転職お役立ち情報
経理や財務としてキャリアアップを目指すなら、資格を取得することをおすすめします。
経理部長や財務部長を目指していく上では、しっかりと実績を積み上げたうえで、経営陣から信任を受ける必要があり、自身の強みを持っておくことが必要です。
特に近年では、経理部長や財務部長を外部から採用するケースも増えているので、社内での昇進を目指すにあたっても、外部人材との競争に勝てる強みが必要です。
経理部長や財務部長は目指さないけれども、エキスパートとしてしっかり年収は稼いでいきたいという方にも資格は向いています。資格に裏打ちされた強みがあることで、経理や財務のプロフェッショナルとして、自身の価値を高められるからです。
転職によってキャリアアップを目指す場合や、経理への社内異動を目指す場合にも、経理・財務は年収も安定していて競争率が高いため、資格を持っていることは有効です。
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資格は自身のアピールとして役に立つだけでなく、スキルを磨くことにもつながるため、キャリアアップしたい方は資格をうまく活用するとよいでしょう。
今回は持っていた方が有利に働く、経理・財務におすすめの資格について解説します。
最初に:経理・財務業務に資格は必要?
財務や経理の仕事に就くにあたっては、医者における医師免許のような、必須の資格は特にありません。
ですが、いざ就業するとなると、高度に専門的な知識を要します。
経理や財務の経験がある方なら資格を持っていなくてもよいですが、未経験から財務や経理の業務に就く場合、後で詳しく説明する日商簿記は必須だと考えてよいでしょう。
また課長等のマネジメントの立場になると、経験に基づいた判断・指導だけではなく、理論・ルールに基づいた判断・指導が必要になってきます。新しいルールや費目への対応等も求められるので、日商簿記等の資格に基づく知識は必要になる事でしょう。
以上のことから、経理・財務において必須の資格はないものの、実態としてキャリアアップしたい場合や、経理・財務へのキャリアチェンジをしたい場合には、資格が必要になると考えてよいでしょう。
実際、経理に携わる多くの人が日商簿記の資格を保有しているので、日商簿記はほぼ必須のようなものと思ってよいです。
経理・財務におすすめの資格3選!
日商簿記
簿記の知識は、財務会計・管理会計問わず、経理・財務に関わる全ての方が持っておいたほうがいい知識と言えるでしょう。
会社の帳簿はこの簿記の原則に従って記帳されており、簿記の知識を身につけていないと記帳やデータ分析が出来ないからです。
日商簿記検定は、日本商工会議所による簿記の資格試験です。
1〜3級と級があり、1級ともなると難易度も高いです。
財務や経理の職に就きたいと考えるならば商業簿記・工業簿記も問われる2級レベル以上の知識を持っていることが望ましく、2級までは取得しておきたいです。
年に何度か試験があるので、受験もしやすいですよ。
簿記の勉強には様々な方法があり、資格の学校に通う、通信教育を受ける、アプリやYoutubeの無料講座を活用するなど、自分に合う方法を選びましょう。
1級はかなり難易度が高いことで知られますが、2級や3級は、時間をかけ効率よく勉強することで、合格することが可能です。
まず簿記3級に挑戦し、簿記の仕組みが面白いと感じた方や、するすると頭に入ると感じた方は、是非2級にもチャレンジしてみましょう。
なお1級の知識を持っていることで評価はされますが、簿記2級を持っていれば十分というケースも多いので、まずは簿記2級の取得を最初のゴールとするとよいです。
関連記事:経理への転職で有利になる簿記3級の勉強方法&2級との年収差を解説
ただし、基本的には日本の経理についての資格なので、米国など外資系企業を目指す場合、会計システムが違う場合もあります。
USCPA
次におすすめの資格がUSCPAです。
USCPAはUSのCPAということで、米国公認会計士の資格です。
国内の公認会計士資格が難関と言われている中で、USCPAはさらに難しいと思われるかもしれませんが実際はそんなことありません。
USCPAがお勧めである理由は以下の通りです。
・海外子会社などがあるグローバル大手企業で評価される
・海外駐在等の機会を得やすい
・公認会計士資格に比べ、働きながら取得しやすい
まずUSCPAはグローバル大手企業で評価される資格のため、グローバル大手への転職等のキャリアアップを目指す場合には取得する価値があります。
海外に子会社がある場合など、決算自体は海外子会社で行われるものの、その中身をきちんと理解できる方が、会話がしやすくなるためです。
通常時であれば、そこまで細かい理解は必要ないかもしれませんが、より深く入り込んで分析が必要になる場合など、有効になるでしょう。
同じ観点で、海外駐在等の機会を得やすくなるというメリットもあります。
USCPAは米国公認会計士という名前ですが、実はアメリカ以外の国々でも公認会計士として活躍できる資格です。カナダやメキシコといったアメリカの周辺に加え、オーストラリアなどとも相互承認協定が結ばれています。
最後に、USCPAは日本の公認会計士資格と比べ、働きながら資格取得を目指す方に優しいです。日本の公認会計士資格は、多くの方が大学在学中に取得しているように、働きながら取得するには中々ハードルが高いです。
その点USCPAは4科目を別々にとれば良く、自分の働き方に合わせた資格取得が可能です。
もちろん英語力が必要という意味でのハードルはありますが、グローバルに活躍したい方であればどのみち英語力は必須のため、目指しても良いのではないでしょうか。
内部リンク:USCPA(米国公認会計士)とは?仕事内容や年収などのリアルを解説!
