転職お役立ち情報
事業承継とは会社を継続させるために実施する手段のひとつです。
複雑な作業や交渉が必要なため、外部の専門家がアドバイスやサポートをおこないます。
事業承継とひと括りにいっても、発生する手続きは多岐にわたります。
そのため事業承継の担当者は幅広い業務への対応が必要です。
本記事では事業承継の業務内容について解説します。
事業承継の業務に興味のある方や、転職を検討している方は、ぜひお読みください。
事業承継の詳しい業務内容を見る前に
事業承継の業務内容について詳しく解説する前に、まずは事業承継の概要について確認です。
事業承継の意味や必要性、かかる時間などを紹介します。
事業承継の意味
事業承継は経営権を後継者となる人に引き継ぐことを意味する用語です。
事業承継に明確な定義はないのですが、以下3つの要素を引き継ぐ場合を事業承継と呼ぶケースが多くみられます。
- 人(経営権):経営権の承継および後継者の教育など、経営権と新たな後継者を結びつけ完全に移譲する
- 資産:資金や株式などの金融資産から、事業に必要な設備・不動産などの資産
- 知的資産:経営・事業に必要な機密事項やデータ、経営理念など
大企業などで見られる単純な社長交代と違い、引き継ぎが必要な内容や作業が非常に膨大です。
事業承継が必要な理由
事業承継は経営者の高齢化が目立つ中小企業を中心に注目を集めています。
しかしこれほどまでに複雑な作業を行ってまで、後継者に事業を引き継ぐ理由は何でしょうか。
日本の企業は99%以上が中小企業といわれています。
規模が小さいながらも独自性の高い事業を行っている企業は非常に多く、日本経済の維持・発展において重要な意味を持ちます。
しかし前述したように、中小企業の経営者の高齢化が課題のひとつです。
また社会情勢の変化や後継者不足などの理由により、廃業の道を選ぶ中小企業は増えています。
培ってきたノウハウが活かせず消えてしまう、その企業でしかできない事業が終わってしまうなどの事態が起こります。
このような理由により、事業承継が必要とされているのです。
事業承継にかかる時間
事業承継にかかる時間はケースにより異なるため、一概には言い切れません。
半年程度で完了するケースもありますが、多くの場合はイメージよりも長い時間が必要と認識しておくと良いでしょう。
引き継ぎがスムーズに進むとしても、すべて終わらせるには月単位での時間が必要です。
また後継者としての能力を身につけるため、教育に年単位の時間がかかるケースもあります。
そもそも後継者候補が見つからない恐れもあり、諸々を考慮するとトータルで10年以上かかる恐れも否定できません。
ただし事業承継のサポート業務自体は、はじめから終わりまで対応するわけではなく、部分的に行うケースが多いです。
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事業承継の業務内容
それでは事業承継の業務内容について具体的に解説します。
事業承継には複数の方法がありそれぞれ内容の相違が大きいため、概要および共通する内容のみ取り上げました。
親族内と親族外で大きく異なる
事業承継は、後継者との関係によって以下の3つに分けられます。
- 親族内承継:経営者の子供など親族を後継者とする
- 役員・従業員承継:親族ではない、自社内の人間を後継者とする
- M&Aなど社外への引き継ぎ:親族・従業員以外を後継者とする。株式の譲渡が発生しないケースが多い
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自社の状況や理想などをもとに、方法を選ぶ必要があります。
自社株や不動産などの評価サポート
事業承継において資産を引き継ぐためには、資産価値の明確化が必要です。
事業承継の担当者は、価値の算定が特に難しい、自社株や不動産などの評価サポートを行います。
事業承継を行う中小企業のほとんどは非上場企業であるため、自社株の価値算定が困難です。
しかし事業承継のためには、引き継ぐ資産の価値を明確にする必要があります。
専門知識のない人が行うのは非常に難しいため、事業承継の担当者が代行するケースが多いです。
ただし資産価値の評価・算定に関する高度な知識が必要なため、担当者でも対応できない可能性があります。
そのため会計士や税理士など、お金に関する専門家に依頼するケースが多くみられます。
円滑な事業承継実現のサポート・提案など
事業承継を進める際は、交渉や相談が必要な場面が多数あります。
このような場面で間に入り、円滑な事業承継実現のサポートや提案などを行うことも、事業承継の担当者に求められる役割です。
事業承継は衝突や問題の発生が珍しくありません。
このような事態を上手く解消させるためには、柔軟性や提案力が求められます。
単純な知識・専門性だけでなく、適切な対応を行えるだけの能力も重要です。
事業承継の業務内容に資格は必要?
事業承継の業務内容には、資格が必要なのでしょうか。
資格の必要性や、事業承継と関係の深い資格について解説します。
資格がないと対応できない業務も存在する
事業承継に必要な業務内容の中には、独占業務の都合上、資格がないと対応できない業務があります。
たとえば事業承継では相続税や贈与税の対策が必要不可欠ですが、税務相談・税務代理は税理士の独占業務です。
また経営者を変更するための登記手続きは、司法書士の独占業務となります。
ほかにも弁護士の独占業務である法律行為が必要な場面や、許認可に関して行政書士の知識が必要な場面もあります。
これらの業務については、それぞれ資格保有者に依頼するのが一般的です。
資格が不要な業務もある
事業承継で必要な手続きには、専門家のサポートが避けられない場面が多いです。
しかし資格がなくても対応できる業務も存在します。
たとえば事業承継の初期段階では、事業承継の目的や理想などをヒアリングします。
相談業務には幅広く高度な知識が必要ですが、能力さえあれば資格がなくても対応できると言い換えが可能です。
他にも基本的な書類作成や、各専門家とのパイプ役などは、資格が不要ながらも大切な業務です。
資格がないからといって、事業承継の業務を諦める必要はないでしょう。
ステップアップのためには資格取得を視野に入れると良い
事業承継の業務内容には資格不要なものもあるため、必ずしも資格がいるとは限りません。
しかしステップアップのためには、資格取得を視野に入れることをおすすめします。
事業承継の業務に役立ち、比較的取得しやすいものとして、以下の資格が挙げられます。
- 事業承継士
- 事業承継・M&Aエキスパート認定制度
- 事業承継アドバイザー
- ファイナンシャルプランナー
- 相続カウンセラー
これらの資格は専門性の高い業務というより、事業承継の全般的なサポートに役立つものです。
特定分野の専門性を高めるだけでなく、事業承継に関する幅広い知識を身につけるのも、スキルアップとして有用な手段です。
まとめ
事業承継は経営権を後継者となる人に引き継ぐことを意味します。
経営者の高齢化が目立つ中小企業ですが、ノウハウの引き継ぎや事業継続のため、事業承継が必要です。
事業承継は非常に時間がかかる作業で、短くても半年、長いと10年という期間がかかります。
事業承継は親族内承継とそうでないものに分けられ、方法によって必要な業務が異なります。
必ず発生するのが自社株や不動産などの評価・価値算定ですが、税理士などの専門家に依頼するケースも多いです。
柔軟な事業承継を実現させるためのサポート対応が、事業承継の担当者に強く求められます。
事業承継の業務内容には、独占業務や専門性の都合上、資格が必要なものが多いです。
しかし全般的なサポート業務など、資格不要の業務も多数存在します。
必ずしも資格がいるとは限りませんが、ステップアップのために、資格取得を視野に入れても良いでしょう。
事業承継の業務内容について、知っていただくキッカケになれば幸いです。
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