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工業簿記と商業簿記の違いとは?勉強の進め方

更新日:2022.04.18

経理の転職お役立ち情報

簿記検定

日商簿記検定3級の問題は商業簿記のみからの出題ですが、2級と1級を受験するためには、商業簿記だけでなく工業簿記の知識も必要になります。
工業簿記とはどのような企業が使用している簿記で、商業簿記と比較すると、どのような特徴があるのでしょうか。
この記事では工業簿記と商業簿記にはどのような違いがあるのか、簿記検定試験を受ける際の効率的な勉強の進め方などについてご紹介します。

1. 工業簿記とは?

工業簿記とはどのような企業の経理業務で使用されている簿記なのでしょうか。

工業簿記が使われる企業や工業簿記の主な業務内容について整理していきましょう。

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そもそも工業簿記とは?

工業簿記とは、製造業を対象とする簿記です。
仕入れた商品を外部に販売する企業とは異なり、製造業では製品を作るのにどれだけの金額がかかったか原価を計算する必要があります。
実際の経理業務では、原価を計算しその過程や結果を帳簿につけていくため、商業簿記よりも踏む手順が多く複雑になります。

工業簿記を使用する企業の経理業務内容

工業簿記を使用する企業の主な経理業務内容には、原価計算や決算書類の作成などがあります。
原価計算とは製品1個あたりにかかる金額を求めることで、実際原価計算や標準原価計算、直接原価計算などがあります。
作成する計算書類には貸借対照表や損益計算書、製造原価報告書などがあります。

2. 商業簿記とは?

日本の企業で幅広く使用されているのが商業簿記です。
商業簿記はどのような企業で使用されている簿記なのかや、商業簿記を使う企業における主な経理業務内容について整理していきましょう。

そもそも商業簿記とは?

日商簿記検定3級で問われる問題は、全て商業簿記からの出題になります。
商業簿記とは、仕入れた商品を販売する商業経営を行う企業を対象とする簿記です。
製造業以外の業種の企業が商業簿記を使用しているため、日本においては工業簿記よりも商業簿記の方が幅広く使用されていると言えます。

商業簿記を使用する企業の経理業務内容

大企業なのか中小企業なのかなど企業の規模や業種などにより実際に行う経理業務には違いが見られますが、商業簿記を使う企業の経理担当者は一般的に以下のような業務を行います。

 

  • 入出金管理
  • 企業間取引の記帳
  • 財務諸表の作成
  • 決算報告資料の作成
  • 財務申告書の作成 など

 

商品の仕入れから販売までの流れを帳簿につけることで会社の財政状況や営業成績などを把握します。

3. 工業簿記と商業簿記の違い

工業簿記と商業簿記には大きく5つの違いがあります。
ここでは、工業簿記と商業簿記の違いについてご紹介します。

対象業種の違い

工業簿記と商業簿記の大きな違いは、対象業種にあります。
工業簿記が製造業を対象としているのに対して、商業簿記は製造業以外の企業を対象にしています。

学習内容の違い

日商簿記検定試験を受験するために工業簿記と商業簿記の勉強を始めてみると、学習内容にも違いがあることに気づきます。
工業簿記では暗記よりも計算方法の理解力が求められます。
一方商業簿記では、暗記力と難しい内容の文章を理解する読解力が求められます。
学習する範囲にも違いがあり、工業簿記は狭く深い知識が求められるのに対して、商業簿記では浅く広い知識が求められます。

勘定科目

勘定科目とは、仕訳や財務諸表などで用いられる金額の内容を表す見出しのようなものです。
製造業には製造プロセスがあるため、商業経営の企業にはない勘定科目がいくつもあります。
工業簿記にしかない勘定科目の具体例としては製品や仕掛品、材料、労務費などがあります。

財務諸表などの表示

財務諸表や損益計算書、貸借対照表の作成は、工業簿記と商業簿記のどちらにおいても行われる経理業務です。
これらを作成する時に、表示に違いが見られることがあります。
たとえば損益計算書において工業簿記では「当期製品製造原価」と表示される項目が、商業簿記では「当期商品仕入高」と表示されます。
内容面において特に違いがあるわけではありませんが、表示方法に違いがあることは押さえておきましょう。

計算期間

工業簿記と商業簿記はどちらも1年間の会計期間を設定しています。
日本では4月から翌年3月までを会計期間としている企業が多いです。
工業簿記では1年間の会計期間とは別に1ヶ月単位での原価計算期間を設定しています。
このように短い期間で情報を公開する理由は、製品の原価に問題があった時に素早く改善できるようにするためです。

4. 工業簿記と商業簿記の勉強の進め方

これから日商簿記検定試験の受験を目指す人は、どのように工業簿記と商業簿記の勉強を進めていくのが良いのでしょうか。
ここでは工業簿記と商業簿記の難易度や効率的な勉強の進め方についてご紹介します。

工業簿記と商業簿記はどちらが難しい?

工業簿記の問題は日商簿記検定3級には出題されず、2級から出題されます。
日商簿記検定2級の問題の内訳は、商業簿記の問題が60点で工業簿記の問題が40点です。
合計点100点中のうち合計70点以上が合格の基準点です。

日商簿記検定の合格率は2級から大幅に下がります。
2020年11月に実施された日商簿記検定の各級の合格率は以下のような結果になりました。

 

  • 3級 47.4%
  • 2級 18.2%
  • 1級 13.5%

 

工業簿記と商業簿記のどちらの方が難しいのかは、人により異なります。
工業簿記は計算が多いため数学が苦手な文系の人にとっては難しいと感じます。
数学が得意な人は一度理解すれば、工業簿記の理解は早いです。

一方商業簿記は暗記項目が多く、範囲も広いです。
文章を理解するための読解力も求められるため、国語や暗記が苦手な人は商業簿記が難しいと感じます。

工業簿記と商業簿記の勉強の進め方

簿記の勉強をするのが初めての人は、商業簿記の勉強から始めるのがおすすめです。
数学が得意な人は工業簿記の勉強から始めた方が良いのではないかと考えるかもしれません。
しかしながら商業簿記の基礎知識がある方が、工業簿記は理解しやすくなります。

 

勉強の進め方としては、日商簿記検定2級を受験する場合は、商業簿記の基本を学んだ後に工業簿記を勉強し、商業簿記の応用を学ぶことで効率良く勉強を進めることができます。
日商簿記検定2級の商業簿記の分野は範囲が広く暗記項目が非常に多いため、試験直前に学ぶことが効率的です。

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5. まとめ:工業簿記と商業簿記の違いを把握し、勉強の計画を立てよう!

この記事では、工業簿記と商業簿記の違いや難易度、効率的な勉強の進め方などについてご紹介しました。
工業簿記と商業簿記は同じ簿記ですが、特徴が大きく異なります。
工業簿記と商業簿記の違いをしっかり把握した上で勉強の計画を立て、合格を勝ち取りましょう!

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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