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会計監査人とはなんでしょうか。
会社法では、事業会社との契約により会計監査の委任を受ける会計監査人制度を設けています。
これは、会計監査の専門性を考慮し、会計監査をより充実させるためです。
会計監査人制度は社会的影響も大きいながらも一般的に知られているものではありません。
監査人で構成された会計監査人の概要や要件、役割や設置義務について解説します。
会計監査人とは?監査人とどう違う?
①会計監査人とは?監査人との違い
会計監査人とは、大会社及び委員会設置会社に置かれた計算書類等の会計監査を行う会社法上の機関をいいます。
会計監査人は、公認会計士または監査法人でなければなりません。
会計監査人は、株主総会の決議によって選任・解任されますが、選任等に関する議案の内容については、監査役(監査役会)が決定します。
任期は1年であり、株主総会の決議で別段の決議がなされない限り、原則として再任されます。
②監査人とは
監査人とは、金融商品取引法上の会計監査業務を行う公認会計士または監査法人のことです。
上場会社、店頭登録株発行会社、有価証券届出書提出会社、株主数が500名以上(かつ資本金5億円以上)の会社が金融商品取引法上の会計監査を受ける義務があります。
③会計監査人と監査人の違い
会社法上の会計監査人と金融商品取引法上の監査人とでは、会計監査を求める根拠となる法律が違います。
会計監査人は 「会社法」に基づいて設定されています。
一方、監査人 は「金融商品取引法」に基づいた上で設定されるものです。
株主数が500名以上かつ資本金5億円以上の会社は金融商品取引法上の会計監査を受けなければなりません。
そして、そういった会社は会社法上の大会社にあてはまります。
そのため、金融商品取引法上の会計監査を受けなければならない会社は、会社法上の会計監査も受けることになります。
一方で、会社法上の会計監査を受ける義務はあるけれど、金融商品取引法上の会計監査は受ける義務がないため金融商品取引法上の会計監査を受けていないという会社は多数あります。
会社法上の会計監査人と金融商品取引法上の監査人が同じでなければならない旨の規定は特にありませんが、実務上は同じであることが通常です。
会社法上の会計監査人と金融商品取引法上の監査人を別々にすることにあまり意義がなく、わけることでかえって実務が煩雑になるためだといえます。
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会計監査人の設置義務と選任される人の要件とは
①資格要件
会計監査人に就任可能な資格要件は、公認会計士又は監査法人であることです。
これは、外部の会計の専門家を株式会社の会計に深く関与させることで、株式会社の計算に関連する事項の健全化を図る目的としています。
②設置義務
会計監査人は。設置義務が存在します。
ただし、あくまで会社法の定める「大会社」(会社法上の規定では、資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)及び委員会設置会社にしか義務は生じません・
それ以外の会社においても定款に定めることにより、会計監査人を設置することができます。
また金融商品法上では上場会社、店頭登録株発行会社、有価証券届出書提出会社、株主数が500名以上(かつ資本金5億円以上)の会社は監査人の設置義務があります。
③欠格事由
会計監査人は、会計監査人制度の趣旨を実現するため、その独立性が確保されています。
職務執行の公正が保たれていることが必要です。
- 公認会計士法の規定により、当該株式会社の計算書類の監査ができない者
- 当該株式会社の子会社もしくはその取締役、会計参与、監査役もしくはその執行役から公認会計士もしくは監査法人業務以外の業務により継続的な報酬を受けて者またはその配偶者
- 監査法人で、その社員の半数以上が②に掲げる者であるものは、会計監査人になれない
以上のような厳格な欠格事由が規定されています。
監査法人の業務についてはこちらもチェック
会計監査人における監査人の選任および解任
監査人の選任
会計監査人は、株主総会の普通決議で選任・解任することができます。
また会計監査人に選任された者が、監査法人である場合もあります。
その場合選任された当該監査法人が、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定します。
これを会社の株主総会に通知することが必要です。
②解任
会計監査人が、
- 職務上の義務に反し、または、その職務を怠ったとき
- 会計監査人としてふさわしくない非行があたっとき
- 心身の故障のため、職務執行に支障があり、職務執行に耐えきれなとき
以上の場合は、監査役、監査役会は、会計監査人を解任することができます。
社外監査役についてはこちら→
会計監査人の職務
会計監査人は、滞りなく正確に業務を遂行しなければなりません。
そのため、業務遂行のためいくつかの権利や義務が設定されています。
会計監査人が有す権利は3つあります。
- 調査権
- 報告義務
- 意見陳述権
具体的に解説していきましょう。
①調査権
まずは調査権です。
その名の通り、会計監査人は、いつでも会計帳簿並びにこれらに関する資料の閲覧・謄写を行う事ができるという権利になります。
また、取締役、会計参与、執行役、支配人その他の使用人に対しても、会計に関する報告を請求できます(会計帳簿等の閲覧等並びに会計報告請求権)。
会計監査人は、その職務を行うために必要がある時は、当該株式会社および子会社の業務およびその財産内容の調査権を有しています。
また、子会社に対して会計に関する報告を求めることもできます(業務財産状況調査権)。
ただ、子会社はこの請求に対して、正当な事由がある場合はこの報告と調査を拒否することが可能です(子会社調査権)。
②報告義務
次に、報告義務です。
会計監査人には、報告義務があります。
その職務を行うに際して取締役または執行役の職務執行に関して不正行為や法令・定款に反する重大な事実を発見した場合。
遅滞なく、監査役や監査役会、監査委員会に報告しなければなりません。
会社によっては、報告先が監査役会、監査役の場合もあります。
会計監査人は会社の会計を健全化するための制度です。
監査役と連携して会社の不正を未然に防止し、また、不正防止のための是正措置を講じる必要があります。
③意見陳述権
会計監査人は、株主総会における一般的な説明義務は会社法上ありません。
ただし、株主総会に向けて会計監査報告を作成します。
さらに、定時株主総会において会計監査人の出席を求める議決がなされた場合は、会計監査人は定時株主総会に出席して意見を述べる必要があります。
あくまで会計監査人は第三者です。
専門家である会計監査人が第三者として監査報告をすることで、正しく、信頼のおける内容だと株主に示せます。
また、計算書類およびその付属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類が法令や定款規定に適合するか否かについて、会計監査人と監査役・監査役会の意見と異なるときは、会計監査人は定時株主総会に出席して意見を述べる権利があります。
まとめ
会計監査人について解説しました。
会計監査人は、大会社に関わり、経済に関与します。
社会的影響も大きく、細かい規定が設けられているのが特徴です。
会社法上の取り扱いについて学ぶことで、会計監査人の社会的役割やその職務について知ることができるでしょう。
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