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企業の経理職が受験する試験のひとつにBATICがあります。
受験生は年間2000~3000人程度のため、知らない人も多いかもしれません。
これからBATICの難易度や取得後のキャリアについて解説します。
BATICの難易度は?
BATICの難易度はどの程度なのでしょうか。
以下に解説していきます。
①BATICとは?
BATICは東京商工会議所が主催する国際会計検定のことで、「Bookkeeping and Accounting Test for International Communication」のそれぞれの頭文字をとりBATICといわれています。
このBATICは、IFRSといわれる国際会計基準による会計スキルとビジネスシーンに必要な英語力の2つを同時に測る検定試験で、英語で行われます。
合否の判定はなく、スコアに応じて称号が付与されます。
BATICはIFRSを適用する準備をしている場合や在外子会社がIFRSを適用している場合など、たくさんの企業の経理職から注目を集めている検定試験です。
②なぜ注目されているのか?
では、なぜBATICが注目されているのでしょうか。
大きな理由として、IFRS適用企業の増加が挙げられます。
政府は国際競争力の強化などを目的として、2010年にIFRS(国際会計基準)の任意適用の推進を開始し、現在も適用拡大のための施策を進めています。
2010年ではIFRS適用企業はわずか3社でしたが、2021年6月時点でIFRS適用済会社数は226社、IFRS適用決定会社数は10社あります。
また、IFRS適用企業は海外展開している大企業が多く、時価総額でも高い割合となっています。
さらに日本の会計基準を適用している場合でも、海外に子会社がありIFRSを適用している場合などではIFRSの知識が必要となりますし、英語力も必要となっています。
つまり多くの企業でIFRSの知識が必要とされているのです。
またBATICを受験することで、社内の信頼があがることも挙げられます。
BATICで自分のスキルアップを図ることにより、成長意欲を周囲に示すことができます。
さらに、英語力があることも証明できるため、海外駐在の候補になるなど、社内でのアピールにつながります。
さらに、外資系企業への転職の可能性も高まります。
グローバルな会計スキルを身につければ、転職の幅も広がります。
海外に子会社を持つ企業、外資系企業のほか、国際的なM&Aを行う企業など、国際会計スキルをもつ人材へのニーズはたくさんあります。
こうした企業への転職希望がある人や、経理職として働くフィールドを広げたい場合にも、BATICはおすすめです。
③試験内容と受験料
BATICは、TOEICなどと同様でスコア制の試験で、400点満点のスコアに応じて以下の3つの称号が与えられ、スコア上位から以下のようになっています。
- 上級レベル(90%)・・・Advanced
- 中級レベル(80%)・・・Middle
- 初級レベル(50%)・・・Entry
なお、出題は全て英語で、多肢選択式および記述式の2部構成です。
制限時間は70分となっています。
2021年度よりインターネット経由での試験となり、期間内に希望日を選んで受験する形となっています。
受験料は、5,500円です。
公式テキストの基礎知識とそれを理解したうえでの応用力が問われ、出題範囲は以下となっています。
- 会計と簿記の基本概念
- 取引と仕訳
- 仕訳帳と元帳
- 試算表
- 決算修正仕訳
- 棚卸資産と売上原価の会計処理
- 精算表と締切仕訳
- 財務諸表
- 基本的な前提とGAAP
- 財務諸表分析
- 内部統制
- 現金管理
- 資産と負債の会計処理
④難易度は?
実は、BATICは試験の基準が2021年度より変更となりました。
それまでは、全受験者必須のSubject1(英文簿記)と任意受験のSubject2(国際会計理論)の2つがありました。
スコアもSubject1(英文簿記)は400点、Subject2(国際会計理論)は600点で、合計1000点満点のスコア制でした。
また、称号は以下のような4段階にわかれていました。
難易度を日商簿記のレベルで比べるとおおよそ以下のとおりです。
- コントローラーレベル(880~1000):日商簿記1級
- アカウンティングマネジャーレベル(700~879):日商簿記2級
- アカウンタントレベル(320~699):日商簿記3級
- ブックキーパーレベル(200~319):日商簿記3級
2021年度より試験がかわり、称号も4つから3つに変更となりましたので、日商簿記と比較した難易度は、明確にはわかりませんが、おおよその目安としては、上級レベル(90%)が日商簿記1級、中級レベル(80%)が日商簿記2級、初級レベル(50%)が日商簿記3級程度の難易度といえるでしょう。
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他の資格と比較したBATICの難易度や違い
それではBATICを他の資格と比較すると難易度はどの程度でしょう。
また違いについても解説します。
①USCPA
まず比較対象としてUSCPAが挙げられます。
USCPAは、米国公認会計士の資格試験です。
合格すれば、海外で公認会計士として働くことが出来ますし、国内の監査法人でもUSCPAを採用しているところはあります。
試験は英語で難関ですが、日本の公認会計士試験ほど合格率は低くありません。
また、日本での受験も可能です。
しかし受験料が高く独学も困難である上、合格後も年会費がかかりますので、国内企業の経理職としてスキルアップする目的であれば、BATICの方が向いています。
②IFRS検定
比較対象としてIFRS検定も挙げられます。
IFRS検定は、国際会計基準の検定で、ロンドンに本拠地を置くICAEWという団体が主催しています。
BATICとの最大の違いは、合否判定があるところと日本語で受験ができる点になります。
そのため、英語は苦手だけど国際会計基準は勉強したいという人におすすめです。
まとめ
BATICについて、解説してきました。
インターネットで受験が出来るようになり、また複数の日程から選べるようになり、受験しやすくなりました。
キャリアアップのために、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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