転職お役立ち情報
多くの企業や事務所はなんらかの問題を抱えており、解決までに苦労を要していることがほとんどです。
なかには事業や運営が上手くいっていないものの、何が問題なのかすらわかっていないというケースも存在します。
企業や事務所が抱える問題はどこも一緒であるとは限りませんが、ある程度似ているケースが多いのも事実です。
そのため問題の傾向について把握しておくだけでも、課題解決のヒントを掴める可能性があります。
この記事では会計事務所が抱えている課題や、比較的ハードルが低いと考えられる対策について解説します。
会計事務所における課題とは
まずは会計事務所が抱えがちな課題を紹介します。
会計事務所の持つ性質上、今回紹介するような課題はどうしても発生しやすくなってしまいます。
人材不足
大きな課題のひとつが人材不足です。
より正確に表現すると、会計事務所の多くが求める即戦力となる人材が需要に対して足りていません。
中小以下の規模である会計事務所で特に見られる傾向ですが、これらの会計事務所は業務量に対する従業員の数が足りていない・研修や指導体制が整っていないことが多いです。
そのため未経験やそれに近い人を採用できる余裕がないのですが、即戦力となる人材からの応募は決して多くありません。
研修や指導ができないため未経験者の採用は難しく、かといって経験者からの応募は少ないため、人が増えにくく人材不足に陥りがちです。
差別化の難しさ
会計事務所は差別化が難しいというのも大きな課題です。
会計事務所でおこなう業務は基本的にどこも似た傾向にあります。
主な業務例は以下のとおりです。
- 記帳代行
- 給与計算
- 決算申告書・確定申告書作成
- 税務署提出用書類の作成
- 税務相談やコンサルティングなど
業務内容が同じである以上、他の部分で差別化することになります。
方法として業界特化や国際税務などの業務特化対応などがありますが、これまでの業務形態を大きく変えるのであれば非常に負担が大きいです。
差別化が難しいためアピールが難しく、新規クライアントの獲得や人材採用などで大変な思いをしてしまいます。
AIの発達による業務内容の変化
近年はAIが非常に発達しており、会計事務所の業務内容も変化しつつあります。
その流れに乗りつつ、変化へ対応するのに難しさを感じている会計事務所が少なくありません。
たとえば先ほども挙げた記帳代行は、会計ソフトの発達により簿記の知識がなくても進められる部分が増えました。
難しい内容は調べたり専門家へ聞いたりする必要があるものの、自社で会計入力をする自計化を進める企業が増えています。
AIの発達がめざましい分野、つまり記帳仕訳などの会計業務代行を強みとしていた会計事務所は、そのままの体制で居続けることはできません。
そうでない会計事務所もAIの発達によって求められる対応があります。
時代や技術発達の流れに合わせるという大変な対応も、会計事務所における課題です。
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会計事務所の人材面における課題を解消させるには
会計事務所の課題解消について具体的に考えていきます。まずは人材面における課題から取り上げましょう。
人数を増やすのが一番だが……
人材面の課題を解消させるもっとも効果的な手段は、スタッフの人数を増やすことです。
しかし提案するのは簡単ですが、次のような理由から人数を増やすことは難しいでしょう。
- そもそもの志望者数が少ない
- 採算をとるのが難しい
- 組織体制を変えるのには時間がかかる
志望者数については前の章で解説したとおりです。
スタッフを増やすといっても、研修や指導をできるだけの余裕がないため、未経験者の採用にはお互いにリスクがあります。
かといって経験者のみに絞ると採用のハードルが一気に高くなります。
採算を取るのも難しいです。
人が増えて余裕ができたとはいえ、売上が上がるわけではないため利益率はむしろ下がる可能性が高いです。
そのため経営状態に余裕がないと人材採用そのものができません。人件費だけでなく採用コストも大きいです。
人が増えれば組織体制も変わりますが、そもそも余裕のない会計事務所では組織体制を変えるための対応も難しいです。
時間に余裕がある時期でないと困難であり、限りある時間のなかではやはり採用は進みにくいでしょう。
このように、人数を増やすのは決して簡単ではありません。
担当業務や業務量を調整する
