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公認会計士の資格はただ試験に合格するだけでは取得できません。
公認会計士になるには一定以上の業務補助経験をはじめ、いくつかのステップを踏む必要があります。
今回は公認会計士になるまでの流れや、公認会計士として就職した後の仕事内容・年収などを解説します。
公認会計士なるには:具体的な仕事内容・年収
公認会計士は、監査と会計のスペシャリストであり、企業が外部の利害関係者に報告する決算書の信頼を確保するため誕生しました。
公認会計士は弁護士・税理士・司法書士などと並ぶ国家資格であり、「士業」と呼ばれています。
では、公認会計士の具体的な仕事の内容や平均的な年収について解説します。
公認会計士の仕事内容
公認会計士の仕事内容は大きく分けて「監査業務」「コンサルティング業務」「税務業務」の3つに分けることができます。
監査業務とは、企業や学校法人、公益法人などの決算書を、第3者として独立の立場から確認し、その内容について専門家としての意見を表明することをいいます。
監査には「法定監査」と「法定外監査」、があり、法定監査とは法令等の規定によって企業などが監査を受けなければならないものをいい、法定外監査とは法定監査以外のものをいいます。
企業は少なくとも年に1度、経営状況を株主などの外部の利害関係者に報告することが法律で義務付けられています。
経営状況がよくない企業は、少しでも良い報告をするために虚偽の報告をすることも、ないとは言えません。
そこで、専門家である公認会計士が内容を確認する必要があります。
- コンサルティング業務……会計のコンサルティングのほか上場や企業の買収、組織再編などの支援を行うこと
- 税務業務……公認会計士が税理士登録し税理士業務を行うこと
公認会計士は、追加の試験を受けることなく税理士登録を行うことができます。
公認会計士の年収
では、公認会計士となった場合の年収はどのくらいになるのでしょうか。
公認会計士の平均の年収は800万円〜900万円です。
試験合格者の1年目の初任給は30万円〜35万円となります。
他の業種の初任給と比較しても非常に高い水準となっています。
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公認会計士になるには:公認会計士試験
公認会計士となるためにはまず、公認会計士試験に合格する必要があります。
公認会計士試験は「短答式試験」と「論文式試験」に分かれています。
公認会計士試験の内容。受験者数・合格率
公認会計士試験は受験資格のない試験であり、誰でも受けることができる試験です。
試験は「短答式試験」と「論文式試験」に分かれ、まず「短答式試験」に合格。
その後「論文式試験」に合格してようやく公認会計士試験合格者となります。
短答式試験は年に1回、12月と5月行われているマークシート方式の試験です。
合格基準は総点数の70%が基準となります。
「短答式試験」に合格すると、次に「論文式試験」を受ける必要があります。
論文式試験は年に1回、8月に行われている論述式の筆記試験です。
合格基準は50%前後の得点比率が基準となります。
また「論文式試験」に不合格だった場合でも、2年間は「短答式試験」を受験することなく「論文式試験」を受験することができます。
第一に「短答式試験」をスムーズに合格することができるか、その後2年以内に「論文式試験」を合格することができるかがポイントとなります。
では、公認会計士試験の合格率はどのくらいなのでしょうか。
公認会計士試験の合格率は2020年で10.1%となっています。
試験別に見て見ると「短答式試験」が約23%、「論文式試験」が11%となっています。
国家資格であるため合格率はあまり高くはありません。
公認会計士試験後の就職先
公認会計士試験合格後の就職先として最も一般的なのが監査法人です。
特にBIG4と呼ばれる大手監査法人に就職するケースが多くみられます。
BIG4には以下4つの監査法人が含まれます。
BIG4は募集人数が多い上に国内監査業務のシェア占有率が高く、幅広い業務を経験できる環境です。
また、研修制度や教育制度が整備されているため、公認会計士に必要な経験やスキルを着実に積むことができます。
監査法人での主な業務として、監査証明業務の補助や財務に関する監査、分析等の実務が挙げられます。
公認会計士の就職活動全体の流れ
公認会計士試験後の就職活動の大まかな流れは以下の通りです。
- 8月の論文式試験の受験後に就職説明会や就職イベントへの参加、法人研究などを行う
- 毎年11月に合格発表が行われる。試験に合格していた場合、各監査法人が実施する説明会に参加
- 監査法人の求人に応募、面接等の選考が進む
- 12月上旬に内定、12月中旬頃から新人研修が始まる
就職活動に向けた準備は論文式試験の実施後すぐに行いますが、本格的な就活が始まるのは合格発表の後です。
合格発表は毎年11月の中旬頃ですが、発表後すぐに説明会への参加や選考への応募を行います。
就職活動がスムーズに進めば12月上旬には内定獲得、12月中旬には研修が始まるという流れです。
公認会計士の求人
公認会計士になるには:試験合格者として
公認会計士試験に合格したからといって、公認会計士にすぐなれるわけではありません。
「業務補助」「実務補修」「修了考査」の3つをクリアする必要があります。
それを経て、ようやく公認会計士として登録をすることが可能となるのです。
業務補助
「業務補助(実務)」は、3年間の経験が必要です。
試験合格者は監査法人で働くのが一般的です。
公認会計士の独占業務である「監査」は1人で行うわけではなく、チームを組んで行う必要はあるため、公認会計士の集まった会社である監査法人の一員として実務経験を積むこととなります。
