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巡回監査士補という用語を見聞きしたことはあるでしょうか。
会計業界特有のものであり、意味や特徴についてなかなかイメージしにくい用語です。
巡回監査士補とはTKCというグループが実施する資格のひとつで、巡回監査の能力の証明ができます。
TKCグループは会計業界においてかなりの知名度および力があり、巡回監査士補が評価される場面も多いです。
本記事では巡回監査士補について、意味や試験の概要、さらにはメリットなどを解説します。
巡回監査士補とは
まずは巡回監査士補という資格の概要について解説します。
会計業界に存在する資格の中ではやや特殊ですが、活躍できる場面はさまざまです。
TKCグループが実施する資格
巡回監査士補とは、会計業界における大手グループのひとつであるTKCが実施する資格です。
TKCという会社が提供する会計ソフトを使う会計事務所は、TKCグループにも属するケースがほとんどです。
TKCグループの特徴として、毎月クライアントを巡回して監査を実施するという点が挙げられます。
巡回監査士補はそんな巡回監査に必要な能力について、一定以上のレベルを認められた人に与えられる資格です。
巡回監査士補の試験は一般的に、巡回監査士試験という名称で呼ばれるケースが多くみられます。
巡回監査士の受験に必要
巡回監査士補の資格は、巡回監査士受験の要件となっています。
したがって巡回監査士を目指している人は、まず巡回監査士補に合格する必要があります。
巡回監査士はTKCグループにおける巡回監査について、高いレベルを有していると証明する資格です。
巡回監査士補よりも要件が厳しく、資格更新のためには指定数の研修を受ける必要があります。
巡回監査士はTKCグループの業務において非常に有用な資格です。
したがって巡回監査士の資格を得るために、まず巡回監査士補を目指すという人も多くいます。
巡回監査士補は取得するべき?
巡回監査士補の資格を取得するべきか否かは、所属する会計事務所によって異なります。
巡回監査士補はTKCグループが実施とはいえ、TKCに所属する人以外も受けられる試験です。
実務経験が半年以上であれば受験可能なため、TKCグループに属していなくても問題ありません。
しかし会計事務所であっても、クライアントの巡回監査を実施しないケースが少なくありません。
巡回監査士補は巡回監査以外の知識も問われるとはいえ、やはりメインは巡回監査についてです。
巡回監査を実施する可能性が低い場合は、別の資格を優先させた方が良いかもしれません。
しかし言い換えれば、巡回監査実施者にとっては非常に役立つ資格といえます。
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巡回監査士補試験について
続いては巡回監査士補の試験について解説します。
資格取得を目指す場合、試験に関する情報収集は必要不可欠です。
試験のスケジュール
巡回監査士補の試験は毎年11月に実施されます。
前述した巡回監査士の試験が11月の頭頃、巡回監査士補の試験はその1週間後です。
試験は以下の6科目によって構成され、各科目70%以上で合格となります。
- 巡回監査Ⅰ(職業倫理、巡回監査)
- 巡回監査Ⅱ(企業会計、経営助言)
- 所得税法
- 法人税法
- 消費税法
- 相続税法
試験時間は巡回監査に関する科目がそれぞれ40分、税法科目は50分です。
必要な勉強時間や合格率
巡回監査士補に必要な勉強時間は、実務の経験年数および会計関連の勉強経験によって異なります。
会計知識がほとんどない状態では、400時間~500時間は必要と考えられます。
日商簿記検定3級または2級取得済みの場合は、より少ない勉強時間で済むでしょう。
続いて合格率ですが、一発合格・科目合格全体だと20%前後です。
全科目一発で合格した人の数は公表されていませんが、より低いと考えられてます。
なお巡回監査の合格率は比較的高め、逆に消費税法などの税法科目は低めです。
いつ頃受けるべき?
巡回監査士補の試験を受けるタイミングは、TKCグループによって目安が公表されています。
必要な実務経験は6ヶ月以上であり、3年以内の取得が目標となっています。
実務経験3年は、まだ新人の部類に入る年数といえるでしょう。
3年以内の取得が目標となっていることから、比較的早い段階での取得が推奨されているとわかります。
とはいえ実務経験1年未満では、基礎となる会計知識がないため、難しい可能性が高いです。
一通りの業務経験を積んだ後、すなわち実務経験1年以上の状態で勉強をはじめることをおすすめします。
巡回監査士補となるメリット
巡回監査士補の資格にはどのようなメリットが有るのでしょうか。
資格取得によって得られるメリットを紹介します。
業務の幅が広がる
業務に関係のある資格を得ると、業務の幅がより広がります。
特に会計ソフトTKCを使っている会計事務所なら、より多くの業務が実施できるようになるでしょう。
業務の幅を広げるというのは、キャリアアップにおいて非常に重要です。
成長できる機会が増え、その分昇進などのスピードも早まると期待できます。
また会計事務所によっては、巡回監査士補資格の保有者でないと実施できない業務が規定されているかもしれません。
業務の幅をより効率よく広げるためには、資格取得によってどの程度業務に影響するか確認すると安心です。
知識を証明できる
資格の保有は、その分野における一定以上の知識を有していることを、客観的に証明するうえで役立ちます。
巡回監査士補の資格も同様で、巡回監査を中心にさまざまな会計知識におけるレベルの証明手段となります。
その人がどの程度の知識を持っているかというのは、口での説明や少し業務をみただけでは判断できません。
しかし資格を保有しているとわかれば、ある程度の知識量については明確に把握できます。
また知識そのものだけでなく、資格試験に向け勉強するという姿勢についても評価されるケースがあります。
このように巡回監査士補の資格は、会計事務所において役立つ知識、そして努力する姿勢の証明において有用です。
自信につながる
資格の保有は周りからの評価や実務的なメリットだけではありません。
自信につながるという、本人の心理に関するメリットも存在します。
たとえ能力が高く業務で活躍している人であっても、能力を保証する何かがないと自信が持てないケースがあります。
周りが持っている印象や仕事の様子に関係なく、自信がないためにマイナスな気持ちになってしまう人がいるのです。
しかし資格は試験に合格したという結果によって得られるものであり、その経験自体が大きな自信につながります。
また資格という明確な基準があれば、他者に対しても知識や能力について自信を持ってアピールできるでしょう。
会計業務をおこなううえでの自信をつけるために巡回監査士補の資格を取るのも有用な手段です。
まとめ
巡回監査士補とは会計業界の大手グループであるTKCによって実施される資格です。
上位資格である巡回監査士試験を受験するための要件でもあります。
会計業界の中でも特に巡回監査を実施する会計事務所や、TKCに所属している場合に役立てられます。
巡回監査士補の試験は毎年11月の上旬に実施されており、試験科目は全部で6つです。
必要な勉強時間は人によって異なり、合格率は20%程度と低めです。
TKCは実務経験3年以内を取得目標としていますが、1年以上経ったタイミングから勉強を始めることをおすすめします。
巡回監査士補の資格を取得すれば、業務の幅が広がる可能性が高いです。
また知識を明確にアピールできるようになることも大きなメリットといえます。
他者や外部における影響だけでなく、単純に自分に自信がつくというのも良い点でしょう。
本記事を読むことで、巡回監査士補について知っていただけたなら幸いです。
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