人を増やすことができない以上、今いる人員で上手くやっていくことになります。
最初に進めたいのが、担当業務や業務量の調整です。
今の状態や課題を見て、負担の大きい人は業務量を減らす・まだ対応できそうな人は追加をお願いするなど調整をします。
人によって得意とする業務内容は違うため、担当業務を変えるのも効果的でしょう。
特定の人に業務が集中しすぎないよう注意が必要ではありますが、上手くバランスがとれれば事務所全体で余裕が大きくなる可能性があります。
手書きを減らす・ソフトを導入するなどして無駄な工数をカットする
会計事務所に限ったことではありませんが、無駄な工数をカットして余裕を作るのも有用です。
たとえば手書きを減らす・より効率良く業務を進められるようソフトを導入するなどが挙げられます。
これまでと業務の進め方を変えることになるため、ややハードルを感じることもあるかもしれません。
しかし長い目で見ると、無駄といえるような業務を続けるよりは思い切ってやり方を変えるほうがトータルでの負担が軽減されます。
業務が効率的になることで余裕が生まれ、限られた人数のなかでも業務を進めやすくなるでしょう。
より効率の良い方法に置き換えられる部分がないかチェックして対応していきます。
差別化や業務内容面などにおける会計事務所の課題についてはどうするか
続いては差別化や業務内容における課題について見ていきます。
会計事務所として生き残るためには、これらについて考えることも大切です。
得意とする分野や強みを見つける
差別化でもっとも効果的なのが、得意とする分野や強みを見つけそれらを活かすことです。
業界特化にする・相続税や資産税対応、国際税務などの特定の業務に力を入れるなどが挙げられます。
顧問先や相談先となる会計事務所を探すときには、知人の紹介から入る人も多いです。
しかしそうでない場合は、まず会計事務所の評判や特徴などを参考にします。
そんななかで自身の業種や職種を得意とする会計事務所を見つければ、興味を持たれる可能性が高いです。
長年会計事務所を運営しているのであれば、気づいていないだけで強みを持っていると考えられます。
ぜひそれを見つけ、積極的にアピールしていきましょう。
コンサルティング力などAIに代わられない強みを身につける
AIの発達が大きな問題となっていますが、会計事務所業務のすべてがAIに奪われるとは考えにくいでしょう。
AIに代わられない部分を強みとすることで、生き残りができるようになります。
たとえばコンサルティングはAIにはできません。
法改正への迅速かつ柔軟な対応も難しいです。
これらは会計事務所で重要な部分ですが、AIの進出は考えにくいです。
これらの部分をより伸ばすことで、会計事務所としての価値を保ち続けられます。
AIの発達は止められず、会計事務所業務でもAIを取り入れることになります。
しかしだからといって業務がなくなるわけではありません。体制が少し変わるだけと考え、AIに対応できない部分を強みとして育てるようにしていきましょう。
グローバル展開もひとつの手段
近年は中小企業であってもグローバル展開を進めるケースが増えています。
そのため国際税務などグローバルへの対応ができる会計事務所は需要がありますが、まだ数が多いといえる状態ではありません。
もし可能であれば、グローバル展開を進めていくのもひとつの手です。
ただし決して簡単なことではなく、高度な専門知識の習得や英語力が求められます。
グローバル展開を検討するのであれば、早めに行動する必要があります。
まとめ
会計事務所でよく見られる課題と考えられる対策について紹介してきました。会計事務所は人材不足や差別化・技術発展などの面で苦戦を強いられており、対策が求められています。
解消するのはそう簡単なことではありませんが、スムーズで快適な業務のために必要です。
どのような課題があるか知っておくだけでもかなり違います。
まずは把握することで自然と問題に目が向くようになり、解消するための道を考える機会が増えていくでしょう。
課題がまったく存在せず、完全に快適な状態で業務を進められている会計事務所はほとんどありません。
しかし課題の存在を把握し解消策を考えていくだけでも、ずいぶん違ってくるはずです。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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