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「監査トレーニー制度」という言葉を聞いたことがありますか?
監査法人への就職を考えたことがある方ならば、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
EYやあずさ、トーマツといった大手監査法人が主に行ってきた制度ですが、近年は中小監査法人でも導入を始めています。
予備校代の補助や、合格後の入社がほぼ確約されるといったメリットがあります。
もちろん、試験に対しても配慮を受けた上で働くことができます。
監査トレーニー制度とは、働きながら公認会計士になることを目指している人にとってはうってつけの制度です。
時には倍率が高く、受からないといった声も聞きます。
そもそもどんな制度か、募集時期はいつであり、どういった条件なのか。
監査トレーニー制度について紹介します。
監査トレーニーの概要
監査トレーニー制度がある「監査法人」について
まず、監査法人の仕事について理解しましょう。
特に公認会計士が在籍する監査法人では、上場企業もしくは上場準備企業の会計報告書について監査・承認をします。
会社は毎年決算期になると、一年間の会社の売上や利益等をまとめ、株主等に公開します。
しかし、会社が作成した資料を確認する専門家がいなかったらどうでしょうか。
会社が作成した資料にどこか間違いがあってもそれに気付くことができません。
中には、誰も確認しないことをいいことに、粉飾決算を行う企業が発生してしまうかもしれません。
近年は株の売買取引も手軽に始められるようになりました。
企業の会計情報はますます私たちの身近になり、その正確性や信憑性は重要視されるようになってきました。
監査法人は企業の作成した資料に間違いはないかを確認し、社会的な信用を与える仕事です。
高度な知識と公平性、倫理観が必要になり、時には経営層に厳しい指摘もしなければならず、決して楽な仕事ではありません。
その分やりがいも大きく、非常に社会的意義も大きい仕事といえるでしょう。
監査法人の役割については、詳しくはこちらもご覧ください。
監査トレーニー制度とは
監査トレーニー制度とは、EY新日本有限責任監査法人を筆頭に、複数の監査法人が導入している、働きながら公認会計士試験を突破するために、試験勉強をしながら監査実務を経験できるという制度です。
この制度を利用すると、会計士として多角的に成長できる機会に触れながら試験合格を目指すことができます。
実際の監査法人で働きながら実務経験が積めると共に試験勉強ができるということで、会計士を目指す人ならば是非知っていてほしい制度です。
また、他の監査法人でも名前を変えて同様の制度を導入している例もあるようです。
入社したいと考えている監査法人にどのような制度があるかを調べてみるとよいでしょう。
監査トレーニーの主な業務内容
主な仕事は、会計士のサポートとなります。
監査法人にはさまざまなクライアントを持ち、国内の事業会社、海外の日本法人など、形態が異なります。
また、会計基準や使うソフトといったさまざまな差異を通じ、監査の実情を学べることが監査トレーニーの特徴です。
この業務補助は公認会計士に必要な実務経験にカウントできます。
例えば、現金預金、貸付金や借入金などの、B/S項目の監査などが挙げられます。
事務員ではなく、あくまでトレーニーですので、実践的な業務を任されるでしょう。
監査トレーニーはチームの一員として、監査の開始から終了まで、間近で見ることになります。
ほかの受験生にはない、大きなアドバンテージといえるでしょう。
監査トレーニーとして働いた場合の一日の流れ
ここではEY新日本有限責任監査法人の制度をもとに説明します。
監査トレーニーとして働くと、実務を経験しながら試験勉強をすることができます。
原則として残業はないので、業務時間は9:30〜17:30になり、その時間外で試験勉強をしていくことになります。
公認会計士試験合格に必要な勉強時間は3500時間といわれています。
上記の勤務時間から合格までに必要な日数を計算してみましょう。
通勤に往復1時間かかると計算し、食事等の生活時間がトータルで2時間かかるとします。
すると平日は1日4時間程度の勉強時間が確保できます。
休日は倍の8時間勉強すると仮定すると、週の勉強時間は36時間、1ヶ月に換算すると144時間ですので、25ヶ月で必要とされる勉強時間に達することができます。
つまり、監査トレーニー制度を利用して公認会計士試験に合格するには、2年が目安になるということです。
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監査トレーニーになるには
監査トレーニーとして働くには
監査トレーニー制度及びそれに該当する制度は、EY新日本有限責任監査法人をはじめとした「働きながら公認会計士試験合格を目指す制度」ですので、まずは入社することが要件になります。
ここでは、EY新日本有限責任監査法人の募集要項を確認してみましょう。
必須要件
- 4年制大学卒業以上
- 事業会社での実務経験2年以上
- 日商簿記2級程度の会計知識
求める人物像
- 会計士資格取得(日本・USCPA)に対し真摯に取り組んでいる方
