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経理求人の業務内容には、必ずといっていいほど「決算業務」という記載があります。
社会人なら誰もが一度は聞いたことがある「決算」とはどんな業務なのでしょうか。
経理への転職を希望しているが、決算や具体的な業務については「何となくどんなものかはわかるけれど、具体的にはよくわからない」という不安は解消しておくべきです。
そこで、今回はいまさら聞けない経理の基本業務を徹底解説します。
経理の求人|なぜ決算が必要なのか
経理の重要な業務の一つである「決算」ですが、そもそもなぜ必要なのでしょうか。
一言で表すと、決算とは「一定期間の会社の業績を記載したもの」です。
決算は、毎年会社が定めた年度末に一年間の会社の業績を取りまとめたものです。
現在どれくらいの資産と負債があるのか、会社の財政状態を明確にして、株主総会や取引のある銀行などに公開します。
決算では、一年間の間に得た損益を計上し、その年の納税額を決める指針にもなります。
決算は社内外を問わず、会社の経営状況を正確に把握するための重要なデータとしてとても重要なものです。
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経理の求人|いまさら聞けない!決算業務とは
経理の求人には、会社の金銭管理や伝票作成などといった毎日の業務のほかに「月次決算」、「年次決算」と記載されていることもあります。
決算は一年に一度なのでは?というイメージを持っている人には、戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
月次決算にはどんな業務をするのか、年次決算業務はどんなものなのか、これから経理への転職を目指すならぜひ理解しておきたいものです。
ここでは、月次決算と年次決算のそれぞれの特徴や、異なる決算業務について詳しくまとめてみました。
月次決算
毎月末に会社の損益などを把握するために作成します。
現金や預金の出納帳の締め、棚卸しや仕入れ、売上高の照合、売掛金や買掛金、減価償却、税金などを集計し、各帳簿に取りまとめます。
月次決算書類は、社外に申告する必要はないので、あくまでも社内での財政状況を明確にすることが目的ですが、年度末の決算時をスムーズに進めるための準備としても役立てることができるので、月次決算を導入している企業は多くあります。
月次決算処理の流れは以下の通りです。
- 勘定科目を整理する
現金・預金、仕入高・売上高、棚卸し、減価償却、各手数料、各種税金、仮払金や借受金、売掛金や買掛金といった勘定科目をはじめ、それぞれの経費ごとに科目を整理して集計します。 - 勘定科目別に転記
勘定科目ごとに集計した数字は、それぞれに必要な帳簿に転記します。 - 決算書に転記する
損益計算書
貸借対照表
前期比較表
月別資金繰表
月次損益推移表 など、月次決算に必要な書類にデータを転記します。
年次決算
年次決算は、一年の締めくくりとして会社が決めた年度末に会社の業績を報告するために行います。
そもそも決算は、会社法という法律で定められているもので、正しい財政状態を社内で周知することはもちろん、株主や債権者に対しても公告することが必要です。
これによって、会社の評価や信用度が大きく左右されるほか、次の時期にどのような戦略で利益を上げていくのかを検討するための重要な資料になります。
経理が行う決算月の業務とは?
