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公認会計士はエリートの職業?まずは難易度について解説
公認会計士はどのような人がなるのでしょうか?
試験の内容や難易度について、解説していきます。
公認会計士とは
公認会計士の定義について、公認会計士法第1条に以下のように規定されています。
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
すなわち公認会計士は、その主な業務である「監査」の専門家、及び「会計」の専門家として、日本の経済活動の基盤を支える非常に重要な役割を果たしていることが規定されています。
公認会計士試験の難易度と合格率
それでは、公認会計士試験について見ていきましょう。
■公認会計士試験の概要
公認会計士・監査審査会が実施している、必要な学識及びその応用能力を有するかを判定することを目的とする国家試験で、公認会計士法第5条にて定められています。
試験は毎年実施されています。
■受験資格
年齢、性別、学歴に制限なく、誰でも受験可能です。
■試験内容
短答式及び論文式による筆記の方法により行われます。
短答式試験は以下の科目について実施されます。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
なお、短答式試験に合格すると2年間、同試験の受験が免除されます。
総点数の70%が合格基準となっていますが、1科目につき、40%未満の科目があれば、不合格となる可能性があります。
論文式試験は、短答式試験に合格したもの及び短答式試験を免除されたものにつき、受験が可能です。受験科目は以下となります。
- 会計学
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目(経営学、経済学、民法、統計学から1科目)
選択科目は、経営学を選択する受験生が圧倒的に多くなっています。
論文式試験の得点比率は偏差値方式により算出され、52%の得点比率が合格基準となります。
1科目につき、得点比率が40%に満たないものがあれば、不合格となる場合があります。
■合格者数と合格率
公認会計士・監査審査会が公表している、公認会計士の合格者数および合格率の過去5年間の推移は以下の通りです。
年度 | 出願者数 | 合格者数 | 合格率 |
2016年 |
10,256人 |
1,108人 |
10.8% |
2017年 |
11,032人 |
1,231人 |
11.2% |
2018年 |
11,742人 |
1,305人 |
11.1% |
2019年 |
12,532人 |
1,337人 |
10.7% |
2020年 |
13,231人 |
1,335人 |
10.1% |
過去5年で出願者、合格者ともに増加傾向にあり、合格率はほぼ10%で推移していることがわかります。
なお、2020年度では合格者の平均年齢は25.5歳、最高年齢は61歳、最低年齢は18歳でした。
合格者数の約8割が20代となっています。
合格者の過半数が学生で、専修学校などに通う学生も含めると7割程度となっています。
会計事務所員や会社員も受験していますが、公認会計士試験に合格するためには3,000時間から4,000時間程度の勉強時間が必要といわれます。
受験勉強との両立が困難なため、合格率は低い傾向です。
順位 |
大学名 |
人数 |
1位 |
慶応義塾大学 |
169 |
2位 |
早稲田大学 |
98 |
3位 |
中央大学 |
74 |
4位 |
明治大学 |
60 |
5位 |
立命館大学 |
52 |
6位 |
東京大学 |
49 |
7位 |
神戸大学 |
47 |
8位 |
京都大学 |
43 |
9位 |
法政大学 |
42 |
10位 |
同志社大学 |
34 |
なお、慶應義塾大学が46年連続で首位です。
大学に在籍している人数が多いこともありますが、東京の私立大学が上位4位を占めています。
関西の私立大学では立命館大学と同志社大学が上位10校に入っています。
公認会計士試験合格後の就職
公認会計士業界は年によって採用数にばらつきがあります。
2009年から2013年は会計士試験に合格しても就職できないといった待機合格者が問題となる状況にありましたが、一転2014年以降は会計士不足となっています。
現状、監査法人の就職は難しくなく、試験合格者の9割が監査法人に就職しています。
監査法人入所後のキャリア
監査法人に勤務する公認会計士は高給であるかわりに、仕事量が非常に多く、激務となります。
また、公認会計士試験合格後、3年の業務補助および3年の実務補修を経て、修了考査を受験することとなります。
修了考査は、会計、監査、租税、経営、法規・職業倫理の5科目、計12時間の試験です。
合格率は70%と会計士試験と比べると高いですが、監査法人で激務をこなしながら試験に合格しなければなりません。
合格しなければインチャージが出来ないなどデメリットを被ることもあります。
しかし、晴れて公認会計士となれば、会計や監査の知識にも自信が持て、クライアントからも頼りにされます。
修了試験を機に監査業務から離れ、一般事業会社やコンサルティング会社などに転職する人も増えます。
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公認会計士はエリートといえる?
