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監査法人における公認会計士のワークライフバランスは、誰もが気になるところです。
「監査法人は激務」と聞いたこともあるでしょう。
会計士にとっては身近な就職先である監査法人ですが、実際にどのように仕事をするのかはあまり知られてはいません。
いっぽう、仕事は知られていないものの、「とても忙しいらしい」「激務」「残業が多い」というイメージは強いのではないでしょうか。
実際に会計士は監査法人でどう働いているのか、ワークライフバランスは保てるのかなどを解説していきます。
監査法人は激務?
公認会計士の最初の就職先は監査法人が大多数です。
税理士法人や上場企業などを選択することもありますが、やはりほとんどの方は、論文試験に合格すると監査法人に入社します。
実務経験を積み、補習所で勉強したのちに修了考査を受け、正式に公認会計士となります。
まずは監査法人の仕事について見ていきましょう。
監査法人の繁忙期は決算期
監査法人の仕事は財務諸表の監査です。
上場企業や医療法人、金融機関、一般社団法人など、法律で監査を義務付けられている法人の財務諸表を監査します。
日本の法人は3月決算が多いため、最大の繁忙期は4~6月中旬になります。
この時期、会計士は数人から十数人のチームで各法人に赴き、会議室などでひたすらチェック(監査)します(規模の大きな企業ではさらにチーム人数は多くなります)。
期間としては1週間から2週間程度で、チェックが終わったら次の日からは他の法人に赴きます。
期間が決まっているのでどうしても忙しくなりますし、何か問題が見つかればさらに業務が増えます。
また、地方のクライアントもありますので、1週間単位の出張も多いようです。
4~6月中旬というとゴールデンウィークをはさみますが、残念ながら連休をゆっくり楽しむことはできないようです。
決算が集中するこの最大の繁忙期は、やはり激務といっていいでしょう。
また、本決算以外に3か月ごとの四半期決算があり、四半期報告書の監査も必要となります。
本決算時期ほどではありませんが、同様にチームで監査をする日々となります。
このように実際に激務期間のある監査法人ですが、繁閑がハッキリしているともいえます。
繁忙期を乗りきったあと、1週間や2週間まとめての休暇を取得してリフレッシュする会計士も多いですし、休みが取りづらいということもありません。
監査法人ではアドバイザリー業務があることも
監査法人の仕事には、監査のほかにアドバイザリー業務があります。
IPOやM&Aにともなう会計業務、IFRSの導入や決算早期化など、企業の会計面の課題について支援を行います。
こちらは法人の決算スケジュールとともに動く監査とは違い、プロジェクト単位の仕事です。
プロジェクトの締め切り間際はどうしても多忙になりますし、決算スケジュールと違って繁閑の波が読みづらい面があります。
けれど、繁忙期のあとに長期休暇を取る風土のある監査法人ですので、プロジェクトとプロジェクトの間にリフレッシュする働き方が可能です。
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監査法人のワークライフバランスの改善
繁閑の波はありますが、やはり監査法人は多忙です。
近年、働き方改革が叫ばれ、一般的にも機運が高まっていますが、監査法人ももちろん取り組みを始めています。
クライアントの見直し、業務の見直し、そして制度の整備が主な取り組みにあたります。
クライアントの見直し
まずは優良クライアントの選別です。
監査法人は企業などから監査を依頼されると、基本的にはそのまま受け入れる傾向がありました。
しかし、会計報告に難があるとイレギュラーが発生し、担当する会計士は対応に追われ、監査法人としても監査の質を問われる事態に発展することがあります。
そこで、クライアントに改善を促します。
それから改善が見込まれない場合は監査を断り、新規の依頼があれば事前に調査をして状況によっては応じないことで、監査の質の向上や業務の整理を行っているのです。
業務の見直し
次に、会計士それぞれの業務の見直しです。
会計士はさまざまなチームにアサイン(任命)されて仕事をするのですが、人によってアサイン数が多くなるなどの偏りが出てしまうことがありました。
また、日本の場合は3月決算が多いのですが、3月決算でない企業もありますし、12月決算も増加傾向にあります。
例えば、3月決算のチームに多くアサインされつつ、5月決算のチームや7月決算のチームにもまんべんなくアサインされていると、繁忙期が途切れることなく続いてしまうことになります。
このような事態を避け、アサインの段階でクライアントの決算期を配慮することだけでも、ワークライフバランスの改善につながります。
さらに、監査業界も業務効率化には積極的で、AIやRPAを監査に取り入れて効率化に対しても積極的です。
制度の整備
人事制度なども改善されてきています。
もとより、会計業界はさまざまな人事制度について整備されているほうではあるのですが、もっと働きやすくなるような施策、実際に使える制度を導入するなどの動きが見られます。
監査法人はどうしても多忙です。
しかしさまざまな取り組みで、ワークライフバランスの改善に力を入れています。
監査法人のポジションによる違い
監査法人のポジションは、一般的に
- スタッフ
- シニアスタッフ
- マネージャー
- シニアマネージャー
- パートナー
とキャリアアップしていきます。
それぞれでのワークライフバランスについても確認しておきましょう。
スタッフポジションのワークライフバランス
論文試験合格者としてスタッフポジションで入社すると、まずはさまざまなチームで各クライアント先に赴き、先輩の仕事を見ながら学んで仕事を覚えていきます。
仕事のコツをつかむまでは時間の使い方もなかなか慣れず、残業も多くなりがちです。
1週間や2週間単位でクライアントも変わっていくため、めまぐるしく、最初の1年間はとにかく大変だったという声もあります。
さらに、3年間の実務を積むと修了考査を受けることになるため、試験に向けての準備が必要となります。
修了考査に関しては、先輩の会計士も全員が受けていますので、試験勉強に対して配慮があり、安心です。
シニアスタッフのワークライフバランス
シニアスタッフになると、インチャージと呼ばれる現場責任者を担当します。
クライアントの担当者とやり取りをし、スケジュールを管理し、現場をまとめ、スタッフの業務をチェックしたり量を調節したりもします。
まさに現場責任者で、スタッフとしての仕事よりも格段に緊張感が増すでしょう。
業務の増加にともない、残業がもっとも増えるポジションともいわれ、ワークライフバランスの面でも改善の取り組みがされています。
マネージャー以降のワークライフバランス
マネージャー以降は管理職となります。
現場の責任はもちろん負いますが、現場の業務はシニアスタッフやスタッフの担当です。
むしろ、クライアントとの折衝や新規クライアントやプロジェクトの獲得など、営業的な動きが求められます。
監査品質向上や研修など、監査以外の仕事も増えてきます。
スケジュールの決まった監査業務には入らないので、自身の裁量でスケジュールを調整し、ワークライフバランスの面では落ち着いていくでしょう。
ポジションによって仕事や忙しさも変わっていくので、キャリアを考える際は、監査法人において自身がどの立場にいるのかを把握することも大切です。
まとめ
監査法人は忙しいというイメージははずれではありません。
しかし、実際の仕事での動き方、長期休暇を取りやすい環境であること、ワークライフバランスの改善にも積極的であることを知るのも重要です。
公認会計士にとって、監査法人は切っても切り離せません。
実情を知り、自身にあった職場を選んでいきましょう。
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