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相続は専門知識や特殊な作業が必要な場面が多いため、相続に関する資格を有する専門家が相続のアドバイスやサポートをするのが一般的です。
相続に携わりたいと考えるのであれば相続関連の資格を取得するのが良いですが、一言で相続に関する資格といってもさまざまなものがあり、資格によって仕事内容や対応範囲が異なります。
本記事では相続に関連する3つの資格について詳しく紹介します。
相続に関する資格①税理士
税理士は税務関連の独占業務を有する国家資格です。
まずは税理士について詳しく解説します。
税理士の仕事内容
税理士は税務のアドバイスやサポートを中心に行います。
税理士の独占業務は以下の3つです。
- 税務代理:税務申告書の提出・納税・税務調査の対応など
- 税務書類の作成:税務申告書のほか、税務に関連する書類全般
- 税務相談:税務関連のアドバイスやコンサルティング
独占業務以外にも、税務に関連する幅広い業務を行います。
主な例として、記帳代行・給与計算・経営コンサルティング・融資サポートなどが挙げられます。
顧問契約を締結しているクライアントであれば、税務と併せて会計全般のアドバイス・サポートも行うケースが多いです。
相続における対応範囲
税理士の相続における対応範囲は、相続税や贈与税に関する内容全般です。
具体的な例を紹介します。
- 相続税の計算・相続税申告の代行
- 相続税の節税に関するアドバイスやサポート
- 節税対策としての生前贈与に関するアドバイスやサポート
税務関連は税理士の独占業務であるため、相続税・贈与税に関する業務はすべて税理士が対応します。
税理士資格の取得方法
税理士資格を取得する方法として一般的なのが、税理士試験の合格です。
税理士試験は科目合格制度を採用しており、必修2科目・選択必修1科目・選択2科目の計5科目に合格することで資格取得の要件を満たします。
科目合格は生涯有効であり、5科目すべてに合格するまでの期限に定めはありません。
特定の修士または博士の学位を持つ場合、一部の試験について免除を受けられます。
また、一定以上の年数税務署に勤務していた国税従事者も、一部の科目が免除となります。
なお、税理士登録をするためには、試験の合格だけでなく、通算2年以上の実務経験も必要です。
弁護士資格または公認会計士資格を有する場合、試験合格や実務経験がなくても、必要な手続きをすれば税理士資格の取得が可能です。
税理士資格の難易度
税理士資格を取得するために必要な試験の難易度について解説します。
前述のように、税理士試験は科目合格制度を採用しています。
科目によって多少のバラつきはありますが、合格率は概ね10〜20%程度です。
また、5科目合格までに要する勉強期間は最短でも2年、一般的に3〜5年程度といわれています。
試験は年に1回のみのため、不合格の場合は翌年も勉強・受験が必要です。
合格率の低さ・必要な勉強時間の長さから、税理士資格は取得難易度が非常に高いといえます。
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相続に関する資格②相続士
以降の章では、相続に関連する民間資格について紹介します。
相続士の仕事内容
相続士は的確な相続に向けて、相続全般のアドバイスを行う専門家です。
税理士をはじめとした各専門家とネットワークを組み、相続を総合的に支援します。
相続における対応範囲
相続における対応範囲として、的確・理想的な相続の実現に向けた総合的なアドバイスやサポートが挙げられます。
特別な専門性を持つというよりは、各専門家とのネットワークや連携が中心の役割です。
相続士資格の取得方法
相続士資格を取得するためには、相続士資格試験への合格および登録が必要です。
試験はCBT(全国のテストセンターでコンピューターを利用して行う試験)で、申込の3日後から3ヶ月以内の好きな日に設定できます。
また、相続士試験の合格者であれば上級資格認定講習の受講が可能です。
講習修了後に登録することで、相続士上級資格を取得できます。
相続士資格の難易度
相続士資格の合格率は、公開されていないため正確なデータは不明です。
なお、合格基準は50点満点中30点以上と比較的易しく、公式テキストも販売されているため、難易度は特別高くないといえます。
