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非常勤監査役は常勤監査役以外の監査役のことです。
会社の営業時間中は監査役として職務に就く常勤監査役と違い、非常勤監査役は出社の頻度が非常に低いです。
そんな非上場監査役について
「具体的な仕事内容や報酬がわからない」
「自分に向いているかどうか知りたい」
「非常勤監査役の求人がどこにあるか知りたい」
「自分(公認会計士・弁護士・税理士)にも応募資格があるか知りたい」
このようなお悩みをお持ちの人も多いでしょう。
本記事では非常勤監査役の具体的な職務内容や求められるスキルなど、求人探しにあたって役立つ情報を紹介します。
【非常勤監査役とは?】仕事内容と役割
まずは非常勤監査役の定義や役割について詳しくみていきましょう。
この章では非常勤監査役について、以下3つの事項を解説します。
- 非常勤監査役の定義
- 非常勤監査役と常勤監査役に大きな違いはない
- 非常勤監査役の意義
非常勤監査役の定義
最初に紹介した通り、非常勤監査役とは常勤監査役以外の監査役のことです。
監査役は取締役の職務執行を監視し、法令や定款に違反がないかをチェックする役割を担います。
非常勤監査役を含む監査役の役目については、会社法や監査役監査基準で以下のように定められています。
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株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。 引用:e-Gov法令検索「会社法(平成十七年法律第八十六号)第326条2項」 |
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株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務の執行を監査することにより、企業の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立する義務を負っている 引用:公益社団法人 日本監査役協会「監査役監査基準2条1項」 |
これらの記載内容から、監査役は以下のような存在だとわかります。
- 監査役は株式会社に設置される機関の1つで、取締役の職務の執行を監査する役割を担う
- 監査役が第三者的な立場から監査を行うことで、企業側は株主や投資家からの信頼獲得につながる
非常勤監査役は文字通り非常勤であり、日常的な業務執行に直接関わることはありません。
取締役会や重要会議に出席して意見を述べ、必要に応じて業務や会計の調査を行います。
経営陣に対する「独立した監視役」として、企業統治の健全性を保つ存在です。
なお監査役の設置が義務付けられているのは、取締役会設置会社と会計監査人設置会社のみです。
多くの中小企業には監査役の設置義務がありません。
ただし中小企業にも適正なコーポレートガバナンス(企業統治)体制の確立、コンプライアンス(法令遵守)が求められます。
監査役はこれらを担保する役割を担う存在のため、中小企業にとっても監査役を設置するメリットは大きいといえるでしょう。
非常勤監査役と常勤監査役に大きな違いはない
非常勤監査役と常勤監査役の大きな違いは、名前の通り常勤であるか否かです。
常勤監査役は、会社の営業時間中は当該会社の監査役としての職務に就いています。
すなわち営業時間中は監査役の職務に専念する仕組みです。
常勤監査役は会社に常駐し、日々の取締役や業務執行を継続的に監視する役割を担います。
一方で非常勤監査役は文字通り非常勤であり、取締役会や監査役会への出席以外での出社は稀な存在です。
非常勤監査役はフルタイムでの勤務を求められず、会議出席や資料精査など限られた範囲に職務が集中します。
会社法上、常勤監査役と非常勤監査役のそれぞれが負う責任の範囲や重さ自体に明確な違いはありません。
ただし実務上は「監視の深さ」「時間的拘束」に大きな差があるのが特徴です。
非常勤監査役は公認会計士や税理士などの専門家が多い
非常勤監査役は公認会計士・税理士や弁護士など、専門知識を持つ外部人材が就任するケースが多くみられます。
非常勤監査役は通常月数回の会議出席や資料確認が中心となり、日常的な業務執行には関わりません。
出勤日数が少ないため、本業が別にある士業の人でも就任できるケースが多いです。
また、会計や法務等の専門的な知識を企業外から取り入れることで、内部のチェック機能を強化する目的もあります。
特に上場企業やIPO準備企業では、専門家の外部監査役を置くことで投資家や監督当局からの信頼を高める狙いもみられます。
【比較】常勤監査役・非常勤監査役・社外監査役の仕事内容や報酬
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仕事内容 |
報酬 |
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常勤監査役 |
その会社の監査役の職務を専任する(兼任不可) |
1,000万円〜1,250万円未満の割合が最も大きい |
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非常勤監査役 |
必要な業務が発生したときに都度出社して社内に関わる(専任ではない) |
200万円未満の割合が最も大きい |
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社外監査役 |
過去一定期間にわたって対象の会社に勤務していた、もしくは運営に携わっていた事実がない監査役のみ社外監査役に就任できる 社内監査役と職務の違いは特になし |
200万円~500万円未満の割合が最も大きい |
