転職お役立ち情報
1.どのくらいの税理士がエージェント経由で会計事務所に転職しているか
会計事務所が求人をする場合、複数の転職サイトやエージェントに求人案件依頼し、または自社のホームページでも求人を直接受け付けています。
転職エージェントを経由してどれくらいの数の税理士が会計事務所へ転職したのか、具体的な指標は見当たりません。
推測ですが、日本税理士連合会が公表している 「主たる税理士法人」の4,270事務所と「従たる税理士法人」の2,215事務所。
それらの会計事務所で働く勤務税理士が平均して10年間(科目合格から税理士試験の合格、そして3年間~5年間の実務経験と仮定)で退職しその欠員を補充(求人)しているとすれば、全国で毎年800件前後の求人が発生していると予測できます。
国税庁の公表数値では勤務税理士(社員税理士および所属税理士)はおよそ16,000人ですので、その数の約5%の税理士が毎年転職を実現させていることになります。
転職エージェントのビジネスモデルは、転職希望者が希望する会計事務所に転職を成功できた場合に限り、成功報酬としてその会計事務所から報酬を得ていることが一般的です。
概ねその報酬額は転職者の年収の30~40%程度を目安としていますので、より期待される年収が高い求人を紹介してくる傾向があります。
採用可能性を探るために、とりあえず案件を紹介してみる、という姿勢がみられる場合もあり、実際に応募してみても書類選考で不合格になる可能性が高いので、税理士がその結果を気にしないようメンタリティを保つことが大事です。
思いもよらない良い案件を紹介してくれることもありますので、気づかなかった視点で別の方向での転職の機会を探ることができるかもしれません。
一方、会計事務所側からすれば転職エージェントを使うことでピンポイントで人材を探すことができるメリットがあります。一方で高いコストを支払うことになるため、従業員数名規模の会計事務所で転職エージェントを利用することはあまり多くありません。
中堅規模や大手の会計事務所、BIG4税理士法人が転職エージェントに依頼するケースが多くなります。
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2.税理士が事務所転職に使うエージェントの特徴と傾向
大手転職エージェントの傾向
大手の転職エージェントでは、最初に転職希望者の希望職種や年収、勤務地などをヒアリング。その情報をもとにAI 機能を活用して、大量の求人案件を検索し希望条件に沿った案件を抽出して転職希望者へメールなどで連絡します。
その後、転職者が担当エージェントに連絡をとることで、エージェントが転職希望先に打診するという流れが多いです。
税理士は会計事務所からの求人や一般企業からの求人にもマッチしやすい職種の一つであるため、転職エージェントからは第一希望となる会計事務所の紹介のほか、一般企業を参考として紹介する場合もあります。
転職エージェントからの会計事務所紹介案件の傾向
大手の転職エージェントは、全国の求人案件を掲載しています。たとえ同じ規模の会計事務所であっても従業員数や求人の条件などを検討し、税理士の希望にできる限り沿った求人情報を提供することができる強みがあります。
様々な転職情報をエージェントと確認することで自分の転職市場での価値(想定年収)がどれくらいかをある程度予想することも可能です。
実際の求人情報を見ると地域、従業員数、職務により年収には相当の幅があります。
一例
・宮城県 会計事務所 年収650万円~850万円 従業員数10名未満
・熊本県 税理士法人 年収300万円~500万円 従業員数10名超
・愛知県 税理士法人 年収350万円~ 従業員数40名超
・栃木県 税理士法人 年収280万円~400万円 従業員数100名超
・大阪府 税理士法人 年収410万円~680万円 従業員数200名超
・東京都 税理士法人 年収600万円~1000万円 従業員数400名超
中堅規模の転職エージェントは各地域に特化した転職情報を中心に掲載していることがあり、希望する勤務地エリアに強いエージェントであれば大手並みの案件、大手で掲載していない案件を探すことができます。中小規模の会計事務所の求人が多く掲載される傾向にあります。
外資系の転職エージェントは主にBIG4税理士法人や大手の会計事務所で外資系クライアントが多い案件を紹介します。
