっています。
【科目別】短答式試験の平均得点比率
直近5年分の短答式試験の平均得点比率は以下の通りです。
開催年度・回 |
財務会計論 |
管理会計論 |
監査論 |
企業法 |
令和6年第Ⅱ回 |
48.1% |
49.1% |
57.4% |
51.5% |
令和6年第Ⅰ回 |
46.7% |
43.1% |
59.1% |
53.0% |
令和5年第Ⅱ回 |
45.5% |
34.5% |
54.8% |
45.4% |
令和5年第Ⅰ回 |
49.7% |
40.3% |
53.4% |
39.6% |
令和4年第Ⅱ回 |
46.5% |
48.7% |
52.2% |
43.4% |
令和4年第Ⅰ回 |
44.1% |
47.1% |
53.9% |
46.1% |
令和3年第Ⅱ回 |
中止 |
|||
令和3年第Ⅰ回 |
47.0% |
40.9% |
52.3% |
47.8% |
令和2年第Ⅱ回 |
43.7% |
46.0% |
52.2% |
43.5% |
令和2年第Ⅰ回 |
33.8% |
34.5% |
48.2% |
44.2% |
年によって多少の変動はあるものの、40〜50%程度となっています。監査論の平均得点比率が比較的高めです。
論文式試験の合格率
過去5年分の論文式試験の合格率は以下の通りです。
開催年度 |
合格率 |
令和5年 |
36.8% |
令和4年 |
35.8% |
令和3年 |
34.1% |
令和2年 |
35.9% |
令和元年 |
35.3% |
短答式試験の合格率に比べ、論文式試験の合格率は年による違いがあまり大きくありません。
毎年35%前後となっています。
なお、合格率そのものに大きな違いはありませんが、受験者数および合格者数は以下のように推移しています。
開催年度 |
受験者数 |
合格者数 |
令和5年 |
4,192人 |
1,544人 |
令和4年 |
4,067人 |
1,456人 |
令和3年 |
3,992人 |
1,360人 |
令和2年 |
3,719人 |
1,335人 |
令和元年 |
3,792人 |
1,337人 |
令和3年から令和4年、令和4年から令和5年は、前年に比べて受験者数も合格者数も増えています。
受験者数の増加に比例して合格者数が増えているため、合格率は毎年安定しているという仕組みです。
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公認会計士は合格率が低い?
公認会計士試験の合格率は開催回によって異なるものの、おおむね以下のようになります。
試験の種類 |
合格率 |
短答式試験 |
10%前後(7~16%程度) |
論文式試験 |
35%前後(34~37%程度) |
論文式試験の方は極端に合格率が低いわけではありませんが、論文式試験を受けるにはまず短答式試験に合格する必要があります。
令和5年度試験の最終合格率は7.6%と非常に低い水準でした。
短答式試験・論文式試験・最終合格率、どの面から考えても公認会計士試験の合格率は非常に低いといえるでしょう。
公認会計士と税理士等の合格率を比較
公認会計士試験と比較されることの多い税理士試験、難関といわれる国家資格試験、同じ会計系の資格試験の合格率(めやす)を比較した結果が以下の通りです。
資格 |
合格率 |
公認会計士 |
7.6% |
税理士 |
15~20%程度 ※科目ごとの合格率 |
簿記1級 |
5~15% |
行政書士 |
8~16% |
社労士 |
5~7% |
司法書士 |
4~5% |
公認会計士試験の合格率が、他の難関資格と比較して極端に低いわけではないとわかります。
なお、合格率はあくまでも基準の1つであり、合格率だけで難易度の判断ができるわけではありません。
たとえば司法書士試験や社労士試験は公認会計士試験よりも合格率が低いものの、公認会計士よりも難易度が高いと判断するのは早計です。
難易度の比較をする際は合格率だけでなく、勉強時間や試験範囲、出題科目など複数の基準を用いましょう。
公認会計士の合格率が低い理由
公認会計士試験の合格率が低い理由として大きく2つが挙げられます。
1つ目は専門性が高いことです。
公認会計士は会計分野のトップといえる資格であり、業務においても高度な専門知識が必要な場面が多く存在します。
そのため、公認会計士になるためには会計に関する高度な専門知識が必要です。
高い専門性が求められる以上試験の難易度も高くなるため、必然的に試験の合格率も低くなります。
2つ目は範囲が広く勉強するべき内容が多いことです。
公認会計士は専門性が高い上に、短答式試験で4科目、論文式試験では5科目出題されます。
いずれの科目も出題範囲が広く、覚えるべきことの量も多いです。
このように公認会計士試験では広く深い知識が問われるため、合格率は低くなります。
関連記事:公認会計士の難易度が高い理由を解説!
公認会計士試験に合格するための勉強法は?
公認会計士試験に合格するために押さえるべき勉強のコツを3つ紹介します。
1つ目は勉強の進め方について計画を立てることです。
公認会計士試験に向けて勉強するべき内容は非常に多いため、計画をせずやみくもに勉強すると以下のような恐れがあります。
- 試験範囲が終わらない
- 勉強のペースを把握できない
- 先の見通しが立たず、モチベーションを維持できない
公認会計士試験に向けた勉強は長期戦になるため、最初にスケジュールを立てることは必須といえるでしょう。
2つ目はわからない部分は放置せず解消することです。
できない部分が残ったままでは、その分試験で解けない問題のリスクが高くなります。
得点率を少しでも上げるため、なるべく多くの問題を解ける状態にする必要があります。
3つ目は問題演習等で自分の実力を確認することです。
問題演習をしなければ、自分の実力と合格レベルまでの距離を把握できません。
また、試験本番の練習をするという意味でも、問題演習は必須といえます。
公認会計士に向いている人は?
公認会計士に向いている人の特徴を2つ紹介します。
1つ目はリーダーシップがある人です。特に、企業の責任者となる公認会計士に求められる能力といえます。
公認会計士は責任ある立場のため、高いマネジメント力や強い責任感、人を率いる力などが必要です。
プレッシャーに強くリーダーシップのある人は、公認会計士に向いている可能性が高いでしょう。
2つ目はコミュニケーション能力が高い人です。
公認会計士の独占業務である監査はチームで行うケースが多くみられます。
また、監査対象のクライアントとコミュニケーションを行う場面も多く発生します。
スムーズな業務のためにはコミュニケーションが必須となるため、高いコミュニケーション能力があるのが理想です。
関連記事:公認会計士向きの性格や適性を解説!
まとめ
公認会計士試験の合格率は、短答式試験が10%前後、論文式試験が35%前後と非常に低い数値です。
合格率が低いのは、求められる専門性の高さや試験範囲の広さが理由として挙げられます。
公認会計士試験に合格するためには、試験に対する理解を深めた上で、効率的かつ確実な勉強を行うことが必須です。
今回紹介した内容を押さえ、公認会計士試験の合格に向けた勉強を進めましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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