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国際会計士という公認会計士を知っていますか?
海外で働く公認会計士を指し、日本でも知名度が高いのは米国公認会計士(USCPA)でしょう。
日本の公認会計士とどう違うのか、各国の国際会計士を比較しながら、国際会計士の難易度や年収などを解説します。
国際会計士と日本の公認会計士とは
まずは日本の公認会計士についてみていきましょう。
また、一番馴染みがある、アメリカの会計士についても触れます。
日本の公認会計士の定義
公認会計士法第1条に、以下の通り定められています。
公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
公認会計士は、その主な業務である「監査」の専門家、及び「会計」の専門家として、日本の経済活動の基盤を支える重要な役割を果たすことを使命としていることが規定されています。
日本の公認会計士の年収の相場
それでは、日本の公認会計士の年収の相場はどれくらいでしょうか。
厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査によると、日本の公認会計士の年収が1,000万円程度とされています。
給与所得者の平均年収が503万円であることと比較すると約2倍の年収を得ていることがわかります。
公認会計士の年収についてはこちらの記事もご覧ください。
アメリカの公認会計士について
一方、アメリカの公認会計士はどうなっているのでしょうか。
アメリカでは日本の公認会計士資格に相当する米国公認会計士(USCPA)があります。
1896年にニューヨーク州で公認会計士制度が制定され、現在では日本国内でも認定資格試験が実施されています。
日本在住者の合格率は40%を超えており、また必要な勉強時間も1000時間と、日本の公認会計士試験が4000時間であることと比較すると、取得しやすい資格といえます。
日本では、公認会計士試験合格後に監査法人に入所することとなりますが、アメリカでは、実務経験を経ながら試験勉強をする傾向にあります。
また、アメリカでは日本より監査法人系の企業の人気が高く、中でもE&Yは特に人気が高くなっています。
初任給は日本円にして600万円を越えるので高額といえます。
USCPAについてはこちらの記事もご覧ください。
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国際会計士:イギリスの公認会計士の年収は?
次に、イギリスの公認会計士についてみてみましょう。
資格や年収はどうなっているのでしょうか。
イギリスの公認会計士について
イギリスの公認会計士(ACCA)の資格を取るには最低3年間の実務が必要となります。
日本とは異なり、仕事をしながら、3~5年間で公認会計士の試験を受けていくこととなります。
イギリスの公認会計士の平均年収は600万円程度と言われており、日本同様、他の職業より高い年収が得られます。
試験に合格し、公認会計士になれた場合、監査法人以外でもたくさんの需要があり、銀行、企業などからもオファーがあります。
一方、試験に合格しなかった場合、監査法人を解雇される可能性が高いです。
国際会計士:オーストラリアの公認会計士の年収は?
さらに、オーストラリアの公認会計士はどういった資格なのでしょうか。
また年収についても解説します。
オーストラリアの公認会計士について
オーストラリアでも公認会計士の人気は高く、日本と同様、難易度もかなり高いようです。
オーストラリアでCertified Practicing Accountantなどの公認会計士の資格を取得すれば、ニュージーランドやシンガポールなどアジアの国々で、会計士として働くチャンスが増えます。
また、日本人がオーストラリアで会計士を目指す場合、USCPAを取得していれば、オーストラリアでCPAの資格が認められ、同国の公認会計士として活動できるようです。
(ちなみに、日本の公認会計士資格は互換性がなく、オーストラリアで会計士になるためには最初の準会員になるステップから行う必要があります。)
なお、ローカル企業に就職するには、ビザ、経験、英語力の3つの要素が必要となり、かなりハードルが高いようですので、日本人のUSCPAホルダーがオーストラリアで働くには、日系の一般企業がいいようです。
オーストラリアの都市部には、多くの日系企業があります。
応募先がなくて困るということはなく、海外であっても、日系企業では日本語でコミュニケーションが取れ、文化も理解している日本人が好まれる傾向が強く、採用を取りやすい相手のようです。
一方、日系企業とはいえ、オーストラリアに存在する会社ですので、オーストラリアの基準に従った給料や福利厚生を享受できますので、雇用される側としてもメリットを享受することができます。
オーストラリアの給与水準は日本と比較してもとても高く、最低賃金は時給だと約2000円、年棒契約だと約500万円です。
プラス3週間の有給休暇と1週間分のSick Leaveがありますので、日本と比較しても福利厚生の面でもかなり充実していると言えます。
さらに、年金は日本のように給料から引かれるのではなく、基本給は満額支給した上で、雇用主は上乗せする形で年金該当金額を拠出しています。
オーストラリアで登記している以上、日系企業であっても同じであり、かなりの好条件で働くことが出来ます。
国際会計士:中国の公認会計士の年収は?