業務補助の3年間の経験は試験合格の前後は問われていないため、受験生のうちから経験を積んでおくことも可能です。
試験合格後に経験を積むためには、「論文式試験」後に開かれる就職説明会などに参加し、合格発表後、合格していた場合には監査法人の選考を受け、内定をもらいます。
「論文式試験」が8月に行われ、11月に合格発表、12月上旬に内定となる流れが一般的です。
合格発表から内定まで2週間というハイスピードで決まります。
実務研修・修了考査
「実務補習」は、実務補習所で3年間講習を受け、単位を取得する必要があります。
通常、監査法人で働きながら週に1〜2回程度講習を受けることになります。
一定の要件を満たすことで、講習を受ける期間を短縮することもできます。
「実務講習」で単位を取得した後に、年に1回行われる「修了考査」と言われる実務補習所の卒業試験に合格する必要があります。
「修了考査」の合格率は50%前後であり比較的高く、かつ合格期限もないため、合格するまで再受験が可能です。
ここまでクリアすることで、公認会計士の登録をすることができます。
公認会計士になるにはこれをやるべき
公認会計士になるための流れについては理解していただけたと思います。
次に、公認会計士になるためにやるべきことを説明していきます。
これらは必ずやらないといけないものではないですが、やることで合格する可能性を高めることができます。
まずは目標を設定
まず、公認会計士になるための最大の関門である「公認会計士試験」合格に向けて、目標を立てましょう。
具体的には、いつまでに公認会計士試験を合格するという目標を設定します。
公認会計士試験の合格までの平均的な学習時間は3,500時間と言われています。
1日10時間勉強しても1年間はかかる計算になります。
目標を達成するためにどのように学習を進めていけば良いのか、スケジュールを立てることで合格への道が見えてきます。
設定した目標が実現不可能な目標であると途中でやる気がなくなってしまうこともあるため、達成することができる計画的な目標であることが大切です。
予備校に通う事も検討
公認会計士試験の合格のための近道として、予備校に通うこと検討しましょう。
公認会計士試験に独学で合格することも不可能ではありませんが、おすすめはできません。
公認会計士試験は簿記を始めとする専門知識を幅広く理解する必要があるため、予備校で効率よく勉強するほうが合格への道も近いといえます。
公認会計士試験の有名な予備校には「資格の大原」「TAC」「CPA会計学院」「LEC」などがあります。
予備校により料金や特色が異なるため、各学校から資料を取り寄せ、気になる学校のオンライン説明会を受けて決めると良いと思います。
学費の目安としては40万円〜80万円程度かかるため、お金の準備も必要となります。
公認会計士試験から就職までによくある質問
公認会計士になるまでにかかる時間は?
公認会計士になるまでにかかる期間は、合格までにかかった年数によって異なります。
試験合格までの平均年数は2年~4年 といわれています。
勉強期間は1. 5年〜2年という長いスパンで考えるのが一般的のため、一発合格の場合でも年単位での時間がかかるといえるでしょう。
そして前述のように、公認会計士になるには実務経験と実務補習を経た後に修了考査に合格する必要があります。
実務経験は3年以上必要です。合格前のものも含めることができますが、試験に合格してから実務経験を始めるケースが多くみられます。
また、実務補習の期間は通常3年間です。
以上を踏まえると、試験合格から公認会計士の登録要件を満たすまでに3年間はかかるのが一般的です。
したがって、公認会計士になるまでにかかる期間は、試験合格までの2年〜4年程度+実務経験等を積む3年程度で、最低でも5年程度といえるでしょう。
受験資格に年齢や学歴は関係ある?
公認会計士試験には受験資格の定めがありません。年齢や学歴のほか、国籍も不問です。
試験自体の難易度そのものは非常に高いですが、試験を受けること自体のハードルは低いといえます。
なお受験資格の定めはありませんが、合格者の年齢層のうち最も厚いのは20歳以上25歳未満です。
学歴別で見ると大学・短大卒が最も多く、次いで大学・短大在学中となっています。
「令和5年公認会計士試験 合格者調」によると、令和5年合格者の最高年齢は61歳、最低年齢は18歳でした。
公認会計士試験の合格者の年齢層は?〇歳ではもう遅い?
1つ前の質問で紹介したように、合格者の年齢層のうち最も厚いのは20歳以上25歳未満です。
次いで25歳以上30歳未満、30歳以上35歳未満、35歳以上40歳未満と続きます。
若い世代の合格者が多いのは事実といえるでしょう。
しかし40歳以上の合格者も多数存在します。令和5年合格者の最高年齢は61歳でした。
「〇歳では遅い」という基準は特に存在せず、年齢を理由に諦める必要はないといえるでしょう。
ただし、年齢によって就職活動や転職活動で押さえるべきポイントは異なります。
公認会計士になるのに年齢は関係ないものの、年齢に合わせた就職活動を行うべきではあります。
公認会計士になるには~まとめ~
公認会計士になるためには、まず「公認会計士試験(短答式試験・論文式試験)」に合格し、さらに「業務補助」「実務補習」「修了考査」の全てをクリアすることで、公認会計士となることができます。
公認会計士になろうと決めたら、まず合格までの目標を設定し、予備校を探します。
合格までの道のりは長い試験ではありますが、合格後にはやりがいのある仕事と、高い水準の給料をもらうことができます。
そのため頑張って勉強をする価値のある資格であると言えます。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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