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「予測財務諸表」を活用しよう!~経営の安定化を目指して~

更新日:2021.11.05

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スーツを着た人たち

予測財務諸表と言う言葉を聞いたことはあるでしょうか。
ビジネスというと「アイデア」であったり「経営論」のようなものが優先して考えられがちです。
ですが、そんなビジネスも資金が無ければ運営することはできません。
ビジネスにとっての血液ともいえる資金は、しっかりと管理・運用しなければ、あっという間に流出します。

そんな「資金の管理・運用」に役に立つのが予測財務諸表です。
今回は、そんな予測財務諸表について解説をしていきます。

そもそも財務諸表とは

そもそも、財務諸表とは一体何なのでしょうか。
経理職になりたてであったり、これから経営をしようと考えている方にとっては、あまり馴染みのない言葉かもしれませんね。

まずは、そんな財務諸表についての解説をします。

財務諸表について

財務諸表とは、会社の健康診断書、成績表のようなものです。
1年間の成績をまとめたものが「損益計算書」であり、これまでの成績を基に健康診断結果を示しているものが「貸借対照表」です。

また、会社の実際のお金の動きを表す「キャッシュフロー計算書」というものも存在します。
これら3つを合わせて「財務諸表」と読んでいます。

財務諸表には何が書いてある?

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書

これらは全て会社のお金を記した表です。
ですが、書いてある内容はそれぞれ全く異なります。

  • 損益計算書…1年間の事業の売上、仕入額、経費、最終利益など
  • 貸借対照表…会社が保有している不動産や預金等の資産、借入金等の負債、資本金
  • キャッシュフロー計算書…会社の実際のお金の動き

※会計上の利益と実際の利益は異なります。損益計算書だけではわからない実際のお金の動きを表すものがキャッシュフロー計算書です。

これらのことが書かれています。

経営と財務諸表について

良い経営を行うためには、しっかりと財務諸表が読めるに越したことはありません。
経営を行う上で、財務諸表を詳細に理解できることはとても大切です。

会社のお金の流れを正確に管理できないと、このようなことが起きてしまう可能性があります。

  • どれだけ売上が高くても、売上以上の経費が発生していることに気が付かない
  • キャッシュフローばかりを気にして損益計算書の吟味を疎かにし、正しい経営戦略が取れない
  • 通帳を見て「現金があるから大丈夫」と思ったら、同じだけ借金がある

こんな事態を避けるためにも、しっかりと財務諸表を読めるようになることはとても大切なのです。

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予測財務諸表の意義

これまでのお話で、財務諸表の重要性は分かっていただけたと思います。
それでは、これからは予測財務諸表について解説をしていきたいと思います。

財務を予測する意味

財務を予測することは、経営にとってとても大切なことです。
予測財務諸表は、例えばこんな時に作ることがあります。

  • 年度末に、次期の経営計画を立てる時
  • 新しい事業を始める時
  • 事業が今後生き残っていけるかを検討する時
  • 資金繰りに問題がないかを確認する時

どれも全て「今後の経営に問題がないか」を確かめるために予測財務諸表を活用しています。
予測財務諸表は、必ずしも正確なものである必要はありません。

そもそも「予測」ですから、正確なものなど作れるはずがありませんからね。

予測財務諸表は、会社の経営状況を確認し、事業方針に問題がないか、見直すべき経営課題はどこかを確認していくものなのです。

もし予測しなかったらどうなる?

では、もし財務を予測せずに事業を進めていたらどうなるのでしょうか?
しっかりとした財務予測を立てずに経営を行うと、こんな問題が発生するケースがあります。

  • 新規事業を始めてみたが、想像以上に経費が必要になり、見込んだ利益が全く生まれなかった。
  • 赤字を垂れ流している事業があるにも関わらず、野放しにしていた。
  • 大きな出費が重なることが分かっていたが、資金繰りについて全く検討していなかったため、ショートしてしまった。

こんな事態が発生してしまいかねません。
事業は、一旦傾き始めたら立て直すのはとても困難です。

修復不可能な程に傾く前に、予め財務状況を予測し、その対策を打つことはとても大切なことなのです。

財務を予測してリスクを減らそう

財務を予測すれば、ある程度のリスクを回避することができます。

  • 新規事業は大きな利益を生み出すと考えていたが、予測財務諸表で計算すると思っていたほど利益を生まなかった。
  • 予測財務諸表を作ることで、損益分岐点をしっかりと意識することができ、1日辺りの必要売上額を意識出来るようになった。
  • 予測財務諸表で見えてきた数字を基に、今後の事業方針を固めることができた。

経営には様々なリスクが伴っています。
予測財務諸表を作って予測できるリスクを回避し、少しでも安全に堅実な経営を行うことはとても重要なのです。

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予測財務諸表の作り方

それでは、実際に予測財務諸表を作ってみましょう。
一見とても難しそうに見えるかも知れません。
ですが、重要な要素さえ押さえてしまえば何も難しいことはありません。

今回は「次期の予測財務諸表を作成する」という仮定でお話をしていきます。

損益計算書を予測する

まずは損益計算書から作成していきます。
損益計算書では、次の3つを意識することが大切です。

  • 売上
  • 原材料費
  • 経費

1つずつ確認していきましょう。

  • 売上
    売上は、前年や前々年の増加率や減少率から推定します。
    直近3年分ほどの売上額から増加率 / 減少率を割り出し、予測していくのが良いでしょう。
    今後の市場動向なども反映させると、より正確な予測ができます。

  • 原材料費
    原材料費は、基本的には売上額に比例して増減するものです。
    こちらも直近3年分ほどの原材料費率から平均値を割り出し、計算するのが良いでしょう。
    もし突発的に原材料費が発生することが予測できるのであれば、必ず反映させて下さい。

  • 経費
    経費は特に正確に予測しなければいけません。
    経費を予測するに当たっては「毎年金額が変わらないもの」「毎年金額が変わるもの」の2つに分けます。
    例えば事業所の家賃、水道光熱費、リース料などは、基本的に毎年金額の代わるものではないので、そのままでOKです。
    ですが、人件費や広告宣伝費などは年によって大きく変わる可能性があります。

このように、毎年金額が変動するものについては、経営戦略を照らし合わせて慎重に、しっかりと予測していきましょう。

貸借対照表を予測する

損益計算書の予測が完了したら、貸借対照表の予測に取り掛かります。
貸借対照表で特に意識するべきは次の4つです。

  • 損益計算書の利益額
  • 損益計算書で発生した売上に対する「売掛金」「買掛金」の金額
  • 今後の設備等に対する投資計画
  • 今後の新規事業に対する借入計画

特に次年度に新たに投資や借入を行う予定があるかどうかは、必ずしっかりと反映させてください。
それ以外にも経営層としっかりと連携をとり、次年度新たに行う事業等がないか、しっかりとチェックを行うようにしましょう。

キャッシュフローを予測する

損益計算書と貸借対照表が作成出来たら、キャッシュフローの予測ができます。
キャッシュフロー予測はこれまでと違い、特別何か確認するべきことはありません。
損益計算書と貸借対照表で出した値を基に、通常通りのキャッシュフローを計算していきます。

これで予測財務諸表は完成します。

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まとめ

今回は予測財務諸表についてお話をしてきました。
財務諸表、予測財務諸表は、正しく健全な経営を行う上では欠かせない大切なものです。
企業を永らく継続させるため、是非予測財務諸表を作成しましょう。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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