それでは中国の公認会計士の年収はどうなっているのでしょうか。
中国の公認会計士について
中国の公認会計士の年収は平均300万~400万円となっています。
また、中国の会計基準については、ほぼIFRSと同等といわれている(新)企業会計準則が適用されています。
しかし、実際の運用状況は不確かなとこともあり、IFRSの改訂にあわせた中国基準の改訂がなされていない点が懸念されています。
国際会計士の主要な就職先
国際会計士は、どこに就職するのでしょうか。
注意したいのは、国際会計士の資格だけを持っていても、日本国内では公認会計士の独占業務は行えない点です。
主な就職先例を4つ紹介します。
監査法人
やはり会計士の仕事の中心は、会計監査業務でしょう。
監査法人では、アシュアランス(保証)部門が担当します。
EUなどで採用されている国際財務報告基準・IFRS、米国会計基準であるUS-GAAPといった、日本とは違う会計基準があります。
その仕組みを理解している国際会計士は、大きな強みを発揮できるでしょう。
また、日本語以外でのコミュニケーションを行うというニーズもあります。
M&Aやコンサルティング業務だとしても、グローバル展開をする企業では現地の会計基準に合わせていることもあり、知識と資格は役立てることができるはずです。
監査法人についてはこちらの記事もご覧ください。
コンサルティングファーム
国際会計士は、海外のクライアントが使っている会計基準を理解することが可能です。
中小規模のみならず、大手でも、国際会計士はコンサルティング会社からのニーズがあります。
とりわけUSCPA取得者は海外とのやりとりが必要な場合、言語力といった観点からも歓迎されるようです。
ただし、資格があればよいというわけではありません。
監査の経験、経理財務を中心とした幅広い知識などが必要です。
しっかりアピールできるものがあれば、就職や転職は格段に弾みがつきやすいでしょう。
事業会社(一般企業)の経理・財務など
国際的に展開している外資系企業、海外支社を持つ日系企業、国際取引の多い企業など、グローバル展開を行う企業は国内でも多いです。
そのため、事業会社(一般企業)にも国際会計士の需要はあります。
経理財務はもちろん、内部監査として、経営に携わる役職など、さまざまなポジションでの就職・転職が考えられるでしょう。
もちろん、日本国内での会計事情にも精通している必要があります。
業界の傾向などもつかんでおくことをおすすめします。
税理士法人
Big4などの税理士法人では、国際税務を取り扱う部門、移転価格アドバイザリー部門があります。
そこでは国際会計士としての知識やキャリアが活かせるでしょう。
大手~中小規模の税理士法人でも、クロスボーダー案件を取り扱ったり、米国税務の専門部署があったりと、活躍の場は見つけられます。
英語の経理や、インバウンド向けの事業展開のコンサルティング、給与や税務申告などを行う会計事務所もあります。
ただし、やはり税理士法人では税務に重点が置かれることは留意しておくべきです。
まとめ
国により、会計基準も公認会計士の地位も異なります。
例えば行きたい国があるのなら、その国の会計士事情を知り、資格を取ることも自身のキャリアに非常に有益となるでしょう。
また、海外に行く機会がなくでも、各国の会計について積極的に調べ、関心を持つことは重要です。
その中で自分のキャリアが見えてくることもあるかもしれません。
世界を取り巻く状況は日々刻々と変化します。
その変化に対応できるよう、会計の方向にも日々注視する姿勢が求められている時代です。
国際会計士という仕事について、知識を持つことの重要性は高まっていくでしょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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