転職お役立ち情報
1.実務未経験でもOK?税理士科目合格者の転職先別求人事情
会計事務所・税理士法人の場合
会計事務所の主たる業務は法人・個人クライアントに代わって、会計データの入力、請求書などの証票書類の整理とファイリング、試算表の作成とクライアントに月次実績の報告をすることです。
いわゆる会計帳簿を作成する記帳代行業務は、毎月の業務報酬として貴重な収入源となっています。
そして年に1回から複数回の税務申告書の作成、年末調整の代行などがあります。
これらの業務を担当するのは、経営コストの観点から税理士ではなく、多くは税理士の科目合格者や未経験者となります。
この記帳代行はクライアントの規模が大きくなると、内製化してクライアント自らが対応しますので、会計事務所の役割は記帳代行や申告書の作成のような基本業務からより高度な試算表のチェック、申告書のレビュー、様々な税務相談の対応が主となります。
科目合格者は試験勉強と並行して会計事務所に勤めて実務経験を積み、合格した科目の専門性も活かし、税理士の補助業務の一環でこのような業務を遂行していきます。
記帳代行などの業務のほか、税理士補助業務は税理士試験の科目合格者が担当することがほとんどですので、実務未経験の方や、業務経験の浅い方は、このような業務からスタートすることをイメージしておくと良いでしょう。
一般企業の場合
一般企業では主に経理や財務の職員、税務部門で求人があります。
科目合格数は書類選考のうえで将来税理士になることができるかどうか有用な判断材料になります。
他の一般社員と同様の業務を担当します。
【税理士・税理士科目対象】
なんとなく転職したい・中長期でキャリアを考える方向け
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2.科目試験合格者、未経験での転職は会計事務所の求人を見るべき?
税理士の科目合格者の多くはすでに会計事務所で働いています。
もちろん、一般企業に勤めながら科目の合格に向けて努力を続けている方や、あるいは大学生などで科目合格者になる場合もあります。
会計事務所では、税理士試験勉強との両立をめざす科目合格者がワークライフバランスをとることができるよう、残業時間を抑制したり、試験前の長期休暇を認めるなど受験者に向けた業務環境への配慮が見られます。
受験生は安心して業務を経験を積みながら、受験勉強にチャレンジすることができます。
中堅以上の規模の会計事務所であれば同僚にも科目合格者や税理士がいるので支えあい励ましあう環境となるでしょう。
一般企業では、科目合格者であっても経理職の一員として通常は特別の待遇はなく、他の一般社員と同じ勤務環境になります。
決算期が試験月に重ならなければ繁忙期を避けることができますので、有給休暇を上手に取得することで受験勉強に集中できる環境を維持しやすくできるでしょう。
科目合格者の期間は、税理士としてどのようにキャリアを積むかを考える貴重な時期です。
例えば将来会計事務所を開業したい方は、会計事務所を選択すべきでしょう。
会計事務所の経営方法を学ぶ、クライアントとの接し方を経験する、クライアントを獲得する努力などは早いうちに学んでおくべきだからです。
税理士試験の合格までは会計事務所に勤めて専門性を磨き、試験に合格した後で税理士としてさらにキャリアアップして独立開業に向けての経験を積むと良いでしょう。
企業に勤める税理士を選ぶ場合はさらにいくつかの選択肢があります。
企業の人事評価は一般的に勤務期間と経験、およびその成果に応じて昇級や昇格があるため、試験勉強の数年間も人事評価期間に参入されます。
晴れて税理士試験の合格者になれば経理や財務部門の責任者、税務部門長などキャリアプランも考えることができますので、中長期の視点では企業に勤めることのメリットがあるといえます。
その企業が国際的に事業を展開していれば移転価格税制など国際税務の経験が、複数の子会社がある場合は連結納税の実務を学ぶことで税理士としてのキャリア開発を大いに期待できます。
3.税理士科目合格者、未経験の場合の求人で給与水準はどれくらいか
税理士科目の合格者は、会計事務所の給与水準として見た場合に一般スタッフよりもその水準が高い傾向にあります。
