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税理士という仕事に対して「年収が高い」というイメージを持つ人は少なくありません。
しかし、税理士=高年収のイメージばかりが独り歩きしており、正しい年収について知られていないという事実があります。
本記事では税理士の現実的な年収について解説します。
イメージと現実のギャップが大きい理由や、税理士が高年収を実現するコツについても取り上げました。
税理士の現実的な年収額
一言で税理士の年収といっても、働き方や勤務先によって金額は大きく異なります。
複数のケースごとに、税理士の現実的な年収額を紹介します。
日税連による調査結果
職種 |
回答者数 |
平均年収 |
補助税理士 |
4,163名 |
597万円 |
開業税理士 |
23,712名 |
744万円 |
社員税理士 |
3,459名 |
886万円 |
合計 |
31,334名 |
740万円 |
日税連による「第6回税理士実態調査報告書」の結果によると、税理士全体の平均年収は740万円です。(※平均値のため、中央値よりも偏りが想定されます)
ビジネスパートナーとして働いている社員税理士は、886万で平均より高い傾向にありますが、それ以外の補助税理士は597万円で平均より低いという結果です。
この調査の回答者として最も多いのが開業税理士であり、平均年収744万円なので標準的と言えます。
開業税理士の場合には、自由な働き方が実現できるので、どのように経営していくのかを自分で決定していかなければなりません。
収入は自分次第であり、仕事が取れなければ全体の平均年収より低くなってしまいますが、上限はないのが特徴です。
1000万円・3000万円・5000万円と徐々にアップさせていくことができます。
他にも、一般事業会社に勤務する働き方もありますが、どの職種においても年収が比較的安定しています。
会計事務所勤務の場合
会計事務所に勤務する税理士の年収額は、600万円以上がひとつの目安です。
ただし、会計事務所の規模や年代による違いが大きいため一概にはいえません。
事務所の規模別・年代別の年収目安を紹介します。
事務所の規模別
事務所の規模別年収
|
大手・準大手 |
中小規模 |
個人事務所・零細事務所 |
600~800万円 |
400~600万円 |
300~500万円 |
事務所の規模が大きいほど高年収になる傾向です。
年代別
年代別年収 |
20代前半 |
20代後半 |
30代 |
40代 |
50代 |
300万円台後半 |
500万円前後 |
500~800万円台 |
600~1,200万円 |
700万円〜 |
- 30代:税理士としてのキャリアやポジションの差が大きいため、年収の幅も広めです
- 40代:ベテランや役職持ちが多い年代のため、平均年収も高くなります。ただし事務所の規模によっては800万円あたりが上限となります
- 50代:40代と同様の理由で平均年収も高めです。なお50代以降は勤務時間を減らすケースも多くなり、40代よりも年収が低くなることもあります
大手事務所に勤務している場合やベテラン税理士の場合、1,000万円を超える高年収を得られます。
しかし、事務所の規模や年代によっては、日本の平均年収を少し上回る程度の年収であるケースも珍しくありません。
イメージと現実の差が大きいといえます。
企業内税理士の場合
職種 |
平均年収 |
会計事務所・税理士法人 |
570万円 |
金融系 |
813万円 |
経理・財務・税務 |
663万円 |
コンサル・アドバイザリー |
722万円 |
経営企画 |
799万円 |
企業内税理士として働く場合には、職種により平均年収が異なってくるので、確認しておく必要があります。
特に、最も多い就職先として挙がるのが会計事務所・税理士法人ですが、平均年収は570万円となっています。
会計事務所・税理士法人の場合には、実務経験により任せられる業務内容が異なるので、年収に大きな影響を及ぼしているのが事実です。
また、都市部の会計事務所・税理士法人の平均年収は高い傾向にあり、都市部以外では低い傾向にあるので注意しておかなければなりません。
税理士として実務経験を積んでいくと、専門的知識を獲得していけるので、知識を活用してコンサル・アドバイザリーや経営に携わることも出来ます。
会計や税金の専門家として、知識を活用してキャリアアップできれば、年収を上げていくことも可能です。
