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税理士の仕事内容は?独占業務やメリット、難易度をわかりやすく解説

更新日:2024.10.16

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税理士の仕事内容は?独占業務やメリット、難易度をわかりやすく解説

税理士は税金の専門家として、税務に関する幅広い仕事を行います。

税金そのものだけでなく、経営コンサルティングや経理業務のサポート、会計参与を行う税理士も多いです。

税理について理解を深めるためには、まずは税理士の仕事内容について知るのが良いでしょう。

 

今回は税理士の仕事内容について詳しく解説します。

税理士だけができる!3つの独占業務

税理士は、税理士法に基づく国家資格です。

税理士の仕事内容として代表的なものに、独占業務が挙げられます。

 

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

 

以上3つは、税理士以外が行うことが禁じられています。

まずは税理士の独占業務について説明しましょう。

税理士の独占業務・税務代理

まず税務代理について解説します。

税理士がクライアントの代理となって申告書を作成し、税務署に提出する業務です。

 

税理士は決算期ごと・クライアントごと・税目ごとに代理権限証書を税務署に提出しておく必要があります。

 

税制度は複雑なものです。

また、納めるべきものをきちんと納めなければなりません。

 

納税者であるクライアントの代わりに税金の申告を行う業務が税務代理です。

税理士の独占業務・税務書類の作成代行

税務書類の作成代行とは、税務署に提出する確定申告書などの作成を代行する業務です。

具体的には、

 

  • 確定申告の税務書類
  • 青色申告の税務書類
  • 個人事業主及び法人の月次・年次決算書(損益計算書・貸借対照表など)
  • 相続税申告書
  • 源泉所得納付書
  • 異動届等各種届出書

 

などです。

クライアントの求めに応じ、さまざまな種類の書類の作成を代行します。

税理士の独占業務・税務相談

最後の独占業務は税務相談です。

市役所などで無料の税務相談を行っているのを見かけたこともあるかもしれません。

 

その名の通り納税に関する相談を受けることです。

ただし、

 

  • 税務調査の相談(立会・交渉・修正申告書の作成)
  • 会計及び税務処理に関する相談
  • 国際税務・組織再編税務などの高度な税務専門サービス(Big4のような大規模法人が主に行う)

 

など、対策する内容は多岐に渡ります。

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税理士の仕事内容①:経営コンサルティング

3つの独占業務以外の仕事内容として、経営コンサルティングに力を入れている税理士もいます。

 

経営コンサルティングとは経営や事業に関わる相談を広く含む業務です。

利益を上げるための提案を行います。

税理士が関わるものとしては、組織体制の設立・経営管理体制の構築・デューデリジェンスなどが挙げられます。

 

しかし大企業相手の経営コンサルティングという役割は大きな負担を伴い、個人の税理士が手がけられるレベルではありません。

こうした業務を提供し対応が可能なのは、主にBig4税理士法人やその他の大手会計事務所、FAS系のコンサルティングファームです。

 

独立開業した税理士がひとりで従事することはあまりないと考えられます。

組織体制作り

経営コンサルティングのうち、組織体制作りを担当する税理士もいます。

業務の効率化や生産性の向上を図ることを目的にし、既存の組織体制を見直すことです。

経営管理体制の構築

時には経営管理体制の構築を手がけることもあります。

業務内容としては

 

  • 経営計画の作成
  • 内部統制システムの構築
  • コーポレートガバナンス/リスク管理体制の構築

 

などです。

経営の効率化と経営目的の達成のための管理体制の強化、改善を行います。

M&Aにおけるデューデリジェンス等

デューデリジェンスとは、M&Aにおける企業価値の評価を行う作業です。

デューデリジェンスで評価された企業価値に基づいて、株価の算定等が行われ、買収額が決まります。

 

デューデリはM&Aの過程において非常に重要な役割を果たす、難易度の高い業務です。

それだけに魅力も、やりがいもある業務と言えるでしょう。

税理士の仕事内容②:経理業務のサポート

税理士の仕事内容として、クライアントの経理業務のサポートを行うこともあります。

企業の経理は複式簿記という会計のシステムに基づいて行われます。

簿記を知らない人にはどの金額がどの勘定科目に仕分けられるか、判断に困ることも多いでしょう。

 

