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税理士登録に求められる要件をご存知でしょうか。
もっとも知られている要件は税理士試験の合格でしょう。
税理士試験において必要科目数の合格をすることで、税理士登録をする資格を得られます。
しかし税理士登録に必要な要件はこれだけではありません。
試験合格のほかに、2年以上の実務経験が必要です。
税理士の登録申請をする際に実務経験を証明する書類を提出します。
この記事では、税理士登録に必要な2年の実務経験について解説します。
実務経験として認められる業務内容や経験年数の計算方法などを紹介していますので、税理士登録を目指す人はぜひお読みください。
税理士登録には2年の実務経験など登録要件が有り
試験合格だけでは税理士登録ができません。
税理士登録にふさわしいと認められるためには、2年以上の実務経験が必要です。
まずは実務経験について概要を紹介します。
租税または会計事務の業務経験が必要
税理士登録をするためには、租税または会計事務などの業務経験が必要です。
税理士の独占業務である税務業務3種類、もしくはそれに付随する会計業務についてまったくの未経験では税理士登録ができません。
そのため税理士試験に合格しただけでは税理士として業務ができず、2年以上の実務経験を積みそれらが認められてようやく税理士登録となります。
なお実務経験がないと税理士登録できないということから、税理士試験に合格しただけではそれほど価値がないのでは、と考える人もいるかもしれません。
しかし税理士試験に合格したという事実のみで十分な能力証明となります。
若手といわれる年齢であれば特に、税理士試験そのものが十分に評価されるでしょう。
少し話は逸れますが、税理士試験に合格したものの税理士登録をせずに業務をしている人は少なくありません。
独占業務はできませんが、会計事務所の従業員として働くには試験の合格まででもまったく問題ないとされています。
最終的には面接がおこなわれる
実務経験は書類によって証明しますが、最終的には面接がおこなわれます。
面接で聞かれる主な内容は以下のとおりです。
- 税理士を志した動機・理由
- 過去に経験した業務や現在おこなっている業務
- なりたい税理士像
基本的には過去~未来さまざまな視点における幅広い質問がおこなわれますが、実務経験について疑問を持たれることがあれば業務に関する質問が増える可能性があります。
公認会計士や弁護士資格があれば実務経験は不要
税理士登録には2年の実務経験が必要とお話してきましたが、それは試験合格によって登録要件を得た場合です。
公認会計士や弁護士の資格を持つ人は、試験の合格および実務経験のどちらも不要です。
資格を持っていることを証明する書類を提出し、問題なく受理されれば税理士登録となります。
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税理士の実務経験2年の計算方法
税理士登録には2年の実務経験が必要ということを紹介しました。
続いては期間の具体的な計算方法を解説します。
計算方法についてしっかり把握しておけば、実務経験年数に関するトラブルを防ぐことができるでしょう。
同一勤務先である必要はない
大前提として、2年の実務経験は同一勤務先で積む必要はありません。
実務経験をしてきた期間がトータルで2年となれば認められます。
たとえば、以下のようなケースです。
- 新卒で入所した会計事務所を1年で退所
- その後2ヶ月の転職活動期間を経て別の会計事務所に入所、8ヶ月で退所
- 前職場を退所後すぐに会計事務所に入所、勤務を始めて4ヶ月が経過
こちらはやや極端な例ですが、在籍期間が1年+8ヶ月+4ヶ月=2年となります。
実務経験2年という条件は達成したことになります。
ただし以下の点に注意が必要です。
- 計算期間に含むすべての勤務先で証明書類を用意してもらう
- 非正規雇用の場合は在籍期間=経験年数とはならない
実務経験の証明は「在職証明書」という書類によっておこないますが、1つの勤務先につき1枚が必要です。
そしてこの書類は、勤務先の代表者または担当者の署名押印が求められます。
複数の勤務先での在籍期間を合算する場合にはすべての勤務先で書類を用意してもらわなければなりません。
