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企業の財務資料をチェックし、監査する。
監査法人の監査業務は、企業にとってなくてはならないものです。
そんな監査法人ですが、現在は人手不足と言われています。
公認会計士試験の合格者は毎年出ているのに、そんなことはあるのでしょうか?
今回は、そんな公認会計士の現状と展望について解説していきます。
監査法人とは
まずは、監査法人がどのような仕事をしているのか、簡単に確認していきましょう。
監査法人の仕事内容
監査法人は、企業の財務資料を監査することがメインの仕事です。
特に上場企業はIR資料公開に当たって監査法人の監査が必須とされているので、上場企業と監査法人の関係は切っても切れない縁にあると言えるでしょう。
企業のIR資料に過不足はないか、不明瞭な点はないかを第三者の視点から確認し、資料にお墨付きを与えることが監査法人の大きな仕事です。
監査法人で必要な資格・スキル
監査法人で公認会計士として働くには、公認会計士試験を突破することが必須です。
合格率が毎年10%前後の非常に難関な資格で、これを通らないことには公認会計士は名乗れません。
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監査法人は人手不足?
こんな監査法人ですが、近年は人手不足が叫ばれています。
毎年数千人の合格者を出しているのにも関わらず、人手不足と言われている会計士業界。
そんな公認会計士の実態に迫ってみます。
合格者数の推移
まずは、公認会計士試験の合格者推移から確認していきましょう。
短答式試験受験者数 |
合格者数 |
論文式試験受験者数 |
最終合格者数 |
最終合格率 |
|
2016年 |
8,644 |
1,501 |
3,138 |
1,108 |
10.8% |
2017年 |
9,416 |
1,669 |
3,306 |
1,231 |
11.2% |
2018年 |
10,153 |
2,065 |
3,678 |
1,305 |
11.1% |
2019年 |
10,563 |
1,806 |
3,792 |
1,337 |
10.7% |
2020年 |
11,598 |
1,861 |
3,719 |
1,335 |
10.1% |
出典: 公認会計士・監査審査会/公認会計士試験 (fsa.go.jp)
これを見ると、毎年1千人以上の合格者が排出されていることが分かります。
この合格者の人達が全員監査法人に入社すれば、人手不足になんてなりそうもありません。
ここで、合格者の内訳を見てみましょう。
次のデータは2020年試験のものです。
合格者の年齢
- 合格者の平均年齢は 25.5 歳
- 最高年齢は 61 歳
- 最低年齢は 18 歳
合格者の職業
- 「学生」及び「専修学校・各種学校受講生」が 893 人(構成比 66.9%)
- 「会社員」は 95 人(構成比 7.1%)
合格者の職業に注目してみましょう。
学生や会社員の割合を合計すると74%です。
残りの26%の記載はありませんが、最高年齢の合格者が61歳であることから推測すると、既に退職している方が受験しているケースもあるかもしれません。
あるいは、職に就かずに試験に集中しているケースも多くあります。
公認会計士試験の合格者は、これから就職はしないという方もいるかもしれませんが、大多数はこれからキャリアを積む立場の人だと判断できます。
なぜ人手不足なの?
一定の割合で就職しない合格者はいるかもしれませんが、それでも試験合格者は毎年1000人以上が出ています。
それなのに会計士不足と言われる理由は何なのでしょうか?
