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M&Aコンサルについて分かりやすく解説!
企業が買収や合併などを行い、相手先企業の事業や経営権を入手することをM&Aといいます。
M&Aコンサルとは、一言で言えば、M&Aに関わる、一連のサポートを行う業務を言います。
M&Aには、世界を揺るがす大企業同士の大合併もあります。
一方、最近は中小企業の後継者問題がクローズアップされ、後継者問題解決の手段としてのM&Aも注目されています。
ここでは、M&Aのサポート業務を行うM&Aコンサルについて、M&Aコンサルの形態、M&Aコンサルの目的、M&Aコンサルを行うために必要な資格、M&Aコンサル業務の流れ、M&Aコンサルのメリット・デメリット、M&Aコンサルの専門家を目指す方法について説明します。
1.M&Aコンサルの形態
M&AアドバイザリーやM&A 仲介を併せた概念として、M&Aコンサルと表現することもあります。
M&Aの手続きに重きを置くM&AアドバイザリーやM&A 仲介に対して、M&Aコンサルは経営統合後のアドバイスにまで関わるなど、コンサルティング機能に重きを置くという考え方もあります。
ここでは、主に前者の考えに基づいて、説明を進めていきたいと考えます。
M&Aアドバイザリー
M&Aアドバイザリーとは、クライアントに対して、M&Aに対するアドバイスを行うことです。M&Aの買い手側か売り手側のどちらかの依頼を受けて、クライアントの利益のために、M&Aの終結までサポートします。
大手コンサルティングファーム(FAS)等は、M&Aアドバイザリーを主に行ないます。
M&A 仲介
M&A仲介とは、M&Aの両当事者の間に入ってM&Aの仲介を行うことです。
売り手と買い手のマッチング機能を担います。
大手証券会社、大手銀行、外資系投資銀行などがM&Aアドバイザリーを行うこともあれば、M&A 仲介を行うこともあります。
M&A仲介の専門会社が多数存在しますが、主に、規模の小さいM&A案件を扱うことが多いようです。
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2.M&Aコンサルの目的
M&Aコンサルの目的は多岐に渡ります。
M&Aコンサルの目的①事業の多角化のための新規事業への参入
経済環境が著しく変化する現代においては、一つの事業だけで安定して企業収益を上げ続ける事は困難になってきています。
そのため、リスクの分散として事業の多角化が重要になるケースも多いです。
業種や事業内容の異なる企業をM&Aにより買収することで、新規事業への参入を図るケースが増えています。
全く新しい分野に進出するケースもあります。
一方で、関連する分野に進出していき、川上から川下までのサプライチェーンを構築するケースも増えているようです。
新規事業の参入には様々な障壁が存在しますが。
しかし、既存事業を譲り受けることで、障壁をなくすことが考えられます。
その事業特有のノウハウの取得や、コスト削減、リスクの軽減といったプラスの効果も期待できるでしょう。
M&Aコンサルの目的②既存事業の強化
M&Aの目的は新規の事業に参入するだけではありません。
同業他社の技術を吸収したい場合や、他業種の技術であっても自社の事業とのシナジー効果が期待できる技術を持った企業の買収など既存事業の強化が目的でM&Aを行うケースもあります。
M&Aコンサルの目的③規模の経済性
M&Aコンサルの提案のメリットとして、企業収益の向上のために、市場規模拡大による、規模の経済性を利用する事が考えられます。
大量仕入れによる仕入れコストの削減、大量生産による工場等の設備の有効利用、共通の流通網の整備と利用など、大きなスケールメリットが得られることが考えられます。
また、継続して企業価値を高め続けるには、研究開発への投資は重要です。
しかし、研究開発費は高額になることが多い上、必ずしも効果が現れるとは限らない費用です。
研究開発費は組織規模に関係なく一定額派生する固定費ですから、M&Aによる組織拡大のメリットを、研究開発費に当てることが出来たとしたらどうでしょうか。
よりいっそう企業価値を高めることが可能になると考えられます。
市場シェアの拡大により、業界首位になること目的としたM&Aも有効と考えられます。
事業展開において大きなメリットがあるため、M&Aコンサルの提案の対象となるでしょう。
M&Aコンサルの目的④後継問題の解決の手段としての事業承継
M&Aコンサルの提案の対象として、事業承継目的のM&Aも多くなっています。
近年、中小企業の後継者不足が問題とされ、長年培ってきたノウハウの消滅や従業員の生活を守るために、M&Aの手法が注目されています。
事業承継目的のM&Aは、比較的規模の小さいM&Aが多いです。
そのため、個人の会計事務所や税理士事務所等が行うことが多くなっています。
M&Aコンサルの目的⑤事業処分
不採算事業の整理のための事業処分を目的として、M&Aコンサルが行われることもあります。
これもまた、ひとつの方法です。
3.M&Aコンサルを行うために必要な資格
M&Aコンサルを行うための資格は、特に法定されてはいません。しかし、様々な局面で、専門的な知識を必要としますので、それぞれの分野の専門家が担当するのが一般的です。
