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公認会計士は日本の三大難関国家資格の1つであり、試験の難易度が非常に高いです。
公認会計士試験の難易度を突破するためには、試験の難易度を高くする要因や、試験に向けたポイントをしっかり押さえる必要があります。
今回は公認会計士試験について、難易度という面から詳しく解説します。
公認会計士の難易度
公認会計士資格の難易度が高いとイメージする人は多いでしょう。
まずは、公認会計士の難易度を紹介します。
公認会計士は日本三大国家資格のひとつ
公認会計士は日本における三大国家資格のひとつです。
弁護士になるための司法試験、医師になるための医師国家試験に並び称されます。
年収や社会における信頼度、そして難易度のすべてがトップレベルです。
公認会計士の独占業務として、企業の会計監査が挙げられます。
業務の難易度や求められる責任が大きいため、それにふさわしい知識がないと資格を取得できません。
公認会計士の仕事が、企業の価値を高めることにもつながります。
一方で、その逆もあり得ます。
責任が大きいゆえに、取得するには難易度が高い試験です。
必要な勉強時間
高難易度の資格である以上、合格までに必要な勉強時間も非常に大きくなります。
公認会計士試験の合格に必要な勉強時間は、最低でも2,500時間、基準としては3,500時間程度です。
勉強期間は目安として2年程度。
1日の勉強時間は平均して4~5時間程度となります。
しかし現実として、公認会計士の勉強のみに専念可能だという人は多くありません。
大学などに通うもしくは社会人として働く場合には、平日の空き時間と土日の大半をほぼ勉強に費やすことになります。
他の資格と比較しても、公認会計士は必要な勉強時間が非常に長いです。
公認会計士の勉強をしている間は自由時間はかなり少なくなってしまいます。
合格率
公認会計士試験の合格率も、難易と言われる理由のひとつです。
公認会計士試験の合格率は、毎年10%~11%程度です。
ただしこちらは欠席者数を含んだうえ、短答式と論文式の両方で計算した場合の結果です。
欠席者を除き、さらに各試験ごとに考えると合格者数は変わるでしょう。
短答式の実質的な合格率は15%~20%、論文式は約40%と言われます。
なお論文式は年齢が上がるにつれ合格率が下がる傾向にあります。
いずれにせよ、公認会計士試験の合格率は低いのが事実です。
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公認会計士試験の難易度が高い理由
公認会計士試験はなぜこんなにも難易度が高いのでしょうか。
難易度を決めるとされる要因を紹介します。
専門性が高い
高難易度になる理由のひとつが、求められる専門性の高さです。
公認会計士試験は短答式が4科目、論文式が5科目で構成されます。
いずれも求められる知識量が多く、深い理解も必要です。
公認会計士の主な業務である会計監査は、企業が信頼できることの証明や健全な事業促進などにおいて重要な役割を果たします。
これらを実現するためには会計に関する専門知識が必要です。
試験で問われる内容も専門性が高く、高いレベルでの準備・勉強の必要があります。
なお実務を通さない座学の勉強のみではイメージし辛い部分が多く、専門性が高い内容を理解するのは困難です。
とにかく座学で理解をしなければならない点も、難易度を上げる要因のひとつでしょう。
範囲が広く勉強するべき内容が多い
前述したように、公認会計士試験は複数科目が問われます。
範囲が広く勉強するべき内容は当然多くなり、高難易度になるのです。
短答式の科目は以下の通りです。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
なお論文式試験は上4つの必須科目、そして1つの選択科目の計5科目で構成されます。
- 会計学
- 監査論
- 租税法
- 企業法
- 経営学、経済学、民法、統計学のいずれか1科目
学習の成果を広く深く問われる試験であり、必然的に難易度が高くなります。
試験の日程やスケジュールにも注意
公認会計士試験には、試験の日程やスケジュールにも注意が必要です。
短答式と論文式どちらも複数科目から構成されていますが、それぞれ試験日やスケジュールは異なります。
- 短答式試験は12月および5月に実施されますが、4科目すべてを1日で実施します。
9時半から18時までかかるのが一般的であり、集中力だけでなく体力も必要です。 - 論文式試験は8月の3日間で実施され、どの日も午前中から夕方までかかります。
短答式ほど詰め込まれたスケジュールではありませんが、集中力の維持や翌日への切り替えが大切です。
試験の日程やスケジュールの都合上、試験を突破するためには計画性や対策も求められます。
勉強以外にも難関ポイントがあるため、その分難易度が高く感じやすいです。
公認会計士の試験別合格率
短答式試験の合格率
直近3年分の短答式試験の合格率は以下の通りです。
|
答案提出者数 |
合格者数 |
合格率 |
令和6年第Ⅱ回試験 |
11,003人 |
1,041人 |
9.5% |
令和6年第Ⅰ回試験 |
12,100人 |
1,304人 |
10.8% |
令和5年第Ⅱ回試験 |
10,429人 |
921人 |
8.8% |
令和5年第Ⅰ回試験 |
11,401人 |
1,182人 |
10.4% |
令和4年第Ⅱ回試験 |
9,870人 |
780人 |
7.9% |
令和4年第Ⅰ回試験 |
9,949人 |
1,199人 |
12.1% |
出典:公認会計士・監査審査会「令和6年試験について」「令和5年試験について」「令和4年試験について」
短答式試験の合格率は10%前後と非常に低い数値になっています。
論文式試験の合格率