仕訳自体は単純な作業です。

ただし、その仕訳に基づいて決算書類が作成されて税金が計算されます。

仕訳は正確に、スムーズに行われる必要があるのです。

 

大企業であれば経理の知識を備えた経理専門の人材が揃っているでしょう。

しかし、個人の税理士事務所のクライアントは、比較的小さな規模の会社や個人事業主が多い傾向です。

 

中小企業では経理に詳しい人材を揃えることは簡単ではありません。

経費の使い方など、わかっていないことも多いです。

 

そこで、経理の知識の乏しい顧客に代わり、税理士が会計帳簿の記帳代行、財務書類の作成、給与計算などの経理・財務に関連する業務全般を行うことがよくあります。

記帳代行

記帳代行とは、売上・仕入れ・備品の購入などの取引記録を会計ソフトへ入力する作業です。

税理士が案件を請負い、自分の事務所の補助者に入力業務を行わせることがほとんどです。

 

会計ソフトへの入力には勘定科目に対する知識が必要になります。

しかし書類作成だけなら、簿記3級程度の知識があれば十分行えます。

財務書類の作成

財務書類の作成とは、会計帳簿を基にして、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書などの決算書を作成することです。

それぞれ企業の財政状態や経営状況を表すもので、これを基に税金が計算されます。

 

また、財務書類は企業の資金調達の資料にも使われます。

資金調達は企業の生命線にもなり得るのです。

 

税理士の専門知識を活かす仕事として、財務書類の作成は非常に重要な業務と言えるでしょう。

給与計算など

給与計算は社会保険料や源泉徴収税の金額の計算、所得税の年末調整などとても複雑です。

規模の小さい会社では給与計算などを税理士や社労士に依頼するケースもあります。

 

こうしたことも、税理士の仕事内容の1つです。

税理士の仕事内容③:会計参与

税理士の仕事内容のひとつに、専門性を活かし、会社法上の機関としての会計参与へ就任する場合もあります。

会計参与とは、定款の定めによって株式会社に設置出来る機関の1つです。

主に取締役等と共同して計算書類等を作成するものとされます。

 

会計参与の資格者は、公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人に限られます。

企業の顧問税理士も就任することができます。

税理士の仕事内容④:1年間の業務のサイクル

税理士の仕事は、1年を通して繁忙期と閑散期に分かれます。

その時期は、法人対象か個人対象かによって異なることも特徴です。

 

税理士の繁忙期と閑散期を解説します。

法人対象の繁忙期

企業の決算期は基本的に12月と3月が多いです。

特に3月決算の会社が多数のため、その前後が税理士の仕事にとっての繁忙期になります。

 

3月決算の場合、決算に向けての準備作業(決算に関する打ち合わせ、税務申告書作成のための資料依頼)を行います。

 

4月に申請のために企業が会計帳簿を締めるためのサポートを行います。

大企業に対しては法人税などの税金計算及び税効果会計のサポートが必要です。

 

中小企業など非上場会社の場合は、税金の納付期限に合せて5月に決算作業を行います。

 

法人相手の税理士は自分のクライアントの決算期によります。

先ほど述べたように12月と3月決算が多いことを考えると、12~5月が忙しい時期となるでしょう。

個人対象の繁忙期

個人を対象とする税理士の仕事内容の繁忙期は、確定申告の時期に集中します。

確定申告とは、該当年の1年間の所得を計算して所得税や住民税を納め、また過分に納めた税金の還付を受けるための手続きです。

 

会社に勤務している人は、会社が給料から源泉徴収してあります。

正確な所得税額との差額は12月の年末調整で調整してくれるので、基本的には確定申告は必要ありません。

 

主に確定申告が必要なのは

 

  • 個人事業主やフリーランスなど、事業所得があった人
  • 株などの配当所得があった人
  • 不動産所得があった人
  • 退職所得や一時所得があった人

 

などです。

またサラリーマンであっても、給与収入が2,000万円を超えている場合や、2箇所以上の会社から給与を受け取っている場合にも確定申告する必要があります。

 

クライアントである法人のオーナーやその親族等が不動産や株式の投資などを行っている場合、確定申告も税理士の仕事内容となることが多いです。

確定申告は毎年2月半ばから3月半ば頃に行われます。

この時期は税理士にとって非常に忙しい時期です。

 