Big4税理士法人の場合
役職 |
平均年収 |
スタッフ |
500万円~700万円 |
シニアスタッフ |
700万円~800万円 |
マネージャー・シニアマネージャー |
1000万円程度 |
ディレクター・パートナー |
1500万円以上 |
税理士法人の中でも大手のBIG4は、給与面でも優遇されており、スタッフでも450万円以上が見込めます。
シニアスタッフになれば、600〜800万円程度の年収になりますが、いずれにしても残業代が出ているのが大きいです。
マネージャーより上になると管理職となるので、残業代はでない場合が多く、シニアスタッフで残業代を貰っているほうが年収が高くなることもあるので注意しなければなりません。
ですが、マネージャーやシニアマネージャーは安定して800〜1,000万円程度、ディレクターやパートナーになれば1,000万円以上の年収も夢ではなく、パートナーは1,500万円程度からスタートするとも言われています。
参考:賃金構造基本統計調査
開業税理士の年収は大きく異なる可能性
これまでに紹介した税理士の年収は、雇用契約にもとづいて働く勤務税理士の場合です。
開業税理士の年収とは、大きく異なる可能性があります。
開業税理士の平均年収は700~1,000万円程度です。
しかし、勤務税理士よりも遥かに稼いでいるケースも多く、年収3,000万円以上の開業税理士もみられます。
ただし、顧客数・案件数によっては、勤務税理士の年収を下回ることもあります。
開業税理士の年収はケースによる違いが大きいため、勤務税理士の年収と一概には比較できないのです。
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税理士の年収 イメージと現実のギャップが大きい?
会計事務所・一般企業ともに、勤務税理士の平均年収は特別高いわけではありません。
税理士の年収は、イメージと現実のギャップが大きいといえるでしょう。
この章では、ギャップが生まれる原因として考えられることを解説します。
難関資格=かなりの高年収というイメージが強い
税理士=高年収のイメージが強い理由のひとつとして、税理士試験の難易度が挙げられます。
税理士資格を取るためには税理士試験に合格する必要がありますが、税理士試験の難易度は非常に高いです。
合格率はおよそ10~20%、合格までに必要な勉強時間の目安は3,000時間以上といわれています。
合格までに要する期間は最短でも2年、一般的には3〜5年程度となります。
このように税理士試験は非常に難易度が高い試験です。
「これだけ取るのが難しい資格なのだから、高年収を得られるに違いない」との発想から、税理士は高年収というイメージになりやすいと考えられます。
公認会計士と混ざりがち
公認会計士と混ざりがちというのも、税理士は高年収というイメージになりやすい理由です。
公認会計士は国家三大資格のひとつで、試験の合格率は10%前後と非常に難易度が高いです。
試験形式や範囲が異なるため試験難易度の単純な比較はできませんが、公認会計士は税理士より上位ランクとして位置づけられています。
また、税理士より公認会計士の方が年収が高めの傾向です。
公認会計士の平均年収は1,000万円前後と、税理士よりも高い年収を得られます。
実際、高年収を得られる仕事のひとつとして、公認会計士の名前が挙がるケースは珍しくありません。
公認会計士と税理士は業務内容や性質が似ている・しっかり比較しなければ違いがわかりにくいといった理由から、混同されるケースが多いです。
そのため「税理士も公認会計士と同じぐらいの高年収だろう」といったイメージになりやすいと考えられます。
高年収の開業税理士ばかりが注目されやすい
高年収の開業税理士ばかりが注目されやすいため、税理士全体の年収が高いイメージになっている可能性もあります。
前述のように、開業税理士の中には年収3,000万円を超える人も存在します。
年収のインパクトが大きい・夢があるといった理由から、高年収の開業税理士は話題になりやすいです。
一方で、勤務税理士の年収は高くても1,000万円超で、目安は600万円が基準と、開業税理士と勤務税理士の年収は大きく異なります。
顧客数や案件数によっては、開業税理士であっても勤務税理士の年収を下回るケースもあります。
しかし、勤務税理士や年収が低い開業税理士の例はそれほど大きな話題にはなりません。
結果として開業税理士の高年収ばかりが注目を集めます。
