転職お役立ち情報
ひとくちに会計事務所といっても、クライアントの規模や対象はさまざまです。
法人クライアントがメインの会計事務所もあれば個人事業主がメインの会計事務所、そして両者を比較的バランス良くクライアントとする会計事務所が存在します。
メインとするクライアントによって、会計事務所の特徴も大きく変わります。もし理想とする働き方があるならば、会計事務所の規模やクライアントの特徴や比率などの確認も必要です。
この記事では、個人事業主をメインクライアントとする会計事務所の特徴や転職したときのメリット・選び方などを解説します。
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個人事業主向けの会計事務所の特徴とは
まずは個人事業主向けの会計事務所に多く見られる特徴を紹介します。
法人クライアントメインの会計事務所とは異なる部分が多いです。
比較的小規模なことが多い
個人事業主向けの会計事務所は、比較的小規模なことが多いです。
個人事業主の会計処理や税務申告書作成は、法人に比べると単純かつそれほど時間や手間がかからない傾向にあります。
小規模の会計事務所が必ずしも個人事業主メインとは限りません。
しかし大規模な会計事務所で個人事業主メインのところはほとんどなく、規模が大きくなるにつれて個人事業主のクライアント比率は低くなります。
個人事業主をメインのクライアントとする会計事務所へ転職したいと考えるならば、小規模の会計事務所から重点的に調べたほうが効率的です。
所得税の知識が必要
個人事業主に課せられる税金は所得税です。
そのため、個人事業主メインの会計事務所では所得税の知識が求められることが多いです。
単純な仕訳入力や財務諸表の作成であれば簿記の知識だけでも十分ですが、税務申告書の作成やクライアントとの面談時には所得税の知識が必要になります。
所得税の税務申告書を作成する際には、法人クライアントには見られない以下の要素に対する理解が必要です。
- ふるさと納税などの寄附金控除
- 医療費控除
- 社会保険料や生命保険料などの支払いにかかる保険料控除
法人クライアントの対応を中心におこなっていた人は、最初のうちは慣れない部分が多く勉強が必要な可能性があります。
確定申告時期は忙しい
決算月が集中しやすい時期があるとはいえある程度バラけている法人クライアントに対し、個人事業主の税務申告書提出期限は全員同じ日に決められています。
そのため、年明けから締切の期日までの確定申告時期は非常に忙しいです。
会計書類を定期的に送ってくれるクライアントであれば、確定申告期日までに余裕を持った会計入力や税務申告書の作成ができます。
しかし資料が揃うタイミングや個々の都合などから、年明けあたりで一気に会計資料を送るクライアントも少なくありません。
余裕を持たせようと前倒しで業務を進めても、確定申告時期はどうしても忙しくなってしまいます。
一方でそれ以外の時期は比較的業務が穏やかです。
繁忙期と閑散期の差が非常に大きい点が特徴のひとつです。
個人事業主向けの会計事務所における主な仕事
個人事業主向けの会計事務所における主な仕事を紹介します。
仕事内容について理解しておくことが、転職を失敗しないために大切です。
記帳代行や確定申告書作成補助
個人事業主向け会計事務所の代表的な業務が、記帳代行や確定申告書の作成補助です。
クライアントから届く領収証などの資料をもとに仕訳入力をし、できあがった財務諸表をもとに確定申告書を作成します。
記帳代行はクライアントの事業内容にもよりますが、比較的難易度が低く基礎的な簿記の知識があれば対応できることが多いです。
決算申告書の作成補助も覚えてしまえば簡単ですが、回数をこなすことによる慣れや所得税に関するある程度の知識は求められます。
節税対策などの相談
所得税は所得が大きくなるにつれ税率が上がる累進課税制をとっています。
そのため節税に対する関心の強い個人事業主と、節税対策に関する相談にのる機会が多いです。
税務相談は税理士の独占業務であるため、税理士資格を持たない一般のスタッフでは対応できません。