また、紹介した計算方法はフルタイム勤務の正規雇用者の考え方です。
非正規雇用の場合には計算方法が異なりますので後述します。
非正規雇用の場合における計算方法
非正規雇用の場合は在籍期間がそのまま経験年数として利用できるわけではありません。
在職証明書のほかに「勤務時間の積上げ計算書」が必要です。
勤務時間の積上げ計算書には以下の内容を記載します。
- 勤務期間
- 勤務曜日・週における勤務日数
- 期間ごとの勤務日数および勤務時間の詳細
- 租税または会計に関する事務とそれ以外の業務の従事割合
- 総勤務時間と従事割合を掛け合わせて算出した勤務時間
在籍期間に関わらず、2年相当の勤務時間を獲得していると証明する必要があります。
なお勤務時間の積上げ計算書は日本税理士会連合会の公式サイトにフォーマットがあるため、そのとおりに記入します。
試験合格前の経験年数もカウント可能
実務経験の年数ですが、試験合格前の期間もカウント可能です。
そのため経験年数を達成していれば、試験合格後すぐに税理士登録の申請ができます。
実際のところ、試験に合格してから実務経験を積む人はあまり多くありません。
ほとんどの場合は会計事務所などで実務経験を積みながら試験勉強をしています。
税理士試験合格後すぐに税理士登録ができるよう、勉強しながら実務経験を積むことがおすすめです。
税理士登録で2年の実務経験に認められる業務内容
税理士登録には2年の実務経験が必要であり、実務経験を証明する書類には職務の内容を具体的に記載します。
そこで万が一必要な実務経験として認められなければ余計な手間が発生してしまうため、認められる業務内容についての把握が必要です。
それでは具体的な業務内容を紹介します。
税務官公署における事務
税務官公署とは国税庁・国税局・税務署など税務に関するさまざまな業務をおこなう場所です。
税務が専門分野であるため、携わる業務も税務関連が中心となります。
そのため税務官公署での業務は実務経験として問題なく使用できます。
税務官公署での業務は事務手続きが中心ですが、租税に関わるものがほとんどです。
在職証明書には具体的な職務内容を記載しますが、税務官公署での業務はほぼ認められると考えて良いでしょう。
税務・会計・決算事務等
税務官公署以外でも、以下のような業務が認められます。
- 税務に関する事務
- 財務諸表を利用した会計計算等の事務
- 決算手続きに関する事務
- 仕訳帳から勘定への転記
- 財務諸表の作成
- 帳簿組織の立案・原始記録と帳簿記入事項の照合点検
会計事務所や税理士法人における業務のほとんどは実務経験として利用可能です。
一般事業会社であっても、経理部などに所属してこれらの業務を経験していれば実務経験として認められます。
ただし一般事業会社の場合、先述した業務以外と兼業するケースが多いです。
そのため会計などの業務とその他の業務との従事割合を記載した書類が必要となる場合もあります。
知識が不要な単純事務はカウントされない
会計事務所に所属していた・経理部で勤務していた場合であっても、携わっていた業務が単純事務であれば実務経験として認められません。
簿記の知識が必要なく誰でもできる業務や単純な入出力事務・電卓を利用しての軽い計算のみで済む業務は、実務経験に該当しないと判断されてしまう可能性が高いです。
在職証明書などで証明した実務経験は、税理士会の調査や面接によって判断されます。
万が一問題があった場合は登録申請が受理されないことが起こり得るため注意が必要です。
まとめ
税理士登録をするためには2年の実務経験が必要です。
2年と聞くと長いイメージを持つかも知れません。
しかし複数勤務先での勤務期間の合算や、試験合格前の経験年数の利用などが可能なため、達成するのはそれほど難しくないでしょう。
租税・会計・経理に関する幅広い業務が認められます。
とはいえ、あまりにも簡単な実務経験は税理士会により該当しないと判断されてしまうため、適当なものであるかはしっかり確認しておきましょう。
非正規雇用者や一般事業会社での勤務者は、提出書類の用意にも注意が必要です。
2年の実務経験という要件を満たし、スムーズに税理士登録を進めましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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