内部リンク:USCPA(米国公認会計士)の難易度について
IFRS検定(国際会計基準検定)
3つ目がIFRS検定(国際会計基準検定)です。
IFRSとは、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)の略で、国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board:IASB)が策定する会計基準です。
日本でもグローバル展開している上場企業はIFRSの基準を適用していることが多いため、IFRSについての知識を有していることは評価されます。
その中でIFRS検定というのは、イギリスの公認会計士協会ICAEW (The Institute of Chartered Accountants in England and Wales)が独自に有する資格制度になります。
IFRSがEUを中心に導入が進められてきた制度のため、ICAEWがリードしています。
USCPA同様に海外の資格ではありますが、一点特徴的なこととして、IFRS検定は日本語での受験が可能な資格となっています。そのため、簿記以外の資格を取ってスキルアップしたい、大手企業にキャリアアップしたいが、USCPAを取るには英語が、という方にはピッタリの資格と言えるでしょう。
経理・財務の実務に役立つ資格:ITスキル関連
ここからは実務を行う上で役に立つ資格の説明をしていきます。
まずはITスキルに関する資格から行きましょう。
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格です。
経理・財務領域は、DXによる効率化が進められている分野です。そのため、経理・財務の担当者であっても、IT部門と共同でプロジェクトを行うことも多いでしょう。
ITパスポート試験の公式ページによると、試験内容は「新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識をはじめ、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的知識を問う試験」ということで、ITの専門家と共同で仕事をしたり、議論したりするうえで必要な最低限の知識を学ぶのに向いています。
ITパスポートは知識の習得に有益であるだけでなく、国家資格であるため就職や転職の際にも有利に働きます。また試験も簿記同様に年中行っており、チャレンジしやすい点もおすすめの理由です。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSはMicrosoft Office Specialistの略で、その名の通りマイクロソフトに関するスペシャリストに与えられる資格です。ITパスポートが知識を証明する資格であるのに対し、MOSはスキルを証明する資格となっています。
WordやExcel、PowerPointなどはビジネスパーソンには必須のソフトです。
特に給与計算、会計処理、請求書の作成など、経理職として社内で仕事をする人には使用頻度も高いでしょう。
MOS資格は、習得した能力をマイクロソフトが認定しているため、第三者から客観的にスキルを評価されたという証明になります。
経理スタッフとして活躍する上では、効率的に業務をこなせることはもちろん評価ポイントになるため、MOSを持っていることでエクセル業務等が得意であることが証明されれば、採用する側にも信頼度が生まれ、就職に有利になるでしょう。
また管理職になってくると、ワードやパワーポイントを使って資料作成を行いプレゼンテーションを行うことも増えてきます。その際にMOSに認定されたスキルを持っていると、より説得力のある資料を作ることができプレゼンテーションの魅力も高まります。
経理の実務に役立つ資格
FASS検定
FASSはFinancing Accounting Skill Standardの略で、経理・財務スキル検定です。
簿記と比較すると、より実務に特化している会計の資格です。
簿記は会計の基本原則、および理論を学びますが、FASSでは実用的な活用例を学んでいきます。
出題は、資産・決算・税務・資金の4つの分野から行われ、総合評価と分野ごとの評価が得られます。実務スキルはA-Eの5段階で評価され、Aであれば「業務全体を正確に把握し、自信をもって業務を遂行できる」、Eであれば「まだ不十分な部分が多くサポートが必要」となっています。
特徴は、経済産業省が主導していること、経理・財務の実務家が集まって開発した実務に特化した検定試験であることです。日本CFO協会が経済産業省の委託事業として開発し、検定試験の運営・実施を行っています。
PASS検定
PASSは、Passport for Accounting Skill Standardの略で、経理事務パスポート検定です。
HPによれば、「経理の業務標準として定着した経済産業省「経理・財務サービススキルスタンダード」に準拠し、人材派遣・紹介でも使われる現場重視の3段階のレベルに対応した実践重視の資格」となっています。
日本CFO協会とパソナが共同で開発・運営しており、人材派遣でも活用されているのがポイントです。
そのため、事務職未経験の人など、学習の第一歩、キャリアの取っ掛かりとしておすすめしたい資格です。
内部リンク:経理の仕事内容とは?年間の業務スケジュールや財務との違いをわかりやすく解説!
