転職お役立ち情報
皆さんは事業承継という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
会社経営を長く続けていく上では欠かせない事業承継ですが、沢山の課題を含んでいることも事実です。
今回はそんな事業承継について、どんな業種に多いのか、事業承継に関わる仕事をするにはどうしたらいいのかなど、事業承継に関わる沢山のことをお伝えしていきます。
事業承継の多い業種と詳細を見てみよう
事業承継といっても、その形態はさまざまです。
そんな事業承継の実態を確認してみましょう。
事業承継とは
事業承継にはさまざまな種類が存在ます。
親から子供に継がせるといったもの、優秀な後継者(非血族)や師から弟子へ引き継ぐなど、さまざまなものが事業承継に含まれます。
ですが、近年は少子高齢社会が広がり、事業承継は大きな課題になってきました。
そんな中で、日本でも事業承継やM&Aが叫ばれるようになり、それを専門に行う会社なども台頭してくるようになったのです。
また、中小企業庁もこの問題を大きく受け止め、2005年には事業承継協議会を発足しました。
日本は特に長寿企業の多い国とも言われているので、その伝統を守るためにも今後は事業承継のニーズが益々高まっていくことでしょう。
事業承継のデータまとめ
ここからは、中小企業庁が発布しているデータを見ていきましょう。
「事業承継に関する現状と課題について」(中小企業庁 平成28年 11月 28日)によると、中小企業の経営者の年齢は年々高くなっています。
1995年には経営者の年齢は45歳程度がピークでしたが、2015年には66歳がピークになっています。
45歳程度の頃に経営者だった人がそのまま経営を続けており、現在事業承継の問題に直面していると考えることができそうです。
また、事業承継者についても大きく変化していることが見て取れます。
30年以上前までは、事業承継は子供に対する承継が圧倒的に多数を占め、その割合は83.5%を占めており、社内外の人間に対する承継は7%程度と、全体の1割にも満たない割合でした。
ところが現在、子供に対する承継は圧倒的に減り、その割合は26.7%と、1/3程度にまで減ってしまっているのです。
対して社内外の人間に対する承継割合は大きく増え、65.7%を占めるようになりました。
これは30年以上前の9倍以上の割合です。
これは30年前と比べて職業選択の自由の意識が浸透し、親が行っている事業を必ずしも承継したいとは思わないという人が増えたということでしょう。
加えて、事業承継に対する意識にも大きな課題が見て取れます。
経営者のうち50%は事業の廃止を決めています。
その理由として、40%程度の人は「自分の代だけで事業を行おうと考えていた」と回答しているものの、30%弱の人は「適当な承継者が見つからないため」と回答しています。
事業承継の多い業種についても見てみましょう。
事業承継の多い業種は、1位から順に
- 製造業
- 卸・小売業
- 建設業
と続きます。
また、企業規模(従業員数)としては
- 1~5名(43%)
- 6~10名(25%)
- 11~20名(17%)
と、20名以下の小規模経営の企業が85%を占めています。
これらのデータから、企業規模の小さな会社程後継者不足に悩んでいるということが分かりますね。
今後の経済と事業承継について
日本は世界でも類を見ないほどの少子高齢社会を迎えています。
そうなると、例え社内外の人間に事業を承継しようとしても、承継したいと思う若い世代が少ないため、事業承継がますます困難になることが予測されます。
これから事業承継をしたいと考えている経営者にとっては、自身の会社を承継するメリットを明確にする必要があるでしょう。
また、事業承継に関する仕事に関わりたいと思っている人には、経営者が気付いていない会社の魅力を上手に発信していく必要が出てくるでしょう。
希望の条件を妥協しない!
今の働き方を変えたい税理士・税理士科目合格者向け
転職相談会
事業承継に関わる問題点
さて、このような課題に直面している事業承継問題ですが、そもそも事業承継をする意味とは何なのでしょうか?