一般スタッフは税務相談に乗った税理士から指示を受けたうえで、節税関連の業務をおこないます。
法人成りのサポート
所得がある程度大きい個人事業主の多くは、節税のために法人成りを検討します。
そんな個人事業主の会社設立サポートも大きな仕事です。
法人成りのためには、税務署や年金事務所などへの書類提出が必要です。
行政書士の紹介などをおこなうこともあります。
このようにもとは個人事業主であったクライアントが法人成りをしたケースがあるため、個人事業主メインの会計事務所にも法人クライアントが多少は存在します。
個人事業主向けの会計事務所のメリット・デメリット
転職活動を進めるにあたって、メリットやデメリットを把握しておくのは大切です。
個人事業主向けの会計事務所におけるメリット・デメリットを紹介します。
主なメリット
主なメリットは以下のとおりです。
- 所得税に関する知識をつけやすい
- 比較的小規模なため、事務所内でのコミュニケーションがとりやすいことが多い
- メリハリをつけて仕事ができる
個人事業主向けということで、担当するクライアントのほとんどは所得税の申告をおこないます。
必然的に所得税関連に触れる機会が増えるため、所得税に関する知識をつけやすい環境です。
前述したように比較的小規模な会計事務所が多く、所属スタッフの距離が物理的に近いです。
そのためコミュニケーションがとりやすいといえます。
事務所の雰囲気については、公式サイトや面接での雰囲気などからもある程度把握できます。
繁忙期と閑散期の差が大きいということは、言い換えればメリハリをつけた仕事ができるということです。
閑散期であれば有給を活用した連休作りや、退勤後の空き時間で勉強や趣味などへの没頭ができます。
しっかり割り切ることができる人ならば、働きやすい環境かもしれません。
主なデメリット
続いてはデメリットを紹介します。
転職後のギャップを防ぐためにも、デメリットについてもしっかり把握が必要です。
- 経験できる業務の幅は狭い可能性がある
- 年単位での継続した勉強は難しいことが多い
- 一定の生活リズムが作りにくい
個人事業主はさまざまな業種があるとはいえ、記帳や決算申告書の傾向は似ています。
所得税や個人事業主に対する専門性は深めやすいですが、一方で業務の幅広さには欠ける場合が多いです。
また、事務所によっては確定申告時期は残業が非常に多いことがあげられます。
税理士資格のような年単位にわたる勉強をしている場合、この時期は時間がとりにくいためブランクが空いてしまう可能性が高いです。
似たようなデメリットとして、一定の生活リズムを作りにくいという点が挙げられます。
繁忙期と閑散期で業務に費やす時間が大きく違うため、年間を通して一定の生活リズムで働きたい人には向いてないかもしれません。
何を優先するべきかを決めるべき
個人事業主向けの会計事務所のメリットとデメリットをご紹介してきました。
デメリットの中にも特に気にならない要素もあったかと思います。
転職先を選ぶときに大切なのは、自分の優先順位を決めることです。
メリハリをとるか一定をとるか、得たい知識や積みたい経験などによっても適した職場は異なります。
まずは自分の中で優先順位をはっきりさせて会計事務所に求める要素を洗い出し、それを満たしている会計事務所を探すようにしましょう。
まとめ
会計事務所はメインとするクライアントによって特徴が大きく異なります。
理想的な働き方を実現させるには、メインとするクライアントの形態についても意識をむけましょう。
もし個人事業主向けの会計事務所が適している人が法人メインの会計事務所に入所してしまうと、転職後にギャップで苦しんでしまう可能性が高いです。
逆もまた然り。転職先に求める要素や優先順位を明確にしておくことが、転職を成功させるためのカギです。
メリットやデメリットと照らし合わせながら、志望する会計事務所を絞っていきましょう。
そのうえで個人事業主向けの会計事務所が良いと感じたなら、個人事業主をメインクライアントとする会計事務所を探してみてください。
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