転職お役立ち情報
公認会計士は、難関の国家資格です。
試験に合格するだけでなく、実務補習(実務経験)を積まなければ公認会計士になれません。
試験の難しさは医者や弁護士と並び称され、上場企業等の財務情報の信頼性を保証するための監査および会計のスペシャリストです。
公認会計士法が定められた監査業務を唯一行うことができます。
試験合格後は、一般財団法人会計教育研修機構の「実務補習」を受け、日本公認会計士協会の修了考査に合格しなければなりません。
研修の内容や期間について解説します。
公認会計士の実務補習(実務経験)とは
公認会計士の試験は、金融庁の監査審査会が実施しています。
公認会計士になるには、まず公認会計士試験(短答式および論文式)に合格しする必要があります。
その上で、3年以上の業務補助等の実務経験が必要なのです。
2006年より、学生だけではなく社会人を含め多様な人材が公認会計士の試験を受験できるようになることを目的として、公認会計士の試験制度が大幅に簡素化されています。
それでも、実務補習は必須です。
公認会計士試験後の流れについてはこちらの記事もご覧ください。
公認会計士試験合格後に実務補習(実務経験)は必須
「公認会計士」として登録するためには、いくつもの試験に合格し、所定の経験と研修を積まなければなりません。
論文式・短答式の試験の合格以外にも、3年間の実務経験(補助業務)が必要なため、これは必須となります。
詳しい内容を見ていきましょう。
公認会計士として登録するための「実務経験」とは
3年間の実務経験には、
- 公認会計士や監査法人の補助をする「業務補助」
- 事業会社にて財務に関する監査や分析などに従事する「実務従事」
の2種類があります。
実務従事は法令で定められた業務(公認会計士法施工令第2条に規定される業務)であることとされています。
この実務経験の時期は、公認会計士試験の合格前でも積んでいくことは可能です。
しかし、試験勉強に集中する目的から、一般的に試験の合格後になることが多いです。
実務経験についてはこちらの記事もご覧ください。
公認会計士として登録するための「実務補習」とは
実務補習とは、公認会計士の試験合格者が受講する実務研修です。
3年間修業年限のうちに単位を獲得しなければならない制度となっており、必要単位を取得することで修了となります。
補習は、公認会計士になるための必要な技能研修であり、講義は平日夜間と土日に開催しています。
頻度は週に1回から2回程度です。
必要単位は、研修に出席することで得られるものや、テスト結果、レポート内容、ディスカッションなどがあります。
修了に必要な単位を取得した上で、「修了考査」に合格することで「実務補習」がすべて修了する仕組みになっています。
修了考査の合格率は70%前後とされています。
修了考査の試験は仮に不合格となっても何度でも受験することが可能です。
公認会計士の試験に合格した後は監査法人などで勤務を開始しているケースが多いので、働きながら研修を受けて、受験に備えなければなりません。
公認会計士の実務補習(実務経験)の内容は
実務補習は単位制になっていて、大きく分けて5つに分類された研修を受講します。
受講期間は3年間です。
そのうち10回の考査と6回の課題研究の提出があり、それぞれ一定水準の得点に達していることが要求されます。
実務補習の内容
公認会計士となるために必要な技能を習得することが目的です。
項目は5つあり、3年の期間で
- 監査
- 会計
- 税務
- 経営・IT
- 法規・職業倫理
を受講します。
公認会計士試験の合格前で既に実務要件を満たしている場合は、この実務補習の期間が最短で1年間まで短縮になることも認められています。
実務補習所は全国に4か所(東京、東海、近畿、九州)。
指定の場所で補習を受けることができます。
東京の場合は市ヶ谷にある公認会計士会館などです。
公認会計士補習所についてはこちらの記事でも解説しています。
実務補習の修了考査とは?
監査法人等での3年間の実務経験、実務補習で必要な単位を取得することで、修了考査に試験に挑むことができます。
修了考査は、実務補習の研修で学んだ監査、会計、税務、経営・IT、法規・職業倫理の科目を2日間にかけて受験します。
合格率はおよそ70%。
不合格であっても、その後何回でも受験が可能です。
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修了考査合格後に公認会計士として活躍できる
公認会計士として活躍するゴールの1つは、法定業務である監査の報告書(監査報告書)に責任を果たしたとして、自分のサインをすることでしょう。
監査報告書にサインができるようになるまでは、ある程度の道のりがあります。
監査法人での経験
公認会計士として登録することで、監査報告書に署名ができるようになります。
実際には監査責任者(社員または代表社員)が対応しています。
これは、公認会計士法34条の12第2項で「監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該証明に係る業務を執行した『社員』は、当該証明書にその資格を表示して自署し、かつ、自己の印を押さなければならない。」とされているためです。
監査法人についてはこちらの記事もご覧ください。
1.監査補助者
監査法人に勤め始めた時点では、「監査補助者」からスタートします。
監査補助者の業務は、監査の現場において、個々のタスクや割当てられた財務諸表の勘定科目の監査業務を行い、その内容を監査調書に記載します。
役職は「スタッフ」または「アソシエイト」で、勤務開始から3年間程度となります。
その後は「シニアスタッフ」としてより広範囲の業務に従事します。
2.主査(現場主任・インチャージ)
監査補助者として経験を積んでいくことで、他の監査補助者のマネジメント、監査現場での進捗管理、取りまとめを行うようになります。
また、監査補助者が作成した監査調書を見て、必要な監査手続が適切に行われているかどうかを確認し、不足している場合には追加の手続きを監査補助者に指示します。
監査手続が終了したら、監査責任者へ監査内容の報告を行います。
シニアスタッフが主査を担当して5年前後すると、マネージャーに昇進することが多いです。
パートナーの指示のもと、監査チームの監査業務に関わる全てをマネジメントします。
3.監査責任者
監査内容および監査の結果について全ての責任を負う立場で、監査報告書に署名・捺印をします。
主査・監査補助者が作成した監査調書を見て、監査手続が適切に行われているか、問題点はないか、経営者との必要な協議はないかを確認します。
クライアントの経営者や経理責任者とのディスカッションには、一般的に監査責任者と主査が対応します。
マネージャーを5年~10年間前後勤めるとシニアマネージャーに昇進することができます。
さらにシニアマネジャーとして経験を積むと、監査法人の「社員(パートナー)」になれる可能性があります。
「社員」になると、監査報告書に署名できるようになります。
継続的専門研修の受講
日本公認会計士協会は、登録した公認会計士に対して研修の履修を義務付けています。
これを継続的専門研修と呼びます。
2004年4月から公認会計士法第28条において法定義務化されている制度です。
研修は3事業年度で合計120単位以上を履修すること、そして当該事業年度で20単位以上の研修を履修する最低履修要件等が定められています。
公認会計士の登録後も研修を受けることで、その品位を維持しているといえるでしょう。
まとめ
公認会計士になるには、公認会計士の試験の合格、3年間の実務経験、実務補修所での単位取得、そして修了考査を合格するまでの道のりを越えていくことになります。
公認会計士は試験に合格するための知識だけが必要なのではありません。
実務としての監査業務の在り方、自己研鑽の推奨を通じて社会的使命を果たし、利害関係者に対して責任を果たしていくことに重点が置かれています。
この道のりを超えた先には、さまざまなキャリアプランがあります。
引き続き監査法人で監査業務に従事し昇進を目指す、事業会社に転身して財務責任者を目指す、株式公開支援やアドバイザーとして活躍する、独立開業するなど、幅広い選択肢を選ぶことができるでしょう。
Profile レックスアドバイザーズ
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