税理士としての有資格者ではないものの、いずれその可能性があることや学んだ専門性を実務に応用できることを考慮した給与体系となっています。一般企業の経理職として働いている場合には科目手当、資格手当がつく場合があります。
また、科目の合格数により特定の求人案件に応募できることが可能となります。
実際の科目合格者の給与水準を転職サイトで検索すると、未経験でも求人可能とする会計事務所や税理士法人が多数見られました。
年収は概ね300万円前後になっており、受験者に向けて残業時間の少なさ、業務の配慮といった待遇が目立っていました。
参考として会計事務所で数年間以上の経験があれば年収は400万円前後になる求人も見られます。
Big4と呼ばれる最大手の税理士法人(EY税理士法人、デロイトトーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、PwC税理士法人)では、未経験でも入社できる可能性がありますが、英語力が必要など狭き門となっています。
無事に採用されれば年収は400万円台からとなっており、平均的な会計事務所の年収よりも高額になり、試験勉強との両立によって高度な経験を積むことが期待できます。
- 東京都 税理士法人 未経験可 年収300万円 科目合格を目指す方の業務調整可能
- 東京都 税理士法人 未経験可 年収300万円 月間の残業時間は10時間前後
- 宮城県 税理士法人 未経験可 年収300万円 残業はほとんどなし
- 奈良県 税理士法人 未経験可 年収300万円
- 石川県 税理士法人 未経験可 年収270万円 月間の残業時間は10時間前後
企業の経理部門では未経験であっても求人案件があります。
この場合は科目合格者としての入社がきっかけになりますが、実務は未経験のため年収水準は同年代の経験者に比べて見劣りする場合があります。勤務経験を重ねていくことで給与水準が経験者並みに上がることが期待されます。
4.税理士科目試験の合格を目指して
税理士試験の合格者になるには5つの科目に合格しなければなりません。
うち2科目は会計や経理に関わる必修科目で簿記論と財務諸表論です。
この2科目に合格するだけでも経理処理において深い知識を得ていることを証明できます。
残り3科目は選択科目になり、そのうち1科目は法人税法または所得税法のどちらかを必ず選ぶ必要があります。
残り2科目は複数ある税務科目から選択します。
国税庁の公表によれば住民税科目は合格率が13.5%(必要な勉強時間は200時間前後)、固定資産税科目(同、250時間)は14.9%と最も合格率が高くなっています。
選択した科目によっては、ボリュームのある内容になり合格までかなりの勉強時間を費やすことになります。
短期間で税理士試験の合格を目指すのであれば、勉強時間の比較的少ない科目(国税徴収法は150時間前後、合格率は10.7%)を選択することも検討してみると良いでしょう。
会計事務所や企業に勤めながら数年間かけて試験勉強を継続することは大変なことです。
勉強時間を確保しにくい勤務環境である場合には有用な選択肢になるでしょう。
将来、税理士として働くにあたり様々な税法を理解しなければなりませんので、少なくとも実務に直結する科目は選択しておきたいものです。
試験勉強で得た知識を実務に活かすのであれば法人税法は必須といえます。資産税を担当したいのであれば相続税法は欠かすことができません。
税理士試験の合格率は令和元年で18.5%(平成30年は15.3%)とされ難関資格の1つに位置づけられています。科目には有効期限がないため時間がかかっても根気よく続けることで5科目を合格することが可能です。
5.まとめ
せっかく科目合格をしても、さらに勉強をしなければならないのが税理士試験です。
不安もあるかもしれませんが、実務経験は何よりの財産につながります。
未経験でも可という求人を出しているところは探せばあるもの。
転職エージェントなどを活用しながら、効率よく探すことをおすすめします。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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