個人を対象とする場合の税理士の繁忙期はその前後となるでしょう。

閑散期

繁忙期を過ぎると、閑散期になります。

税理士にとって6月頃から11月頃までは、閑散期と言えるでしょう。

 

この時期の税理士の仕事内容は、巡回監査(クライアントへ出向いて、経理が正しいかのチェック業務)・月次決算・税務調査の立ち会いなどとなります。

 

積極的に採用が行われるのもこの時期です。

転職を希望する人にとっては忙しいシーズンとなるでしょう。

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税理士の働き方と年収目安

税理士は幅広い仕事を行うだけでなく、働き方の選択肢が多い点も特徴です。

そして同じ税理士という資格でも、働き方が違えば年収にも違いがみられます。

この章では税理士の働き方ごとに、仕事内容や年収目安などを解説します。

1. 会計事務所(勤務税理士)

会計事務所とは会計業務を請け負う事務所の総称です。税理士法人や監査法人も会計事務所に該当します。

しかし単に「会計事務所」と呼ぶ場合は個人事務所や規模の小さい法人を指すケースが多いです。

本記事でも以降は「会計事務所」という言葉を個人事務所や小規模の事務所という意味合いで使います。

 

会計事務所に勤務する税理士の年収の目安は、400万円〜800万円台です。

規模が小さいため、後述する税理士法人に比べると年収目安は低めになります。

ただし、役職(ポジション)や扱う分野の専門性などによっては高年収を狙える可能性もあります。

2. 税理士法人(勤務税理士)

税理士法人は2人以上の税理士によって設立・運営されている法人です。

 

一口に税理士法人といっても法人によって規模が大きく異なります。

中小規模の税理士法人に勤める税理士の年収目安は、500万円〜800万円台です。

一方で中堅規模や大手税理士法人になると、600万円〜1,000万円前後が目安となります。

BIG4税理士法人の場合、ポジションが上がれば年収1,000万円超となるのも珍しくありません。

 

勤務税理士が得られる年収は、勤務先の規模によって大きく左右されるといえるでしょう。

3. 一般企業(企業内税理士)

一般企業に勤める税理士は企業内税理士と呼ばれます。

企業内税理士の年収目安は、勤務先の規模よりも仕事内容によって異なります。

 

経理担当として働く場合、年収目安は400万円〜600万円程です。

ほかの従業員と同じ給与体系が適用されるため、あまり高年収は狙えません。

 

反対に、税理士の専門知識を活かせる仕事内容の場合は高年収を期待できます。

たとえば金融機関において融資先のコンサルティングを行う場合や、個人の資産運用・税務相談などを行う場合は高年収を得られるでしょう。

仕事内容によっては年収1,000万円〜2,000万円超も実現可能です。

関連リンク:企業内税理士とは?ー役割や働き方、年収について解説

4. 独立開業

税理士は独立開業をしやすい資格です。

 

開業税理士は上手くいけば勤務税理士や企業内税理士を大きく上回る年収を得られます。

年収1,000万円超、ケースによっては1億円に達する税理士もいるようです。

 

反対に、勤務税理士の平均年収を大きく下回る開業税理士も珍しくありません。

年収300万円〜400万円の開業税理士も多く存在します。

 

開業税理士は高年収を得られるケースもあれば、反対のケースもあり、両極端といえるでしょう。

税理士として働くメリットとは?

税理士の仕事内容は専門知識が必要で難易度が高い上に、資格を取得すること自体も決して容易ではありません。

しかし、苦労する場面が多いのと同時に多くのメリットが存在します。

この章では税理士として働くメリットを4つ紹介します。

 

デメリットが気になる方はこちらをチェック

独占業務があるので、仕事を失うリスクがない

最初に紹介したように、以下の3つは税理士の独占業務です。

 

  • 税務相談
  • 税務代理
  • 税務書類の作成代行

 

税務に関する仕事をできるのは税理士のみといえます。

 

税務は企業や事業者に限らず個人にも関係する分野です。

そんな税務が独占業務である以上、税理士は需要が高く仕事を失うリスクがないといえるでしょう。

仕事の形態が様々で、自分にあった働き方が選べる

仕事の形態が幅広いのも税理士のメリットです。

税理士は以下のように様々な働き方を選べます。

 