相続に関する資格③相続アドバイザー
相続アドバイザーと呼ばれる人として、NPO法人 相続アドバイザー協議会の会員と、銀行業務検定協会による相続アドバイザー試験の合格者の2種類が挙げられます。
今回は、銀行業務検定協会による相続アドバイザー試験の合格者について紹介します。
相続アドバイザーは相続関連のうち、銀行業務の的確なアドバイスを行うための専門家です。
相続士に比べ、より専門性が高い・対応範囲が狭い資格といえます。
銀行業務に特化した資格ということで、受験者・資格取得者の多くが金融機関に勤めています。
相続アドバイザーの仕事内容
相続アドバイザーの主な仕事は、相続関連の中でも銀行業務に特化したアドバイス・サポートです。
相続に関する銀行業務の具体例として、相続発生時の預金引き出しや銀行口座の解約が挙げられます。
相続アドバイザーは相続について直接的な実務やサポートを行うのではなく、あくまでアドバイスをする立場です。
必要に応じて税理士など各専門家との連携や、適切な専門家の紹介なども行います。
なお、銀行業務のアドバイス・サポートだけでなく、相続に関する一般的な内容に触れるケースもあります。
そのため、実際の仕事では銀行業務に限らず相続の広い範囲の知識が必要です。
相続における対応範囲
相続アドバイザーは相続関連の中でも、銀行業務に特化したアドバイスやサポートがメインです。
しかし、前述のように、銀行業務以外にも相続に関する幅広い知識が求められます。
相続アドバイザーに必要な知識として、以下の内容が挙げられます。
- 相続発生による被相続人の銀行口座解約手続き
- 相続に関する民法の規定
- 相続税の計算方法
- 不動産の相続登記の方法
相続アドバイザー資格の取得方法
相続アドバイザー資格を得るためには、銀行業務検定協会による相続アドバイザー試験に合格する必要があります。
試験は3級と2級の2種類があり、概要は以下のとおりです。
出題形式
- 3級:マークシート(四答択一)50問
- 2級:四答択一25問、記述式5問
合格基準
3級・2級ともに満点の60%以上
試験日程
- 3級:毎年3月と10月の年2回 ※CBT方式であればおよそ通年の受験が可能
- 2級:毎年3月の年1回
資格の難易度
相続アドバイザー資格の難易度をはかる基準として、合格率と必要な勉強時間を紹介します。
合格率
- 3級:40%前後
- 2級:30%前後
3級でも合格率は40%と低めなため、一見すると難易度が高く感じるかもしれません。
しかし、実際のところ、試験に対してあまり意欲的ではない・十分な対策をしていない受験者が多いため、結果として不合格が多くなっているようです。
試験の内容自体は特別難しいものではなく、一通りの勉強や問題演習をしており、知っていれば解ける問題がほとんどといえます。
必要な勉強時間
- 3級:約2週間程度
- 2級:約4週間程度
前提知識の量や実務経験の有無による違いが大きいため、あくまでひとつの目安です。
相続に関する資格は他にも多数存在!
相続に関する資格は他にも多数存在します。
最後に、今回詳しく取り上げなかった相続に関する民間資格について簡単に紹介します。
- 相続診断士:相続に関する正しい知識をつけ、一般の人へ啓蒙することを目的とする資格です。仕事内容として、相続の問題点の洗い出しやアドバイスが挙げられます
- 遺言執行士:相続の中でも遺言に特化した資格です。遺言のアドバイスや遺言執行などを行います
- 事業承継士:事業承継のアドバイスやサポートに特化した資格です
- 相続カウンセラー:仕事内容として、相続手続きに関する相談・相続手続きの支援が挙げられます
- 終活カウンセラー:終活を専門とする資格です。相続のほか、遺言・保険・墓・介護など、終活に関する幅広い内容を扱います
- 相続手続カウンセラー:相続関連の仕事を行う人に知識や情報を提供する役割です
まとめ
一言で相続といっても、必要な知識や手続きは多岐にわたります。
そのため、相続に関する知識は多数存在し、それぞれ異なる専門性や知識を活かして相続のサポートを行います。
相続に携わりたいと考えている場合、まずは携わりたい分野や目的のさらなる明確化を行うのが良いでしょう。
自身に適した資格を判断しやすくなるため、より効率的・効果的な勉強が可能になります。
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