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内部統制監査とは監査法人がおこなう監査のひとつです。
会社によって作成された内部統制報告書が、内部統制評価の基準と照らし合わせたときに適正であるかをチェックします。
内部統制監査の結果は公開し、利害関係者に伝えなければなりません。
そのため適切な準備や対応が必要です。
内部統制監査がどのようなものかを解説します。
内部統制監査とは
最初に内部統制監査の具体的な内容について解説します。
スムーズな対応のため、しっかり意味を押さえておくことが大切です。
内部統制評価が適切であるかの監査
内部統制監査とは、企業内部でおこなわれた内部統制評価が適切なものであるかの監査です。
基本的には外部の人間である監査法人がおこない、会計監査と同じ担当者が請け負います。
内部統制評価とは、有価証券報告書を作成するための体制が整えられているか評価することです。
ミスや不正の発生が防止できる体制であるか。かつ、万が一発生してもすぐに発見・改善されるような体制であることが必要です。
この内部統制が適切な状態であるかを調査するのが内部統制評価であり、結果は内部統制報告書にまとめます。
内部統制監査は、この内部統制報告書が適切なものであるか監査することです。
「J-SOX(日本版内部統制報告制度)」とは
内部統制監査について知るうえで欠かせないもののひとつに、J-SOXがあります。
J-SOXとは日本版内部統制報告制度です。
アメリカでSOX法(企業改革法)が成立した後、その流れを受けて日本版のSOX法としてJ-SOXが登場しました。
J-SOXでは、内部統制監査を受けた内部統制報告書を有価証券報告書と共に提出することが定められています。
すなわちJ-SOXは内部統制監査について明確に定めた制度といえるでしょう。
J-SOX制度が制定されたことで、外部担当者である監査法人などからも内部統制の評価を受ける必要ができました。
内部監査との違いはあるのか
内部統制監査と似たような言葉に、内部監査というものがあります。
それぞれの言葉が持つ意味を解説します。
内部監査とは内部統制が機能を果たしているかチェックすることを指す言葉です。
企業の運営において、法令や社内規定などが適切に守られているかをチェックすることをいいます。
内部監査は内部統制の一部であり、企業内部の担当者が実施します。
一方で内部統制監査の担当者は外部の人間です。
企業内部の人間によって実施された内部統制評価が適切なものであるかを監査します。
内部監査と内部統制監査は一見似た言葉ですが、おこなう人も内容もまったく別のものです。
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内部統制監査に関わる役職
監査法人による内部統制監査を受けるにあたって、事前の内部統制評価などで会社のさまざまな人が関わります。
内部統制監査に関わる役職を紹介します。
経営者
経営者は企業の代表者であり、内部統制の整備や運用においてももっとも責任を負う立場です。
内部統制報告書や有価証券報告書は、経営者から提出されるものです。
そのため内部統制報告書の作成に関連する内部統制監査においても当然関わります。
内部統制は経営者を中心として整備や運用がされます。
J-SOXへの対応や内部統制チームの組成などを先導し、内部統制を引っ張ることが求められる役割です。
経営者は内部統制監査においても責任を負う必要があります。
取締役会や監査役会
取締役会や監査役会が設置されている会社であれば、これらに属する人も内部統制監査に関わります。
取締役会とは企業の業務執行における意思決定をおこなう機関です。
内部統制の方針に関する意思決定もおこなうため、内部統制監査に関わります。
監査役会とは、経営者や取締役会が法令や規則に則った適切な職務執行をおこなっているか監査する立場です。
内部監査など内部統制の調査にも関わる立場であるため、内部統制監査とも関係があるといえます。
一般的に役員と呼ばれる立場であれば、内部統制監査に関わると考えて良いでしょう。
すべての従業員が関わる
内部統制監査は役員など責任者が大きく関わります。
しかし実際にはすべての従業員が関わるといえる監査です。
内部統制は役員などの業務執行のみをチェックするものではありません。
内部統制評価や内部統制監査で良い結果を出すためには、企業全体が健全に動いている必要があります。
立場や責任に関係なく、1人でも不適切な行動をする人がいれば内部統制に問題がないとはいえません。
そういった意味で、内部統制監査にはすべての従業員が関わるといえます。
内部統制監査に役立つ資格
内部統制監査は監査法人によっておこなわれるものですが、スムーズに進めるためには企業内での内部監査が必要不可欠です。
また事前に内部統制報告書を作成することも求められます。
そこで内部統制監査への対策において、持っていると役立つ資格を紹介します。
知識や能力を適切に証明するうえで、資格は非常に有用です。
公認内部監査人
公認内部監査人とは内部監査に必要な知識や能力を証明する資格です。
世界約190カ国で実施されており、1999年から日本語受験が可能になりました。
内部監査の業務には必須の資格はないため、資格の有無に関わらず誰でも内部監査が可能です。
しかし内部監査は健全な企業運営を証明するために重要であるため、内部監査人にも大きな期待や責任が寄せられます。
そのため公認内部監査人など能力の証明ができる資格を持つ人が有利です。
必要な勉強時間の平均は400時間前後であり、継続的な勉強が必要ではあるものの特別難関な資格ではありません。
公認不正検査士
公認不正検査士とは不正の防止・発見などにおける専門知識や能力を証明する資格です。
企業の不祥事が注目を集めるようになり、公認不正検査士の需要も高まりました。
内部統制の大きな目的のひとつが、企業の不正防止や抑制です。
そのため公認不正検査士のように不正対策に特化した資格は、内部統制監査で良い結果を出すために有用です。
公認不正検査士の合格率は公開されていませんが、それほど難関な資格ではありません。
必要な勉強時間は400時間程度です。
公認情報システム監査人
公認情報システム監査人とは企業内部における監査のうち、情報システムの監査に特化した資格です。
情報化が急速に進む中、情報システムの重要性や求められる責任も強まっています。
外資企業のように最高情報責任者を置く日本企業も増えてきました。
情報システム統制も監査の対象となったため、知識や能力を持つ公認情報システム監査人の需要が高まっています。
公認情報システム監査人の合格までに必要な勉強時間は200時間程度といわれています。
合格率は公開されていませんが、難関の部類には入らない標準レベルの資格です。
まとめ
内部統制監査とは企業の健全な運営を証明するうえで重要な役割を担う監査です。
企業内部によって実施される内部統制評価をもとにおこなわれるため、事前の準備や内部統制監査に対する意識が求められます。
内部統制監査には経営者や役員だけでなく、すべての従業員が関わるといって良いでしょう。
日頃から内部統制に対する意識を高め健全な業務執行を進めることが大切です。
内部統制監査を受けるにあたってのスムーズな準備のためには、公認内部監査人など資格を持った人が有用です。
内部監査や内部統制に役立つ資格を持つことで、転職活動やキャリアアップなどで有利に働くでしょう。
スムーズな内部統制監査のためにも、内容をしっかり把握し日頃から意識することが大切です。
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