内部リンク:経理と会計の違いについて
財務の実務に役立つ資格
CMA
CMAはCertified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japanの略で、日本証券アナリスト協会認定アナリストです。
一般には証券会社の従業員など、⾦融・投資のプロフェッショナルのための資格と考えられがちですが、必ずしもそうではありません。
もちろん投資価値の分析・評価等の投資銀行で求められるスキルを学ぶことはできますが、加えて企業財務の知識や、経済・資本市場や⾦融商品の仕組み、ファイナンス理論等、専門的な知識を学ぶこともできます。
財務でキャリアアップをしていくと、資金計画の策定はもちろん、資金調達の最適化なども求められて行くため、CMAに必要な知識は有効になってきます。
CMAを取得するには、第一次レベル講座と第二次レベル講座の二段階をクリアする必要があります。その上で3年の実務経験が必要です。
第1次レベル講座では6つの学習分野を一括受講し、3科目受験して全科目に合格する必要があります。第2次レベル講座の完了後は、総合試験である第2次試験があり、これに合格したうえで、実務経験が3年以上と認定されれば、晴れてCMAを取得することができます。
内部リンク:財務とは?仕事内容や役割について徹底解説!
内部リンク:財務分析をするのにおすすめの資格
プロフェッショナルとして活躍するための資格
最後に、経理・財務とは若干離れるものの、プロフェッショナルとして活躍するための資格についても触れておきます。
公認会計士
公認会計士は、言わずと知れた最難関国家資格の1つです。難易度が高いため上記のおすすめ資格に入れませんでしたが、経理としてスキルアップし、CFOや経理部長を目指すにあたっては非常に有力な資格です。
財務諸表の監査に関するプロフェッショナルであり、社会的な信頼も非常に高いのが特徴です。公認会計士資格を持っていることで、監査法人、会計コンサルティング会社、会計事務所等、投資ファンド等、企業以外での選択肢も広がります。
公認会計士試験には短答式試験、論文式試験があり、その後に3年間の補習授業の履修、実務経験を通じて終了考査に合格することで、公認会計士となります。
ただし、試験範囲自体がとても広く、合格率も10%程度と非常に難しい資格でもあります。
ある程度費用もかかりますし、働きながら取得するのはかなりハードな道のりですが、経理・財務から監査法人等の会計プロフェッショナル領域に転職したい場合には、挑戦してみる価値はある資格です。
税理士
税理士も公認会計士同様、難関国家資格です。
税理士は税金に関する専門知識を有するスペシャリストであり、公認会計士に比べると、経理・財務職の上でのニーズは高くないです。
税理士になるメリットは、定年を超えても長く働き続けられることです。平均寿命が延びる中で、60歳を超えてもバリバリ働きたい方もいると思いますが、そうした方にとってはおすすめの資格と言えます。
税理士になるためには、税理士試験を5科目合格するか、大学院による一部試験免除などを活用して、合格を目指すことになります。
科目ごとの合格率も決して高いとは言えませんが、毎年少しずつでも合格を重ねていけば確実に合格できるので、その意味では働きながら取得しやすい資格と言えるでしょう。ただし、受験資格がある点だけは注意が必要です。
なぜ経理と財務で役に立つ資格が異なるのか?
