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監査役の行う業務監査とは、どんな業務でしょうか。
そもそも監査役には、業務監査と会計監査があります。
業務監査と会計監査との違いもおさえておきましょう。
監査役は、会社の業務や会計について不正がないかを確認する役割を持った人です。
監査役は全ての会社が必ず設置しなければいけないものではありません。
しかし、取締役会設置会社と会計監査人設置会社である場合には、監査役の設置が義務となります。
監査役が行う業務監査の内容や、ポイントについて解説します。
監査役が行う業務監査とは?会計監査との違いはある?
監査役の行う監査には「業務監査」と「会計監査」があります。
「業務監査」とは、取締役の職務の執行が法令や定款に違反していないかに関し、行われる監査です。
「会計監査」とは会社の会計に関して行われる監査を指します。
それぞれ監査役の行う重要な業務であると言えるでしょう。
また、監査役は内部で設置するのではなく、外部で設定する必要があります。
会計監査などで会計資料の信頼性を確保するためには、専門家を設置する必要もあるでしょう。
業務監査とは
業務監査は前述したとおり、取締役の職務執行が法令や定款に違反していないかに関する監査です。
業務監査は適法性監査とも呼ばれています。
業務監査では、取締役などに対して事業の状況を報告してもらい、会社の業務や財産の状況について調査します。
もし業務監査情報提供などの際に、取締役などが会社大きな損害を及ぼす可能性のある事実を発見したときは、事前に監査役に報告する必要もあります。
監査役の監査範囲は適法性監査に限定されるものと言われてきましたが、近年は「妥当性監査」も注目されるようになりました。
これは、取締役などの職務が違法でないことを前提として上で、「経営判断として妥当なものか」を主眼とする監査です。
Aという判断に対し、Bという判断もあったが、妥当であったか、といったことを監査します。
業務監査が完了した後には、監査役が監査報告を作成することも義務付けられています。
監査報告では、取締役が作成する事業報告等が「法令や定款に準拠して会社の状況を正しく示しているのか」「取締役の職務の遂行に関し、不正行為又は法令や定款に違反する重大な事実があるのか」を示す必要があります。
会計監査とは
会計監査とは前述したとおり、会社の会計に関して行われる監査です。
会計監査では、会社の計算書類などの書類が一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作られているのか、会計基準に基づいて表示がされているのかを確認していきます。
計算書類などは取締役などが作成したものであり、それだけでは株主などに対する信頼を確保できないため、監査役が監査の信頼性を担保します。
会計監査は、会計について内容をしっかり確認し信頼性を確保するために行われるため、専門的な知識を持った人を監査役としないとなりません。
会計監査における「監査六法」についてはこちらもチェック
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監査役が行う業務監査の範囲と方法
業務監査を行う方法はいくつかあります。
取締役会等に出席すること、重要書類を閲覧すること、取締役との意思疎通や体制の整備などが主な方法です。
それぞれにポイントがありますので説明していきましょう。
取締役会等の出席・書類の閲覧
業務監査を行うには、情報を集めることが重要となります。
そのために取締役会に出席することは、かなり有用な方法です。
取締役会では、会社の状況に関することや今後の会社の業務に関する意思決定を行なっています。
また、取締役会に出席している人の状況や職務の執行状況についても確認できるので、とても有用な情報を収集できることになります。
出席する際には、そもそも取締役会を開催するための定足数を充足しているのか、開催する要件を満たしているのかを確認しておくことが必須です。
取締役会に参加する前に法令や定款を確認しておくと良いでしょう。
次に、重要書類を閲覧することも、情報収集としては有用です。
監査役は、取締役が作成した書類の開示を求めることができます。監査に役立つので、請求するようにしましょう。
その際には、書類の内容を確認するほか、書類をしっかり保存できているのかも確認することも監査の役割です。
取締役等との意思疎通、体制整備
業務監査を行う上では、取締役と意思疎通を行うことができる体制を整備することも、必要です。
取締役会では古い情報の報告などが多いため、最新情報や現在起きているトラブルなどは取締役から直接聞く必要があります。
ただし、取締役もすぐに全ての情報を教えてくれない可能性がありますので、良い関係性を作り意思疎通ができる体制を整備するようにしましょう。
また、取締役以外にも総務部などの会社の中核を担っている部署から話を聞くことも良い方法になります。
そうした重要な部署についても意思疎通ができる体制を整備するようにしましょう。
監査役についてはこちらの記事もチェック
監査役が業務監査を行うにはチェックリストはいる?監査を行うポイント
監査役が業務監査等を行う方法については前述しました。
監査に関するチェックリストなどもインターネットで公表されているため、活用すると良いでしょう。
では、会計監査等を行う上ではどのようなポイントがあるのでしょうか。
財政状態、経営成績、リスクの把握
会計監査を行うポイントとして、財政状態や経営成績、リスクの把握があります。
財政状態や経営成績の把握を行うためには、計算書類を確認する必要があります。
そのため、計算書類である財務諸表などは確認できるよう勉強しておく必要があります。
その際に年度末の数値だけではなく、月次の業績も確認すると良いでしょう。
何故ならば、その会社の月次の業績がわかればどの月が弱いのか、またそれは何故なのかを確認する材料となるためです。
リスクを把握することは、その会社の今後の経営に大きな影響を及ぼします。
例えば直近で大きな損失が見込まれていたり、資金繰りが悪化している場合を想定してみましょう。
監査役として取締役に対し問題解決に取り組んでいるのかを確認する必要があります。
もし問題解決に取り組んでいないようであれば、早急に問題解決に取り組ませる必要があります。
内部統制の状況把握
内部統制の状況把握も、監査を行う上で重要なポイントです。
社内でのルールは、取締役を含め従業員全てが守る必要があります。
内部統制がしっかり取れていれば、業務を効率的に行うことができます。
従業員側からすると、内部統制を行うことで大変や面倒という意見もあるのですが、従業員を守る仕組みとしてとても大切です。
内部統制ができていない場合には、できるように取締役と協力する必要があるでしょう。
一方、すでに始めている場合には、監査役として内部統制がしっかり働いていているのかを確認するようにすべきです。
確認して問題があるようであれば適切な助言をし、より良い内部統制ができるよう協力する必要があります。
非常勤監査役の役割に関する記事はこちら
監査するだけではなく意見も必要
監査役は、業務監査や会計監査を行い問題を定義するだけではなく、意見や助言も必要です。
問題定義から問題解決のための助言をするところまでが、監査役の仕事と言っても過言ではありません。
資金繰りが悪化しているようであれば、資金調達を行わないと行けない旨を取締役に意見をすべきです。
内部統制がうまく進んでいないようであれば、従業員にうまく説明できるように補助することも必要になります。
監査役の業務監査と会計監査とは:まとめ
監査役の業務である業務監査と会計監査について説明しました。
どちらもとても大切な業務であり、取締役との協力が必要なものです。
また、監査役は問題を定義するだけではなく、取締役が問題を解決できるように助言をすべきです。
監査役としてその会社に寄り添い、その会社をより良くするための手助けをしましょう。
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