年度末に必要な決算は、とても重要です。
数値の間違いはもちろん、書類の不備などがあっては、絶対にいけません。
一つ一つの作業を慎重かつ正確に行うためには、具体的な業務内容をきちんと理解しておくことが大切です。
決算月では具体的にどのような業務を行うのでしょうか。
ここでは年次決算で行われる経理の業務についてそれぞれを分けて詳しく解説しています。
棚卸し
棚卸しは、期末の在庫を把握し、会社の資産が会計上どれくらいあるのかを明確にするために必要なものです。
棚卸しでは、在庫として保管されている商品の品目と数量を確認していく作業を行いますが、会計上ではすべて金額で計上することになります。
棚卸しの対象となるものは、仕入れた商品や製品、材料や貯蔵品などです。
どれくらいの在庫を抱えているかによって、会社の資金繰りは大きく変動します。
適切な在庫管理は、企業にとってとても重要です。
それを把握するためにも棚卸しは欠かせない決算業務の一つでもあります。
減価償却
決算に欠かすことのできない重要な要素として「減価償却」があります。
パソコンや机、椅子、社用車などの高額な備品は、会社の資産としてみなされます。
しかし、資産は時間の経過とともに資産価値が減少していきます。
減価償却では、こうした考えに基づいて、資産を活用する期間を利用し少しずつ購入費を経費として計上することになります。
減価償却には、一定金額で減価償却を行う「定額法」と、一定の割合で減価償却を行う「定率法」の2つがあります。
どちらを導入するかは会社によって異なるため、入社後の決算時に確認しておくのが良いでしょう。
勘定データの整理
決算で最も大変なのが、それぞれの勘定科目ごとにデータを整理して集計するという作業です。
毎月の月次決算での数字を元に総勘定元帳へ転記を行い、費用と利益、資産や負債に分けて記載します。
たいていの場合、会社の専用システムや会計ソフトに入力することになりますが、まずは精算表と呼ばれる帳簿に集計した勘定データを入力し、その後、損益計算書などへの転記を行うことになります。
決算書の作成
最終的な決算は、以下の3つの決算書を作成することで完成します。
- 貸借対照表……会社の資産と負債、資本を記載し、会社の財政状態を明確にするための帳簿
減価償却を含めた現金や預金、受取手形などは「資産」となり、借入金や支払手形などは「負債」として計上されます。
- 損益計算書……会社の収益と費用を記載した帳簿
全ての費用を差し引いた最終的な利益のことを「当期純利益」といいます。
この数字が会社の業績を示すものとなり、一年間でどれくらいの利益(損失)を得ることができたのかがわかります。
- キャッシュフロー計算書……お金(現金)の流れをすべて記載した帳簿
事業活動に使われるお金の流れは「営業活動」、投資によるお金の流れは「投資活動」、資金調達や返済によるお金の流れは「財務活動」として区別され、会社のお金がどこでどのように使われているのかがわかります。
経理の求人でよく見る決算をスムーズに行うためのポイント
経理が行う決算は、さまざまな作業や書類作成が必要となるため、非常に労力のかかる業務です。
基本的には年度末の数字を出すことを目的としている決算ですが、期末の2ヶ月前から準備することが可能なので、ミスのないよう少しずつ準備しておくことが大切です。
ここでは経理の重要な業務の一つである決算をスムーズに行うためのポイントについて詳しく解説しています。
月次決算をきっちりと行う
毎月の月末に行う月次決算を毎月しっかり行うことで、年度末の決算業務がスムーズになります。
さらに数字のミスをなくすためには、日次決算として日々の締めをしっかり行っておくことも大切です。
その日の決算なので、数字の矛盾がすぐに見つけやすく、修正することができるからです。
年次決算では少しのミスも許されません。
会社の数字を正確に把握するために、毎日、毎月の決算業務をきっちり行うようにしましょう。
データを整理する
決算では、勘定科目への仕訳も重要なポイントです。
何をどの科目に振り分けるのか、その会社によって異なる場合があるので、必ず確認しながら作業を進めるようにしましょう。
必要なデータはわかりやすくルールづけて管理することも大切です。
決算の時に必要になる帳簿はもちろん、申請書類や領収書などはきちんと整理しておきましょう。
早めの準備
決算は、会社の年度末に行う業務です。
日本の企業では、国や自治体の会計年度である4~3月までの期間に合わせて3月を年度末としている会社が多いようですが、基本的には1年以上の期間があかなければ、何月を決算月にしても良いことになっています。
決算前には、おおよその利益額を算出したり、預金の残高証明書などの必要書類を揃えたり、事前の準備が必要なものも多くあります。
忘れずにチェックし、準備しておくようにしましょう。
ちなみに決算の申告期限は、決算日の2ヶ月以内となっているので期日を守れば問題ありませんが、それを過ぎるとペナルティを受けることもあるので、十分な注意が必要です。
経理の求人では決算以外の業務もしっかりチェックしよう
経理の求人で記載されている決算は、会社にとって重要なものではありますが、その他の業務が疎かになってはいけません。
電話応対や接客、他事務業との兼務が必要になることもありますので、経理だけの業務に専念したいという人は、特にしっかり求人情報の業務内容をチェックするようにしましょう。
まとめ
経理の求人で記載されている決算は、法律で定められた会社の義務であることがわかりました。
決算には、月次決算と年次決算があり、毎日の締めを元に月次決算を行い、さらに月次決算を元に年次決算が行われるという仕組みだとも理解できたのではないでしょうか。
決算をスムーズに行うには、一つ一つの業務をきちんと理解しておくことも大切です。
ぜひこの記事を読んで、経理へ転職した後の決算業務に役立ててください。
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