- 粘り強く目標に向かって取り組める方
- コミュニケーション能力が高い方
- チームワークを大切に出来る方
また、原則残業は無く、業務終了後は勉強時間に充てることができます。
予備校の学費も6割補助され、合格時にお祝い金も支給されます。
働きながら合格を目指す人にとっては、非常に充実した制度と言えるでしょう。
働きながら公認会計士合格を目指す方はこちらもご覧ください。
監査トレーニーとして働きながら合格するコツ
監査トレーニーはさまざまなサポートが受けられますが、一方で仕事をしながら勉強をするということでもあります。
睡眠時間を削るような勉強の仕方は、仕事に支障をきたします。
そうならないようにスキマ時間の活用が大切です。
また、体力のある就業前や、出勤の移動時間に勉強に取り組むことも重要になります。
生活リズムを整えることが、勉強と業務を両立させるコツです。
トレーニーの周りには、現役の公認会計士がたくさんいます。
実際の現場に身を置くことは、モチベーションアップにつながるでしょう。
監査トレーニーの求人はエージェントに相談
監査トレーニーは、前述の通り、公認会計士を目指す受験生にとって有用な制度です。
活用すれば、公認会計士への道への助けになることは間違いないでしょう。
ただし、トレーニーに対して、名目だけでなくきちんとサポートしてくれる監査法人であることが大切です。
監査法人に強いエージェントを活用することも、ひとつの選択肢となるでしょう。
エージェントは、トレーニーの非公開求人に関する情報や、監査法人の実際の評判といった、受験生ではなかなか得るのが大変な、貴重な情報を持っている場合も多いです。
公認会計士の就職についてはこちらもチェック→
監査トレーニーのメリット
監査法人トレーニー制度を利用する最大のメリットは、何といっても実務経験を積みながら公認会計士試験勉強ができるという点でしょう。
働きながら試験勉強ができるので金銭的な心配をする必要はありません。
さらに、実務経験を積みながら試験勉強ができるので、勉強内容と実務が直結し、知識が身に付きやすくなるというメリットもあります。
監査法人が学費を補助してくれるケースもありますし、合格後もそのまま働くことができるので、改めて就職活動をする必要もありません。
監査トレーニーのデメリット
監査トレーニー制度を利用するデメリットは、やはり「仕事と勉強の両立が難しい」ことでしょう。
先程「平日は1日4時間、休日は8時間の勉強をする」と説明しましたが、2年間欠かさず毎日それだけの勉強を継続するのは、非常に体力と根気が必要です。
もし子供がいる場合、両立はさらに困難になるでしょう。
また、監査トレーニー制度は非常に便利な制度ですので、希望者の数も決して少なくありません。
狭い門戸を潜り抜け、何年も勉強を続ける覚悟のある方でなければ制度を利用して監査トレーニーになるのは難しいでしょう。
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監査トレーニーの年収や求人募集について
年収はどれくらい?
監査トレーニーは、監査法人で実務経験を積みながら試験勉強をする制度です。
基本的には正社員として入社するため、社会保険や企業の福利厚生制度を利用することが可能です。
EY新日本有限責任監査法人の例を挙げると、月給は238,000円、年収は350〜380万円になるようです。
働きながら公認会計士試験勉強を推奨する制度を導入している法人の中には、非正規で雇用している場合もあります。
この場合、福利厚生制度の利用に制限がかかったり、収入がやや少なくなる傾向があります。
その代わり、時間の融通が利きやすくなり、正社員採用された場合よりも勉強時間が多く確保できる傾向があります。
働きながら公認会計士試験を目指す方は、自分の行きたい法人の制度を調べるとともに、収入面と勉強時間のことを加味しながら自分のキャリアを考えられるとよいでしょう。
公認会計士の実務経験についてはこちら
監査トレーニーの求人数はどれくらい?
働きながら公認会計士試験勉強をできる制度で、誰でも応募できる制度として募集しているのはEY新日本有限責任監査法人です。
その他のBIG4といわれる法人では、短答式合格者のみの受け入れであったり、そもそも受け入れていないというケースもあります。
また、その他の中小監査法人では、入社は可能だが制度としては取り入れてはいないため自主的な勉強が必要になる等、大々的には募集していないケースもあるようです。
実際に問い合わせして、自身が入社を希望している法人に制度があるのかどうかを確認してみるとよいでしょう。
まとめ
今回は、監査法人への就職を目指している人ならば知っておきたい監査トレーニー制度について説明しました。
監査トレーニー制度は仕事をしながら公認会計士の資格取得が目指せる制度です。
監査業務を実際に目の当たりにしながら、実務経験を積むことができます。
それだけに募集は人気ですが、エージェントを活用するなどして、おすすめしたい制度です。
現時点で公認会計士を目指している方は検討してみるとよいでしょう。
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