英語力が一定以上ある(少なくともTOEIC700点台、できればビジネスレベルの英語力)ことを条件としている場合が多いものの、求人先に応募して様子をみましょうという傾向があります。提示される求人の年収は一般的な会計事務所と比べると高いことが魅力でしょう。
税理士など専門家に特化した転職エージェントは、資産税、事業承継、国際税制、M&Aに関連する対応があるかどうかなど、転職を希望する税理士目線の案件紹介となっています。
希望内容に近い会計事務所を探しやすいメリットがありますが、案件数が限られているため、他の転職エージェントを併用することで転職の機会を広げましょう。
3.税理士は転職エージェントを使うべきか自分で事務所を探すべきか
転職をする際、全国に所在する会計事務所の求人内容を確認し、希望に沿った条件や待遇であるかどうか、求人先が求めている条件を自分自身のキャリアが満たしているかどうかを検討しなければなりません。
すべて自分で行うとしたら、応募するまでの過程だけで相当の手間がかかります。
転職エージェントは、転職を希望する税理士と採用募集をする会計事務所の間に立って、できる限りお互いの要望や妥協点を模索し、転職希望者が希望する会計事務所への転職を支援します。
応募までの過程をシンプルにできるのはメリットです。
転職エージェント経由の求人案件の多くは「非公開求人」です。
これは求人をだす会計事務所が欠員補充や新規事業のために外部から採用することを内密に行うなどの理由によります。
非公開求人であっても通常の公開求人案件(ウェブサイトで検索できる求人案件)に比べ、特段に年収条件が良いということではありません。
税理士が転職エージェントを利用する最大のメリットの1つ目は、転職エージェントが求人会計事務所の内情を知っている場合があり、欠員補充であれば前任者はなぜ辞めたのかなどを教えてくれることで面接対策をしやすくなることです。
2つ目のメリットは 、転職先企業との給与交渉を行ってくれることです。
給与水準の引き上げを手伝ってくれる転職エージェントは税理士にとって心強い存在だと言えます。
税理士が転職エージェントを使わずに転職をする場合、待遇や年収面での交渉が難しくなる場合があります。
採用されたい思いが先行して前職と同水準で合意することや、より低い待遇(役職など)で妥協する可能性があるからです。
この妥協部分はいずれ遠くない時期に後悔するきっかけになることが多く、そのようなミスマッチを防ぐために転職エージェントを利用するメリットがあります。
4.転職エージェントには税理士として会計事務所で何をしたいのか正確に伝えよう
転職エージェントは、転職希望者を採用会計事務所に橋渡しをする仲介者としてのプロフェッショナルですが、転職を希望する税理士がこれまでにどのような経験を積んできたかを理解できているとは限りません。
強みは数値化し、その背景および結果としてどのようなベネフィットに貢献したのかのストーリーを用意することが大切です。
例えば、工業製品を日本から輸出している企業に勤めていて、海外工場の立ち上げに税務面から関わり、現地生産化の支援により関税コストを数千万円削減した、などのように背景と数値を明確に説明できるようにしましょう。
また、転職エージェントを利用するさいは、税理士として何をやりたいのか、それができることでどれくらいの年収を期待したいのか、待遇などの希望条件、そしてどこまでなら年収などの妥協点を見出すことができるかをあらかじめ決めておくことが望ましいです。
そのうえで転職エージェントに相談すれば、職務経歴書の記載内容に関する深堀りや、面接対策の一環で会計事務所の面接官がどのようなタイプで税理士は何を伝えるべきかなどの有益な支援をしてくれますので、転職活動のための手助けとなるでしょう。
5.まとめ
税理士が転職するにあたって、転職エージェントを使うことで多くの非公開求人を探すことができます。
そのさい、自分の希望年収、キャリアアップのプラン、事務所の立地など、転職エージェントに正確に伝えておくことが好条件と巡り合うカギとなります。
自分に合った転職エージェントを活用し、会計事務所への転職を叶えましょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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