公認会計士は上のように、相当な勉強量を必要とし、かつ合格後も継続して自己研鑽に励んでいます。
エリートを、社会の中で優秀とされる人間や集団とするならば、公認会計士も社会的使命のあるエリートの職業のひとつといえるでしょう。
エリート集団である公認会計士が所属する監査法人とはどんなところ
次に、エリート集団である公認会計士が所属する監査法人の種類や雰囲気について解説します。
監査法人の種類
公認会計士協会が公表している情報によると、監査法人は2020年9月末時点で250法人あります。
そのうち、あずさ、新日本、PwCあらた、トーマツの4社が4大監査法人(Big4)と呼ばれ、世界の主な大企業の監査業務や税務、コンサルティングを担っています。
監査法人は5名以上のものによって設立されますが、近年はBig4出身者によって設立された中小監査法人が増加している傾向にあります。
監査法人の雰囲気
監査法人の雰囲気は法人や監査グループによって様々です。
活発にクライアントと意見交換や議論を行うところもあれば、黙々と業務を行うところもあります。
また忙しさに関しては、4大監査法人は内部資料の作成に追われる傾向です。
中小監査法人は非常勤職員が多くプロパーの人数が限られているため、こなさなければいけない業務が多く、やはり忙しいといえるでしょう。
エリートである公認会計士の転職先
それでは公認会計士が転職する際、どのようなところに転職するのでしょうか。
以下で解説します。
コンサルティング会社へ
IFRS導入や内部統制支援、M&A関連業務のほか、スタートアップ起業に対するIPO支援などの業務を行います。
不況の影響はありますが、一定数のニーズは常にあります。
また、給与水準は相対的に高いといえます。
事業会社の財務経理部へ
企業の国際化に伴い、事業会社の財務経理部でも求められるレベルが高度化しています。
それに伴い、事業会社の財務経理部において高度な専門知識を有する公認会計士の需要が増加しています。
公認会計士は自己研鑽を怠らず、最新の情報をキャッチアップし、語学も嫌がらずに習得する人が多いです。
会計基準が複雑化し、国際対応が求められても、柔軟に対応できる公認会計士が待望されています。
事業会社の経営企画部へ
財務経理部のほか、一般事業会社の転職に多いのが経営企画部です。
予算作成やM&A業務には、会計の知識が不可欠です。
プロパーの人には少し難しい業務でも、公認会計士であれば体系的に専門知識を備えている上、キャッチアップも早いので業界知識や商慣習もすぐ身につけることができます。
そのため、能力を生かし、活躍することができます。
スタートアップ企業へ
上場に際し、財務経理の体制構築は必須事項とされています。
スタートアップ企業では採用できる人数も限られているため、優秀な少数の人員で業務をこなさなけれななりません。
会計の知識のほか、資金調達などの財務に関すること、また、経営に関することなど、監査業務では関わらなかった多岐にわたる業務を推進することが求められます。
会計事務所・税理士事務所へ
開業を含めた会計事務所・税理士事務所への転職も考えられます。
監査法人で勤務する場合と比較し、よりクライアントに密接した形での業務が可能となります。
会計に関する知識のほか、クライアントの懐に入るコミュニケーション能力が大切となります。
まとめ
公認会計士は、社会的使命をもった立派な職業です。
監査法人でのキャリアの他、コンサルティング会社、一般事業会社などさまざまな選択肢があります。
たくさんの選択肢から自分に合うキャリアプランはどんなものなのか、思い描いてみてはいかがでしょうか。
Profile レックスアドバイザーズ
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