続いて論文式試験の合格率です。短答式試験と同じく、直近3年分の合格率を紹介します。
※令和6年開催分の合格発表はまだ行われていないため、令和3年~令和5年分を紹介します。
|
論文式試験受験者数 |
論文式試験合格者数 |
論文式試験合格率 |
令和5年試験 |
4,192人 |
1,544人 |
36.8% |
令和4年試験 |
4,067人 |
1,456人 |
35.8% |
令和3年試験 |
3,992人 |
1,360人 |
34.1% |
出典:公認会計士・監査審査会「令和5年公認会計士試験合格者調」
論文式試験の合格率は35%前後であり、短答式試験に比べると高めです。
公認会計士の難易度を突破するには
公認会計士試験は非常に難易度が高いため、入念な対策が必要です。
この難易度を突破するために最低限押さえたいポイントを紹介します。
勉強時間の確保と計画が重要
公認会計士試験は長期的な勉強が必要な試験です。
そのため勉強時間の確保と、試験日までの計画が重要な意味を持ちます。
まずは1日や1週間の中でどれぐらい勉強時間がとれそうかを考え、そのうえで必要な勉強期間を計算します。
もしくは試験を受けたいタイミングに合わせ、毎日の勉強時間を逆算しても良いでしょう。
そして勉強する内容や達成したいレベルなどを、月や期間といった大まかな基準で計画します。
長期的な勉強になるため、やみくもに勉強を進めるのは非効率的です。
勉強時間をしっかり確保し、着実に進めていくために勉強の計画もある程度立てておきます。
苦手をしっかり潰す
公認会計士試験は複数科目から成り立ち、どの科目も高い専門性が問われます。
大切なのは、苦手をしっかり潰すことです。
苦手な分野があると、そこが原因で試験全体の結果に影響してしまう恐れがあります。
苦手と感じる部分があれば、なるべく早い段階で潰せると効率的に勉強を進められます。
他にやるべき勉強や全体のスケジュールなどを考慮しながらも、苦手対策は重点的におこないたい部分です。
ただし人によっては、苦手分野の勉強はモチベーションが上がらずかなりの苦痛になってしまうかもしれません。
必要以上に疲労を感じてしまう原因にもなるため、無理はしすぎないようバランスを取る必要があります。
過去問や模擬試験を解く
試験を突破するためには、過去問や模擬試験といった本番に近い形式の問題練習は欠かせません。
過去問演習をする時間の十分な確保が必要です。
知識が完全に身についてから過去問演習に進みたいと考える方もいるでしょう。
しかし過去問演習をすることで苦手や課題が明確化し、効率的な勉強を進めやすくなります。
問題形式に慣れておくためにも、過去問演習の時間は多くとりたい部分です。
本番と近い環境で解くためには、模擬試験が効果的です。
模擬試験が開催される日を確認しておき、なるべく受験するようにしましょう。
公認会計士試験に関するQ&A
試験合格と偏差値の関係は?
公認会計士試験の合格者は偏差値が高い傾向と考えられるものの、偏差値がすべてではありません。
前提として、出身大学別の合格者内訳は公表されていないため、合格者の偏差値がどの程度であるか正確には判断できません。
しかし合格者調によると、高卒や大学在学中、その他の学歴の合格者も多くいます。
また、出身高校や大学の偏差値が低くても合格したという体験談も存在します。
そもそも、公認会計士試験に学歴要件はありません。そのため、偏差値に関係なく誰でも受験できます。
偏差値の高さは学力を示す基準の1つにはなり得ますが、試験合格を左右するほどの要因ではないといえるでしょう。
独学でも試験に合格できる?
独学での試験合格は不可能とは言い切れないものの、非常に難しいのが事実です。
これまで紹介したように、公認会計士試験は非常に難易度が高い試験です。
専門性が高い上に出題範囲も広く、すべてを一人でこなすのは容易ではありません。
また、短答式試験の合格による免除制度の有効期限は2年です。すなわち短答式試験の合格後、2年以内に論文式試験に合格する必要があります。
2年という定めの中で確実に合格するためには、少しでも合格率を上げるのが理想です。
そして自分一人ですべてをこなす独学は効率的とはいえません。
公認会計士試験に独学で合格するのは不可能ではないものの、独学の選択をする人は非常に少ないのが事実です。
公認会計士の将来性は?
公認会計士は法定監査を実施できる唯一の資格であり、監査義務のある会社から常に需要があります。
将来、監査の必要がなくなる事態は起こらないでしょう。したがって公認会計士の需要がなくなる恐れはないといえます。
また、監査以外でも公認会計士の知識や経験が求められる場面は多く存在します。
IT化やAI技術の発展により会計士のあり方が変わる可能性はあるものの、需要がなくなる恐れは非常に小さいでしょう。
公認会計士は今後も様々な分野で必要とされ続ける、将来性のある資格と考えられます。
まとめ
公認会計士は三大国家資格のひとつであり、非常に難易度の高い試験です。
必要な勉強時間は3,000時間を超え、多くの勉強をする日々が年単位で続きます。
合格率も低く、ハードルの高さが伺えます。
公認会計士は専門性が高いため、難しい内容について深い理解が必要です。
試験科目が多く、必然的に勉強が必要な範囲も広くなります。
試験日程の都合上、計画性や集中力なども求められます。
試験を突破するためには、勉強時間の確保と計画が重要です。
すべての問題に対応できるよう、苦手は潰す必要があります。
過去問演習や模擬試験など、本番に近い問題を解く機会は多く取りたい部分です。
非常に難易度の高い公認会計士試験ですが、受験者の皆様が突破できることを心から願っています。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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