会計事務所は資格を持っていた方が有利？入社に役立つ資格を5つご紹介

会計事務所は、企業の共同経営者に例えられることもある仕事です。
企業の経営を財務面から読み解き、経営者に適切な助言を行い、企業経営を裏からサポートします。
そんな会計事務所には多数の税理士が勤務し、個別の税務相談や税務申告等を行っています。
そうなると、会計事務所には税理士しか勤務できないのでは？と思うかも知れません。
そんなことはありません。
実際、会計事務所には多数の非税理士の職員もいます。
それも内勤やサポート職のような仕事ではなく、税理士のように外回りを行ったり、申告書の作成を行ったりする仕事についている方も多数居ます。
会計事務所は、税理士でなければ出来ない・入れない職場ではないのです。
そうはいっても、やはり会計事務所では高度な専門知識が必要とされます。
全くの未経験で勤務したいとなった場合、ある程度の資格が無いと入社は難しいでしょう。
そこで今回は、会計事務所に入社する際に持っていると役に立つ資格を5つご紹介します！

税理士は、税金の専門家です。
税理士の資格は国家資格でもあるため、社会的な信用度も高く、とても人気のある資格の一つです。
税理の歴史は1942年にまで遡り、当時制定された税務代理士制度から税理士の歴史が始まったと言われています。
税理士は、税務に関する専門家として、

・独立した公平な立場において
・申告納税制度の理念に沿って
・納税義務者の信頼にこたえ、
・租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること

を使命としています。（税理士法第1条）
これだけを読んでも、非常に社会的な使命の大きい仕事だということが分かりますね。
税理は国家資格ということもあって、税理士だけができる仕事もいくつか存在します。
次はそれをご紹介していきましょう。

税理士が税の専門家として独占できる仕事は、次の3つです。

• 税務代理
• 税務書類の作成
• 税務相談

この３つが、税理士の独占業務です。
内容としては

• 税務代理→納税者の代わりに申告や納税を行うこと
• 税務書類の作成→確定申告をはじめとする納税書類の提出
• 税務相談→税金に関する個別相談に対応すること

です。
税のスペシャリストというだけあって、独占できる業務も税金のことになっています。

税理士になるには、税理士試験に合格し、会計業務を2年以上行うことで税理士として登録できます。
この税理士試験ですが、受験資格を満たしていないとそもそも受験することすらできません。
税理士試験を受けるには

• 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
• 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
• 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
• 司法試験合格者
• 公認会計士試験の短答式試験に合格した者

が条件になります。

この条件を満たし
簿記論、財務諸表論と呼ばれる会計学の2科目
税法7科目のうち3科目
の計5科目に合格し、実務を2年積むことで、晴れて税理士になることが出来るのです。
決して楽な道のりでは無いですが、その分社会的な意義も大きい資格であると言えるでしょう。

日商簿記は、商工会議所が行っている簿記試験です。
経理の知識は会社経営には必要不可欠であり、その意味でも簿記の知識は全ての会社にとって必要な知識であるとも言えるでしょう。

会計事務所では、お客様の日々の取引を複式簿記を使って仕訳をしていきます。
正しく仕訳を行うためにも、日商簿記の知識は会計事務所に入社する上では最低限必要な知識と言えるでしょう。
会計事務所への就職を検討しているならば、日商簿記2級以上の知識は欲しいところです。

日商簿記試験は1~3級があり、それぞれ70%以上の点数を取ることで資格が取得できます。
1級は合格率10%程度の非常に難易度の高い試験ですが、2～3級は比較的合格しやすい試験です。もし会計事務所への就職を考えているなら、絶対に取得したい資格です。
（参考：簿記 | 商工会議所の検定試験 (kentei.ne.jp)　）

FPは、くらしとお金を考える仕事です。
税理士や簿記のように「税法・簿記論といった体系化されたお金の仕組み」から考えるのではなく、お客様それぞれのライフスタイルや個別の事情に沿って、お客様と一緒に人生設計を考えていく仕事です。

会計事務所は、お客様との信頼が何よりも必要な仕事です。
会社のお金を預かる仕事ですから、お客様に信頼してもらえなければ仕事が出来ないのは当然ですね。
しかし逆に、お客様から信頼をしていただくことができれば、会社のお金だけではなく、お客様個人のマネープランも考えることがあります。
その時に役に立つのがFPなのです。
税法に則りお客様の税務面をサポートするのではなく、お客様一人一人にそったマネープランを共に検討するFPは、お客様と密な関係を気付きたいと思っている人にはうってつけの資格でしょう。

FP資格を取得するには、FP技能検定の「実技科目」と「学科科目」両方に合格する必要があります。1~3級から構成され、合格点もそれぞれの級によって異なります。
比較的合格率も高く、他の試験と比べても合格しやすい資格だと言えるでしょう。
（参考：FPの資格と検定の種類 | 日本FP協会 (jafp.or.jp)　）

社会保険労務士は、お客様の社会保険関係の仕事を代理で行ったり、社会保険や労務のお悩みを解決する仕事です。
特に年金関係の仕事については現在大きく注目されており、社会保険労務士のニーズも高まっていくことが見込まれています。

会計事務所のお客様からのお悩みで一番多いのが、実は人事労務のお悩みです。
お客様からスタッフや社会保険の質問をいただいた時、社会保険労務士の知識があると、お客様のお悩みに迅速に回答することができます。
会計事務所で勤務する上では、税務の知識以上に使用頻度の高い知識であると言っても良いでしょう。

社会保険労務士は税理士同様国家資格であり、その検定試験も受験資格を満たしていないと受けられません。
社会保険労務士の試験は毎年1回行われます。その試験を突破し、2年間の実務を積んだ人が、晴れて社会保険労務士を名乗れるようになるのです。
社会保険労務士の資格は、合格率が6%前後の非常に難易度の高い試験です。これから試験に臨む方は、十分に準備をしたうえで臨むようにしましょう。
（参考：社会保険労務士試験オフィシャルサイト (sharosi-siken.or.jp)　）

中小企業診断士は、企業の経営課題に対してアプローチを行う専門家で、いわゆる経営コンサルタントに近い仕事です。
法律上の国家資格として定められ、その登録は経済産業大臣が行います。
近年の経営コンサルタント需要の上昇と相まって、非常に人気の資格とも言えるでしょう。

会計事務所の本来の仕事は、企業の税務の仕事を代理で行うこです。
ですが、近年はそれに加え、経営改善やコンサルティングを行う事務所も増えてきました。そんな時に中小企業診断士の資格があると、お客様のお悩みにより深く向き合うことが出来ます。
会計事務所内においても需要が見込まれる仕事と言えるでしょう。

中小企業診断士になるには、中小企業診断協会が開催する一次試験に合格する必要があります。
その後二次試験に合格して所定の業務を行う、もしくは養成過程に進むことで晴れて中小企業診断士として登録されます。
中小企業診断士は合格率が5%前後の非常に難易度の高い試験です。
もしこれから取得を目指しているのでされば、十分な勉強時間と根気を持って臨んでいきたいところですね。
（参考：中小企業診断士制度 (j-smeca.jp)　）

いかがでしたか。今回は会計事務所で働く際に役立つ資格についてご紹介しました。
今回ご紹介した中には税務以外の資格が含まれていますが、あくまでも会計事務所の本業は税務です。
これから会計事務所でのキャリアを考えている方で、どんな資格を取ろうか迷っている方は、まずは日商簿記から挑んでみてはいかがでしょう。