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会社法監査の概要
①会社法監査の目的
会社法監査とは、名前の通り会社法についての監査を会計監査人である監査法人が監査することをいいます。
具体的には、会社法に規定されている「計算書類及びその附属明細書」が適正に作成されているかどうかという点で、監査法人は監査を行います。
計算書類は、企業の財政状態や経営成績を表した書類で、事業報告と一緒に定時株主総会に提出する書類となります。
計算書類の記載内容をもとに、株主は企業を評価し、継続して支援するかどうかを判断します。
よって、監査法人が第三者の視点で計算書類を監査することにより、その内容の正確性と信頼性を担保することが非常に重要であるといえます。
②会社法監査の対象になる企業
会社法監査は、すべての株式会社に監査の実施を義務づけているわけではありません。
会社法監査は、その企業の利害関係者に大きな影響を与えることになる大会社が対象となります。
大会社とは、資本金が5億円以上もしくは貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上である株式会社をいいます。
よって、株式会社であっても小規模や実質個人事業主であるような企業では、利害関係者に与える影響が少ないことから、計算書類の監査は義務となっていません。
③監査対象の書類
先ほど会社法監査は「計算書類及びその附属明細書」を監査していると解説しましたが、具体的には、計算書類はいくつかの書類に分類されます。
計算書類は「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算表」「個別注記表」から構成されています。
この計算書類に併せて、その内容を補足するのが附属明細書となります。
よって、会社法監査を受けるには、上記4つの書類を作成し、監査法人に提出することが必要です。
なお、連結対象会社は、単体の計算書類とは別に連結計算書類を作成することになります。
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金融商品取引法と会社法
①会社法
会社法とは、企業の設立や解散、運営や資金調達など会社に対するあらゆるルールが記載された法律です。
具体的な内容で、一番わかり易いのは設立時に必要な資本金の額です。
会社法施行前は、株式会社を設立するために必要な資本金は1,000万円以上でしたが、会社法施行により株式会社設立に必要な資本金は1円以上と明記されています。
このように会社法に記載されている内容は、会社運営にとって重要な内容が記載されているので、法改正などがあればその内容を理解し、自社に影響があるかを判断することが重要です。
②金融商品取引法
金融商品取引法は、会社法と混同されがちですが、全く違う法律です。
金融商品取引法は、株式や債券などの有価証券の発行や売買について、ルールが記載された法律になります。
具体的には、上場会社において株主や投資家に対して開示する有価証券報告書という書類があります。
これは、企業の財政状態や経営成績、子会社の状況や事業別の損益など、その企業を評価する上での様々な情報が記載された報告書です。
有価証券報告書をもとに株主や投資家は、企業に対して投資を行います。
この有価証券報告書の記載内容等も金融商品取引法内で作成を義務づけられた書類となります。
③会社法と金融商品取引法の監査の違い
前述の通り、会社法と金融商品取引法は別々の法律であることがわかりますが、その中でも共通の内容もあります。
例えば、会社法における計算書類の中で、貸借対照表・損益計算書・株主資本変動計算書・個別注記表があります。
この書類についての内容は、金融商品取引法においても同様の内容を記載することになります。
なお、4つの書類に対して会社法は計算書類というのに対し、金融商品取引法では財務諸表といい、それぞれに名称が違います。
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会社法監査の手続き
①貸借対照表
貸借対照表とは、会社における財政状態を表した書類です。
その記載内容は大きく3つに分類され、資産、負債、純資産に分かれます。
- 資産:会社が保有している資産で、現金や預金、売掛金や固定資産が対象となります。
- 負債:会社が抱えている負債で、借入金や買掛金、未払金、引当金などが対象です。
- 純資産:資産から負債を差し引きた残高となり、資本金および過去からの利益・損失を表した利益剰余金などが対象となります。
②損益計算書
損益計算書とは、会社における経営成績を表した書類です。
その記載内容は大きく5つに分類され、営業収入、売上原価、販売管理費、営業外損益、特別損益に分類されます。
- 営業収入:企業がどれだけ商品やサービスを提供したかという売上高になります。
- 売上原価:売上に対しての仕入高や業務委託先への外注費などになります。
- 販売管理費:直接売上に紐づかない経費になります。具体的には、事務所賃借料や本社管理部の人件費、事務用の消耗品などが対象になります。
- 営業外損益:本業以外で発生する収入および費用を言います。例えばわかりやすい例だと預金の受取利息や借入金の支払利息になります。
- 特別損益:突発的に発生し、毎年発生する見込みがない収支や費用を言います。具体的には、近年発生した新型コロナウイルスによる損失などは特別損益に計上している企業が多くみられます。
③個別注記表
個別注記表とは、貸借対照表や損益計算書に記載されている内容で、特に補足的な内容を記載し一覧にしたものが個別注記表です。
監査法人の監査の際は、企業が適用している会計方針や表示方法の変更、債務保証や担保設定などの内容も記載します。
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まとめ
以上が会社法監査の内容となります。
大会社であれば会社法による計算書類の監査が義務づけられています。
企業でも細心の注意を払って計算書類等を作成しますが、第三者の目線で監査法人が計算書類を監査することが非常に重要です。
利害関係者は、監査法人の監査によるお墨付きをみて、計算書類に記載された内容の信頼性をより高く感じることができるのです。
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