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公認会計士の独立は難しいのでしょうか。
公認会計士は、第一に試験に合格し、実務経験を積んで公認会計士登録をします。
現在、活躍している人の中には、独立して事務所を開業した公認会計士も数多くいます。
公認会計士は、社会的な信頼があり、高い報酬も約束される恵まれた立場にある会計のスペシャリストです。
試験の合格率10%という難関資格で、合格までには3000時間とも5000時間ともいわれるハードな受験勉強が必要です。
いずれは公認会計士として独立したいという希望を持っている人も多いでしょう。
開業に失敗しないために、どう準備をすればよいのでしょうか。
どんな業務を請け負っているのか、独立に必要な準備はあるのか、独立するメリット・デメリット、また独立が成功しなかった場合のリスクについてなど、公認会計士として独立するための準備について解説します。
関連記事:公認会計士は社会的需要が高い資格
公認会計士の独立開業後の仕事内容
公認会計士試験に合格すると、多くの人は監査法人に入所し、修了考査合格に向けて実務経験を積みます。
そのまま、監査法人に残り、パートナーを目指す人もいますが、大手監査法人でパートナーまで上り詰めるのは相当狭き門です。
そこで、修了考査に合格し、正式に公認会計士と名乗れるようになると、M&Aアドバイザリー業務など、監査以外の経験も積むために監査法人から出る人も出てきます。
FASと呼ばれるコンサルティングファーム、事業会社の経理や経営企画、税理士登録をして税理士法人や会計事務所に転職をします。
その次のステップとして独立を選択する会計士が多くいます。
どのような業務で独立開業するのでしょうか。
公認会計士の将来性についてはこちらの記事もご覧ください。
公認会計士の独立:税務業務中心の会計事務所
公認会計士が独立開業する場合、税理士登録をし、税務業務を柱とすることが多いです。
一定数のクライアントが獲得できれば、毎月の顧問料が定期的に入るので、事務所の経営が安定するというメリットがあるからです。
しかし公認会計士の独占業務は監査で、監査法人でキャリアを積むだけでは税務の知識では税理士には敵いません。
そこで、大手税理士法人や会計事務所で経験を積み、税務業務を身につけてから、独立を目指すという方法を選択するケースが多いです。
公認会計士の独立:財務・会計コンサルティング業務
公認会計士として独立後、財務・会計分野を中心としたコンサルティング業務を行う場合には、監査法人時代に培った知識と経験も活かすことができます。
財務諸表作成や分析のサポート、資金調達の方法や財務分野での経営戦略のアドバイス等、
公認会計士として得意とする分野のサービスを提供することになります。
公認会計士の独立:M&A、IPO中心のコンサルティング業務
公認会計士が独立後にコンサル業務を行う場合、M&Aなどの企業の買収・合併、組織再編に関わるファイナンシャル・アドバイザリーとして活躍することも考えられます。
この場合にはFASなどで培った、デューデリジェンスやバリュエーションの知識が役立つでしょう。
公認会計士の独立:経営コンサルティング業務
経営戦略策定を積極的にサポートする、経営全般に対するコンサル業務を展開することもできます。
しかし、経営戦略に関わるアドバイスまで行うには、公認会計士としての知識のみに留まらない、幅広く深い知識と経験が必要です。
会計士としての監査や内部統制の視点、税理士としての業務経験、その他の各コンサルティングの経験を総合的に活かすことができるでしょう。
公認会計士の独立:監査法人での非常勤業務
公認会計士として独立開業する場合、最初はクライアントを獲得するのに苦労する場合があります。
そのようなときは、監査法人で非常勤で副業をする会計士も多くいます。
また、報酬の確保という面だけではなく、個人では難しい監査という会計士の独占業務に常に携わりたいと希望する人もいます。
この場合の日当は3万円~5万円前後と言われています。
監査業務は繁忙期と閑散期がはっきりとしており、繁忙期はとにかく人手がほしいので、OBの非常勤勤務を歓迎する法人も多いので、チェックすると良いでしょう。
”業務委託”での働き方も注目されています。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
公認会計士の独立:会計専門学校での講師
更に、会計士を目指す専門学校などや実務補習所などで講師を務める人もいます。
教え方が上手い、生徒からの評判が良いなど、実績を高く評価されれば、報酬も高くなります。
