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内部監査は、企業の健全な運営に欠かせません。
しかし、その仕事内容と、内部監査の将来性については知らない、という方も多いのではないでしょうか。
内部監査の仕事内容と将来性について解説します。
内部監査とはどんな仕事か
①内部監査とは
内部監査とは、組織の内部の人間が行う監査のことで、業務上の不正の防止や、業務の効率化目的で実施します。
2006年の会社法の改正により内部統制整備の義務化が制定され、大企業では内部監査の設置が必須となりました。
業界団体である一般社団法人日本内部監査協会では、内部監査の意義・目的を以下のように定めています。
- 組織体の経営目標の効果的な達成に役立つこと
- 合法性・合理性の観点から公正かつ独立の立場で実施すること
- 客観的意見や助言・勧告をする監査の品質保証(アシュアランス)に関する業務と経営諸活動の支援をするアドバイザー業務であること
②内部監査の仕事内容
内部監査は、企業の監査役や社内担当者が、経営者に命じられて行うものです。
具体的には、社内規定が正しく文書に記載され、社内で正しく運用されているかなどをチェックします。
内部監査の結果は経営者に報告され、経営改善のために役立てられます。
また、内部統制報告書を作成するのも内部監査の一種です。
内部統制とは、企業の従業員全てが遵守すべき社内のルールや仕組みを表し、内部統制報告書には内部統制がきちんと守られているかどうかなどの評価を記載します。
作成された内部統制報告書は、外部の公認会計士による「内部統制監査」を受けます。
内部統制報告書は最終的には金融庁に提出され、チェックされる仕組みです。
③内部監査に必要なスキル
内部監査とは、企業内の独立した部門が行う独自の監査のことです。
企業の不祥事の防止や業務効率のチェック、または売上向上を目的として、合法性・合理性に基づき経営諸活動に対するアドバイスを行います。
健全な経営を維持し、問題点を改善するための制度といえます。
ちなみに内部監査専任の部門が設けられていない企業の場合、監査を受ける部署とは別の部署の社員が内部監査を行います。
内部監査の重要性
①上場企業における不正会計の傾向
市場別では、「東証1部」が33社(構成比56.9%)、「ジャスダック」が10社(同17.2%)、「東証2部」が9社(同15.5%)でした。
13年までは新興市場の不適切会計が目立った一方、15年からは国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部の企業が増加している傾向が見て取れます。
②不正会計があった場合の影響
社会的なペナルティでいくと「会社の信用を失うこと」です。
特に取引先や銀行からの信用を失えば、事業の継続自体が困難になります。
また銀行から融資の一括返済を求められることや、上場企業であれば上場廃止になるのもペナルティといえるでしょう。
粉飾決算は企業にとって「一時的なメリット」をもたらすかもしれませんが、同時に、はるかに深刻なデメリットをもたらすものです。
数年前にニュースでも大きく取り上げられた東芝のケースでは、企業経営を揺るがすほどの事態には発展しませんでしたが、それでも社会的な信用や企業イメージは大きく傷つきました。
日本やアメリカでは、いくつもの訴訟が現在も進行中です。
どのような規模の企業であれ、粉飾決算は絶対に避けるべき「危険なテクニック」といえるでしょう。
③内部監査の重要性
一般社団法人の日本内部監査協会が定める「内部監査基準」では、内部監査の必要性として、「組織体が、その経営目標を効果的に達成し(中略)社会的な信頼性を確保することが望まれる」と掲げられています。
企業などの組織が経営目標を達成して、対外的な信頼度を高めていくためには、内部監査部門によって業務や財務の状況を適切に把握する必要があるとしているのです
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内部監査の将来性
①内部監査とIT
情報技術(IT)はすでにビジネスの一部となっており、内部監査人もビジネスとITの両方の高度化・複雑化・グローバル化の影響を大きく受けています。
ガバナンス・リスクマネジメント・内部統制や内部監査の専門グローバルコンサルティング会社であるプロティビティでは、内部監査人の能力・スキルに関する調査「内部監査に必要な能力のサーベイ」(注1)を日米で毎年実施しています。
②内部監査とAI
内部監査の専門家は、次のデジタル領域フロンティアになり得る人工知能に後れを取ることはできません。
内部監査人はこれに備えてAIの基本、内部監査が果たせる役割と果たすべき役割、およびAIのリスクと機会を理解しなければなりません。
内部監査人はこれらの課題を乗り切るために『フレームワーク』を活用して、AIに関連するリスク・マネジメント、コントロール、ガバナンスの各プロセスの有効性を評価し改善するために規律ある姿勢で体系的な手法を使用すべきでしょう。
③内部監査の将来性
内部監査の目的は、会社または部門が定めた管理方法や仕組みが機能しているかを監査し、規定に反していれば是正を求めることです。
いわゆる「内部統制」が機能しているかのチェックが内部監査の目的です。
なお内部統制は、以下に挙げる4つの目的があります。
- 業務の有効性および効率性
- 財務報告の信頼性
- 事業活動に関わる法令などの遵守
- 資産の保全
この4つの目的は、以下の6つの基本要素から成り立っています。
- 統制環境
- リスクの評価と対応
- 統制活動
- 情報と伝達
- モニタリング
- ITへの対応
まとめ
内部監査の目的は6つの要素のうちの「モニタリング」で、内部統制がきちんと機能しているかどうかのチェックを行うために実施しています。
さらに内部監査のニーズが高まるにつれて求められるようになったのが、知識の専門性です。
例えば企業内でのインターネット利用が一般的になった昨今、IT監査やシステム監査なども求められており、そのような専門知識を持った人材も求められています。
コーポレートガバナンスが重視される現在において、内部監査の重要性は増しています。
将来性があり、やりがいのある仕事だといえます。
Profile レックスアドバイザーズ
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