  • 会計事務所や税理士法人で勤務税理士として働く
  • 一般企業で企業内税理士として働く
  • 独立開業をし、自身で会計事務所を運営する

 

自分に合った働き方を選べるため、仕事で充実感を得られる可能性が高いです。

キャリアアップや転職に有利になる

税理士資格を持っている・税理士として働いた経験がある人は、以下の要素を有するといえます。

 

  • 独占業務である税務分野の対応ができる
  • 会計・税務に関する高度な知識を有している
  • 経営コンサルティングや経理指導など関連業務もできる

 

これらはキャリアアップや転職において非常に有利な要素です。

税理士として働けば、キャリア形成の面でも様々なメリットを得られるでしょう。

 

ダブルライセンスで年収増加が見込める

税理士はダブルライセンスによる相乗効果を得やすい資格です。

税理士資格と相性の良い資格として以下の例が挙げられます。

 

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 社会保険労務士
  • 中小企業診断士
  • 不動産鑑定士

 

ダブルライセンスにより仕事の幅が広がれば、さらなる年収増加が見込めます。

税理士になるには?資格の取得方法

税理士資格を取得するまでの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 税理士試験に合格する
  2. 2年以上の実務経験を積む(試験前の実務経験も認められる)
  3. 税理士登録をする

 

このうち特に難易度が高いのは1の税理士試験合格です。

この章では税理士試験について解説します。

 

関連記事:「税理士をめざすのはやめとけ」と言われる理由はなに?噂の真偽から税理士資格の魅力まで徹底解説

税理士試験の概要

税理士試験の概要を紹介します。

受験資格

学歴要件、職務要件等の何らかの受験資格を満たす必要がある

(必須2科目は受験資格なし)

試験日程

毎年8月上旬の3日間

合格発表は11月末〜12月上旬

試験科目

計5科目の合格で資格取得が認められる

 

【必修2科目】

  • 簿記論
  • 財務諸表論

 

【選択必修1科目】

※両方の受験も可能

  • 法人税法
  • 所得税法

 

【選択3科目】

  • 相続税法
  • 消費税法または酒税法
  • 国税徴収法
  • 住民税または事業税
  • 固定資産税

合格した科目の扱い

科目合格は生涯有効

(5科目合格までの期間に定めはない)

税理士試験の特徴は科目合格制を採用している点です。

全部で5科目に合格する必要があり、一度合格した科目は生涯有効となります。

 

なお、税理士試験は受験資格が定められています。

税理士試験の受験資格については国税庁の案内をご確認ください。

 

国税庁「税理士試験受験資格の概要」

税理士試験の難易度

令和4年度・令和5年度の税理士試験の科目別合格率は以下の通りです。

 

令和4年度(%)

令和5年度(%)

簿記論

23.0

17.4

財務諸表論

14.8

28.1

所得税法

14.1

13.8

法人税法

12.3

14.0

相続税法

14.2

11.6

消費税法

11.4

11.9

酒税法

13.2

12.7

国税徴収法

13.8

13.9

住民税

17.2

14.7

事業税

14.1

16.4

固定資産税

18.4

17.3

合計

16.7

18.8

出典:令和5年度(第73回)税理士試験結果表

 

必須2科目が15〜30%程度、その他の科目は10%台といずれも非常に低い数値です。

1科目合格するだけでもハードルが高いものの、資格を取得するには計5科目に合格する必要があります。

税理士試験は非常に難易度が高いといえるでしょう。

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まとめ

税理士は税務相談・税務代理・税務書類の作成代行と、税務に関する3つの独占業務を有します。

独占業務以外にも、経理業務のサポートやコンサルティングなど仕事内容は多岐にわたります。

 

仕事内容が幅広いだけでなく、働き方の選択肢が豊富な点も、税理士の特徴の1つです。

そのため、税理士は自分に合った働き方がしやすいといえるでしょう。

 

仕事内容や働き方を自分で選び、充実した仕事をしたいという人は、税理士を検討してはいかがでしょうか。

Profile レックスアドバイザーズ

公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
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■株式会社レックスアドバイザーズ
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