知識だけでなく実際の経験を話すことで、後輩たちが良い会計士になる手助けをしていきましょう。
公認会計士の独立:金融機関等のセミナーの講師
金融機関などが行う、顧客向けのセミナーの講師をする場合や、自社の従業員向けの社員教育の一環として、公認会計士が講師を引受けることがあります。
独立開業後は人脈が重要となります。
こういったセミナー講師は人脈からの依頼が多く、引き受けていくことでさらに人脈が広がり、もっと大きな案件やクライアントの受注となる場合もあります。
先に述べた専門学校の講師やセミナー講師を担当したことが書籍の執筆につながることもありますので、ご自身の可能性をどんどん広げていってください。
ご転職者インタビュー
公認会計士が独立をするために必要な準備
クライアントとの信頼関係を作ること
監査法人時代や転職後の会計事務所やコンサルティングファームで、クライアントとの強い信頼関係を築いておくことは大切です。
独立した後、案件を紹介して貰ったり、公認会計士を探している新しいクライアントを紹介してもらえれば、仕事の幅が広がります。
特に、大手監査法人では、担当するクライアントは日本を代表する大手企業が揃っていますし、その経営者クラスの方々と対等に接する機会に恵まれているので、その方たちから信頼を得られることは、独立に向けて大きな強みとなるでしょう。
独立に必要なスキルを身につける
監査法人の業務はやはり監査業務がほとんどです。
M&Aアドバイザリー業務などは、監査法人から分社化されたFASと呼ばれる別法人が行うのが主流となっています。
その他、内部統制アドバイザリーやIPOサポートなどがありますが、人気があるため、異動して経験を積むことは簡単ではりません。
ですから、監査法人に長年勤めただけでは、アドバイザリー業務等の経験を積むのが難しくなっています。
監査業務を主としながら、スポットで担当することはできますので、監査以外の業務に積極的にチャレンジするようにしましょう。
しかしそこで身につける、デューデリジェンス、バリュエーションなどの知識は、公認会計士であればあって当然の知識ですので、それだけで強みになるわけではありません。
独立後の自分の方向性をイメージした時、他の公認会計士にない自分の強みは何かについて、自分の得意分野や能力の棚卸し作業をすることが有効かと思います。
監査法人内での人脈を作っておく
監査法人時代に監査法人内でしっかりと人脈を作っておく事は、独立を考えているなら、とても重要です。
非常勤の仕事を紹介して貰う可能性や、監査法人では引き受けない案件を紹介してもらえる可能性があり、公認会計士として独立後の仕事の幅が広がります。
また、逆に、個人の事務所では対応できない大きな案件が生じた場合にも、紹介できる監査法人の人脈を持っていることは、その会計士の信用力を高めるでしょう。
公認会計士が独立・開業するメリットは?
クライアントから感謝される満足感
監査法人での監査業務は、クライアントの作成する財務諸表の適正性を保証するという、クライアントの利益に繋がる業務ではありました。
しかし、その業務の内容は、財務諸表の不正や誤謬を見抜く必要から、どうしても批判的な機能が強くなってしまいます。
経理担当者にとっては、監査が入るということは、あまり歓迎される事ではないのが実情です。
一方、アドバイザリー業務などは、批判的機能よりも、クライアント側の立場に立ってアドバイス機能を発揮出来ます。
公認会計士として独立後、クライアントからは、敬遠されるよりも頼りにされ、感謝される機会が増えることとなり、やりがいを感じることが出来るでしょう。
様々なことにチャレンジし自分の世界を広げる
監査法人では、様々な企業を担当することで、普段は見られない企業の内部を見る機会があり、経験が積めます。
しかし、監査業務は定型業務が主になりますので、一定の経験を積んだ後は、公認会計士としての知識を活かして、もっと幅広い業務にチャレンジしたくなる方が多いようです。
FASなどで経験を積み、更に自分の力を試してみたいという場合は、公認会計士として独立し、自分の世界を広げる選択肢もあります。
高収入のチャンス
独立後の収入については、各自の営業努力や方向性によって大きな差があるので一概には言えません。
監査法人時代より下がる方もいるでしょうし、成功すれば数千万稼ぐ会計士もいるでしょう。
公認会計士として独立を考えるなら、独立前から準備をし、自分の強みを活かすことで、高収入を狙えるチャンスは高まると考えられます。
公認会計士の年収についてはこちらの記事もご覧ください。
公認会計士が独立・開業するデメリットは?
メリットがあれば、デメリットもあります。
公認会計士が独立した時のデメリットとは何でしょう?