それには次の理由が考えられます。
- ベテラン会計士の大量退職
- 少子高齢による母数の減少
- 公認会計士のキャリアが多様化している
1、2については、何となくイメージが出来ると思います。
現在は日本の人口自体が減少しており、それに伴って会計士の数自体が減ってきているというものです。
3については、非常に興味深いテーマであると言えます。
終身雇用制度が崩壊した現代において、公認会計士だからと言って必ずしも将来が安泰だとは言い切れません。
公認会計士でも監査法人で勤め続けることはせず、転職を重ねて多彩なキャリア選択をする人もいます。
公認会計士は難関資格としても知られているので、財務コンサルや企業の会計顧問としての採用枠で引く手が数多あると推察ができます。
加えて、監査法人での公認会計士の仕事はルーチンワークが多く、仕事に刺激を求める人には監査法人の仕事はつまらないと感じることもあるようです。
これらの理由から、公認会計士試験に合格したからと言って監査法人に就職する人は必ずしも多くないと言えるでしょう。
監査法人の人手不足と今後
監査法人の人手不足に多様な原因があるとはいえ、監査法人での仕事自体は非常に重要で意義の大きいものです。
ここでは、監査法人の仕事内容とメリット・デメリットを確認していきましょう。
監査法人の仕事内容
監査法人の大きな仕事内容は、企業の財務資料を監査することです。
特に上場企業の場合、公開必須のIR資料は監査法人による監査も必須であり、上場企業と監査法人は切っても切れない縁にあると言えるでしょう。
現在は監査法人の仕事内容も多様化しています。
監査業務を基本の仕事としていますが、中には企業から提出された財務資料を基に財務コンサルや経営コンサルを行う監査法人もあるようです。
また、監査法人は繁忙期と閑散期が担当者によって異なる点も特徴の一つです。
現在の日本の企業は3月決算が多く、それに伴って監査法人も4~6月が忙しくなる傾向にあります。
ただし、担当者本人が3月決算の企業を受け持っていない場合はその限りではありません。
基本的に自分が担当している企業の決算月によって繁忙期と閑散期が決まるので、公認会計士によっては秋や冬に繁忙期が訪れることもあるようです。
監査法人で働くメリット
監査法人で働く最大のメリットは、何といっても財務知識が身につくことでしょう。
会社経営には欠かせない財務の知識を沢山身に着けることで、仕事の幅が広がる可能性が考えられます。
また、財務知識は株式投資といった資産運用をする際にも役立つ知識と言えるでしょう。
終身雇用制度が崩壊した現在では、いかに幅広いスキルを身に着けるか、そしていかに個人資産を運用して老後に備えるかが重視されます。
今後の社会を生き抜く上で、大変有利な知識を得ることが出来ることが、監査法人で働く一番のメリットと言えるでしょう。
更に、監査法人の給与は一般的な企業の年収よりも高めに設定されている所が多いです。
BIG4監査法人では、新人でも基本年収が450万円程度になります。
生涯賃金で計算すると、一般的な会社員よりも多くの賃金が稼げることもメリットの1つと言えるでしょう。
人生をマクロで見てみると、監査法人で働くことのメリットは大きいです。
監査法人で働くデメリット
マクロで見ると大きなメリットがある反面、ミクロで見てみると良いことばかりではありません。
監査法人の仕事は、財務コンサル系の仕事も行うことはあるとはいえ、やはり監査業務がメインの仕事になります。
監査業務はルーチンワーク寄りの仕事のため、仕事に大きな刺激を求めている人には物足りなく感じてしまうかも知れません。
また、繁忙期になるととてつもなく忙しくなり、自分の時間が取れないこともデメリットとして挙げられます。
特に4~6月は3月決算の法人が多い影響で、目の回るような忙しさになることもあります。
常にプライベートを充実させたいと考えている人にとっては、辛い時期になることでしょう。
多様化するキャリア
近年は公認会計士のキャリアも多様化しています。
公認会計士試験に合格したからといって、必ずしも監査法人でしか働けないわけではありません。
しかも、公認会計士や監査法人は社会的な信用度がとても高い仕事です。
近年では、監査法人で数年務めた後、その経験を活かして財務コンサルや金融系の企業に転職する元会計士も出てきています。
また、実務経験を積みながら公認会計士試験の資格を目指せる「監査トレーニー」という制度を取り入れている監査法人もあります。
勉強と実務が直結することもあり、公認会計士を目指している人にとっては大変嬉しい制度かと思います。
監査法人での働き方もどんどん多様化している様子が伺えますね。
まとめ
今回は、監査法人の現状と今後についてお話してきました。
現在は公認会計士不足で、会計業界は売り手市場と言えます。
さらに公認会計士は転職の幅が利かせやすい仕事です。
試験は非常に難しいですが、それを突破すると豊かなキャリアが開ける可能性が広がる仕事、それが公認会計士と言えるでしょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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