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複数人が勤務する会計事務所であっても、事務所を名乗るケースと法人を名乗るケースがあります。
会計事務所という名称の場合、組織として活動していても法人とはみなされません。
この場合は個人事業主の事務所にスタッフが所属している状態です。
このような会計事務所が法人格を得ると、どのように変わるのでしょうか。
名称だけでなく事務所としてのあり方についても変化が起こります。
この記事では会計事務所と法人格の関係について解説します。
会計事務所の法人格とは
そもそも会計事務所の法人格とはどのようなものを指すのでしょうか。
会計事務所の法人格について解説します。
会計事務所が法人格を取ると税理士法人になる
会計事務所の法人格は税理士法人です。
すなわち会計事務所が法人格をとると、名称に含まれていた「会計事務所」の部分が「税理士法人」に変わります。
とはいえ税理士法人という名称でも、会計事務所として紹介されることがあります。
事務所紹介などにおいて、自らを会計事務所と名乗っているケースもみられるでしょう。
しかし実際には、会計事務所が法人格を有した組織は税理士法人です。
そのため税理士法人という名称を見かけたら、法人成りした会計事務所と考えるとイメージしやすくなります。
個人事務所のまま運営することも
法人成りの条件を満たしていても、会計事務所として運営し続けることもあります。
会計事務所が法人格を有するための条件は以下のとおりです。
- 社員が税理士のみである
- 社員(税理士)が2人以上所属する
- 所属する社員に、税理士法における欠格事由に該当する者がいない
簡単にまとめると、税理士が2人以上いる会計事務所なら法人成りが可能です。
法人格を有することでさまざまなメリットが得られますが、手間が増えるなどのデメリットも存在します。
そのため特に必要性を感じない場合、法人格を持たずそのまま個人事務所として運営し続けることもあります。
税理士事務所と会計事務所の違いとは
会計事務所に似た名称として税理士事務所がありますが、両者の違いはあるのでしょうか。
実は税理士事務所と会計事務所は、業務内容としてはまったく同じものです。
正確に申し上げると、税理士が設ける事務所の正式名称が税理士事務所となります。
会計事務所はいわば俗称に属するものです。
なぜあえて俗称である会計事務所という名称を使うのか、それは事務所が重視する業務や強調したいポイントが理由となります。
詳細については後述します。
とはいえ税理士事務所と会計事務所については同じものと考えて問題ありません。
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会計事務所の法人格における違い
会計事務所の法人格における違いを紹介します。
事務所と法人ではさまざまな違いがあるため、自身の理想とする働き方と照らし合わせて考える必要があります。
会計事務所・税理士事務所の特徴
会計事務所・税理士事務所は基本的に税理士が個人で運営する事務所です。
税理士の設ける事務所の正式名称が税理士事務所で、税理士法第40条2項で規定されています。
前述したように税理士が2人以上いても法人格を持たず、会計事務所・税理士事務所として運営していることもあります。
しかし基本的に税理士は所長ひとりで、比較的小規模であることが多いです。
小規模であっても、業務はさまざまです。
- 記帳代行
- 経理代行
- 給与計算
- 税務書類作成
- コンサルティング
税理士事務所という名称だと、税務業務のイメージが強くなりやすいです。
そのため幅広い業務を請け負うことをアピールする、もしくは比較的わかりやすくイメージしやすいよう会計事務所という名称を使うことが多いのかもしれません。
税理士法人の特徴
税理士法人は、会計事務所や税理士事務所と大きく異なります。
法人格を持つことで得られるメリットの例は以下のとおりです。
- 所得税と比べ節税がしやすい法人税の対象になる
- 支店が設置できる
- 経費の幅が広がる・退職金が出せるなどより大きな節税が可能になる
- 最大9年間欠損金が繰り越せる
法人成りをすることで、主に節税に関するメリットが増えます。
また支店を増やすことが可能となるため、規模の拡大が容易になります。
業務内容自体は変わりませんが、規模が大きくなりやすいため業務の幅が広がりやすいです。
転職はどこを選ぶべきか
法人格の有無によって、組織としての特徴に大きな違いが見られます。
それでは転職はどこを選ぶべきか、選ぶポイントを基に解説します。
人数や規模を重視する場合
転職先を選ぶ際には、人数や規模を重視する方もいるでしょう。
会計事務所の方が少人数小規模になりやすく、大人数大規模な組織は税理士法人として法人格を有するケースがほとんどです。
少人数小規模であれば、組織内の伝達が速くコミュニケーションが取りやすい点が大きなメリットです。
ただし個人事務所は所長の経営方針が色濃く反映され、場合によっては「合わない」ということもありますし、働き方や人事制度などの社内規程などが明確でないケースもよくみられます。
税理士法人として法人格を有しているとはいえ、すべての法人が大人数大規模とは限りません。
しかし税理士法人のほうが社内規程など快適に働くための制度は整っています。
とはいえ大規模になるほどコミュニケーションが難しく、人間関係が希薄になりがちな点がデメリットといえます。
人数や規模を重視する場合、自分が職場に何を求めるかを明確にすることが大切です。
所長や有資格者と近い距離にいたい場合
所長や有資格者と近い距離にいたい場合は会計事務所のほうが理想を実現できる可能性が高いです。
会計事務所の場合、有資格者は所長のみもしくはごく少数となります。
そのため業務を進めるうえで必然的に所長や有資格者と関わるため、近い距離にいることが可能です。
ただし有資格者の比率が高い税理士法人であれば、有資格者と接する機会は十分でしょう。
小規模の税理士法人であれば、所長の近くで働ける可能性もあります。
法人格はあくまで基準のひとつ
法人格の有無はあくまで基準のひとつであり、法人格だけを理由に転職先を選ぶのは危険です。
会計事務所のほうが所長と距離が近い可能性が高いですが、所長が滅多に顔を出さないケースも考えられます。
有資格者と接する機会が多い税理士法人も存在します。
法人格を有する税理士法人のほうが社内規程などの制度が整備されているイメージは強いです。
しかし所長の人柄によっては、会計事務所のほうが快適に働けるかもしれません。
大切なのはその組織で自分の理想とする働き方が実現できるかどうかです。
法人格の有無による特徴はあくまで傾向程度で把握しておき、より広く深く確認する必要があります。
まとめ
会計事務所が法人格を有すると税理士法人となります。
会計事務所は個人事務所、税理士法人は税理士が2人以上いる組織と考えるのが容易です。
似たような言葉である税理士事務所は会計事務所の正式名称であり、両者に特別な違いはありません。
税理士法人として法人格を所有するとさまざまなメリットが生まれます。
転職先を選ぶ際には、法人格の有無は基準のひとつとはなり得ます。
しかし法人格を最優先にするのではなく、自身の理想が実現できるかを重視するのが大切です。
会計事務所と税理士法人、法人格の有無による違いを正確に押さえておくと安心です。
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