転職お役立ち情報
会計事務所や経理職への転職では、実務経験が重視されることが多いようです。
ただ、転職市場の状況によっては、未経験でも採用されることがあります。
その際、日商簿記2級を取得していると、とても有利に転職活動を進めることができます。
この記事では、日商簿記2級の転職市場における価値を詳しく解説していきます。
日商簿記2級の内容と取得難易度
まず、日商簿記2級とはどんな資格なのかを解説します。
日商簿記検定の概要
日商簿記とは、日本商工会議所が実施している検定試験です。
日本商工会議所のHPによると、日商簿記2級のレベルは、高度な商業簿記・工業簿記を習得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベルとされます。
商業簿記とは、購買や販売など、企業外部との取引を記録・計算する技能で、企業外部に対して適切な報告を行うためのものです。
一方、工業簿記とは、企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人件費などの投入を記録・計算する技能のことで、経営管理において必要なものです。
日商簿記2級の試験は、2月、6月、11月の年3回行われ、受験資格はありません。
また、日商簿記検定は3級、2級、1級などいくつかのレベルに分かれていますが、3級を受験せず、いきなり2級を受験することも可能です。
取得難易度ー取得にかかる費用と勉強時間
日商簿記2級の合格率は、およそ25%程度です。
日商簿記2級に合格するには、250~350時間程度の勉強時間が必要と言われています。
日商簿記2級は独学で合格する方も多く、その場合は受験料4720円とテキスト代およそ1万円で受験することができます。
ただ、近年日商簿記2級の難易度が上昇しているため、予備校や通信講座を利用して勉強する方も増加しています。
予備校や通信講座の場合、受講料は3万~8万円程度の場合が多いようです。
日商簿記2級が転職に有利な理由
日商簿記2級の知識は、あらゆるビジネスシーンで使われています。
経理の仕事においては、日商簿記2級で学ぶ仕訳の技術を利用して日々の取引を記録したり、決算書類を作成しています。
経営管理の仕事では、工業簿記の知識を利用することで、製品の原料費や人件費などのデータを整理し、管理職への提案資料を作成しています。
さらに営業職でも、日商簿記2級の知識を利用することで、取引先の経営状況を把握して説得力のある提案を行うことができます。
このように、日商簿記2級の知識はどの職種でも活かすことができるため、転職の際に評価されることが多いのです。
日商簿記2級は合格率が約25%であることから分かるように、簡単に合格できる試験ではありません。
日商簿記2級に合格できるくらいに、簿記の勉強に真面目に取り組んできたという点も、転職活動では評価されるでしょう。
日商簿記2級取得後の転職先は?
日商簿記2級の知識は、あらゆる企業のあらゆる職種で活かすことができます。
その中でも、経理の仕事では大いに役立てることができます。
伝票作成・入力や、決算書作成などの一般的な経理業務は、日商簿記2級の知識で学ぶ商業簿記の知識をもとに行われています。
企業の財務部では、資金調達・運用や予算管理などの仕事を行っています。
その際、日商簿記2級の知識を使って財務諸表を読み取ることで、企業の財政状態や経営成績を把握することができ、財務に関する業務に活かすことができます。
日商簿記2級では工業簿記も勉強します。
製造メーカーでは、工業簿記の知識を使って、原材料費や人件費を計算・管理したり、管理職や経営者に対して費用や収益に関するデータの報告を行っています。
そのため、日商簿記2級を取得することで、製造メーカーの経理部門や、経営管理部門などへの転職を目指すこともできます。
その他、営業部門や人事部門などに転職した場合でも、日商簿記2級の知識を活かせる場面は数多くあります。
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日商簿記2級を取得すれば、実務未経験でも転職できるか
経理職や会計事務所の求人では、募集要件として実務経験を求めている場合が多いですが、実務経験がなくても日商簿記2級を取得していれば応募できる求人も多くあります。
日商簿記2級を取得することで、経理の基本的な技術である仕訳を習得することができます。
また、日商簿記2級のレベルは実務で使用するレベルとほぼ同じと言われています。
つまり、日商簿記2級を取得していれば、転職の際も経理の知識に関しては問題ないと判断されるでしょう。
近年の経理職や会計事務所への転職市場は、人手不足による売り手市場が続いており、未経験であり、かつ年齢が高い方でも採用される可能性は高くなっています。
日商簿記2級&未経験OKの求人例
ここでは、未経験でも応募できる求人例をご紹介します。
求人例1
職種:一般企業の財務経理部
仕事内容:日々の経理業務、決算業務、取締役会資料作成
給与:380万~600万
応募資格:簿記3級以上、正社員の経験があれば経理未経験でも可
求人例2
職種:税理士事務所
仕事内容:仕訳入力、月次・年次決算
給与:時給1650円
応募資格:簿記資格あれば未経験でも可
求人例3
職種:製造メーカーの経理部
仕事内容:決算業務、監査対応、資料作成
給与:300万~350万
応募資格:39歳まで、経理未経験も可、日商簿記2級あれば歓迎
日商簿記2級以外に転職に有利な資格
日商簿記2級よりもさらにスキルアップしたい方には、次のような資格をおすすめします。
日商簿記1級
日商簿記2級に合格したあとは、日商簿記1級を目指してみてはいかがでしょうか。
日商簿記1級は合格率が10%前後であり、勉強時間も800~1500時間必要と言われるほど難易度の高い資格です。
その代わり、日商簿記1級を取得することで、会計のスペシャリストとして、大企業の経理部門や財務部での高度な経営管理の仕事にも転職できる可能性があります。
BATIC(国際会計検定)
経理・会計担当者としてグローバルに活躍したい方には、BATIC(国際会計検定)をおすすめします。
BATIC(国際会計検定)は、英語での会計処理や国際会計基準に関する知識を問う試験です。
BATIC(国際会計検定)を取得することで、経理・会計の知識に加えて、会計英語のスキルもアピールすることができます。
外資系企業や、海外に展開している企業への転職の際には、高く評価される資格です。
経理・財務スキル検定(FASS)
経理・財務スキル検定とは、経理・財務部門の業務に従事する方を対象として、実務に即した知識やスキルを問う試験です。
経理・財務スキル検定では、日商簿記2級よりもより実務的な知識を学ぶことができます。
そのため、未経験で経理職へ転職したい方は、この資格を取得することで、転職後もスムーズに業務に取り組むことができることをアピールできます。
まとめ
経理職は転職市場でとても人気のある職種です。
経理職への転職は、実務経験が重視されることは事実ですが、転職市場の状況によっては、経理未経験や年齢が高い場合であっても日商簿記2級を取得していれば採用されるケースが多くあります。
一般企業や会計事務所での経理の仕事に興味がある方は、日商簿記2級の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
Profile レックスアドバイザーズ
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