投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査することを、デューデリジェンスと言います。
デューデリジェンスには、ビジネス・デューデリジェンス、財務税務デューデリジェンス、法的なものをチェックする法務デューデリジェンスなどあり、それぞれ以下の資格を持った専門家が担当します。
- 公認会計士
主に、財務税務デューデリジェンスを担当します。
財務税務デューデリジェンスとは、組織や財務活動の調査をし、財務内容などからリスクを把握することです。
M&Aの対象となる業界に詳しければ、ビジネスデューデリジェンスを行うこともあります。
- 税理士
主に、財務税務デューデリジェンスを担当します。
M&Aの対象となる業界に詳しければ、ビジネスデューデリジェンスを行うこともあります。
- 弁護士
主に、法務デューデリジェンスを担当します。
会社法や税法、業界関連法規など、M&Aに関する法律全般について、法律の遵守状況の調査を行うのが、法務デューデリジェンスです。
- 司法書士
主に、契約手続き、登記手続きを担います。
- その他
ビジネスデューデリジェンスは、会社の経営管理部門か専門会社が担うことが多いです。
事業・業界の特性に応じた経営状況の調査を行うのが、ビジネスデューデリジェンスです。
M&Aコンサル業務の流れを解説
M&Aコンサル業務の流れを分かりやすく解説します。
- M&Aコンサル業務①提案
企業の経営戦略策定の一つとして、M&Aが提案されることがあります。
- M&Aコンサル業務②相手方の選定・交渉
M&Aの買収先、売却先となる相手の選定、交渉を行います。
- M&Aコンサル業務③デューデリジェンス
M&Aの買収先、売却先となる相手が定まったら、デューデリジェンスを実施します。
デューデリジェンスによって、買収の対象となる会社の事業、財務状況、法律の遵守状況等、対象会社の理解とリスクの把握を行います。
買収して良いかの意思決定の材料の入手段階です。
- M&Aコンサル業務④バリュエーション
事業の収益性とリスクの把握から、買収価格の決定が行われます。
- M&Aコンサル業務⑤交渉
売り手側・買い手側双方の、M&Aの条件の摺合せが行われます。
- M&Aコンサル業務⑥契約締結
バリュエーションを経て、売り手側・買い手側双方の合意が得られれば、契約締結に至ります。
- M&Aコンサル業務⑦クロージング(M&Aの終結)
売り手側・買い手双方が、統合されます。
株式譲渡であれば、株式の受け渡しが完了します。
4.M&Aコンサルのメリット・デメリット
M&Aコンサルのメリット:プロによる知識の提供
M&Aは膨大なコストが掛かるのが一般的です。
しかし、新たに事業を立ち上げるコストを考えれば、M&A は時間とコストの節約という大きなメリットがあります。
また、M&Aコンサルを利用することで、M&A の専門家に対する高額な報酬が発生します。
M&A を成功させるには、法律や会計などに対する専門的な知識が不可欠です。
専門家に依頼したことで発生するコスト以上のメリットがあると考えられます。
M&Aコンサルのデメリット:高額な費用
M&Aコンサルのデメリットとして考えられるのは、やはり高額な報酬でしょう。
企業にとってはある種の勝負です。
M&Aコンサルの提供者は、高額な報酬に見合うだけの専門的知識の習得に努める必要があります。
5.M&Aコンサルに依頼する際の費用目安
費用名 |
費用の意味 |
金額の目安 |
相談料 |
M&Aをコンサルタントに相談する費用 |
0~1万円 |
着手金 |
業務を依頼する際の手付金 |
0~200万円 |
中間金 |
基本合意締結時の成功報酬 |
無料 固定報酬100万円 成功報酬の10~20% |
デューデリジェンス費用 |
買収前に買収先企業を調査する費用 |
0~200万円 |
成功報酬 |
最終契約締結時の成功報酬 |
レーマン方式により算出 |
月間報酬(リテイナーフィー) |
コンサル会社へ支払う月額手数料 |
30万円 |
M&Aコンサル会社によって、具体的な費用の算出方法などは異なりますが、相談料は無料が多いです。
着手金や中間金は、M&Aが成立しなくても戻ってこないケースもあるので、確認しておかなければなりません。
また、成功報酬におけるレーマン方式とは取引価格に応じて5億円以下の部分は5%、5億円超10億円以下の部分は4%など、取引価格の金額が上がる部分について段階的に成功報酬のパーセンテージが下がっていく方式です。
6.M&Aコンサル会社の選び方
M&Aコンサル会社は、どのような視点で選択すれば良いのか知っておかなければなりません。
最適な会社選びは、M&Aを円滑に行えるようになるだけではなく事業を発展させていく起点になるので、慎重に選択していく必要があります。
サービスの全容
M&Aコンサルを依頼する場合、サービスの全容を把握していないと想定していたサービスの提供を受けられないかもしれません。
M&Aは、専門性の高い業務でありサービス内容によって、M&Aを円滑に行えるかが大きく変わってきます。
自社において、M&Aをした後どのような経営を展開していくのかを明確にしておかなければなりません。
理想とするM&Aを明確にしておくことで、コンサルタントに正確に伝えられるようになります。
また、検討段階から交渉・契約に至るまでどのような流れで行われるのか、サービスの全容と比較することでより明確になっていきます。