メリットとデメリットを見てみましょう。
事業承継のメリット、デメリット
【メリット】
事業承継のメリットは、次のことが挙げられます。
- 会社が築き上げてきた知識や技術を後世に伝えていくことができる。
- 働いてくれている従業員の雇用を守ることができる。
- 時代に合った人物を後継者に選定することで、会社の更なる発展を望める
従業員を何人か雇っている会社であれば、会社の廃業は職を失うことと等しいです。
職を失えば新しい職を探さねばいけません。
ですが、ある程度年齢を重ねた人物であれば、新たな職を探すことは用意ではありません。
特にその会社で身に着けた知識や技術が非常に特殊なものであれば、次の会社で活かすことが出来ない可能性もあり、さらに職を探すことが難しくなります。
事業承継は、そのように特殊な技術を持つ従業員の雇用を守り、さらには技術を次の世代に伝えていくことも出来るのです。
【デメリット】
ですが、事業承継にはメリットばかりではありません。
- 第三者に承継をすると、親族内から反対され、思うように承継が進まないことがある
- 事業承継に関して従業員内で争いが起こる可能性がある
事業承継をしようとすると、このような問題も出てきます。
例えば、非常に優秀な社員がいるにも関わらず、経営者の子供という理由で全く知識も技術もない人物が新たな経営者に抜擢されれば、従業員からの反発は免れないでしょう。
また、子供や従業員の間でも「誰が次期経営者になるのか」で揉めてしまえば、事業が空中分解しかねません。
事業承継に大きなメリットはありますが、デメリットも潜んでいることは頭に入れておいた方がいいかも知れません。
後継者不足問題と事業承継の仕事
事業承継の多い業種として先ほど挙げた3つの業種は、承継をするに当たって特に気を使わなければいけません。
なぜなら、他社との差別化ができなければ、承継側としても承継するメリットが薄く感じてしまい、結果として承継者が居なくなってしまいかねないからです。
もし事業承継に関わる仕事をしたいと考えている場合、会社の魅了を上手く引き出し、発信していく力が最重要になってくることでしょう。
とくに企業規模の小さな企業では、経営者自身が自社の魅力に気が付いていないということも少なくありません。
そんな場合は、事業承継の担当者が経営者や顧客からしっかりとヒアリングを行い、会社の隠れた魅力を引き出していくことが最重要なのです。
事業承継に関われる仕事・業種で働こう!
様々な課題を含んでいる事業承継問題ですが、現在ではそれを専門に扱う会社も増えています。
事業承継、M&Aなどがそれにあたります。
これらの職につくにはどのような勉強をし、どのようなスキルを身につけ、どんな会社で働けば良いのでしょうか?
事業承継の仕事に必要な能力
事業承継には「コミュニケーション能力」と「税務や財務等の知識」の両方が必要になってきます。
コミュニケーション能力としては
- 相手の話をしっかり聞いて、課題や悩みを引き出す力
- 相手の感じていることを言語化し、他に発信していく力
などが主に必要になるでしょう。
財務や税務等の知識としては
- 事業承継に関わる諸手続きに係る税額の試算
- 承継者、引退者のライフプランの作成
などが必要になります。
事業承継によって収入が大きく変わることを心配している人には、その心配を拭うように、ライフプランを作成する必要も出てくることでしょう。
ただコミュニケーション能力が高いだけでなく、お金に関わるあらゆる知識も身に付けなければいけないことが、この業界の大きな特徴の一つです。
税理士法人(会計事務所)で働く
近年の税理士法人では、従来の税理士の仕事だけではなく、事業承継やM&Aに関する仕事を行うところも増えてきました。
ある程度の規模の事務所では、通常の税務の他にM&A部門や事業承継部門を設置しているケースもあります。
事業承継に関わりたい場合、このようなサービスを行っている税理士法人(会計事務所)に入社するのも良い手段の一つと言えるでしょう。
専門コンサルタントになる
また、事業承継やM&Aに強いのはやはりコンサルティングファームです。
事業承継とM&Aはコンサルティングファームで活発に行われています。
規模の大きな承継やM&Aに関しては、コンサルティングファームが請け負っているケースが多いでしょう。
FAS系コンサルティングファームをめざし、事業承継やM&Aに強いキャリアを身につけるのもおすすめです。
まとめ
今回は、事象承継に関わることを様々な角度から見ていきました。
まずは事業承継について、時代とともに傾向が変わってきたことが理解できたのではないでしょうか。
今後も増加すると考えられる事業承継について、仕事として関わりたい方に対しても解説をしました。
興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてください。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/
公認会計士・税理士におすすめの記事
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
レックスアドバイザーズへ