このような実態も、税理士の年収イメージが現実よりも高くなる理由といえるでしょう。
税理士が高年収を実現するコツ
税理士の年収は理想と現実のギャップが大きいとはいえ、高年収を得られないわけではありません。
税理士が高年収を実現するためのコツを3つ紹介します。
高年収を得やすい会計事務所や企業で勤務する
税理士の年収は勤務する場所による違いが大きいと紹介しました。
そのため、高年収を得やすい会計事務所や企業を狙って転職するのもひとつの手段です。
会計事務所なら規模が大きい事務所、一般企業なら業務難易度が高い職場がねらい目といえます。
また、規模自体はそれほど大きくなくても、専門性が高い・珍しい分野を扱うといった特殊性を持つ事務所も高年収を期待できます。
プラスアルファのスキルをつける
プラスアルファのスキルをつけるのも、高年収の実現に効果的な方法です。
対応できる分野が増える・需要が高い業務を受けられるなど、高年収につながる可能性が高くなります。
税理士におすすめのスキルの例を紹介します。
語学力
グローバル化により、英語対応ができる・英語の資料を処理できる税理士の需要は高いです。
相続税や資産税などややマイナーな税務
一言で税といっても多くの種類があり、ややマイナーな分野も存在します。
相続税や資産税のように、対応できる税理士が限られる税務のスキルを得るのもおすすめです。
IT関連
IT関連の知識をつけることで、クライアントのクラウド化・新たな会計システムの導入といったITサポートができるようになります。
独立開業も選択肢のひとつ
税理士としてさらなる高年収の実現を目指すのであれば、独立開業もひとつの選択肢です。
開業税理士は上手くいけば、勤務税理士を大きく上回る年収を得られます。
しかし、開業税理士の年収は、顧客数・案件数・業務内容によって差が大きいです。
独立開業によって成功するためには、営業活動や顧客からの信頼獲得など、勤務税理士とは違った活動や努力も必要となります。
独立開業すれば自然に高年収を得られるわけではない点をしっかり押さえる必要があります。
転職で年収がアップした事例
収入をあげるために転職を行う場合には、実際に年収がアップした事例を参考にしていくのが有益です。
実際に転職で年収をアップさせることは可能であり、事例を参考にして転職活動を積極的に行っていく必要があります。
会計事務所から事業コンサルに転職で年収150万円UP
会計事務所で記帳代行や巡回監査を行って働いていた経験を活用して、クライアントと深くかかわりアドバイスをしていける会社を希望されていました。
専門性を深めていくためにM&Aの事業コンサルを行う会社を選択して、年収580万円から730万円に26%にUPした事例です。
今までの経験を無駄にすることなく、自信を持って新たなステージにチャレンジするのが重要になってきます。
会計事務所から会計事務所に転職で年収100万円UP
転職前の会計事務所で働かれていた際に対応していた顧客を、新たな会計事務所に持ち込みつつより高度な税務の提供を実現した事例です。
クライアントとの関与を深めるだけではなく、年収も700万円から800万円に14%UPを実現しました。
同じ業種でも、転職によりサービスの提供内容や方法を変えて、年収をUPすることも可能です。
上場企業からIPO準備企業に転職で年収130万円UP
上場企業で働いていた経験から、これからIPOを行う企業に転職して、経営に携わっていくことを希望されていました。
組織の垣根を越えて柔軟な提案をしていける会社に巡り合い、年収は820万円から950万円に16%UPした事例です。
今までの実務経験は、他の会社でニーズがあり積極的に活用していける場合も多く、転職する際には考慮したい要素です。
税理士の求人
まとめ
税理士の年収は日本の平均年収よりは高いため、高年収というのは事実です。
しかし、年収1,000万円を超えるケースが特別多いわけではありません。
税理士の年収はかなり高く見積もられている傾向があり、イメージと現実のギャップが大きいといえます。
税理士の年収に限らず、イメージばかりが独り歩きしており、現実と大きく異なるケースは多くみられます。
自身が持つイメージや周りからの噂を鵜呑みにせず、しっかり現実・実態を調べることが大切です。
Profile レックスアドバイザーズ
公認会計士・税理士等の有資格者をはじめとする会計人材専門特化した人材紹介会社。
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