監査役は大きく「常勤監査役」「非常勤監査役」「社外監査役」の3種類に分けられます。
この章ではそれぞれの違いについて、以下2つの観点から解説します。
- 仕事内容の違い
- 報酬の違い
仕事内容の違い
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常勤監査役 |
非常勤監査役 |
社外監査役 |
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その会社の監査役を職務を専任する(兼任不可) |
必要な業務が発生したときに都度出社して社内に関わる(専任ではない) |
過去一定期間にわたって対象の会社に勤務していた、もしくは運営に携わっていた事実がない監査役のみ社外監査役に就任できる 社内監査役と職務の違いは特になし |
常勤監査役は会社に常駐し、日々の取締役や業務執行を継続的に監視する役割を担う監査役です。
常勤という性質上、ほかの会社の常勤監査役は兼任できません。
非常務監査役はフルタイムでの勤務を求められない非常勤の監査役です。
取締役会や監査役会への出席、資料精査などの限られた範囲の業務を行います。
時間的に余裕があるため他社の監査役を兼任することも可能です。
ただし関連会社や競合・競合他社の監査役との兼任はできません。
社外監査役は社内からの昇格ではなく、社外から就任した監査役です。
非常勤監査役を含む社内監査役と社外監査役に、職務や権限に関する違いは特にありません。
常勤監査役・非常勤監査役・社外監査役それぞれの役割に関する詳しい内容については関連記事をご覧ください。
報酬の違い
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社内常勤監査役 |
社内非常勤監査役 |
社外非常勤監査役 |
|
~200万円未満 |
0.6%
|
62.9% |
31.5% |
|
200万円~500万円未満 |
3.4% |
18.4% |
39.7% |
|
500万円~750万円未満 |
9.8% |
7.0% |
16.0% |
|
750万円~1,000万円未満 |
14.2% |
4.4% |
6.4% |
|
1,000万円~1,250万円未満 |
20.8% |
3.2% |
4.1% |
|
1,250万円~1,500万円未満 |
15.8% |
1.5% |
1.5% |
|
1,500万円~1,750万円未満 |
10.8% |
1.1% |
0.5% |
|
1,750万円~2,000万円未満 |
8.8% |
0.6% |
0.1% |
|
2,000万円~2,500万円未満 |
8.8% |
0.6% |
0.2% |
|
2,500万円~3,000万円未満 |
4.0% |
0.2% |
0.1% |
|
3,000万円以上 |
3.0% |
0.2% |
0% |
出典:公益社団法人日本監査役協会 「監査役の選任及び報酬等の決定プロセスについて」
常勤監査役と非常勤監査役では年収に大きな差があることがわかります。
専任である常勤監査役の方が業務量が多く拘束時間も長いため、これほどの年収差が生まれていると考えられます。
同じ非常勤監査役でも、社内非常勤監査役より社外非常勤監査役の方が報酬は高めの傾向です。
社外監査役は高度な知識を持つ専門家が就任するケースが多いため、設定される報酬額も高くなりやすいと考えられます。
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非常勤監査役に向いている人と求められるスキル
監査役は企業を監査する立場として、会社経営や各種専門分野に関する高度な知識が必要です。
そして非常勤監査役は企業の監査役に専任しているわけではなく、必要に応じて適時出社し職務遂行をするイメージとなります。
このように必要な場面で適時適切な対応を行うことが求められる以上、常勤監査役よりも高度な知識や専門性が必要といえるでしょう。
したがって非常勤監査役は、以下のようにビジネスに関する何らかの分野で高い専門性をもつ人が向いています。
- 公認会計士
- 中小企業診断士
- 経営者
- 弁護士
- 同業他社の人材
公認会計士
公認会計士やUSCPA(米国公認会計士)は文字通り会計分野のプロフェッショナルです。
監査役に求められる仕事の中でも、特に以下のような場面で活躍が期待できます。
- 会計実務や会計監査関連
- IPO準備に向けた内部統制監査
- 資本政策の策定
- IR関連の対応
- 業務提携や資本提携、その他M&A全般
会計士は求められる役割の性質から、責任感のある人や几帳面な人、コミュニケーション能力が高い人が多い傾向です。
これらは非常勤監査役にも求められるスキルといえるでしょう。
会計士に向いている人、会計士としての働き方が向いている人は、非常勤監査役にも向いている可能性があります。
中小企業診断士
中小企業診断士は中小企業の経営課題について診断や助言を行う専門家です。
財務・会計や企業経営理論など、経営判断に必要となるさまざまな知識を有します。
中小企業診断士の有資格者は、経営に関する現状の分析や課題の発見などを行うためのスキルをもつ人材といえます。
したがって、経営分析や課題の発見などの面で監査役としての役割を果たせる可能性が高いでしょう。
経営者
経営者は経営に関する実務経験があり、経営課題への直面・克服経験も有することから、実務目線での監査が可能です。
特に会社設立から上場まで一連の経験をした経営者は、企業の成長を導いた実績・スキルがあるため、業務執行の監査に適した人材といえます。
ただし一口に経営者といっても、会社規模や業種によってはスキルに違いがあります。
そして、ほかの監査役とスキルや得意分野が被っている場合、強みを発揮しきれない恐れが大きいです。