経理と財務は共にお金の管理をする仕事です。
しかし、両者の仕事内容を区別できる人はあまり多くないでしょう。
実は、同じお金の管理をする仕事でも、その仕事内容は全く異なります。
そのため、経理と財務では役に立つ資格も異なるのです。
改めて、仕事内容を紹介しましょう。
経理は「過去のお金」を管理する仕事
経理職では、毎日発生したあらゆるお金の流れを把握して管理します。
具体的には
- 伝票の作成
- 買掛金の支払い
- 売上高の入金確認
- 帳簿への記入
- 税務申告
これらの仕事が挙げられます。
経理は既に発生した取引を管理し、会社の経営状況を理解する仕事と言えるでしょう。
また、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表の作成も経理の大切な仕事の1つです。
財務は「未来のお金」を管理・調達する仕事
会社運営をするに当たっては多額の資金が必要になります。
特に現代では、1つの事業のみに専念して生き残っていくのは難しい現状です。
企業を長期に渡って存続させる為には、新たな事業展開や経営戦略を立てて実行していくのが不可欠となります。
財務職の仕事内容の1つとしては、新たな事業展開に際して必要となる資金の調達が挙げられます。
また、その他の仕事内容として
- 各事業部への予算編成、検討、および管理
- 投資等による資産運用
が挙げられます。
財務職は、会社の未来に関わるお金を管理する仕事なのです。
経理・財務経験者向け
キャリアアップ転職相談
経理・財務に求められるスキルや知識と資格の関係
さらに、経理・財務それぞれに求められるスキルや知識と資格の関係について説明していこうと思います。
経理・財務の両方に必須の能力と資格
どちらの仕事にも必須の能力として、
- データ分析
- プレゼン力
が挙げられます。
例えば財務職が資金調達を行う際。会社の経営状況を第三者(銀行等)に説明し、納得してもらわなければ目的であるお金は借りられません。
経理職も、会社の現在の財務状況を理解、把握し、経営者などに分かりやすく説明しなければいけない場合があります。
その際、データを正しく読み解く能力がなければ、相手に正しく情報を伝えることはできません。
更に、相手を納得させるだけのプレゼン能力がないと、資金調達が出来なかったり、経営者に不信感を抱かせてしまうこともあります。
その意味で、会計についての共通言語である簿記を学んで資格を取得すると同時に、ITスキルを高めてわかりやすいプレゼンを行えるようになることが大切です。
経理に求められる能力と資格
経理職は、社内の人間との連携で仕事を行います。
仕事内容も基本的にはルーティンワークです。
経営計画や事業方針によって大きく変わることはあまりありません。
ただし、適切な管理や書類の作成などが求められます。
経理職に求められる能力・条件は次の4つが挙げられるでしょう。
- コツコツと作業をこなし、処理が行える
- フォローアップが得意である
- 高い危機管理能力で現状を維持できる
- PCスキル・技能が高い
経理部長等の経営職に就くまでは、プレイングマネージャーとして働く必要があるため、実務能力が必須です。そのため、簿記やITスキルに加えて、FAAS検定やPAAS検定といった、実務能力を問われる検定を受けることが有益です。
一方で経理においては、上場企業やグローバル企業と、非上場企業で求められるスキルが大きく変わります。そのためUSCPAやIFRS検定といったスキルが生きてくるといえるでしょう。
財務に求められる能力
財務職は社外の人間と関わることの多い仕事です。
時には英語で海外の企業と商談するなど、グローバルな局面に取り組むこともあるでしょう。
仕事内容も、ルーティンワークと言うよりは、経営計画や事業方針によって柔軟に変化させていかなければなりません。
財務職に求められる能力は次のような3つが挙げられます。
- 社外含め人と関わりコミュニケーションがとれる
- 変化に対し、柔軟に対処できる
- 新しいことに挑戦できる
そのため、資格としては共通言語である簿記や、コミュニケーションスキルに直結するITスキルに加え、社外の投資家や金融機関がどのようにものを考えているかが良く分かるCMAのような資格が武器になるといえるでしょう。
まとめ
今回は経理・財務におすすめの資格を、仕事内容と、求められる能力と併せて解説しました。
経理・財務の仕事は、経営の根幹にかかわる仕事です。
キャリアアップ含め、目指してみる価値はおおいにあるでしょう。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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