安定した収入がなくなる
大手の監査法人や会計事務所、コンサルティングファームを退職すれば、それまでの安定した高収入を手放す事になります。
独立直後はクライアントが少なく、どうしても安定的な収入を得ることはできません。
しかし、自分の努力次第では、数千万の年収を得ることも可能ですから、実力次第となります。
大手の事務所のような大規模な案件は受注できなくなる
個人の事務所で受注できる案件は、大手事務所で手掛けていたものに比べれば、規模が小さくなります。
それに伴い、様々な案件に触れることでスキルアップ出来る可能性も減る事になるので、より積極的にスキルアップに心がけることが必要になるでしょう。
監査法人に勤務しているという肩書きがなくなる
公認会計士試験合格後は、大多数の人が大手監査法人に勤務すると考えられます。
監査法人に就職すると、入所したばかりの新人でも、クライアントからは先生と呼ばれ一目置かれます。
公認会計士として独立するということは、監査法人に勤務しているという肩書きを捨てることになります。
独立失敗のリスク
公認会計士として独立後、成功して高収入を得るようになることが望ましいですが、必ずしも成功するとは限りません。
その場合でも、公認会計士としての資格があれば、方向転換は可能です。
監査業務という独占業務があるため、監査法人に戻ることが最も確実な選択肢です。
監査法人は人手不足の傾向がありますし、働き方改革でひとりあたりの残業を減らそうとしていますので、監査の経験があれば歓迎されるでしょう。
独立後の年収についてはこちらもご覧ください。
公認会計士として独立に向くタイプは?
仕事への積極的姿勢がある
監査法人では、マネージャーまでは与えられた業務を的確にこなすことが求められます。
もちろんリーダーシップや創造性などを発揮する場面もありますが、基本的には監査人としての姿勢が求められます。
一方、独立後に必要なのは自分で仕事を獲得していく営業力や積極性です。
初めての業務、初めての業界、初めて会うタイプの経営者もいるでしょう。
切り開いていく積極的姿勢が必要です。
学び続ける姿勢がある
公認会計士として独立後は、監査法人にいた時のように、大きな案件に関わる機会は圧倒的に減ることが考えられます。
しかし、会計の専門家としてクライアントの期待に添い続けるには、常に新しい知識を吸収していく必要があります。
それには、謙虚に学び続ける姿勢が大切です。
常に情報収集し、最先端の情報を理解し、アドバイスする域にまで到達しなければなりません。
メンタルが強い
公認会計士として独立した時に一番必要なのは、強いメンタルではないでしょうか。
独立当初は、なかなか事務所が軌道に乗らず、思うように収入が伸びない時代もあるでしょう。
不安になって、弱気になることもあるかもしれません。
それでも自分が決断した「公認会計士としての独立」という目標の成功を信じて、地道に努力を続けるには、強いメンタルの維持が大切と言えるでしょう。
公認会計士が独立に踏み切るタイミングは?
高収入と言われる公認会計士は、監査法人に勤務しているならば平均年収は約800万円と言われます。
それほどの高収入を捨ててまで独立に踏み切るタイミングはどんな時なのでしょうか。
今いる場所で十分な経験を積んだと感じたとき
監査の仕事は、独占業務であり、非常に重要なものですが、長く続けると「もう十分だ」と感じることが多いようです。
また、チャンスをもらい、IPO支援やM&A、コンサルティング業務など経験するうちに、知識を蓄積、これを自分の専門分野にしたうえで独立したいと感じる人もいます。
今いる場所から飛び出すのは、勇気がいるものです。
変化を求め、独立する公認会計士は多数います。
独立したいと思ったとき
もっとシンプルに、独立したいと思ったときに一歩踏み出すという公認会計士も多いようです。
入念な準備をしたとしても、独立には常に「仕事がなくなるかもしれない」「自分自身で責任を取らなければならない」といったリスクがつきまといます。
家族がいる公認会計士ならば、より一層勇気がいる決断となるでしょう。
それでも独立をしたい、と思ったときがふさわしいタイミングだという意見もあります。
逆に言えば、迷いがあるならばまだ独立すべきではないというのが主流の考えです。
まとめ
以上、公認会計士の独立後の仕事内容、独立をするために必要な準備、独立するメリット・デメリット、独立に向くタイプについて説明しました。
成功すれば年収数千万も夢ではなく、失敗してもやり直しが可能。
公認会計士は転職も容易であり、独立を目指すメリットは大きいと言えます。
それは、合格率10%という難関試験を突破して、自ら獲得したメリットです。
しかし、独立後は人脈と自らの能力が物を言う世界です。
コミュニケーションが苦手な人は無理に独立をするより、自分にあった働き方を考えた方が良い場合もあります。
独立の方法にも、積極的に事業展開する方法もあれば、地道な経営を選ぶ方法もあるでしょう。
共通するのは、公認会計士として独立する道を選ぶのであれば、常に新しい知識を追い求め、学び続ける積極的な姿勢が重要なことです。
ご自身にあった道を選択していってください。
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