サポート体制の観点から、理想としているM&Aを実現できそうか、サービス内容から慎重に検討していくのが賢明です。
会社の実績
M&Aを依頼する場合には、コンサルタント会社の実績を事前に確認しておくことが重要になってきます。
自社で行いたいM&Aを、実際に遂行した経験のあるコンサルタント会社に依頼できれば、実践的なノウハウがあるため安心して依頼できるからです。
具体的な実績がないと、試行錯誤しながら行っていくことになるため、円滑なМ&Aとはならない可能性があります。
どのような方法で、M&Aを行った実績が何件程度あるのかHPなどで事前に確認しておくと良いでしょう。
M&Aの形式的な方法だけではなくなぜM&Aを行ったのか、M&Aを行った理由などから取り扱った業務内容を実質的に把握できると有益です。
細かいケースを実質的に把握出来れば、より自社の理想とするM&Aを実現していくことに繋げていけます。
専門性の把握
合併や買収は、対価の種類や形態の観点から多種多様な方法があるため、依頼するM&Aコンサルタント会社が、依頼内容に適合した専門性を有しているかも判断材料です。
M&Aの実績から、どのような専門分野に強い会社なのかを判断していくのが大切になってきます。
М&Aを依頼する場合、コンサルタント会社が専門としている強みだけではなく、アドバイザーの専門分野も大切です。
アドバイザーにも多様な専門家がおり、弁護士や司法書士、税理士や公認会計士、中小企業診断士や社会保険労務士など、保有資格を把握しておくのが良いでしょう。
弁護士や司法書士は法律や登記の専門家、税理士や公認会計士は税金や監査の専門家、中小企業診断士や社会保険労務士は経営や労務の専門家です。
コストパフォーマンス
M&Aは、多額の資金を動かしますがサービス内容を費用の面と比較した、コストパフォーマンスも重視していかなければなりません。
М&Aコンサルタントを依頼する場合、相談料や着手金、初期費用や中間報酬、成功報酬など多様なコストがかかります。
コスト体系も、細かく料金設定されている会社からまとめて料金が設定されている会社まで様々です。
料金がまとめられている料金設定はわかりやすいですが、細かく料金設定されているほうが安い可能性もあるので慎重に判断しなければなりません。
何より安いことで、サービス内容が十分ではない場合、満足のいくМ&Aを実施できないので注意が必要です。
相談料が無料となっている会社も多く、事前にサービス内容とどのくらいのコストがかかるのか聞いておくのが賢明と言えます。
アドバイザーとの相性
アドバイザーの専門性や経歴だけではなく、実際の相性も有益なМ&Aを行う上で大切になってきます。
アドバイザーによっては、主観的な判断で積極的に進めていく人や、客観的に適宜相談しながら行う人まで様々です。
どのような性格の人が絶対的に良いという訳ではなく、自社との相性で考えていく必要があります。
理想とするM&Aを実現するためには、アドバイザーの存在がとても重要であり、社内でも相談して決めていかなければなりません。
アドバイザーとの相性が悪い場合、話している内容がうまく伝わらず、トラブルになってしまう可能性もあります。
進めていたM&Aが破談になってしまうケースも少なからずあるため、慎重に検討していくべき部分です。
7.M&Aコンサルの専門家を目指すには…
M&Aコンサルは非常にやりがいのある仕事であると共に、それに見合った高収入が期待出来る業界です。
では、M&Aコンサルの専門家を目指すにはどうすれば良いのでしょうか?
FASに転職する
FASとは、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスの略で、コンサルティング・ファームを指します。
主に、M&Aコンサルの中の、M&Aアドバイザリーを専門に行います。
FAS・財務コンサルティングの求人
専門知識の習得
M&Aコンサルの専門家を目指すために何より重要なのは、専門知識の習得です。
公認会計士や税理士の資格を持っていたとしても、それだけで十分とは言えません。
デューデリジェンスや、バリュエーションの知識以外にも、幅広い知識がなければ、クライアントからの期待には添えないでしょう。
8.まとめ
M&Aコンサルについて、M&Aコンサルの形態、M&Aコンサルの目的、それを行うために必要な資格、M&Aコンサル業務の流れやメリット・デメリット、M&Aコンサルの専門家を目指す方法について、お話してきました。
現在、社会情勢は目まぐるしく変遷しており、企業のM&A はますます増える傾向にあります。
それに伴いM&Aコンサルに対する需要も、更に高まることが予想されるでしょう。
非常にやりがいのある仕事として、M&Aコンサルを目指す方も多いと思います。
そのためには、様々な専門的知識の習得が不可欠です。
M&Aコンサルの専門家として、高収入を得ることを目指すなら、常に学び続ける姿勢が必要と考えられます。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/
■株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/
公認会計士・税理士・経理・財務の転職は
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