経営者であれば誰でも良いわけではありません。経営に関する知識があり、かつ、自社の課題や現状に適した人材を選ぶ必要があります。
弁護士
弁護士は法律のプロフェッショナルです。法律に関する高度な専門知識を活かし、監査役としての役割を果たせるでしょう。
特に企業法務の知識や経験が豊富な弁護士は、非常勤監査役の適正が高いといえます。
なお一口に企業法務といっても、以下のようにさまざまな分野が存在し、弁護士によって得意・不得意が異なります。
|
臨床法務 |
実際に法的な紛争になったときの業務 訴訟対応や裁判外での交渉など |
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予防法務 |
紛争やトラブルを避けるための業務 内部統制やリスクコンプライアンス、労務環境の整備など |
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戦略法務 |
法務面から事業戦略を組み立てる業務 知財戦略の立案、ファイナンス、M&Aなど |
前述のように、非常勤監査役は法令や定款に違反がないかをチェックする役割を担います。
また、監査対象は企業です。
そのため弁護士の中でも特に以下の要素をもつ人が非常勤監査役に向いていると考えられます。
- 企業法務の知識があり、法的リスクの評価に強い
- 法律事務所で企業法務に関与した経験がある
同業他社の人材
同業他社の人材は、以下のような理由から非常勤監査役に適している可能性が高いです。
- 似たような事業課題や経営課題に直面・克服した経験がある可能性が高い
- 実務経験にもとづいた監査業務や助言ができる
- 会計士や弁護士などの専門家とは違った視点をもつ
- 対象の業界について広い知識をもっており、さまざまな業務に対応できる
ただし、自社にとっての競合に属する人材を監査役にしてしまうと、ハレーションが起こる(周囲に悪影響を及ぼす)恐れが大きくなります。
同業ならどこでも良いわけではなく、事業領域が同じでも競合ではない会社等の人材を選ぶ必要があります。
非常勤監査役の求人は少ない?将来性と募集の実態
非常勤監査役の募集が発生しやすいタイミングとして以下の例が挙げられます。
- 上場企業のガバナンス強化
コーポレートガバナンス・コードへの対応として監査体制を強化する場合に募集されやすいです
- IPO準備中の企業
上場審査に向けて社外役員を確保する必要がある場合に募集が起こりやすいです
- 企業規模の拡大時
内部統制やコンプライアンス体制を整える段階で、外部人材を登用することがあります
しかし、非常勤監査役の多くは紹介や人脈を通じて決まるのが現状です。
日本監査役協会の資料によると、監査役候補を探す方法として人材紹介会社・コンサルタント等を活用すると回答した企業はわずか7.8%でした。
「社外(非常勤)監査役の人的関係」が55.8%、「常勤監査役の人的関係」が 49.4%と、2つの回答を合わせると90%以上となります。
監査役の人的ネットワークを中心に候補者が選定されている事実がわかります。
参照:監査役の選任及び報酬等の 決定プロセスについて -実務実態からうかがえる独立性確保に向けた課題と提言-日本監査役協会
また、監査役ポジションの求人は、常勤監査役や社外取締役兼務の求人が混ざっていることも多いです。
「非常勤監査役」のポジションだけを明確に探すのは難しいといえるでしょう。
ただし、専門転職エージェントや一部の転職サイトに非常勤監査役の求人が掲載されることもあります。
そのため非常勤監査役の求人を探す方法も可能ではあります。
非常勤監査役の求人を効率的に見つける方法として、以下の3つが有効です。
- 公認会計士協会・弁護士会の紹介
士業団体を通じて企業から募集がかかるケースがあります。
- 企業のIRページ
社外役員募集が掲載される場合があるため、定期的に確認するのがおすすめです。
- 専門転職エージェントの活用
求人が公開される可能性があるとはいえ、公開範囲は限定的です。
管理部門・士業に強い専門転職エージェントは、非常勤監査役の求人を扱う可能性が比較的高めといえます。
非常勤監査役の求人は非公開の場合も多いため、自力で探すだけではどうしても限界があります。
弁護士や会計士などの専門職に特化したエージェントや、監査役・取締役の求人を扱うエージェントを利用するのが効果的です。
非常勤監査役の求人探しは専門エージェントがおすすめ
近年、上場企業による不正会計事件などの影響により、監査役の役割や必要性が見直されつつあります。
非常勤監査役の重要性も、今後さらに高まっていくと考えられます。
そのため、社外からでも非常勤監査役に就任できるチャンスが増えるでしょう。
専門資格や実務経験を活かしたい方にとって、非常勤監査役は魅力的なキャリアの1つといえます。
非常勤監査役の候補者を選任する方法として、人脈や紹介に頼るケースが多くみられます。
広く公開される求人は少なく、自力で探すのは難しいのが事実です。
ただし、専門職や監査役・取締役の求人などを扱う専門エージェントを活用すれば出会える可能性は高まります。
非常勤監査役の求人は非公開のケースも多いため、まずは転職エージェントに相談するのがおすすめです。
レックスアドバイザーズは公認会計士や税理士といった専門職や監査業務の求人を多く扱っています。
非常勤監査役の求人をお探しであれば、ぜひお気軽にご相談ください。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
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■株式会社レックスアドバイザーズ
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